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49 恋人達の裏事情
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*アラスター=ヴェルティル視点*
月の光を浴びてキラキラ輝く白豹。
それよりも綺麗に輝いていたのは、ミントグリーンの瞳だった。
「僕も…強くなれるかなぁ?」
俺よりも年下の女の子。たった1人で、とある令嬢を助けた女の子は、豹族一になるだろう─と言われる程の実力を持つ女の子だった。
ヴェルティル伯爵家は、代々“文”で王家に仕える家門だ。父上は現宰相の下で文官を務めているし、兄も王城勤めの文官で、俺もそれに続くと思っていたが─
「騎士に…なる?」
「うん。僕も、誰かを護る為に強くなりたいんだ」
「そうか…なら、頑張って、将来私付きの護衛になってくれると嬉しいな」
と、王太子レイモンドは、俺の無謀な夢を笑う事なく応援してくれた。父上や兄は笑っていたが『やりたいのであれば、最後迄頑張りなさい』と、最後には背中を押してくれた。
それからの俺は必死だった。剣を持つには少し遅く、年下の女の子よりも劣っていて、よく同性からも揶揄われたりもした。嫌がらせをされたりもしたが、それらを無視して訓練を続けた。
いつか、そいつらに仕返しをする為にも───
そして、努力が実ったのか、もともと才能もあったのか、騎士としての実力は同年代ではトップになり、第一騎士団でも認められるようになった。
ーこれで、少しはあの子と並べただろうか?ー
******
「どうしよう…私、レイモンド殿下の婚約者の候補に上がってしまったわ」
「あー…それは…しょうがないよな…リリアーヌは公爵令嬢だから」
「こうなったら……アラスター、私の恋人にならない?」
「は?俺が…リリアーヌと?何で?あー……そう言う……」
「貴方も、騎士になってから色々と周りが煩いでしょう?私も……5年……3年で、誰にも文句を言わせないようにするわ。だから…お願いよ!」
確かに、俺が騎士になってからと言うもの、何かと纏わりついてくる令嬢が増えたのは確かだ。俺には婚約者も好きな子も居ない。寧ろ、今は騎士の訓練を優先したい。リリアーヌは公爵令嬢だ。俺がリリアーヌと恋人になれば、誰も俺に手を出そうとはしないだろう。
「分かった。3年だ。必ず結果を出せよ?きっと、レイモンドも合わせてくれるだろう」
と、その時は軽い気持ちでリリアーヌの案を受け入れたが、それを、すぐ後悔する事になるとは…思ってもみなかった。
******
二度目に彼女に会ったのは、彼女が入学してすぐに行われた入学パーティーの時だった。
銀色の髪がサラサラと揺れ、ミントグリーンの瞳もユラユラと輝いていた。
「…………」
一瞬にして、心を奪われた。
以前目にした時は、ただただ、その強さに惹かれただけで、恋心なんてものはなかった─筈だった。
でも、今は、あのミントグリーンの瞳に俺を映したいと願ってしまう自分が居た。
それからは、もう彼女─リュシエンヌ=クレイオンから目が離せなくなった。
パーティーの途中で、彼女がテラスに出て行くのを見て、追い掛けようする男が数人居る事に気付き、俺は彼らよりも先にテラスへと駆け寄った。
テラスに出てみると、顔色を悪くした彼女がテラスにある椅子に座っていた。「大丈夫?」と声を掛ければ「気分が悪くて─」と言われて「申し訳無いが、少しだけ我慢をして下さい」と言って、俺は躊躇う事なく彼女を抱き上げて医務室迄連れて行く事にした。「恥ずかしければ、顔を隠して下さい」と言うと、顔を隠すように俺の肩に顔をくっつけて──気が付けば、彼女は眠ってしまっていた。起こすのも可哀想な気がして、眠ったまま医務室のベッドに下ろした。
ーミントグリーンの瞳が見れなかったのは残念だー
その日は名残惜しみながら、先生に彼女の事をお願いして、俺は医務室を後にした。
それから、彼女とは何かと接点を作って行った。俺の勘違いでなければ、彼女も少なからず俺に好意を寄せていると思っていた。ただ、俺はリリアーヌとは恋人と言う事になっているから、どうしても彼女は俺とは距離をとっているようだった。
もし、今、本当の事を言えば、彼女ともっと近付けるのだろうか?いや…その前に…侯爵令嬢で騎士としてはトップクラスの彼女に相応しくある為に、誰からも認められる為に、俺はもっと上を目指さなければならないのではないか?
