創造眼〜異世界転移で神の目を授かり無双する。勇者は神眼、魔王は魔眼だと?強くなる為に努力は必須のようだ〜

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第二章 旅立ち編

第41話 ルーシーの目覚め

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【ルーシー視点】

「んっ、んー、はっ!」
 わたしは目を覚ます。
 知らない天井。知らないベッド。知らない部屋。
 わたしは助かったの?
 薄らと思い出す。あの時、わたしは死を覚悟した。そして、突然現れた神々しい金色に輝く眼の黒髪の少年を思い出す。記憶はかなり曖昧だが、なんとなく思い出せる。

 わたしはたぶんあの少年に助けられた。

「はっ!カレンは!?」

 周りを見渡すと隣にベッドがあるがカレンはいない。カ、カレンッ。私は良くないことを想像した。

 コンコンッ
 ドアがノックされる。私は警戒しながら返事をする。

「は、はい」

「姫様、起きられたようで安心しましたわ」
 入ってきたのはカレンだった。

「カ、カレンッ、生きていたのね!良かった。良かった」
 わたしは嬉しさのあまり涙が出る。

「はい。ステラ様とあさひ様に助けていただきましたわ。姫様もご無事で何よりでございます」

「ステラ様ですって!」
 わたしは驚いた。わたしが探していたのはステラ様と黒髪の少年。もしかして、昨日の神々しく金色に光る眼の方があさひ様っ!

「はい。ワタクシも先程起きたところでお二人から事情をお聞きました。姫様、まずはご挨拶をしましょう」

「ええ。わかったわ」

 私が部屋を出るとそこにいたのは

 剣士の格好をした銀髪で美しく長い髪。まさに絶世の美女。この方がステラ様。なんて美しいのでしょう。まるで絵に描かれたような方。

 その横には私とそう年齢も変わらない、ごくごく普通に見える黒髪黒眼の少年。そしてその少年は口を開いた。

「目覚めたようですね。良かったです。俺はあさひと言います。はじめまして」

 ニコッとその少年は微笑んだ。昨日の神々しい感じは全くしない。どこにでもいるような年相応の普通の少年。ぼーっとする私。金色?見間違い?

「姫様」
 カレンが私に声をかける。ハッとした私も自己紹介をする。

「私はイーグリア王国第一王女ルーシー・イーグリアと申します。ステラ様、あさひ様、昨夜はわたしと護衛のカレンを助けていただきありがとうございました。お二人が助けてくれなければ確実に死んでいました。この御恩は忘れません」

「ルーシー様、私はステラと申します。助けたのはあさひ様で私は何もしていません」
 ステラ様はそう答えた。続けて

「ところで、王女様であるルーシー様はなぜたった2人でこの危険なアルバ大森林にいらっしゃるのでしょうか?」
 ステラ様が質問してきた。そう、私はステラ様と隣にいる黒髪の少年、あさひ様を国にお連れするのが任務。

「はい、ステラ様、あさひ様ご説明させていただきます」

 私は聖女ソフィア様に神託が下りたこと、詳しい内容は王と王女、聖女様しか知らないこと。その神託に関わる事でステラ様とあさひ様を極秘で国に連れて帰るよう任務を受けたこと。わたし達は本当は5人だったが、途中ケルベロスに襲われて3人が犠牲になってしまったことを話した。

 ステラ様とあさひ様は驚かれていた。なぜなら、お二人はイーグリア王国に向かっているところだったからだ。わたしも驚いた。なぜイーグリアに向かっていたのか、その訳はステラ様は答えてくださらなかった。

「ケルベロスですか。ケルベロスはこの大森林の番犬とも呼ばれている伝説の生物です。滅多に出てくる事はありません。この大森林に対して悪意がない場合、襲って来ないと噂では聞いていますが、ケルベロスと戦闘になったのでしょうか?」
 ステラ様は不思議そうに聞く。

「い、いえ、ミケネ達が。わたしの護衛が、わたしとカレンを逃してくれました。あまりの恐怖に私はパニックになり、ひたすら逃げることしかできませんでした。3人には本当に申し訳ない事を………その後、3人の場所に戻ろうと思ったのですが、完全に迷ってしまい、見つける事が出来ず………わたし達は森を彷徨っていました………」

 私はミケネ達を思い出して涙が止まらなくなる。

「もしも、その三名の方がケルベロスに対して何もしていなければ、もしかしたらルーシー様の護衛の方達は生きているかも知れません。確証はありませんので、あくまでも可能性の話とお聞きください」

