上 下
103 / 137
第三章 地下迷宮挑戦編

第91話 地下迷宮11 ルイスとルーシーの成長

しおりを挟む
 モンスター部屋を出てちょうど10日経った。ユヅキから俺達に念話が来る。

(あさひ、8階層のモンスター部屋がまた開いた!)

 なに!それは良かった!もう開かないんじゃないかと思ってたところだ。忘れたわけではない。

(どうする?メイドちゃん達連れて入っちゃっていい?)

(ユヅキ、ちょっと待って!俺達は今18階層でもうすぐ隠し部屋に着く。たぶんその手前の小部屋がまたセーフティポイントになってると思う。そこに着いたら俺もそっちに行くから一緒に行こう!)

(オッケー。じゃあ念の為、ここで待ってる。アメリア達には連絡しておくから)

 それから1時間程で隠し部屋の手前の小部屋に着いた。そしてあった。8階層と同じ仕掛けが。
 俺は8階層と同じように小部屋を封鎖して、【テレポート用】の魔法陣を設置した。

「じゃあ、8階層に行ってくる」

「あさひ様、お気をつけて」

 カレン達には18階層で待ってもらう事にした。ここの様子も見ていてもらいたかったのでテントを張って、休憩しながら留守番してもらう事にした。

 俺が8階層のセーフティポイントへ行くとユヅキが待っていた。

「ユヅキ、お待たせ!」

 俺はユヅキを抱きしめた。心地よい。ユヅキさん素敵です。

「じゃあ、拠点のメイドちゃん達迎えに行ってくるね!」

「ちょっと待った!けっこう人数いるけど、ユヅキ【テレポート】大丈夫か?」

「あっ、確かに…………ステラとルーシー、ルイス、メイドちゃん達、合計13人。きついかも…………」

「だよな。俺も行くよ」

「そうね。みんなには屋敷で待機してもらってるから、じゃあ私が5人連れて来るから、あさひは8人ね」

 俺の方が多い…………まあ、魔力も俺の方が多いし、テレポートにも慣れてるからその方がいいか。

「了解」

 俺とユヅキはみんなを連れてきた。

 メイド達ははじめての【テレポート】に驚き、キョロキョロしている。

 俺もユヅキもけっこうな魔力を消費している為、念の為ステラにもいてもらう。前回と同じビッグアントなら問題無いけど、何があるかわからないのが迷宮だ。

「みんなー!一応念の為、作戦の確認。前回はビッグアント500体ぐらいだったから。今回も同じなら、先制攻撃は魔法組ね!その後はルイスとルーシーであらかた片付ける。ルイスとルーシーの戦い方をよく見てててね。その後はみんなの番ね。乱戦になるから魔法組は仲間に当たらないように気をつけて撃つんだよ」

 ユヅキが作戦をみんなに念話する。
 おお、メイド達も魔法使える子がいるのか。

「「はい!」」

 全員力のこもった返事をする。

「ルイス、ルーシーは出番が終わったら、メイドちゃん達のフォローお願いね」

「「はい!ユヅキ様」」


「ミア、アイナは全体を見ながらちゃんとみんなの指揮をするんだよ。指揮は念話で。今回は私達も確認したいから、全員にチャンネル回線を開いておいてね。念話での戦闘に慣れよう!」

「「はい!ユヅキ様」」


 メイド達は初めての実戦だ。みんな緊張しているようだ。ちょっと力入りすぎてるかも。本来ならもっと少しずつ経験させてもいいんだけど。相乗効果で随分パワーアップしてるし、大丈夫だろう。それに危なくなったら俺もユヅキもステラもいる。

「初めての実戦だから、絶対に無理はしなくていいからね。危なくなったり、怖くなったらすぐに後方に下がること。回復は安心してね。訓練通りやれば大丈夫!みんなは強い!グッ」

 初めての実戦。思い出す。俺もアルバ大森林で死にそうになった。ユヅキも覚えてるんだろう。

「「はい!」」


「じゃあ、レッツゴー!」


 俺達はモンスター部屋に入った。全員入ったところで前回同様扉が閉まる。

 メイド達の緊張がこちらに伝わる。ルイス、ルーシーの表情も真剣だ。ユヅキ、ステラはいつも通りだ。

【気配感知】に反応。

 ビッグアントだ。前回と同じようにビッグアントが湧いて出てくる。

 魔法組、ミア、アイナ、ニナ、ヒセラ、リアナがかまえる。

 おお、もう5人も魔法使えるのか!俺はけっこう驚いていた。まだたったの10日程度しか経っていないんだぞ。ユヅキは教えるのも上手いのか。

(みんな、タイミング合わせるわよ!)

