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6 めいいっぱい楽しもう
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あれから春野君とは、仕事上がりに待ち合わせをして、小南さんから聞いた、春野君のお母さんやお母さんの友達のお気に入りだったと言うお店に行ったりしている。
春野君のお母さんの友達も、春野君と同じ国に住んでいて、春野君達と同様、日本には帰って来てはいないらしい。
「なら、2人分のお土産をたっぷりと買わないといけませんね。」
と、色々下調べついでにお店巡りをして、帰国する日が決まれば買いに来よう─と言う事になった。
相変わらず春野君はイケメンで、街を歩けば男女問わず視線を奪い、隙あらば─と言う感じで逆ナンされ、スカウトなんてしょっちゅうだ。
ー慣れて来たけどねー
逆ナンされる度に「彼女が居るから」と、腰に手を回されるのだけは……慣れない。“彼女”の使い方が…上手い。春野君の言う“彼女”とは、代名詞扱いだ。それを聞いた相手が、勝手に私を“付き合っている女性”に変換して、私を睨み付けて去って行くのだ。
「理不尽だ───」
「ふっ──ごめんね、吉岡さん。今日は、俺がパフェを奢るから……許してくれる?」
「───くっ……許しますよ!」
イケメンが、シュン─としたような顔をして小首を傾げると、許してしまうのは…仕方無いと思う。これも、確信犯か?と思わなくもないけど。
それから、週末にはシルヴィの散歩に春野君が付いて来るようになった。何故か、シルヴィも春野君にとても懐いている。
ー犬でも、やっぱり女の子だから、イケメンな春野君が好きなのかも?ー
そんな、春野君と過ごす事が当たり前のようになりつつも、穏やかな日々を送っている。
******
「1週間後に帰る事になった。」
それは、春野君と会ってから1ヶ月経った頃だった。
「そうなんだね。それじゃあ、お土産の準備をしないと─だね?」
1ヶ月も一緒に居ると、口調もお互い軽いモノになっていた。
「うん。それで……お土産を買うのも、付き合ってくれる?勿論、お礼に吉岡さんの好きなケーキを奢るから。」
「勿論付き合うよ。お礼は別に良いけど……有難く頂きます!」
春野君と一緒に過ごせるのも後1週間──
そう思うと、ちょっぴり…寂しいなと思う。それに、また会える事ができるのかどうかも分からない。
ーなら、今をめいいっぱい楽しもうー
******
「相変わらず、春野君につにまとってるのね。」
「…………」
仕事が終わり、春野君と待ち合わせしている場所に向かっていると、清水さんに捕まった。
「まさか、本当に、春野君が吉岡さんと居る事を嫌がってない─なんて思ってないよね?誰が、アンタみたいなデカイだけの根暗な子と付き合うって言うのよ。本当に、春野君が可哀想よね。」
「はぁ──言う事は…それだけですか?もう行って良い?約束の時間に遅れるから…」
と、清水さんの相手はせず、その横を通り過ぎようとした時、ギュッと腕を掴まれた。
「──っ!?」
何処にそんな力が!?と思う程の力で掴まれる。痛い!なんてもんじゃない。圧迫されている感じが半端無い。
「本当に、調子にのるんじゃないわよ。アンタなんか……ただの根暗でブスで………親無しのクセに…」
“親無しは関係無い”──と口を開きかけた時、私の腕から痛みが消えた。
「春野君!?」
「いっ──春野君!?」
私の腕を掴んでいた清水さんの腕を、春野君が軽く捻り上げるように掴んで、開放された私を清水さんから庇うように春野君が私達の間に立っていた。
「吉岡さん、大丈夫?」
「え、あ、大丈夫。ありがとう。」
「ん……。」
私の無事を確認した後、春野君は清水さんから手を離して、今度は私の手を……握って来た。
ーえ?何で??ー
「えっと…清水さん…だっけ?俺が吉岡さんと居るのは、俺が吉岡さんと一緒に居たいからだから。これ以上、吉岡さんに何かしたり言ったりするのは……止めてくれるかな?」
「──っ!?わ……分かった……わ……」
春野君は清水さんの方を向いていて顔は見えないけど、怒っている─と言う事だけは何となく分かった。そんな雰囲気の春野君に対し、清水さんは顔色を悪くした後、この場から走り去って行った。
「……えっと……助けてくれて、ありがとう。」
「腕、本当に大丈夫?」
