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第二章 旅立ち編

第38話  あさひの成長

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 それから3日間。俺とステラさんは順調に進んだ。

 といっても、魔物と遭遇する回数はかなり増えた。

 ダークトレント、ウォーウルフ、オーガ等がよく出現した。

 訓練の為、ほぼ俺とユヅキで倒している。
 一度ウォーウルフ50体程の群れと遭遇した。【気配感知】でこちらが先に気付いていたと思ったが、ウォーウルフもこちらに気付いていた。
 しかし、ステラさんのことを警戒してか迂闊には襲い掛かってこなかった。様子を見てくれたおかげで俺は十分な距離から準備ができた。
 火属性魔法の【ファイヤーアロー】を約20体に叩き込む。そしてすかさず【連続魔法】でさらに20体を殲滅。
 残りは剣術と体術で倒した。【回避】と【先読み】のおかげで接近戦もかなり安定して戦えるようになった。魔物は比較的単調な動きが多いので【先読み】が抜群に相性がいい。
 また、ステラさん、ユヅキとの訓練のおかげで俺の体術はかなり進化した。
 日常から闘気を身に纏うことで、闘気の扱いもかなり上達したことが大きい。

 まず体中に闘気を纏い、手や足に魔力を混ぜ込む。
 ウォーウルフの苦手属性は火属性なので闘気に火魔法を融合させる。闘気で飛躍的に上がった俺の身体能力でウォーウルフの攻撃をかわし、火拳をこめかみにぶち込む。一撃でウォーウルフを倒す事ができた。
 また、風魔法を手の闘気に融合する事で、物凄い斬れ味のある手刀になり、ウォーウルフの首を寸断する。
 闘気と魔力を融合した状態で体にオーラを纏っている状態を最近では【マジックオーラ】と呼んでいた。

 危なげなく戦闘が終了すると

『おお、ダーリンカッコいい。パチパチパチ』

「あさひ様、お見事です。よくぞここまでお強くなられました」

 と美女2人から称賛されて、気分が良くなる俺であった。

 倒したウォーウルフは全てストレージにしまう。
【ファイヤーアロー】の消火も忘れない。火事になったら大変だからね。

「それにしても、あさひ様のストレージは本当に便利ですね。本来マジックバッグを持っているだけでも、かなり貴重で重宝されるのですが、それ以上です」

「はい。創造神様のお陰です」

 そうなのだ。このストレージは本当に便利だ。マジックバッグは入口よりも大きな物が入らない。だから魔物を入れる場合も一度解体して、入る大きさにしなければならない。しかしこのストレージは大きさ問わず入れることができる。しかも、大きな魔物を持ち上げて運んだりする必要もなく、亜空間の入口を近付けるだけで、スッと消えて収納されてしまう。

 以前、一度実験で瀕死の魔物を入れようとしてみたが入らなかった。生命のあるものは入らないようだ。

 こんな魔物がたくさん出る場所でのんびり解体とかしたくないので、倒した魔物は全てストレージに収納するようにしている。

 しかし、異世界転移したのがこ辺りだったら俺は初日に死んでたと思う。一年間しっかりと修行させてもらえた事は本当に感謝だ。
 もちろん感謝の気持ちも忘れない俺である。

 ちなみにユヅキはやはり剣術が得意なので剣術を好んで使う。

 俺は体術を好んで使う。体術はどうやら俺に合うみたいだ。防御力を上げたい時は体中の闘気に土属性を融合させて体を守る。そこらの鎧を装備するよりもずっと高い防御力になる。【マジックオーラ】が万能過ぎる。
 何よりも両手が自由に使える状態なので接近戦をしながら、臨機応変に魔法で遠距離の敵も攻撃できる。
 かなり気に入ってる。それも全て防御の技術が上がり、安定して接近戦が行えるようになったからである。


 初めてステラさんと出会った日に、
「一番近くの町はここからはかなり遠いです。徒歩で森を抜けるのに30日、そこから街道に出るまで5日、街道に出てからさらに20日ほど歩けば町に行けるでしょう」

 と聞いていたが、このペースならあと5日程で森を抜けられそうとのことだ。

 今日も日が暮れてきたので、野営の準備をする。

 4日目にもなれば俺もだいぶ慣れてきた。
 慣れないのはテントでのステラさんとの添い寝だけだ。慣れる訳がない。

 む、むしろ、日に日にドキドキが増していく。なぜなら、ステラさんはとても綺麗で、かわいくて、優しくて……こんなの慣れることできる男いるのか?

『いや、いない』

 ユヅキは即答してくれる。

 だよな。だよな。漫画やアニメの鈍感系の主人公は何も気付かないみたいだが、俺は分かるんだよ。ステラさんも何かソワソワしてるのが。

 ただ、俺には肉体を即寝かすという、のび○君にも負けない特技がある。このお陰で耐えられてるようなものだ。ありがとう【即寝】スキル。耐えてることがいい事なのかはわからんが。

 ご主人様に忠誠を誓うステラさん。その思いは俺の想像以上だろう。もし俺と何かが起こってしまえば……きっとステラさんは自分自身を責めて自分を許せなくなってしまうのでは……そして俺の元からも離れてしまうのではないか……

 そんな事は絶対嫌だ。だから俺はステラさんには紳士に対応する。一時の感情で間違いを起こして後悔はしたくないのだ。

 そして、今日も狭いテントでステラさんの横で寝る。時々ステラさんの体に触れてしまい、さらにドキドキする。こんな時に限って完全記憶師匠はステラさんの裸を思い出させてくる。全くもって悪い師匠だ。

 そして俺は今日も【即寝】スキルを発動する。

 それから1時間ぐらい経った頃だろうか。

 事件は起きる。

【気配感知】に反応がある。俺はすぐに起きる。ステラさんもほぼ同時に体を起こす。

「ステラさん、誰かが魔物に囲まれています!」

「はい。私も感知しました!あさひ様どうしますか?」

「かなり生命力も弱っているみたいなので助けましょう!」

 俺は迷わず答えたが、よく考えたら、その人が良い人か悪い人かもわからない。変に関わってこちらに危険が及ぶとも限らない。ここは平和な日本では無いということを俺は忘れていた。いや、迷うな。まずは行かなくては。ここで見て見ぬ振りをしたら俺は今後ずっとそういう生き方をする。異世界に来たけど、日本人としての感覚も忘れたくはなかった。

『ダーリンのそういうところ良いと思うよ♪』

 ユヅキは俺の考えを肯定してくれた。

 俺達は戦闘が行われているであろう場所へ【隠形】スキルを使いながら移動する。

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