創造眼〜異世界転移で神の目を授かり無双する。勇者は神眼、魔王は魔眼だと?強くなる為に努力は必須のようだ〜

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第二章 旅立ち編

第59話 ユヅキの想い

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【あさひ視点】

 俺はルーシー家族とたっぷり飲んだ後、寝室に案内されて、ベッドで横になっていた。
 俺もだいぶ飲んで酔っ払っていたが、明日に向けて、解毒魔法でアルコールを抜いておいた。
 ああ、なんか楽しかったな。ルーシー親子は王族とは思えない方達だった。王族ってもっとこうふんぞり返って偉そうなイメージだったからな。

 そして、まさかのイーグリア王オスカー様との決闘。

 さすが、世界最強の竜騎士と言われる方だった。オスカー様は全然本気じゃなかった。
 オスカー様といいガイア様といい、この世界には化物が多い。今の俺じゃまだまだ全然敵わない。

 そういえば、王都には【地下迷宮】と呼ばれるダンジョンがあるんだった。落ち着いたらダンジョンでレベル上げしようかな?どう思うユヅキ?

 ………………………

 あれ?返事が無い?
 そういえばユヅキは王城に着いてからやけに静かだ。

 ユヅキー?大丈夫か?

『え?う、うん。大丈夫。えっと、ダンジョンだよね?良いと思うよ』

 オスカー様との闘いもあったし疲れたのかな?珍しいな。
 明日は呪いで眠っている状態の勇者様とアレク様に会いに行く大事な日だ。俺に何ができるかは分からないけど、ユヅキにもアドバイスをもらうことになりそうだ。

 ユヅキ先に休んでていいからな。ゆっくり休むんだぞ。

『うん。ごめんね。そうする』

 ユヅキは先に休んだ。まあ、ここは安全そうだし気が抜けたのかもしれない。
 ずっと、気を張って旅をしてきたからな。

 俺もなんだか疲れた。今日は休もう。

 こうして俺は肉体も精神もゆっくり休め、明日に備えるのだった。



【ユヅキ視点】

 おかしい、何かがおかしい。
 王城に入ってからおかしくなった。

 入った時は小さな違和感だけだった。気のせいかと思った。
 でもこの王城にいる時間が長くなるに連れておかしくなっていく。

 私があさひから離れていってしまう。そんな感覚。
 こんなことは今までに感じたことが無い。

 あさひは明日に備えて肉体も精神も寝たみたい。


 私は日本であさひの中に18年間一緒にいた。
 あさひが赤ちゃんの頃からずっと見てきた。
 なぜ私はあさひの中にいるの?そう考えたこともあった。
 私はあさひのご先祖様か何かであさひの守護霊みたいなものだろうと結論づけた。

 日本では誰とも話もできなかったけど、あさひの日常、感情にリンクしていたし寂しいと思ったことはなかった。
 あさひは赤ちゃんから幼少期までは病弱だった。でも次第に体調も良くなり、明るく前向きで、人並みにスケベで元気に育った。私はそんなあさひを見続けるのは楽しかったし嬉しかった。

 あさひが12歳になる頃。異変が起きる。極希にあさひがひどく疲れて熟睡している時に、私があさひの体で起きるという事態が発生した。
 しかし、ここで何かをしてはあさひに迷惑が掛かる。私は誰かと会ったり、話したりすることなく、スマホで自分の興味のあることを調べたり、小説を読んだり、ゲームをして、大人しくしていた。

 何よりも私が肉体を使うとかなりの負担があった。この体はあさひの物だと痛感できた。だけど、僅かでも自分の興味あることを調べたりすることができるのは嬉しかった。

 あさひに幼馴染みのあかりちゃんという恋人もできた。あかりちゃんはとても良い子だった。笑顔のとても可愛い子であさひのことが大好きだった。あさひもあかりちゃんのことが大好きだった。

 あさひの初体験。あさひ初めてなのに頑張ってたわね。本やDVDでだいぶ予習してたしね。イメトレも。うふふっ。恥ずかしながら、私も凄く興奮しちゃったわ。

 そして、事故が起きた。あのあかりちゃんが死んでしまった。私もショックだった。そしてあさひは引き籠もった。あさひの心は荒みに荒んだ。私は何もしてあげられない。

 無力な自分に腹が立った。悲しかった。

 時間が少しずつあさひの心を癒やしていた。とても癒やされたとは言えないが、あさひはこのままではいけない。前を向かなくてはいけないと自覚はしていた。

 そして更なる事故が起きる。まさか、あさひが死んでしまうなんて………

 と思ったのも束の間、まさかの異世界転移。

 しかも、【創造眼】の力であさひと意志疎通できるようになった。
 日本で無力だった私は全力であさひを応援したいと思った。
 ちょっとスケベなお爺ちゃんだったけど、創造神様には感謝している。ありがとうございます創造神様。まだ、異世界の食文化のレベルを上げるという創造神様の願いは叶えてないけど、今後必ずやりますのでお待ち下さい。

 そして、ステラさんに出会う。ステラさんはとても素敵な女性。あさひも惹かれていった。もちろん私もステラさんのことが大好きだ。それにステラさんはあさひの命の恩人。必ず恩を返したいと思っている。呪いを受けたステラさんのご主人様。恐らく【創造眼】がご主人様の呪いを解く鍵になるのだろう。

 私はどうやら戦闘になると無鉄砲になる癖がある。戦うことが好きなのかもしれない。以前、私のミスで一度あさひの命を危険に晒してしまった。

 それ以来、私は安全な時、訓練の時や料理の時以外、極力あさひの体で戦わないようにしている。私の方が接近戦は強いが、慎重なあさひの方が安全だと感じたからだ。

 ルーシー、ミケネ、カレン、フーカ、サーシャにも出会った。みんな良い子。あさひの信者が何人かできてしまった。若干私が仕向けたところがある。まあ、あさひの為になると思ったからね。あさひ、許してね。


 それにしてもおかしい。今日は今までに無い感じ。

 気を抜くと私があさひから出て行ってしまう感じがする。

 嫌だ。なぜ?私の役目はもう終わったからなの?
 あさひはこの一年で強くなった。
 あさひと私。得意なことが違う。お互いの長所を理解し、融合させて、切磋琢磨して強くなった。

 あさひが【ルーム】と呼ぶこの場所。ここは一体なんなのか?正確な答えは出ていない。
 でも恐らくここは『新堂あさひ』という肉体の魂のある場所。精神世界。

 ここで私とあさひはお互いの魂を認識し、修行した。

 私はあさひを愛している。誰よりもあさひを愛している。

 でも私は肉体が無い。あさひの子供を産むこともできない。本当の幸せに導くことはできない。

 だから………ただ、ただあさひの幸せを願っている。

 いつかあさひの子供をみたい。もしかしたら私は母親みたいな気分を味わえるのかも。

 ただ、ただあなたの幸せを望んでいる。

 いつまでもあなたの側に居たい…………そう思いながら私は【ルーム】で意識を失った。
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