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エリュディオンのひまつぶし
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空飛ぶ絨毯をふわりと浮かせ、雲海に向けて飛び立ったリディアたち。その横には、ひとり遊びに飽きたと突撃してきたエリュディオンが優雅に並走している。漆黒の髪が風に揺れ、気まぐれな微笑みを浮かべながらリディアを見下ろしてくる。
「それで、どこに向かうつもりなんだ?」
エリュディオンが軽く腕を組み、余裕たっぷりの態度で尋ねる。
「うーん、まだ決めてないけど、新しい浮島を探すんだ!」
リディアは鼻歌混じりに答え、魔法の地図を広げる。地図はくるりと巻き戻り、矢印を浮かび上がらせて目指す先を示した。
「おお、いいじゃないか。退屈しのぎにはちょうどよさそうだ。」
エリュディオンはひらりと宙で一回転し、絨毯の周囲を悠々と飛び回りながら付いてくる。
メリーちゃんは「メェ!」と元気よく鳴いて毛をふわふわさせ、タフィーちゃんも絨毯の端で「ぷるぷるん!」と弾んでいる。リディアは楽しそうな二人を見て、改めて冒険心を膨らませた。
雲海の上を進むうち、地平線の先にちらりと見えたのは、白と金色の光を反射する美しい浮島だった。その輝きに引き寄せられるように、リディアたちは浮島に向けて絨毯の速度を上げた。
島に降り立つと、目の前には滑らかな大理石の地面が広がり、点々と配された噴水から水が煌めきながら溢れ出している。島の中央には壮大なアーチ型の橋が掛かり、その奥に続く階段の上には謎めいた彫刻が立っていた。
「なんだか、ここ……すごく立派な場所だね!」
リディアは目を輝かせながら噴水に近づき、手を水に差し入れて冷たさを感じ取る。
「ん? この彫刻、ただの飾りじゃなさそうだな。」
エリュディオンが軽く宙に浮きながら彫刻を指差した。その彫刻は、まるで古代の守護者を模したかのような姿で、不思議な輝きを放っている。
「どうする? 触ってみる?」
リディアは興味津々でエリュディオンを見上げた。
「ふむ、試してみるのも悪くないな。ただし、何か出てきても私は責任を取らんぞ?」
エリュディオンは肩をすくめてにやりと笑う。その軽薄な態度にリディアは少し呆れつつも、好奇心に勝てず彫刻へと近づいていった。
リディアは彫刻の足元にそっと手を触れた。ひんやりとした感触が伝わってくる。彫刻の表面には、細かな文字のようなものが刻まれているが、見慣れない模様だ。
「これ、読めそう?」
リディアは上を向いてエリュディオンに尋ねた。
彼は軽く眉を上げて彫刻に近づき、模様を一瞥した。
「ふん、これは古代語の一種だな。“試練を乗り越えし者、真実の輝きに至る”と書いてある。」
「試練……? なんだかワクワクしてきた!」
リディアはその言葉にすっかり興奮してしまい、彫刻の模様をさらに触りながら周囲を見回す。
すると、彫刻がほのかな光を放ち始め、足元の大理石の床に模様が浮かび上がった。それは、島全体に広がる複雑な幾何学模様のようで、少しずつ光が線を描きながら広がっていく。
「おい、何かが動き出したぞ。」
エリュディオンが少し後ろに下がり、興味深げに島の様子を見つめた。
「すごい……何が起きるの?」
リディアは光に導かれるように足を進め、階段の上へと向かった。タフィーちゃんとメリーちゃんも後ろからついてくる。タフィーちゃんは「ぷるぷるん!」と興奮気味に弾み、メリーちゃんも「メェ!」と声を上げてリディアに続く。
階段を登り切ると、大きな円形の広場が現れた。中央には透明な水晶の玉が浮かび、まるで命を宿しているかのように脈打っている。
「この水晶……ただの飾りじゃなさそうだね。」
リディアはそっと近づき、水晶の表面に指先を触れた。
その瞬間、水晶の中から柔らかな光が溢れ出し、空中に映像が浮かび上がった。そこには、美しい森や輝く星空、そして壮大な山々の景色が映し出されている。
「なんだこれ……? ただの景色?」
リディアが呟くと、エリュディオンが肩越しに映像を覗き込んだ。
「いや、これは記憶の映像だろう。恐らく、この島がかつて見ていた世界の断片だ。」
彼の声には珍しく真剣さが含まれていた。
「島が見ていた世界……?」
リディアは首を傾げたが、その言葉の響きに不思議なロマンを感じた。
「で、どうする? この試練とやらを本気で受けるつもりか?」
エリュディオンがニヤリと笑い、リディアを挑発するように言った。
「もちろん! こんな面白そうなもの、逃すわけにはいかないよ!」
リディアは自信たっぷりに胸を張り、水晶の前に立つと明るく宣言した。
その言葉に反応したのか、広場の光がさらに強くなり、足元の模様が再び動き始めた。次の瞬間、リディアたちの周囲に光の壁が現れ、景色が一変した。
「えっ、ここって……どこ?」
リディアが驚きながら辺りを見回すと、目の前には大きな迷路のような空間が広がっていた。大理石の壁が行く手を阻み、その上にはキラキラと輝く宝石のような光が浮かんでいる。
「迷路、か……面白くなってきたじゃないか。」
