魔力無しの黒色持ちの私だけど、(色んな意味で)きっちりお返しさせていただきます。

みん

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16 ★妖の路★

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*3尾のキクカ視点*


私─菊花キクカ─には、可愛い妹のような存在の双子の狐が居た。白狐シロ黒狐クロ
まだ、人々が神々を信じ、神々に強い願いを届ける事ができていた頃だ。シロとクロの主は勿論の事、私も、私の主も2人をとても可愛がっていた。

ー私の主も、あの優しさを少しでも私に回してくれたらー

なんて事は思ってはいけない。今でも…可愛がってもらっている……筈。

兎に角、その2人が主によって転生させたは良いけど、最後の最後にによって妨害されて、主の思う通りに送り届ける事ができなかった。

『友であった**の願いを叶えてやれなかった』

と、我が主があれ程悔やんで涙を流したのは……あの時だけだった。ただ、他世界への干渉は簡単にできる事ではなく、それぞれの神々の“許し”とそれぞれの“願い”が必要となる。だから、助けたくとも、本人が願い名を呼ばなければ、私達が動く事はできないのだ。

そんな中、あの女の痕跡を見付けたのだ。



『菊花、よくやったわ。ようやく、友の願いを叶える事ができるわ』

あの時の主の笑顔は特別綺麗でいて、特別怖ろしい程に冷たかった。

ー主を敵に回してはいけないー

おまけに、この件に関しては、あの腹黒真っ黒な神も絡んでいるから更に怖ろしい……。神が全て善良だと思ってはいけない。間抜けな女神も居るし……。

兎に角、許可は得たから、1人ずつ片付けて、フランシーヌは一番最後に。





******


「ここは何処なの!?あ……貴方は誰!?」

ようやく最後の1人のフランシーヌの番が来た。
1人ずつやって来た事は効果があったようで、迎えに行った時には既に気を病んでいる状態だった。

『ここはお前の住んでいる世界とは違う世界で、尚且つ人間の住む空間ではない所よ。ここで、お前には、私が落とした物を探して来てもらうわ』
「はあ?何故私が!?異世界とか空間とか、意味が分からない!さっさと私を家に戻しなさいよ!でなければ、お父様に言い付けるわよ!」
『言い付ければ良いわ。あんな、精神を病んで気の狂ったような男に、まだ力があると言うならね』
「っ!!」

ウェント伯爵は、一番脆い者だった。吠える者程弱いとはよく言ったものだ。


『お前がするべき事は一つだけ。赤色と青色と紫色と黒色の4つビー玉を探して、見付けて拾って来る事』
「見付けて…拾うだけなのね?そうしたら、家に帰してくれるのね?」
『そうよ』
「簡単じゃない!なら、今すぐ──」
『但し……ここは、人間の世界ではなくて、妖の世界で、今からお前が行くのは“妖の路”。そこに人間が現れると、直ぐ様妖達の餌になってしまうの』
「は!?あやかし?え……餌!?」
『でも、私はお前と違って優しいから、お前が人間だと言う事を分からないようにしてあげるわ。ただ、その妖術は少しでも声を出すと解けてしまうから、絶対に声を出さないように』

声を出さずにコクコクと頷くフランシーヌに術を掛けてから、妖の路への入り口を開く。

『そうそう。妖の路が開かれるのは2時間だけ。その2時間以内にビー玉4つを拾って、ここ迄戻って来なければ、永遠にこの空間を彷徨う事になるから気を付けてね』
「──っ!!??」

声を出すまいと、必死で口を押さえながら私を睨むフランシーヌを、私は軽く無視して妖の路へと放り込んだ。





*フランシーヌ視点*


ー私が何をしたって言うの!?ー

一番最初に気がおかしくなったのは、お兄様だった。
前日の夜迄はいつも通りだったのに、翌日の朝には顔色が真っ青になり、ガタガタと体の震えが止まらず「ビー玉が……」と、ブツブツ呟いていた。
その翌日にお母様が、そのまた翌日にはお父様が……。それだけでは終わらず、侍女長のメレーヌも私の侍女のデラニーまでもが同じように病んで行った。

ーいつ、私もそうなってしまうのかー

毎日が恐怖でしかなかった。病んで行く者達は皆、能無しのアンバーを虐めていた者達だけだったから。
それが、最後の1人となった私を迎えに来たのが、さっきの女だった。琥珀色の髪に金色の瞳をして、尻尾が3本ある獣人だ。“あやかし”が何かは分からないけど、ひょっとしたら、魔物の類なのかもしれない。何故か、ここに来てから魔法が全く使えない。なら、急いでビー玉を探して元の場所に帰るだけだ。



『そう言えば、また**と**様が動いているみたいだぞ』
『それ、*****様もって聞いたぞ』

「……………」

“あやかしの路”は、とても細長く続く路だった。だから、あやかしと呼ばれる者達とは、肩が触れてしまいそうな距離ですれ違う事になる。
その細長い路の両サイドには暗闇が広がっているだけで、そこに足を踏み入れると二度と戻って来れないような気がするから、あやかしが来ても避ける事は難しい。
あやかしとは、魔獣や魔物とは全く違う生き物だ。見た目、人間や獣人のような者も居れば、目が一つしかない者や口しか無い者も居る。だから、気を引き締めていなければ、驚きと恐怖で思わず叫んでしまいそうになる。それを何とか必死で堪えて、ようやく最後のビー玉を見付けた。

ー黒色のビー玉ねー

全ての元凶はアンバー黒色だ。あの子が家を出てしまったせいで、欲しい物を買ってくれなくなった。あの子のせいでリッカルド殿下に近付く事ができなかった。あの子のせいで、学校で私が悪者になって、停学処分を食らった。

ー黒色なんて……必要ないわ!ー

拾った黒色のビー玉を、暗闇の中へと投げ捨てた。

ー「黒色のビー玉なんて無かった」と言えばいいだけよー

赤色と青色と紫色のビー玉を握りしめて、もと来た路を歩き出した。





ーあれ?おかしいな……たしか、この辺りに入り口があった筈ー

もと来た路を戻って来たものの、入り口だった筈の所に入り口がなく、細長い路が続いているだけだった。

『お嬢さん、忘れ物だよ。これ、さっき落としただろう?これがないと、元に戻れないよ』

声を掛けられて振り返ると──

頭が異様な程長くて大きく、異様な程の大きさの鷲鼻は垂れ下がり、垂れ下がった目蓋の奥からギョロリとした目が私を見つめていた。

「ひぃっ……あっ!」
『お前……人間か!』
「ちがっ────」

否定しようとした口を手で押さえられ、そのままグイッと持ち上げられた。

『これはこれは…久し振りの人間だな。皆にも……分けてやるか……ひひっ』
「────っ!!!」





パチンッ────




******


目が覚めるとそこは、私の部屋だった。

「ゆ……夢?あ……」

私の手には、赤色と青色と紫色と……黒色のビー玉があった。

「っ!」

思わずそれらのビー玉を放り投げると、4つとも全て砕け散った。そして、鏡に映った自分の姿を見ると、口元に青黒くなった手形が残っていて、体中に噛まれたような痕が残っていた。

ー夢じゃなかった!ー

あやかしに捕まり、色んなあやかしに噛み付かれ、気を失う前に聞いた声。


『ずっと見ているから』


きっと、それは嘘じゃない。アンバーに手を出せば、またやって来ると言う事だ。


「黒色……ビー玉が………」




そうして、ウェント伯爵家のほぼ全ての者達が病んでしまった。




 
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