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28 対面②
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実際は、療養と言うのは表向きな理由なんだろうけど、正直、父が死ぬと耳にしても…私の感情が動く事はない。薄情だと言われても、父から愛情の欠片すら与えてもらった事などないのだから。それに、あの父よりも、お兄様が国王となった方が、この国の為にもなるだろう。
「分かったか?ニコル。魔法使いのお前を筆頭に、魔力持ち達は傲慢になり過ぎたんだ。魔法や魔術は、人を助ける為に使うべきものだ。」
「ふん─なら、お兄様の好きにすれば良いわ。どうせ私は、ウォーランド王国へ嫁ぐ身だから、関係無いもの。」
「ウォーランドのどこに嫁ぐんだ?お前に縁談の話など、一切来てはいないが…」
ー早速、この話が出て来たー
「前から言ってるでしょう?私は、セオドア様のもとに嫁ぐと!セオドア様だけではなく、ウォーランド王国が私を喜んで受け入れてくれるわ!だって、私は王女であり魔法使いだから!」
「「「「………」」」」
ーお姉様のその自信は、一体何処から来るんだろうか?ー
「……喩え、お前が稀な存在である魔法使いだとしても……お前の様な傲慢でバ──礼儀もなっていないバ─名ばかりの王女など、欲しいと思う国は…ないだろう。」
ーお兄様…2度目の“バ”は、ワザとですよね?ー
「そんな事は有り得ないわ。魔法使いよ?魔法使いは何でも…できるのだから───」
愉悦に浸っているかのように微笑んでいるお姉様は、正直、ある意味怖ろしい。
「言えないのが残念だけど…ウォーランド王国に於いては、もう魔法使いは足り過ぎているからなぁ…」
私の横で、誰にも聞こえない位の小さな声でポツリと呟いたのはリュウさん。それは、きっとハルさんの事だ。善良な小動物で可愛いチート級な魔法使い。その上優秀な薬師ときたら、お姉様なんて……誰が欲しいと思うのか。
ー“熨斗を付けてお返しします”と言ったところだよねー
「残念─でもないけど、ウォーランド王国は、魔法使いなんて求めていないわ。」
ハッキリ拒絶の言葉を発したのは、勿論ミヤ様だ。
「魔法使いが居なくても、ウォーランド王国の魔道士達はとても優秀な者ばかりだから、困る事なんてないの。逆に、第一王女の様な…傲慢な魔法使いが来る事のほうが……困るわ……。」
「─なっ……アナタ……何を偉そうにっ!」
“偉そうに”ではなく、実際、本当にお姉様より“偉い”人だと言う事に、気付いていないお姉様。そんなお姉様の無礼に対して、ミヤ様はずっと微笑んだままだ。寧ろ、お姉様が失態を重ねる程、笑みが深くなっていっているような気がして……怖ろしい。
「ふふっ──第一王女の事は……よく解ったわ。それで?ニコル王女が召喚した聖女とか言うのは、そこの貴方なのね?」
“貴方との話は終わり”とばかりに、ミヤ様は聖女である清水さんへと視線を向けた。
ミヤ様の視線を受け止めた清水さんは、そのまま逸らす事なく「そうです。」とだけ答えた。挨拶も名乗る事もしない。清水さんは、私とは違って、ここでは本当に異世界人となるから、仕方が無いと言えば仕方無い。
「そう。なら……聖女の訓練は大変でしょう?あぁ、まだ召喚されて来たばかりだから、訓練はまだかしら?」
「訓練…なんて必要ですか?そんな事しなくても…私は十分な魔力がありますから。」
「……そう……………。」
より一層微笑むミヤ様は…このやり取りを楽しんでいるように見える。
「聖女として召喚されたのだから、自分は聖女であり、何もしなくても、その役割を果たせると?そもそも……貴方を“聖女だ”と判断したのは誰なの?」
「私を聖女だと判断したのは魔法使いであるニコル殿下と魔道士です。試しに行った浄化も、ちゃんとできました。訓練なんてしなくても……私がちゃんと祈りさえすれば、浄化なんて…容易いものです。」
「…そう………容易い……ねぇ……ふふっ──。」
「……終わったな………」
笑っているミヤ様とは違って、リュウさんは、「聖女だからと言って、何もしなくて手に入るモノなんて、何もないんだ…」と、呆れた様に呟いた。
「私から教えてあげましょうか……。この大陸の中で、今迄聖女が現れた事がない国を知ってるかしら?」
「そんな事は…知らないわ。」
ー聖女が現れた事が…無い国なんて…まさか…ー
「それが、ここ、イーレン王国よ。」
「まぁ!なら、私が初めて、この国に聖女を召喚した魔法使いなのね!そして、ナギサが初めての聖女なのね!何て…素敵なの!!ほら、お兄様、私はこの国の為になる事をしたでしょう!?」
「ふふっ──本当に……単純ね?何故今迄現れなかったか…それは、この国に聖女が必要なかったからよ。」
そこで一度、ミヤ様が言葉を区切って更に微笑んだ。