エリュディオンは薄く笑い、リディアの横に並んだ。
「みんな、準備はいい? 行こう!」
リディアは振り返り、メリーちゃんとタフィーちゃんに声をかける。二人(と一人)は頷き、光の迷路に足を踏み入れた。
「それで、どこに向かうつもりなんだ?」
エリュディオンが軽く腕を組み、余裕たっぷりの態度で尋ねる。
「うーん、まだ決めてないけど、新しい浮島を探すんだ!」
リディアは鼻歌混じりに答え、魔法の地図を広げる。地図はくるりと巻き戻り、矢印を浮かび上がらせて目指す先を示した。
「おお、いいじゃないか。退屈しのぎにはちょうどよさそうだ。」
エリュディオンはひらりと宙で一回転し、絨毯の周囲を悠々と飛び回りながら付いてくる。
メリーちゃんは「メェ!」と元気よく鳴いて毛をふわふわさせ、タフィーちゃんも絨毯の端で「ぷるぷるん!」と弾んでいる。リディアは楽しそうな二人を見て、改めて冒険心を膨らませた。
雲海の上を進むうち、地平線の先にちらりと見えたのは、白と金色の光を反射する美しい浮島だった。その輝きに引き寄せられるように、リディアたちは浮島に向けて絨毯の速度を上げた。
島に降り立つと、目の前には滑らかな大理石の地面が広がり、点々と配された噴水から水が煌めきながら溢れ出している。島の中央には壮大なアーチ型の橋が掛かり、その奥に続く階段の上には謎めいた彫刻が立っていた。
「なんだか、ここ……すごく立派な場所だね!」
リディアは目を輝かせながら噴水に近づき、手を水に差し入れて冷たさを感じ取る。
「ん? この彫刻、ただの飾りじゃなさそうだな。」
エリュディオンが軽く宙に浮きながら彫刻を指差した。その彫刻は、まるで古代の守護者を模したかのような姿で、不思議な輝きを放っている。
「どうする? 触ってみる?」
リディアは興味津々でエリュディオンを見上げた。
「ふむ、試してみるのも悪くないな。ただし、何か出てきても私は責任を取らんぞ?」
エリュディオンは肩をすくめてにやりと笑う。その軽薄な態度にリディアは少し呆れつつも、好奇心に勝てず彫刻へと近づいていった。
リディアは彫刻の足元にそっと手を触れた。ひんやりとした感触が伝わってくる。彫刻の表面には、細かな文字のようなものが刻まれているが、見慣れない模様だ。
「これ、読めそう?」
リディアは上を向いてエリュディオンに尋ねた。
彼は軽く眉を上げて彫刻に近づき、模様を一瞥した。
「ふん、これは古代語の一種だな。“試練を乗り越えし者、真実の輝きに至る”と書いてある。」
「試練……? なんだかワクワクしてきた!」
リディアはその言葉にすっかり興奮してしまい、彫刻の模様をさらに触りながら周囲を見回す。
すると、彫刻がほのかな光を放ち始め、足元の大理石の床に模様が浮かび上がった。それは、島全体に広がる複雑な幾何学模様のようで、少しずつ光が線を描きながら広がっていく。
「おい、何かが動き出したぞ。」
エリュディオンが少し後ろに下がり、興味深げに島の様子を見つめた。
「すごい……何が起きるの?」
リディアは光に導かれるように足を進め、階段の上へと向かった。タフィーちゃんとメリーちゃんも後ろからついてくる。タフィーちゃんは「ぷるぷるん!」と興奮気味に弾み、メリーちゃんも「メェ!」と声を上げてリディアに続く。
階段を登り切ると、大きな円形の広場が現れた。中央には透明な水晶の玉が浮かび、まるで命を宿しているかのように脈打っている。
「この水晶……ただの飾りじゃなさそうだね。」
リディアはそっと近づき、水晶の表面に指先を触れた。
その瞬間、水晶の中から柔らかな光が溢れ出し、空中に映像が浮かび上がった。そこには、美しい森や輝く星空、そして壮大な山々の景色が映し出されている。
「なんだこれ……? ただの景色?」
リディアが呟くと、エリュディオンが肩越しに映像を覗き込んだ。
「いや、これは記憶の映像だろう。恐らく、この島がかつて見ていた世界の断片だ。」
彼の声には珍しく真剣さが含まれていた。
「島が見ていた世界……?」
リディアは首を傾げたが、その言葉の響きに不思議なロマンを感じた。
「で、どうする? この試練とやらを本気で受けるつもりか?」
エリュディオンがニヤリと笑い、リディアを挑発するように言った。
「もちろん! こんな面白そうなもの、逃すわけにはいかないよ!」
リディアは自信たっぷりに胸を張り、水晶の前に立つと明るく宣言した。
その言葉に反応したのか、広場の光がさらに強くなり、足元の模様が再び動き始めた。次の瞬間、リディアたちの周囲に光の壁が現れ、景色が一変した。
「えっ、ここって……どこ?」
リディアが驚きながら辺りを見回すと、目の前には大きな迷路のような空間が広がっていた。大理石の壁が行く手を阻み、その上にはキラキラと輝く宝石のような光が浮かんでいる。
「迷路、か……面白くなってきたじゃないか。」
エリュディオンは薄く笑い、リディアの横に並んだ。
「みんな、準備はいい? 行こう!」
リディアは振り返り、メリーちゃんとタフィーちゃんに声をかける。二人(と一人)は頷き、光の迷路に足を踏み入れた。
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