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第一章 アルバ大森林での修行編
第11話 ステラの想い
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ステラ視点
私の名前はステラ。
アルバ大森林のあの拠点でご主人様の帰りを待ち続けて二十数年になる。
誰もいないあの拠点で、いつ戻るかわからないご主人様を必ず帰ってくると信じて、ただひたすら待つ日々。いえ、ご主人様は必ず帰って来てくださる。
昨日もそんないつもと変わらない日々が続くと思っていた。
ところが突然ある一人の少年が現れた。
あさひと名乗る少年は【創造眼】と創造神様の【加護】を持っているが記憶はないらしい。
分からない事はたくさんある。
なぜこの森の奥深くに突然現れたのか。
そして、創造神様と呼ばれる神を私は聞いたことがない。
しかし、全ての神々を知ることなんて、ちっぽけな我々には無理というものだ。
あさひと名乗るその少年から悪意は感じられず、誠実さを感じた。
本来私がこの拠点に誰かの滞在を許可する権利などない。何故ならこの拠点はご主人様のものであるから。
私が拒否すれば間違いなくこの少年は死ぬだろう。仮に死んだとしても私には関係無いことだ。
しかし、私は悩んだ。
私はこの少年を死なせてはいけない気がした。私は自分の直感に従った。
この少年が森を抜ける力を付け、せめて安全な町まで行けるようお世話をしようと。
この少年は酷く疲れていたようで、朝まで全く起きなかった。
私は約二十年振りに誰かの為の食事を作った。
少年は美味しい美味しいと言って喜んで食べてくれた。
とても嬉しかった。
魔人族の私にとって二十年なんてとても短いものだ。しかし、私は寂しかったのだ。
久しぶりにメイド服を着た。この服を着てご主人様のお世話をさせていただくのが、私の最大の喜びだった。
あさひ様は私のメイド服姿を褒めてくれた。
心が踊ってしまう私がいて、恥ずかしかった。
そして、二十数年振りに笑った。
誰かに褒めてもらったのはいつぶりだろう。ご主人様は、よく褒めてくださった。賑やかな方だった。あの幸せな日々を思い出す。
あさひ様が私の凍っていた心を溶かしていく。
そして、私はあさひ様に剣術を教えることにした。
そういえばあさひ様は同じ服を着たままだ。
もう一つある隠し拠点にもしもの時の為に私が用意してあったご主人様用の服がある。朝から出れば一日で戻って来れることでしょう。
私一人では食事などなんでも良かったが、あさひ様には美味しい物を作って上げたい。少し魔物も狩って帰ろう。
あっ、武器や防具も使わなくなってた物がありましたね。くすくすっ、あさひ様に似合うでしょうか。
あさひ様にどのような方法で剣術を教えましょう。【創造眼】と耐性以外は確か、体術しかありませんでしたね。
ああ、でしたら剣術と体術、両方教えて差し上げましょう。きっと訓練の後に、あさひ様はクタクタになっているでしょうね。またお腹が鳴ってしまうかもしれませんね。くすくすっ。
しばらく訓練をしてから、実戦で魔物を倒した方が良さそうですね。凶暴な魔物に出会ったら、あさひ様は怖がって震えてしまうかもしれませんね。くすくすっ。
明日から忙しくなりそうです。
時々くすくす笑いながら、目にも止まらぬ速さで森を駆け抜けていく銀髪の絶世の美女ステラであった。
私の名前はステラ。
アルバ大森林のあの拠点でご主人様の帰りを待ち続けて二十数年になる。
誰もいないあの拠点で、いつ戻るかわからないご主人様を必ず帰ってくると信じて、ただひたすら待つ日々。いえ、ご主人様は必ず帰って来てくださる。
昨日もそんないつもと変わらない日々が続くと思っていた。
ところが突然ある一人の少年が現れた。
あさひと名乗る少年は【創造眼】と創造神様の【加護】を持っているが記憶はないらしい。
分からない事はたくさんある。
なぜこの森の奥深くに突然現れたのか。
そして、創造神様と呼ばれる神を私は聞いたことがない。
しかし、全ての神々を知ることなんて、ちっぽけな我々には無理というものだ。
あさひと名乗るその少年から悪意は感じられず、誠実さを感じた。
本来私がこの拠点に誰かの滞在を許可する権利などない。何故ならこの拠点はご主人様のものであるから。
私が拒否すれば間違いなくこの少年は死ぬだろう。仮に死んだとしても私には関係無いことだ。
しかし、私は悩んだ。
私はこの少年を死なせてはいけない気がした。私は自分の直感に従った。
この少年が森を抜ける力を付け、せめて安全な町まで行けるようお世話をしようと。
この少年は酷く疲れていたようで、朝まで全く起きなかった。
私は約二十年振りに誰かの為の食事を作った。
少年は美味しい美味しいと言って喜んで食べてくれた。
とても嬉しかった。
魔人族の私にとって二十年なんてとても短いものだ。しかし、私は寂しかったのだ。
久しぶりにメイド服を着た。この服を着てご主人様のお世話をさせていただくのが、私の最大の喜びだった。
あさひ様は私のメイド服姿を褒めてくれた。
心が踊ってしまう私がいて、恥ずかしかった。
そして、二十数年振りに笑った。
誰かに褒めてもらったのはいつぶりだろう。ご主人様は、よく褒めてくださった。賑やかな方だった。あの幸せな日々を思い出す。
あさひ様が私の凍っていた心を溶かしていく。
そして、私はあさひ様に剣術を教えることにした。
そういえばあさひ様は同じ服を着たままだ。
もう一つある隠し拠点にもしもの時の為に私が用意してあったご主人様用の服がある。朝から出れば一日で戻って来れることでしょう。
私一人では食事などなんでも良かったが、あさひ様には美味しい物を作って上げたい。少し魔物も狩って帰ろう。
あっ、武器や防具も使わなくなってた物がありましたね。くすくすっ、あさひ様に似合うでしょうか。
あさひ様にどのような方法で剣術を教えましょう。【創造眼】と耐性以外は確か、体術しかありませんでしたね。
ああ、でしたら剣術と体術、両方教えて差し上げましょう。きっと訓練の後に、あさひ様はクタクタになっているでしょうね。またお腹が鳴ってしまうかもしれませんね。くすくすっ。
しばらく訓練をしてから、実戦で魔物を倒した方が良さそうですね。凶暴な魔物に出会ったら、あさひ様は怖がって震えてしまうかもしれませんね。くすくすっ。
明日から忙しくなりそうです。
時々くすくす笑いながら、目にも止まらぬ速さで森を駆け抜けていく銀髪の絶世の美女ステラであった。
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