創造眼〜異世界転移で神の目を授かり無双する。勇者は神眼、魔王は魔眼だと?強くなる為に努力は必須のようだ〜

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第二章 旅立ち編

第37話  旅立ち

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 異世界転移から約一年。

 俺達はステラさんのご主人様である第五魔王アレク様を探す為、アルバ大森林にあるステラさんの拠点を出発した。

 目的地はイーグリア王国。

 なぜイーグリア王国を目指すのかって?

 アレク様を探す宛をステラさんに聞いたところ、イーグリア王国に向かいたいとのことだった。
 全ての事情はその国に着いてからお話します、とのこと。
 俺もユヅキもそれ以上は聞かなかった。そもそもこの世界の事情にかなり疎いし、俺達には元々行く宛てもなかったからだ。

 イーグリア王国は大陸中央にある魔人族領土の東にある小国。

 北はバーディランド帝国、東はトリスタニア王国、西は魔人族領土、南は獣人国、ドワーフ国、様々な国に囲まれている。
 また、この国には迷宮もあるらしい。

 アルバ大森林を抜けてトリスタニア王国を通過してイーグリア王国に行けるようだ。

 とにかく、俺はあまり難しいことは考えなかった。ステラさんを信用しているからね。


 俺達は今、初日の野営をする為に準備をしている。
 このぐらいの距離なら【テレポート】で家に戻って寝て、この場所に魔法陣を設置して明日また【テレポート】でまたここに来てもいいのだけど、

「あさひ様が野営になれる必要があるので比較的安全なこの辺りで野営の練習をした方が良いでしょう」
 とステラさんが提案した。

 まずステラさんと一緒にテントを張る。その外側を俺の土魔法、アースウォールで囲った。厚み50㎝ぐらいのかなりの厚い土壁で高さ3メートルぐらいまで、テントをすっぽり覆った。もちろん焚火をしたり、食事をする為のスペースは確保してある。
 魔力はだいぶ使うが魔力量が増え【魔力自然回復】のレベルがかなり上がってきた俺には何の問題もなかった。

 「今日はこんなに頑丈にしなくても大丈夫ですよ」
 ステラさんに言われたが俺は頑張った。なぜなら、怖いからね。深夜にいきなり襲われるなんて嫌だ。

『あさひはビビリだからね』

 なんてユヅキに言われたが、これはステラさんとユヅキを守る為なんだ。俺が怖いからじゃないと言い張った。まあ、俺が怖いからだけど。それにユヅキにはバレてるけど。

 家を出てから俺達はかなり早いペースで森を駆け抜けた。といってもステラさんはもっと速く行けるが、俺に合わせてくれた。この辺りまでは魔物が少なく弱い地域らしく、今日は魔物に襲われることはなかった。まあ、弱い魔物はステラさんを見たらほとんど逃げちゃうんだけどね。魔物は見かける事はあったが素通りした。

「あさひ様、今日一日お疲れ様でした。今日までは魔物の少ない地域でしたが、明日からは魔物が多くなります。私が見張りをしますので、食事をしたら先にゆっくりお休みください」

「はい。わかりました。交代で野営をしましょう」

 俺は肉体を休ませても【ルーム】内で精神が起きてれば【創造眼】と【気配感知】で周囲の状況を感じ取れる。それはユヅキも同じだ。
 旅の間、俺とユヅキは肉体を休ませてる時もどちらかの精神が起きて周りの状況を感知しようと話をした。俺とユヅキは交代で精神を休ませることにした。