ー今のままでは駄目だー
そうして、俺はまた必死で更なる上を目指した。
******
「本当にリュシエンヌは可愛いわね。必死になってるアラスターは見てて面白いし…」
「クレイオン嬢が可愛いのは否定しない」
「今すぐにでも教えてあげたいわ。本当のアラスターが、どんなに腹黒なのかを…」
「そんな事をしたら、恋人役をやめるからな?」
「ふふっ……本当に好きなのね────」
「当たり前だろう…だから、クレイオン嬢に相応しくなる為に必死になっているんだ」
必死に頑張るのは、彼女に相応しい相手になる為。誰にも文句を言わせない為だ。
「だから、リリアーヌも、きっちり3年で応えてくれ。それ以上は、俺は我慢できないから」
「それは任せてちょうだい。私も我慢できないから、きっちり3年でキリをつけるわ」
と、リリアーヌと俺はお互いニッコリと微笑み合った。
それは、傍から見れば恋人同士が仲良く微笑み合っているように見えるだろう。実のところは──
計画通り進んでいる事に、ほくそ笑んでいただけだった。
そして、後少しと言うところで──
リュシエンヌ=クレイオンは、俺から逃げて行ってしまったのだ。
月の光を浴びてキラキラ輝く白豹。
それよりも綺麗に輝いていたのは、ミントグリーンの瞳だった。
「僕も…強くなれるかなぁ?」
俺よりも年下の女の子。たった1人で、とある令嬢を助けた女の子は、豹族一になるだろう─と言われる程の実力を持つ女の子だった。
ヴェルティル伯爵家は、代々“文”で王家に仕える家門だ。父上は現宰相の下で文官を務めているし、兄も王城勤めの文官で、俺もそれに続くと思っていたが─
「騎士に…なる?」
「うん。僕も、誰かを護る為に強くなりたいんだ」
「そうか…なら、頑張って、将来私付きの護衛になってくれると嬉しいな」
と、王太子レイモンドは、俺の無謀な夢を笑う事なく応援してくれた。父上や兄は笑っていたが『やりたいのであれば、最後迄頑張りなさい』と、最後には背中を押してくれた。
それからの俺は必死だった。剣を持つには少し遅く、年下の女の子よりも劣っていて、よく同性からも揶揄われたりもした。嫌がらせをされたりもしたが、それらを無視して訓練を続けた。
いつか、そいつらに仕返しをする為にも───
そして、努力が実ったのか、もともと才能もあったのか、騎士としての実力は同年代ではトップになり、第一騎士団でも認められるようになった。
ーこれで、少しはあの子と並べただろうか?ー
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「どうしよう…私、レイモンド殿下の婚約者の候補に上がってしまったわ」
「あー…それは…しょうがないよな…リリアーヌは公爵令嬢だから」
「こうなったら……アラスター、私の恋人にならない?」
「は?俺が…リリアーヌと?何で?あー……そう言う……」
「貴方も、騎士になってから色々と周りが煩いでしょう?私も……5年……3年で、誰にも文句を言わせないようにするわ。だから…お願いよ!」
確かに、俺が騎士になってからと言うもの、何かと纏わりついてくる令嬢が増えたのは確かだ。俺には婚約者も好きな子も居ない。寧ろ、今は騎士の訓練を優先したい。リリアーヌは公爵令嬢だ。俺がリリアーヌと恋人になれば、誰も俺に手を出そうとはしないだろう。
「分かった。3年だ。必ず結果を出せよ?きっと、レイモンドも合わせてくれるだろう」
と、その時は軽い気持ちでリリアーヌの案を受け入れたが、それを、すぐ後悔する事になるとは…思ってもみなかった。
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二度目に彼女に会ったのは、彼女が入学してすぐに行われた入学パーティーの時だった。
銀色の髪がサラサラと揺れ、ミントグリーンの瞳もユラユラと輝いていた。
「…………」
一瞬にして、心を奪われた。
以前目にした時は、ただただ、その強さに惹かれただけで、恋心なんてものはなかった─筈だった。
でも、今は、あのミントグリーンの瞳に俺を映したいと願ってしまう自分が居た。
それからは、もう彼女─リュシエンヌ=クレイオンから目が離せなくなった。
パーティーの途中で、彼女がテラスに出て行くのを見て、追い掛けようする男が数人居る事に気付き、俺は彼らよりも先にテラスへと駆け寄った。
テラスに出てみると、顔色を悪くした彼女がテラスにある椅子に座っていた。「大丈夫?」と声を掛ければ「気分が悪くて─」と言われて「申し訳無いが、少しだけ我慢をして下さい」と言って、俺は躊躇う事なく彼女を抱き上げて医務室迄連れて行く事にした。「恥ずかしければ、顔を隠して下さい」と言うと、顔を隠すように俺の肩に顔をくっつけて──気が付けば、彼女は眠ってしまっていた。起こすのも可哀想な気がして、眠ったまま医務室のベッドに下ろした。
ーミントグリーンの瞳が見れなかったのは残念だー
その日は名残惜しみながら、先生に彼女の事をお願いして、俺は医務室を後にした。
それから、彼女とは何かと接点を作って行った。俺の勘違いでなければ、彼女も少なからず俺に好意を寄せていると思っていた。ただ、俺はリリアーヌとは恋人と言う事になっているから、どうしても彼女は俺とは距離をとっているようだった。
もし、今、本当の事を言えば、彼女ともっと近付けるのだろうか?いや…その前に…侯爵令嬢で騎士としてはトップクラスの彼女に相応しくある為に、誰からも認められる為に、俺はもっと上を目指さなければならないのではないか?
ー今のままでは駄目だー
そうして、俺はまた必死で更なる上を目指した。
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「本当にリュシエンヌは可愛いわね。必死になってるアラスターは見てて面白いし…」
「クレイオン嬢が可愛いのは否定しない」
「今すぐにでも教えてあげたいわ。本当のアラスターが、どんなに腹黒なのかを…」
「そんな事をしたら、恋人役をやめるからな?」
「ふふっ……本当に好きなのね────」
「当たり前だろう…だから、クレイオン嬢に相応しくなる為に必死になっているんだ」
必死に頑張るのは、彼女に相応しい相手になる為。誰にも文句を言わせない為だ。
「だから、リリアーヌも、きっちり3年で応えてくれ。それ以上は、俺は我慢できないから」
「それは任せてちょうだい。私も我慢できないから、きっちり3年でキリをつけるわ」
と、リリアーヌと俺はお互いニッコリと微笑み合った。
それは、傍から見れば恋人同士が仲良く微笑み合っているように見えるだろう。実のところは──
計画通り進んでいる事に、ほくそ笑んでいただけだった。
そして、後少しと言うところで──
リュシエンヌ=クレイオンは、俺から逃げて行ってしまったのだ。
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