番から逃げる事にしました

みん

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28 予想外の再会

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久し振りの買い物が済み、別邸に帰ってから部屋で寛いでいると、交換訓練生5人全員が本邸での夕食に招待され、5人全員で参加する事になった。勿論、私達5人は第二王子の存在に気付いているから、その招待を断る事はしない。

ーメグと会えるのは嬉しいけど、ユラがなぁ…ー

少しだけ気掛かりな事はあるけど、夕食に向けての準備を始めた。






******

「イーデン様、お招きありがとうございます」
「こちらこそ、来て下さって、ありがとうございます」

表向きはイーデン様がトップで、イーデン様からの招待となっている為、イーデン様に挨拶をする。
そのイーデン様の後ろに、第二王子とメグと……ユラが居た。イーデン様曰く、2人とも問題無く学校を卒業したそうだ。


夕食は和やかに進んで行った。気を使ってくれたのか、メグと私は隣同士の席になり、ユラは向かい側の席に座っていて、私とメグではなく、隣に座っているハーヴィーさん達と話をしている。私とは一度も視線は合ってないし、最初に挨拶をして以降会話すらしていない。ユラは、相変わらずのようだ。

「リュシエンヌが着けてるピアス、綺麗な色ね」
「ありがとう」

私が今着けているピアスは、ヴェルティル様が選んでくれたピアスだ。失くすと嫌だから、普段はあまり着ける事はないけど、お出掛けする時や気分を上げたい時には着けている。

「さっきは淡い緑色に見えたけど、今は青色にも見えるね。光の加減かなぁ?不思議だね」
「え?青色???」

確か、私の瞳の色に似ているからと、このピアスを選んだ筈で、私自身何度も見て身に着けているけど、青色に見えた事は一度もない。だから、この宝石の色はミントグリーンなんだろうけど……光の加減で色変わりする宝石なのかもしれない。

青色───

ヴェルティル様の青色の瞳は、本当に綺麗だった。葵色の髪も綺麗だけど、やっぱり、あの低音ボイスが一番好きだったなぁ…………

「……………」

青色と言うだけで一番に思い浮かべるのがヴェルティル様とは……私もいい加減しつこいのかもしれない。いっその事、リリアーヌ様と結婚したと言う報せが届けば、私もスッパリと忘れられるかもしれない。

「あー…メグ。メグは、このままイーデン様と一緒に王都迄行くの?」
「一応、リューゴ商会の一員扱いだし、王都に行けば一般公開されている、この国の聖女様の記録を見る事もできるみたいだから、このまま同行する予定なの」

メグは、相変わらず聖女として頑張っているようだ。

「リュシエンヌは、後2年はここで訓練生として過ごすんだよね?その後は、ユーグレイシアに帰って来るの?」
「そうよ。私はギルウィット辺境地の騎士だから、2年後にはユーグレイシアに帰るわ」
「2年かぁ……まだまだ長いね……」

後2年もすれば、色々変わっているだろう。




その夕食会は2時間程で終わり、私はメグの誘いを受けて、そのまま本邸で泊まる事になった。



******

「そう言えば、モニカが色々大変な事があったって手紙に書いてあったんだけど、メグは何か知ってる?」
「え?あー……大変そうだったのは知ってるけど…詳しくは………」

学校で一緒に居たから知っているかと思って訊いてみたけど、知らないようだ。

「そっか…じゃあ、あれからユラとは大丈夫だった?」
「大丈夫だったと言うか…ユラは私よりも友達と一緒に居る事が多くなって、私もモニカとアデールと一緒に居たり聖女の訓練とかで忙しかったから…他にも色々とね……」
「そうなのね。問題なかったのなら良かったけど」
「それに、ユラは何かを探してるみたいで、今回も、探しモノをする為に同行したのかもって、アラール様が言ってたけど」
「探し物?」

その探し物が何なのか分からないけど、ユーグレイシアとシーフォールスに迷惑だけは掛けないようにしてもらいたい。

「あ!すっかり忘れてたわ!メグ!」
「はい!!なっ…何!?私、何かした!?」

キョドるメグは相変わらず可愛らしい。

「違うわよ。メグに会ったら謝らないと!と思ってたのよ…1年前、挨拶もせずにお別れしてしまってごめんなさい。メグ達のサポートも放り出してしまって…本当に────」
「───本当だよね?まさか、一言の挨拶もなく居なくなるとは……微塵にも思ってもみなかったよ」
「─────────────え????」

耳がおかしくなったのだろうか?否。悲しい事に、私が聞き間違える事はない。私の背後から聞こえる声。

「一緒に買い物にも行ってピアスを選んだ仲なのに、手紙すら書いてもらえなかったとは……正直、傷付いたんだけど?」

ーいや、それは……王太子からのお礼だった筈ー

「こうして、久し振りに会ったのに、俺には挨拶どころか顔を向けてくれる事すら……嫌だと言う事かな?」

ギギギッ─と、錆びた歯車を無理矢理回すかのように重たくなった体を、心地良い低音ボイスのする方へと向ける。

「──ヴェルティル様………お久し振りです。本当に……色々とすみませんでした」
「ようやく顔が見れて、嬉しいよ」

そこに居たのはやっぱり、アラスター=ヴェルティル様だった。



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