「あさひ様、承知致しました。交代の時間になりましたら起こしますのでよろしくお願いします。とりあえず食事にしましょう」

 焚火の周りで俺とステラさんは食事をする。食事は事前にステラさんが全て準備してくれている。ストレージから机、椅子を取出し、火を眺めながら食事をした。

 外でもステラさんの美味しい食事が食べられるのはありがたい。

 流石にお風呂に入る事はできない。

「ステラさん、クリーンかけますね」

 俺はステラさんにも清浄魔法(クリーン)をかけた。

「クリーンは本当に助かりますね。スッキリします。清潔にして休むと体の疲れも全然違いますからね」

 ステラさんは俺のクリーンをいつも喜んでくれる。

 覚えて良かったクリーン。
 そういえば、ユヅキも頻繁にクリーンを使うな。む、もしや俺の体臭が気になるのか……

『違うわよっ。清潔な方が好きなだけ。服とかすぐに汚れるでしょ!あさひの体臭は好きよ♡』

 む、そうか。なら良かった。ユヅキは嬉しいことを言ってくれる。

 食後、俺は先に休ませてもらう為テントに入る。

 ふう。なんとか一日終わったな。

 でも俺とユヅキで見張りはできるから、ステラさんに言って一緒にテントで休んでもらった方がいいんじゃないかと考える。
『そうね。その方がいいよね!ステラさん呼びましょ』

 俺達はステラさんを呼んでテントに来てもらった。

「ステラさん、見張りのことなんですけど、俺とユヅキは肉体を休ませても、【創造眼】と【気配感知】で周りの状況が分かるので、ステラさんも一緒にテントで休みませんか?」

「えっ、そんなことができるんですか?」

「はい、このテントの中にいても大丈夫です」

(そういうことだから、ステラさんも一緒に休みましょう♪)

「いや、しかし、、、」

「大丈夫ですよ」

「はい、わかりました。で、ではお言葉に甘えて私も一緒に休ませてもらいます」


「で、ではあさひ様失礼します」
 そう言ってステラさんは俺の隣に来て、横になる。

 あっ、そうか。一緒に休むという事はこの狭いテントの中で一緒に俺とステラさんが隣同士で寝るという事なのか。

 やばい。ステラさんとこんなに近くで一緒に寝るなんて、初めてでドキドキするぞ。俺はチラッとステラさんの方を見る。

 するとステラさんもチラッとこちらを向いて慌てて向こう側を向く。

 なんか気まずいな、でもこういう事も長い旅で慣れていかないといけないな。
 よ、よし。体を休ませよう。俺が【ルーム】に行こうとしたその時……

 突然、ステラさんがぐるっとこちらを向く。

「あ、あ、あ、あの、あさひ様。寝ながら気配感知できるというのは、その、物音とかこ、声も聞こえるということでしょうか?」

「はい。視界は無くなりますが、音とか気配は起きている時と同じように分かりますので安心してください」

「そ、そ、そ、そうなのですか。それは、す、す、素晴らしい能力で、で、ですねっ」

 ん?どうしたんだ?ステラさん。なんかやけに挙動不審だぞ。顔も赤い……

『あっ、もしかして!ステラさん……あの、深夜の声気にしてるんじゃ……もしかして聞かれてたと勘づいたんじゃ……』

 ユヅキが確信をついた。
 こ、これは知らない振りをしよう。ステラさんに申し訳ない。

「あ、あの。あさひ様。今までお部屋で寝てらっしゃる時もお、お、同じ状態だったのでしょうか?」

「い、いえ。部屋で寝てる時は安全だったので、そんな事してませんよ。毎日熟睡させてもらってました。あははっ」
 俺はなんとなく誤魔化した。

「そ、そうでしたか。そうですよね。お部屋で寝る時はゆっくり休んだ方がいいです。はい、これからも安全な場所ではゆっくり、ゆっくりお休みください」

 ステラさんが少しホッとした顔をしている。
 良かった。よし、この状態はお互い良くない。俺は体を休ませよう。

「はい。ありがとうございます。では俺は寝ますね。明日もよろしくお願いします」

「はい。こちらこそよろしくお願いします」

 この後、俺とユヅキは交代で見張りをしながら休んだ。精神は肉体の半分ぐらい休めれば十分なので、余裕があった。

 こうして初めての野営は無事終了した。
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