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二度目の召喚

赤色のピアス

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『これは一体…どうなっているの!?』




──』



名を呼ばれたキッカさんは、ビクッと反応したかと思うと、頭に三角のケモミミと3本の尻尾が現れた。

そして、そこに更に現れたのは──


腰の下辺り迄ある金髪に、吸い込まれそうな程透き通った青い瞳をした美女──

平和を司る女神、アイリーン様だ。


以前会った時は、温かい優しい空気を纏っていたのに、今のアイリーン様からはピリピリとした空気が漂っている。

『キッカ、もう一度訊くわ。一体何があったの?何故、ウィステリアが………私の愛し子のままここに居るの?』

その冷たい程の視線をキッカさんに向けるアイリーン様。キッカさんは、ケモミミをピンッと立たせてはいるけど、3本の尻尾は垂直に垂れ下がっている。

『──アイリーン様、説明…させていただきます。』

と、キッカさんは私が再召喚された経緯を話し出した。

その後も、偶然私と会えた事、それからの事を包み隠さず報告する。勿論、聖女でもあり第一王女でもあったアリシア様の行いと処遇についても報告。
しかも、アリシア様を拾った元魔導士の“ざまあが大福並だ”と言って丑三つ時行脚させた事。

ー“丑三つ時行脚”って何!?絶対ホラーだよね!?ー

キッカさん、色々忙しくしてるなと思ったら…嬉々としてアリシア様を追い詰めたんだろうな─と言う事が容易に想像できた。




『まさか……聖女2人ともが………なんて事……』

キッカさんからの一通りの説明が終わると、今度はアイリーン様の顔色が悪くなった。

アイリーン様が目覚めたら言いたい事はたくさんあったけど……一番ショックを受けているのは、アイリーン様本人みたいだ。

アイリーン様がスッとエメラルドに視線をやると、エメラルドは「ひ───っ」と、小さく悲鳴?を上げた後、気を失ってしまったようで、その場に倒れてしまった。

ーうん。少し…少ーしだけ溜飲が下がった気がするー


因みに、メイナードさんは、目を大きく見開いてアイリーン様を見つめたまま固まっている。


「先ずは……バーミリオン、アズール、名を戻すのが遅くなってしまったようでごめんなさい。でも…この世界に馴染んでいるようで良かったわ。能力も問題無く上がってるのね。これから、私の“愛し子”からは外れる事になるけれど、“護り”の加護を──」

アイリーン様がスッと手を振ると、バーミリオンさんとアズールさんの体に金色の光が降り注いだ。

“愛し子”とは、異世界から来た者に与えられるモノらしく、この世界に馴染んだバーミリオンさんとアズールさんには不要のモノとなり、その替わりに“加護”が与えられた。


『──ウィステリア……本当にごめんなさい。謝って済むような事ではないけれど………』

「あの……その謝罪を受け入れる替わりに、訊きたい事とお願いがあるので、それを……聞き入れてもらえますか?」

そうお願いすると、一瞬キョトンとした後『勿論よ』と、アイリーン様はフワリと微笑んだ。






赤色のピアス─


「私、アイリーン様に、この世界の物は全て置いて行くとお願いした筈なのに、このピアスが私の服のポケットに……入ってたんです。これは、アイリーン様が?」

『──あぁ……ソレが、ね』

そのピアスを目にした途端、アイリーン様の眉間にシワが寄った。


『私は確かに、ウィステリアの願いを叶え、この世界のモノは全て受け取ってから、貴方を元の世界に戻したわ。でも───エメラルドが無意識に願ってしまったのよ。』


“それは、私のモノ!に在るべきよ”


4年前のエメラルドの聖女の能力は高かった。その上アイリーン様の愛し子だ。その願った事が叶えられてしまったのだ。ただ、“全て置いて行く”と願ったのも愛し子だった──と言う事で、一つはこの世界に残ったが、もう一つは“在るべき所”である志乃わたしの元へと飛んで行ってしまった─と言う事だった。

『そのピアスの在るべき所とは、ウィステリアの元─と言う事ね。ただ───』

そのピアスの赤色の魔石には、加護の魔力が込められていた。そう、魔力が込められていたせいで、この世界と日本に居る私が繋がったままの状態になってしまったのだ。

それでも、それは細い細い繋がり。見落とせば、もう見付けられない程の細い繋がりだった。

『それを、その魔導士は見付けてウィステリアを再召喚したと言う事ね。』

召喚場所迄は辿り着けなかったけど、アイリーン様の愛し子=“許し”がある─と言う事で、無事(?)にこの世界迄来れたそうだ。

ーそう言えば、4年ぶりにこのピアスを目にして手に取った数日後に召喚されたっけー

私がこのピアスに触れた事で、この世界との繋がりが少し強くなったのかもしれない。

本当に、色々な偶然が重なってしまってたんだ。




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