 エルフのミアが念話で指揮をする。

(((はい!)))

 5人の魔法が無詠唱で一斉に放たれる。

 火、水、風、土色々な魔法がビッグアントの群れに直撃する。威力はまだまだだがかなり倒したようだ。

「やった!」

 魔法組のメイドの何人が声を上げる。

 しかし、次々と新たなビッグアントが湧き出てくる。

 ここからルイスとルーシーの番。

 ルーシーが魔法を放つ!メイド達とは桁違いの威力の魔法を放つ。

 ビッグアントの群れを焼き尽くす。


「す、凄い!」

 メイド達が驚いている。

 おお!ルーシー強くなったな!

 ルーシーが俺の方をチラッと向きドヤ顔をしている。

 今度はルイスが槍を持ち前に出る。

 一振りで何匹も一斉に倒す。

 ビッグアント達はルイスに近づくこともできない。

 ルイス無双です。ルイス強いな。

 ルイスはオスカーと同じ竜騎士を目指しているんだったな。ワイバーンに乗ったルイスはもっと強いだろう。

 相乗効果でステータスが上がり、才能が覚醒しつつあるのかもしれない。

(ル、ルイス様凄いです!)

(キャー、ルイス様カッコいいです!)

 メイド達の黄色い声援が飛ぶ。

 むむっ、ルイス羨ましいぞ。

(ダーリン、羨ましいとか思ってるでしょ。我慢してね)
 なに?ユヅキ!なぜわかるんだ。

 ルーシーが魔法でルイスを援護する。うん、良いコンビだ。まあ、ルイスは援護はいらないぐらい余裕がある。

 このままだと二人で全滅させてしまいそうだ。

(ルイス、ルーシー、交代!もう十分!さあ、みんなの番だよ!ファイトーーー♪)

 ユヅキの指示でルイスとルーシーが下がる。

(ルイス、ルーシー、二人には物足りないな。18階層のモンスター部屋一緒に行こう)

 二人が俺をみてニヤッとしている。

 次はいよいよメイドさん達の番だ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

スライムを出すだけのゴミスキルだと思ったけど妖精や精霊はこのドロドロが好きみたいです

兎屋亀吉
ファンタジー
新卒サラリーマンの滝川利一は、同じ電車に乗り合わせた十数人の乗客と一緒に突如として異世界へと転移してしまう。転移した先は深い森の中で、一同は茫然と立ち尽くす。森での生活は過酷だったが、スキルというものを全員が得ていたおかげでなんとか回りだす。有用なスキルを得て集団での地位を確立していく一部の人間とは裏腹に、『スライム』というドロドロとしたあの謎素材を生み出すだけスキルを得た滝川の地位は低下していく。そしてついにある日の夕方、薪集めから戻った滝川の前にはもぬけの殻となった野営地が広がっていた。森の中にポツンと置き去りにされてしまった滝川のサバイバルが始まる。

お幸せに、婚約者様。私も私で、幸せになりますので。

ごろごろみかん。
恋愛
仕事と私、どっちが大切なの? ……なんて、本気で思う日が来るとは思わなかった。 彼は、王族に仕える近衛騎士だ。そして、婚約者の私より護衛対象である王女を優先する。彼は、「王女殿下とは何も無い」と言うけれど、彼女の方はそうでもないみたいですよ? 婚約を解消しろ、と王女殿下にあまりに迫られるので──全て、手放すことにしました。 お幸せに、婚約者様。 私も私で、幸せになりますので。

女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません

青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。 だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。 女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。 途方に暮れる主人公たち。 だが、たった一つの救いがあった。 三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。 右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。 圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。 双方の利害が一致した。 ※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております

1番じゃない方が幸せですから

cyaru
ファンタジー
何時だって誰かの一番にはなれないルビーはしがない子爵令嬢。 家で両親が可愛がるのは妹のアジメスト。稀有な癒しの力を持つアジメストを両親は可愛がるが自覚は無い様で「姉妹を差別したことや差をつけた事はない」と言い張る。 しかし学問所に行きたいと言ったルビーは行かせてもらえなかったが、アジメストが行きたいと言えば両親は借金をして遠い学問所に寮生としてアジメストを通わせる。 婚約者だって遠い町まで行ってアジメストには伯爵子息との婚約を結んだが、ルビーには「平民なら数が多いから石でも投げて当たった人と結婚すればいい」という始末。 何かあれば「お姉ちゃんなんだから我慢しなさい」と言われ続けてきたルビーは決めた。 「私、王都に出て働く。家族を捨てるわ」 王都に行くために資金をコツコツと貯めるルビー。 ある日、領主であるコハマ侯爵がやってきた。 コハマ侯爵家の養女となって、ルワード公爵家のエクセに娘の代わりに嫁いでほしいというのだ。 断るも何もない。ルビーの両親は「小姑になるルビーがいたらアジメストが結婚をしても障害になる」と快諾してしまった。 王都に向かい、コハマ侯爵家の養女となったルビー。 ルワード家のエクセに嫁いだのだが、初夜に禁句が飛び出した。 「僕には愛する人がいる。君を愛する事はないが書面上の妻であることは認める。邪魔にならない範囲で息を潜めて自由にしてくれていい」 公爵夫人になりたかったわけじゃない。 ただ夫なら妻を1番に考えてくれるんじゃないかと思っただけ。 ルビーは邪魔にならない範囲で自由に過ごす事にした。 10月4日から3日間、続編投稿します 伴ってカテゴリーがファンタジー、短編が長編に変更になります。 ★↑例の如く恐ろしく省略してますがコメディのようなものです。 ★コメントの返信は遅いです。 ★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。 ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。 ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。 ※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。 ※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません

テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ

Lunaire
SF
「強くなくても楽しめる、のんびりスローライフ!」 フリーターの陽平が、VRMMO『エターナルガーデンオンライン』で目指すのは、テイマーとしてモンスターと共にスローライフを満喫すること。戦闘や冒険は他のプレイヤーにお任せ!彼がこだわるのは、癒し系モンスターのテイムと、美味しい料理を作ること。 ゲームを始めてすぐに出会った相棒は、かわいい青いスライム「ぷに」。畑仕事に付き合ったり、料理を手伝ったり、のんびりとした毎日が続く……はずだったけれど、テイムしたモンスターが思わぬ成長を見せたり、謎の大型イベントに巻き込まれたりと、少しずつ非日常もやってくる? モンスター牧場でスローライフ!料理とテイムを楽しみながら、異世界VRMMOでのんびり過ごすほのぼのストーリー。 スライムの「ぷに」と一緒に、あなただけのゆったり冒険、始めませんか? 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?

山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。 2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。 異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。 唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

フェンリルに育てられた転生幼女は『創作魔法』で異世界を満喫したい!

荒井竜馬
ファンタジー
旧題:フェンリルに育てられた転生幼女。その幼女はフェンリル譲りの魔力と力を片手に、『創作魔法』で料理をして異世界を満喫する。  赤ちゃんの頃にフェンリルに拾われたアン。ある日、彼女は冒険者のエルドと出会って自分が人間であることを知る。  アンは自分のことを本気でフェンリルだと思い込んでいたらしく、自分がフェンリルではなかったことに強い衝撃を受けて前世の記憶を思い出した。そして、自分が異世界からの転生者であることに気づく。  その記憶を思い出したと同時に、昔はなかったはずの転生特典のようなスキルを手に入れたアンは人間として生きていくために、エルドと共に人里に降りることを決める。  そして、そこには育ての父であるフェンリルのシキも同伴することになり、アンは育ての父であるフェンリルのシキと従魔契約をすることになる。  街に下りたアンは、そこで異世界の食事がシンプル過ぎることに着眼して、『創作魔法』を使って故郷の調味料を使った料理を作ることに。  しかし、その調味料は魔法を使って作ったこともあり、アンの作った調味料を使った料理は特別な効果をもたらす料理になってしまう。  魔法の調味料を使った料理で一儲け、温かい特別な料理で人助け。  フェンリルに育てられた転生幼女が、気ままに異世界を満喫するそんなお話。  ※ツギクルなどにも掲載しております。

【完結】転生したら登場人物全員がバッドエンドを迎える鬱小説の悪役だった件

2626
ファンタジー
家族を殺した犯人に報復を遂げた後で死んだはずの俺が、ある鬱小説の中の悪役(2歳児)に転生していた。 どうしてだ、何でなんだ!? いや、そんな悠長な台詞を言っている暇はない! ――このままじゃ俺の取り憑いている悪役が闇堕ちする最大最悪の事件が、すぐに起きちまう! 弟のイチ推し小説で、熱心に俺にも布教していたから内容はかなり知っているんだ。 もう二度と家族を失わないために、バッドエンドを回避してやる! 転生×異世界×バッドエンド回避のために悪戦苦闘する「悪役」の物語。

処理中です...