創造眼〜異世界転移で神の目を授かり無双する。勇者は神眼、魔王は魔眼だと?強くなる為に努力は必須のようだ〜

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第三章 地下迷宮挑戦編

第84話 副メイド長 アイナ1

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【アイナ視点】

 私の名前はアイナ。17歳。

 カレン様の指示でこのお屋敷の副メイド長を任されることになりました。

 3日前に【地下迷宮】に向かったご主人様であるあさひ様が戻られると聞き、慌てて準備をしています。他のメイド達もソワソワしています。

 それもそのはず。初めてご主人様にお会いした時の衝撃は生涯忘れる事ができません。
 あの日から私達は完全にご主人様の信者なのです。


 私には妹がいます。妹の名前はカリサ。15歳。
 母は私が幼少の頃、父に愛想を尽かし家を出て行ってしまった。父親は飲んだくれの最低な父親です。
 働くのは私と妹のカリサ。

 そして、最悪の事件が起こりました。父が酔って喧嘩をした挙げ句、人を殺してしまいました。おまけに私達には内緒で多額の借金までしていました。

 その借金を背負った私とカリサはとても返せるはずもなく、一般奴隷となりました。


 私とカリサはどこかのスケベな貴族や商人に別々に買われ一生奴隷として過ごしていくのでしょう。私とカリサは絶望しました。

 しかし、それを救ってくれたのが王国の女騎士であるカレン様でした。
 とても美しく知的な方でした。

 面接の時、カレン様は綺麗な水晶を出していました。あとから聞いて解ったことですが、あれは鑑定水晶という世界に一つしかない鑑定魔道具でした。

 これも後から聞いた事ですが、私には【指揮】と【教育】という才能があるそうです。私自身実感したことはありません。8歳から作業所でずっと魔物肉を加工するだけの仕事をしていました。誰かと接するということもなく、安い賃金でただひたすら魔物肉を加工するだけの日々。もちろん読み書きも算術もできません。

 こんな私を引き取って貰えるとは思ってもいませんでしたが、奇跡が起きました。カレン様に私を買って頂けることになりました。屋敷のメイドとして働いて欲しいと言われました。何か希望はあるかと聞かれ、妹のカリサがいることを伝えるとカリサも一緒に引き取って頂けることになりました。

 私はカレン様に感謝しました。どこかの変態貴族や商人に買われ一生屈辱的な日々を送ることを覚悟していた私にとってカレン様は救いの神にも見えました。

 そして、私とカリサはカレン様に連れられこの屋敷に来ました。
 なんて立派なお屋敷でしょう。まるで貴族様のお屋敷のようでした。そのお屋敷には私達と同じような境遇のメイド見習いが他に8人いました。

 私達を含め人族の娘6人、獣人族の娘2人、エルフの娘1人、ドワーフの娘1人、計10人です。とても綺麗な美少女ばかりでした。ただ、皆の表情は暗かったのを覚えています。

 その日から私達はメイドとしての訓練が始まりました。

 時間が無いそうです。2週間後に私達のご主人様がこの屋敷に来られ住むそうです。
 奴隷契約の時に私達のご主人様はカレン様でなく、あさひ様という方であるということはもちろん伺ってました。

 年齢は私達と同じぐらいの方だそうです。一体どんな方なのでしょう?王族でしょうか?貴族でしょうか?カレン様に伺ったところ、とても偉大な方だとしか教えていただけませんでした。

 私達10人はその日から4班に分かれそれぞれカレン様、ミケネ様、フーカ様、サーシャ様に指導を受ける事になりました。

 私とエルフのミアがカレン様に指導して頂けるようです。妹のカリサはサーシャ様に指導して頂くようです。
 ミアはエルフであり、絵に描いたような美しい少女でした。いや、エルフなので私よりも年上かもしれない。ボーッと見とれていた私でした。

 そしてカレン様の話が始まり、最初に言われたことに衝撃を受けました。

「ミア、あなたはこの屋敷のメイド長になって貰いますわ。アイナ、あなたは副メイド長になって貰いますわ。」

 ええええええええ!?な、なぜ私が?なんの経験も無い私が?あまりの驚きに私は顔面蒼白になり言葉を失っていたら、カレン様が声をかけてくださりました。

「アイナ。大丈夫ですわ。ワタクシを信じなさい。あなたならやれますわ」

「は、はい。カレン様。ご指導よろしくお願いいたします」
 ミアも驚いていたようですが、私ほどでは無かったようです。

 その日から毎日、カレン様の指導が続きました。とてもとても厳しい指導でした。
 とても厳しいのですが、理不尽なことは一つもありませんでした。

 美味しい食事も三食頂けます。睡眠もふかふかのベッドで休めます。奴隷になる前よりも遙かに良い生活です。何よりもカレン様の料理の腕が素晴らしくとても美味しいのです。こんな美味しい食事食べたこともありません。私達もカレン様に習い三食一緒に作りながら覚えていきました。