「イーレンに穢れが出る事は滅多にないし、魔獣や魔物の出現率が低過ぎるから。聖女に頼るまでもないから。イーレンが……聖女を必要としていなかったからよ。」
❋エールを頂き、ありがとうございます❋
♪₍₍ ٩( *ˊ ᵕ ˋ*)و ⁾⁾♪
「分かったか?ニコル。魔法使いのお前を筆頭に、魔力持ち達は傲慢になり過ぎたんだ。魔法や魔術は、人を助ける為に使うべきものだ。」
「ふん─なら、お兄様の好きにすれば良いわ。どうせ私は、ウォーランド王国へ嫁ぐ身だから、関係無いもの。」
「ウォーランドのどこに嫁ぐんだ?お前に縁談の話など、一切来てはいないが…」
ー早速、この話が出て来たー
「前から言ってるでしょう?私は、セオドア様のもとに嫁ぐと!セオドア様だけではなく、ウォーランド王国が私を喜んで受け入れてくれるわ!だって、私は王女であり魔法使いだから!」
「「「「………」」」」
ーお姉様のその自信は、一体何処から来るんだろうか?ー
「……喩え、お前が稀な存在である魔法使いだとしても……お前の様な傲慢でバ──礼儀もなっていないバ─名ばかりの王女など、欲しいと思う国は…ないだろう。」
ーお兄様…2度目の“バ”は、ワザとですよね?ー
「そんな事は有り得ないわ。魔法使いよ?魔法使いは何でも…できるのだから───」
愉悦に浸っているかのように微笑んでいるお姉様は、正直、ある意味怖ろしい。
「言えないのが残念だけど…ウォーランド王国に於いては、もう魔法使いは足り過ぎているからなぁ…」
私の横で、誰にも聞こえない位の小さな声でポツリと呟いたのはリュウさん。それは、きっとハルさんの事だ。善良な小動物で可愛いチート級な魔法使い。その上優秀な薬師ときたら、お姉様なんて……誰が欲しいと思うのか。
ー“熨斗を付けてお返しします”と言ったところだよねー
「残念─でもないけど、ウォーランド王国は、魔法使いなんて求めていないわ。」
ハッキリ拒絶の言葉を発したのは、勿論ミヤ様だ。
「魔法使いが居なくても、ウォーランド王国の魔道士達はとても優秀な者ばかりだから、困る事なんてないの。逆に、第一王女の様な…傲慢な魔法使いが来る事のほうが……困るわ……。」
「─なっ……アナタ……何を偉そうにっ!」
“偉そうに”ではなく、実際、本当にお姉様より“偉い”人だと言う事に、気付いていないお姉様。そんなお姉様の無礼に対して、ミヤ様はずっと微笑んだままだ。寧ろ、お姉様が失態を重ねる程、笑みが深くなっていっているような気がして……怖ろしい。
「ふふっ──第一王女の事は……よく解ったわ。それで?ニコル王女が召喚した聖女とか言うのは、そこの貴方なのね?」
“貴方との話は終わり”とばかりに、ミヤ様は聖女である清水さんへと視線を向けた。
ミヤ様の視線を受け止めた清水さんは、そのまま逸らす事なく「そうです。」とだけ答えた。挨拶も名乗る事もしない。清水さんは、私とは違って、ここでは本当に異世界人となるから、仕方が無いと言えば仕方無い。
「そう。なら……聖女の訓練は大変でしょう?あぁ、まだ召喚されて来たばかりだから、訓練はまだかしら?」
「訓練…なんて必要ですか?そんな事しなくても…私は十分な魔力がありますから。」
「……そう……………。」
より一層微笑むミヤ様は…このやり取りを楽しんでいるように見える。
「聖女として召喚されたのだから、自分は聖女であり、何もしなくても、その役割を果たせると?そもそも……貴方を“聖女だ”と判断したのは誰なの?」
「私を聖女だと判断したのは魔法使いであるニコル殿下と魔道士です。試しに行った浄化も、ちゃんとできました。訓練なんてしなくても……私がちゃんと祈りさえすれば、浄化なんて…容易いものです。」
「…そう………容易い……ねぇ……ふふっ──。」
「……終わったな………」
笑っているミヤ様とは違って、リュウさんは、「聖女だからと言って、何もしなくて手に入るモノなんて、何もないんだ…」と、呆れた様に呟いた。
「私から教えてあげましょうか……。この大陸の中で、今迄聖女が現れた事がない国を知ってるかしら?」
「そんな事は…知らないわ。」
ー聖女が現れた事が…無い国なんて…まさか…ー
「それが、ここ、イーレン王国よ。」
「まぁ!なら、私が初めて、この国に聖女を召喚した魔法使いなのね!そして、ナギサが初めての聖女なのね!何て…素敵なの!!ほら、お兄様、私はこの国の為になる事をしたでしょう!?」
「ふふっ──本当に……単純ね?何故今迄現れなかったか…それは、この国に聖女が必要なかったからよ。」
そこで一度、ミヤ様が言葉を区切って更に微笑んだ。
「イーレンに穢れが出る事は滅多にないし、魔獣や魔物の出現率が低過ぎるから。聖女に頼るまでもないから。イーレンが……聖女を必要としていなかったからよ。」
❋エールを頂き、ありがとうございます❋
♪₍₍ ٩( *ˊ ᵕ ˋ*)و ⁾⁾♪
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