「ほ、本当ですかっ!で、ではわたしはミケネ達を探しに行かなければ!」

 わたしは僅かな希望でも嬉しかった。ミケネ達が生きているかもしれない。そう思うとここでジッとしている事はできなかった。

「お待ちください。ステラ様もカレン様も酷く衰弱された状態です。まずは食事でもしながら、今後のことをお話しましょう」

 そう言ってステラさんは食事を持ってきてくれた。私は3人のことが気になって食事どころではなかったのだが、一口食べたら


「お、お、美味しいっ!王宮の料理よりもずっとずっと美味しいです!」

 私はびっくりした。こんな美味しい料理はじめて食べた。す、凄い!な、なに、このスープ!そして、こ、このステーキ!何よこれっ!私とカレンは我を忘れて食べた。

「ステラさんの料理、本当美味しいですよねー。気持ちわかりますよ」

 少年がニコニコとこっちを見ている。

「ゴ、ゴホッ、ゴホッ」

 む、むせた。お、王族のわ、わたしが夢中になってがっついてしまった。今、わたし凄いガツガツ食べてたわっ。あさひ様が馬鹿にしたような顔でわたしを見ている。は、恥ずかしい。あさひ様はわたしとカレンを見てまだニコニコしている。カレンが我に返ったようだ。

「も、も、申し訳ありません。ワ、ワタクシとしたことが、このようなお恥ずかしいところを。あまりにもステラ様の料理が美味しいもので我を忘れてしまいましたわ」

 カレンが真っ赤になっている。そう、カレンはそんな事をするキャラじゃない。常に優雅で綺麗なお姉さん的な雰囲気。お腹が空いていたとは言え、我を忘れてしまう程美味しかったんだ。

「ご、ごめんなさい。わたしも。あまりにも美味しすぎて、おほほほほほっ」

 わたしはしたことがないような笑い方をして誤魔化してしまった。余計恥ずかしい。顔が熱い。でもまだ食べたい。

 ステラ様とあさひ様が顔を見合わせてる。

「お褒め頂きありがとうございます。まだまだたくさんありますので、ゆっくり食べてくださいね」

 ああ、ステラ様。いや、ステラお姉様!

 なんて素晴らしい方なのでしょう。絶世の美女、剣術の腕は伝説の剣士とまで言われている。子供の頃に、お父様からステラ様の話を聞いたことがある。剣の腕はもちろんのこと、物凄い美人だと。お父様は鼻の下を伸ばしていた。お母様はその鼻をキツく摘んでいた。お父様、わたしはお父様の気持ちがわかるわっ。

 その上、料理まで、こんなにお上手なんて!いや、これはお上手なんてレベルじゃない!世界最高レベルよ!

 今日からステラお姉様よ!こんな素敵な姉がわたしは欲しかったのよ。お兄様は優しいけど、ちょっと暑苦しいのよね。なんか妙に熱血だし。


 わたしはステラお姉様について行きますわっ!

 あっ、ステラお姉様がこちらを見て微笑んでらっしゃる。


 それに引換え、隣のクソガキめっ。まだニタニタ笑ってる。昨日わたしが助けてもらったのは見間違いね。眼も光ってないし。きっとステラお姉様が助けてくださったに違いない。あの時のわたしは意識が朦朧としていた。見間違えたに違いない。ムカッ、まだ笑っている。
 あさひ様?いや、今からあさひでいいわねっ。
 ちょっ、ステラお姉様に近いわっ。離れなさい、あさひ!

 い、言いたい。言いたいけど言えない。ステラお姉様の前だし、一応助けてもらった恩人。どうせ、あさひは何もしていないだろうけど。ぐっ、我慢よ。ルーシー。ここはまだ自分を出してはいけないわっ。わたしは大人の女よっ。あっ、ステラお姉様の肩にあさひの肩が触れてるじゃないの!馴れ馴れしいわっ!離れなさい、あさひ!言いたいっ!言いたいけど、言えない。
 そんな事を考えていたら、カレンはまた食べ始めている。ずるいわっ。

 わたしも頂こう。あー、なんて美味しいの、このステーキ。さすがステラお姉様ね。ス、スープもおかわりしたい。


 わたしはホッとしたのかとても幸せな気分になっていた。



 ステラ信者が一人増えた。そしてあさひは何の悪気もないのにルーシーからは敵認定されたようだ。
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