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第二十五章 交換条件

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「『追想』の旋律は基本的には『真実』しか伝えないですが……奏者の想いの強さ如何で、その『真実』を作り変えてしまうこともあります。

ミクは、あの時……本当にこの国、バリーニャを憎んでいた。

だから、自分の中で作り変えてしまった記憶をそのまま、笛の音で伝えてしまったのだと思います」

 「そんな…あり得ない……」

 「だから…」


 反論するデュークの声を、ウィリアムの凛とした声が遮りました。


 「どうか、ミクを追い詰めようとするのはやめて下さい。

ミクはこの国で、非常にツラい想いをして……レジットに渡った後も、不幸の連続で。

やっと、自分のことを心から愛してくれる人に出会えて、人並みの幸せを手にしたのです。

だから、もう追求するのはやめて…そっとしておいてやって下さい。

これは、他の誰でもない、ミクのクラスメイトとしての……『友人』としての、お願いです」


そう言って深々と頭を下げたウィリアムに、デュークは何も言えなくなりました。 
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