 私とミアは同じ部屋でした。あまりにも美しいミアと同じ部屋で寝ることに最初はドキドキしました。わ、私ってもしかして、女性が好きなのか?なんて思った時もありました。

 ミアはとても優しい子でした。見た目は私と年齢変わらないけど、5歳年上の22歳ということも知ることができました。寝る前に2人でお喋りすることも増えました。

 内容はどうしてお互い奴隷になってしまったのか。カレン様、ミケネ様、フーカ様、サーシャ様のこと。まだ見ぬご主人様がどういった方なのか。毎日少しずつ話すことが多くなりました。
 

 カレン様達は王国の女騎士。四名ともとても美しく凜としていて、女の私からみてもとてもかっこいいのです。

 一度だけカレン様達が庭で訓練をしているところを私達全員で見学することがありました。

 もう意味がわかりませんでした。

 戦いなど無縁だった私にとって、カレン様達が何をやっているかなど全くわかりませんでした。

 フーカ様は消えるのです。動きが速すぎて私には見ることもできません。その攻撃をカレン様は防いでいるのです。な、な、な、何ですかあれは!?全員が魔法を使ってるじゃありませんか!えっ?魔法なんて見たこともありませんが、あれは魔法としか言いようがありません!王国の騎士とはこれほどの強さなのですね。私は息をするのも忘れていました。

 戦いができるミアはさらに興奮していたようでした。

 そして、カレン様達の訓練が終わった後の言葉がさらに衝撃でした。

「ワタクシ達などこれからこの屋敷に来られるあさひ様。あなた達のご主人様に比べたらお遊び以下ですわ」

「そうだな。そしてあさひ様と一緒に来られるユヅキ様、ステラ様もとんでもない方達だ」

「うん。。。あさひ、ユヅキ様、ステラ様は生きている次元が違う。。。」

「ああ、早くあさひ様にお会いしたいです~。ステラ様のお料理も食べたいです~」

 この後、カレン様達は私達にご主人様、ユヅキ様、ステラ様のことを永遠と話して下さいました。話が終わらないのです。
 なんとユヅキ様、ステラ様の作る料理はカレン様よりも遙かに美味しいと。信じられません。あんなに美味しいカレン様よりも美味しい料理なんて。

 ご主人様の話をするカレン様、ミケネ様、フーカ様、サーシャ様は乙女になっています。完全な乙女です。顔が赤らんで、柔らかい表情になっています。あの凜々しい四名はどこに行ったのでしょうか?

 サーシャ様は先程からクネクネ動いています。これほどの騎士の方達を骨抜きにしてしまう、あさひ様とは一体どんな方なのでしょう?何か悪い薬でも使ってカレン様達を洗脳しているのでしょうか?

 はっ!?私はなんてことを考えているのでしょう。私はそんな考えをすぐに打ち消しました。

 その日の夜、メイド見習い全員でお風呂に入っている時は皆大興奮でした。
 無理もありません。カレン様達のあの訓練を見た後です。
 特に興奮していたのは、エルフのミア、犬耳のココ、猫耳のネネ、ドワーフのマイテ、そしてなぜか妹のカリサ。

 カリサ、あなた戦い好きだったのね?全然知らなかったわ。
 それにしても、みんなスタイルが良いです。私は目のやり場に困りながら観察してしまいます。もしや?私って本当に女性のことが?いやいや、違います。

 私達はあっという間に仲良くなりました。

 ここに来た時は皆どこか暗い表情でした。警戒心もありました。

 美味しい食事、暖かい寝床は人を明るくさせます。さらにお風呂にも入らせていただけるなんて。お風呂なんて生まれて初めて入りました。とても気持ちが良いのです。

 皆この屋敷に来た時とはまるで別人のような表情です。明るくなって、とても生き生きして、綺麗になっていくのです。きっと私の表情も変わっているでしょう。奴隷になる前よりも遙かに幸せな気分なのです。

 私達はカレン様に感謝しなくてはいけません。こんなに幸せな生活でいいのでしょうか?そして、まだ見ぬご主人様にも感謝しなくてはいけません。このような環境を与えて下さったことに。ああ、女神様ありがとうございます。

 1週間が過ぎ、さらにメイド見習いとしての訓練は厳しくなりました。そして、読み書き、算術の勉強も始まりました。

 しかし、全く苦になりません。教えて頂ける環境があるというのはこんなに素晴らしいことなのでしょうか。

 8歳から毎日毎日ただひたすら魔物肉だけを淡々と捌いてきた私。何一つ考えることのなかった私が、何かを覚えることに喜びを感じ、何かができるようになることに幸せを感じています。きっとカレン様達の教え方が素晴らしいのです。

 これが教育というものだそうです。カレン様に教えて頂きました。カレン様達もご主人様達にたくさんの事を教えて頂いたそうです。その事を深く感謝しているのだそうです。

「アイナ、あなたには教育の才能がありますわ。今思ってることを忘れずに、次に入ってくるメイド見習いの子達に次はアイナが色々教えてあげなさい。そうすればきっとその子達も幸せな気持ちになれますわ」

 カレン様のお言葉は私の心に深く刺さりました。私は今の気持ちを忘れません。


 そして、あっという間にさらに一週間が過ぎ、ついにご主人様がこのお屋敷に来られる日が来ました。
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