GO CRITICAL

久守 龍司

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15.プール

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「ギャルちゃん泳ぐ時もその化粧なの?」
「泳げないから浮き輪で浮かんでるだけだし、うん」
四人はプールに来ていた。地雷ちゃんは突っ込んでいるが、自分もそれなりに濃い化粧をしている。

「そして巫女くんは水着も巫女という」
「ネットでいいのが売ってたね。ああアイデンディティ」
巫女くんの水着は腕に飾りが付いており、白と緋の配色は巫女を想起させるものだった。好きなんだろうとなんとなく察する。

「室内でウォータースライダー付きのところとか中々ないから、早速乗りに行こうよ」
「これ、紐を引っ張るな。脱げたら公然わいせつ罪になる」
「滑って頭を打ったら大変だから、落ち着いて」
ギャルちゃんが巫女の肩紐を引っ張ってスライダーの方へ連れて行こうとする。巫女くんは慌てて押し留め、お嬢は二人とも落ち着かせようとしていた。

さて、件のウォータースライダーは、夏休みで人が多く混み合っていた。階段の上に乗れる場所があり、その階段の上から下まで人が並んでいる。

「二人乗りの浮き輪に乗って滑る長いコースの方と、一人で浮き輪に乗らずに滑る短いコースの方がある。どっちに乗ろうか」
「四人で来てるし、二手に分かれて乗ろうよ。どうする?」
「メイクしてる組としてない組でどうでしょう。着水の時に気を使っちゃうよ」
「巫女お嬢と、地雷ギャルね?」
「地雷ギャル」
連結したような形の二人乗り浮き輪がレンタルでき、積み重ねてあった。一つずつ取って、列の最後尾に並ぶ。浮き輪がかさばるからか、それとも二人いっぺんに乗るため回転率が速いのか、列は思ったよりすぐに進む。

頂上まで辿り着くと、スライダーの乗り口が見えた。その青いチューブが見えただけでギャルちゃんはきゃあきゃあと騒ぎ、他三人は「若さか……」と微笑ましく見る。

先に乗るのは地雷ギャルの二人。いつも通りやや冷め気味の地雷ちゃんに対し、ギャルちゃんはハイテンションである。吸い込まれるようにして悲鳴が遠ざかっていく。

巫女くんは浮き輪の前側に座った。派手に着水したいからという理由である。プールの水の匂いと薄暗さが心地いい。

「お嬢、どうよ!」
「爽快感があって楽しいかも」
浮き輪が滑り出し、カーブに沿って左右に揺れる。回転、落下、急カーブ。存分に堪能した後に着水。予想はしていたが顔に水が結構かかった。ということは。

「…………」
着水用のプールから上がると、少し離れたところに悲惨な状態の地雷ギャルの二人が立っていて、巫女くんとお嬢は思わず笑ってしまった。

「ウォータープルーフのコスメって聞いてたんだけど」
「直してくる」
落としてくる、ではなく直してくる。待つ間にもウォータースライダーに何回か乗っていたが、一向に飽きが来ない。

ウォータースライダー専門のプール施設があったらなかなか受けるんじゃないか、などと考えてみるなどした。
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