脱走聖女は異世界で羽をのばす

ねむたん

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猫の集会所

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秘密基地に戻ったリディアは、さっそくキッチンに青い花とレシピを並べた。木製のテーブルには、メリーちゃんが次々と取り出してくれたポーションの材料も整然と並んでいる。キッチンの棚には、リディアお気に入りの道具が揃っていた。

「よし、まずは青い花を煮出すところからだね!」
リディアは気合を入れて、レシピを読みながら準備を始めた。青い花をそっと湯に浸すと、花びらがゆっくりと開き、淡い光を放ちながら色がにじみ出していく。

「わあ、きれい……こんな風になるなんて!」
彼女は感動しつつ、次の工程に進むために手を動かし続けた。慎重に花を取り出し、その抽出液を透明な瓶に移し替える。続いて、他の材料――森で採集したハーブや特製エキスを加え、丁寧にかき混ぜていく。

メリーちゃんはキッチンの隅でふわふわの毛を揺らしながら、リディアの動きを見守っていた。一方、タフィーちゃんはテーブルの端でぷるぷると体を揺らし、時折甘い香りを漂わせながら楽しげに跳ねている。

「次は温度を調整して……少しだけ冷ましたら完成かな!」
リディアはレシピに書かれた指示通りに作業を進め、最後に青紫色の液体をガラス瓶に注いだ。その液体は微かに光を帯び、まるで夜空の星を閉じ込めたような美しさだった。

「できた! これがまたたびポーション……!」
リディアは完成したポーションを手に取り、じっくりと眺めた。その鮮やかな色合いに、彼女は胸が高鳴るのを感じた。

「でも、本当にこれが効くのかな?」
小さくつぶやくと、メリーちゃんが「メェ!」と自信たっぷりに鳴いた。リディアは笑顔を浮かべ、タフィーちゃんにもポーションの瓶を見せる。

「試す機会はきっとギルドに行ったらすぐあるよね。効果が楽しみ!」
秘密基地の中で試しようのない状況に少し物足りなさを感じつつも、リディアは完成したポーションを丁寧に収納した。

「よし、明日はこれを持ってギルドへ行こう。依頼主さんがどんな反応するか楽しみだな!」
リディアはテーブルを片付けながら、小さな冒険を達成した満足感で胸を膨らませていた。


翌朝、リディアは完成したまたたびポーションを手に冒険者ギルドへ向かった。ギルドの受付には、依頼主の錬金術師が待っていた。歳若いが少し影のある雰囲気の青年で、控えめに微笑みながらリディアを迎えた。

「完成したのですね。ありがとうございます。このポーション、ぜひ猫の集会所で試してみましょう。」

「猫の集会所? そんな場所があるんですか?」
リディアは目を輝かせた。猫好きのリディアにとって、それは思わず胸が高鳴る響きだった。

錬金術師は頷きながら地図を広げ、指先で小さな森の中の場所を指した。
「ええ。森の奥に猫たちが自然と集まる場所があるんです。静かで安全な場所なので、彼らもリラックスして過ごしています。ポーションの効果を試すにはぴったりでしょう。」

「わあ、楽しみ! さっそく行きましょう!」
リディアの弾けるような声に、メリーちゃんが「メェ!」と鳴き、タフィーちゃんも体をぷるんと揺らして応えた。

森の中は静かで、木漏れ日が差し込むたびに草の葉が輝いていた。錬金術師が先導し、リディアたちは道を進んでいく。やがて木々が少し開けた場所にたどり着いた。

「ここです。」
錬金術師が指差した先には、小さな岩場や木の根元でくつろぐ猫たちの姿があった。黒、白、茶色――さまざまな毛色の猫たちがのんびりと過ごしている。

「わあ、たくさんいる!」
リディアは興奮を抑えきれず、そっと近づいた。猫たちは最初、彼女たちに警戒するような目を向けたが、錬金術師が持参していた小さなポーションの瓶を取り出すと、次第に興味を示し始めた。

「リディアさん、あなたが作ったポーションを試してみてください。」
錬金術師の言葉に、リディアは瓶をそっと取り出し、地面に数滴垂らした。淡い光を放つ液体が落ちると、ふわりと甘い香りが広がった。

「ニャー!」
一匹の茶トラ猫が真っ先に駆け寄り、地面をクンクンと嗅ぎ始めた。それを見たほかの猫たちも次々と集まり、リディアの周りに円を作るように群がってきた。

「すごい……本当に効いてる!」
リディアは驚きと感動で胸がいっぱいになった。猫たちはまるでポーションに酔ったかのようにリラックスし、時にはリディアの膝に乗ったり、足元にすり寄ったりして甘えてきた。

「ねこまみれだ……!」
リディアは笑顔を浮かべ、メリーちゃんも猫たちに囲まれて「メェ!」と嬉しそうに鳴いている。タフィーちゃんはチョコレート色の体をぷるぷると揺らし、猫たちが好奇心から鼻先を近づけてくるのを楽しそうに受け入れていた。

錬金術師は静かにその光景を見つめ、満足げに頷いた。
「さすがですね。完璧なポーションです。これで私も幸せになれます。ありがとうございます、リディアさん。」

「こちらこそ! こんな素敵な経験ができるなんて思わなかったです!」

猫たちの集会所でのひとときは、リディアにとって忘れられない思い出となった。彼女の心には、またたびポーションがもたらした奇跡と、猫たちの柔らかなぬくもりがしっかりと刻まれていた。
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