「痛いけど大丈夫。それよりも……時間もないから、買い物に行こう!」
“大丈夫!問題無いよ!”アピールで明るく言うと、心配そうな顔から“やれやれ、仕方無い”と言うような…顔で笑われた。
「なら…行こうか……」
と、歩き出した春野君だったけど、手はしっかりと……繋がれたままだった。
*清水渚沙視点*
「何で……アイツばっかり!」
アイツ─吉岡翠。デカイだけで暗い……可愛くも無い子なのに、何故か、私が良いな─と思った男に限って『吉岡さんって、可愛いしスタイルも良いよな』なんて、アイツに好意を持っていた。
春野君は…今迄のイケメンはなんだったのか?と思う程のイケメンなのに──
「本当に……ムカつく………」
ー絶対に……私のモノにするんだからー
❋エールを頂き、ありがとうございます❋
*゚✲ฺ٩(ˊᗜˋ*)و ✲゚ฺ*
春野君のお母さんの友達も、春野君と同じ国に住んでいて、春野君達と同様、日本には帰って来てはいないらしい。
「なら、2人分のお土産をたっぷりと買わないといけませんね。」
と、色々下調べついでにお店巡りをして、帰国する日が決まれば買いに来よう─と言う事になった。
相変わらず春野君はイケメンで、街を歩けば男女問わず視線を奪い、隙あらば─と言う感じで逆ナンされ、スカウトなんてしょっちゅうだ。
ー慣れて来たけどねー
逆ナンされる度に「彼女が居るから」と、腰に手を回されるのだけは……慣れない。“彼女”の使い方が…上手い。春野君の言う“彼女”とは、代名詞扱いだ。それを聞いた相手が、勝手に私を“付き合っている女性”に変換して、私を睨み付けて去って行くのだ。
「理不尽だ───」
「ふっ──ごめんね、吉岡さん。今日は、俺がパフェを奢るから……許してくれる?」
「───くっ……許しますよ!」
イケメンが、シュン─としたような顔をして小首を傾げると、許してしまうのは…仕方無いと思う。これも、確信犯か?と思わなくもないけど。
それから、週末にはシルヴィの散歩に春野君が付いて来るようになった。何故か、シルヴィも春野君にとても懐いている。
ー犬でも、やっぱり女の子だから、イケメンな春野君が好きなのかも?ー
そんな、春野君と過ごす事が当たり前のようになりつつも、穏やかな日々を送っている。
******
「1週間後に帰る事になった。」
それは、春野君と会ってから1ヶ月経った頃だった。
「そうなんだね。それじゃあ、お土産の準備をしないと─だね?」
1ヶ月も一緒に居ると、口調もお互い軽いモノになっていた。
「うん。それで……お土産を買うのも、付き合ってくれる?勿論、お礼に吉岡さんの好きなケーキを奢るから。」
「勿論付き合うよ。お礼は別に良いけど……有難く頂きます!」
春野君と一緒に過ごせるのも後1週間──
そう思うと、ちょっぴり…寂しいなと思う。それに、また会える事ができるのかどうかも分からない。
ーなら、今をめいいっぱい楽しもうー
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「相変わらず、春野君につにまとってるのね。」
「…………」
仕事が終わり、春野君と待ち合わせしている場所に向かっていると、清水さんに捕まった。
「まさか、本当に、春野君が吉岡さんと居る事を嫌がってない─なんて思ってないよね?誰が、アンタみたいなデカイだけの根暗な子と付き合うって言うのよ。本当に、春野君が可哀想よね。」
「はぁ──言う事は…それだけですか?もう行って良い?約束の時間に遅れるから…」
と、清水さんの相手はせず、その横を通り過ぎようとした時、ギュッと腕を掴まれた。
「──っ!?」
何処にそんな力が!?と思う程の力で掴まれる。痛い!なんてもんじゃない。圧迫されている感じが半端無い。
「本当に、調子にのるんじゃないわよ。アンタなんか……ただの根暗でブスで………親無しのクセに…」
“親無しは関係無い”──と口を開きかけた時、私の腕から痛みが消えた。
「春野君!?」
「いっ──春野君!?」
私の腕を掴んでいた清水さんの腕を、春野君が軽く捻り上げるように掴んで、開放された私を清水さんから庇うように春野君が私達の間に立っていた。
「吉岡さん、大丈夫?」
「え、あ、大丈夫。ありがとう。」
「ん……。」
私の無事を確認した後、春野君は清水さんから手を離して、今度は私の手を……握って来た。
ーえ?何で??ー
「えっと…清水さん…だっけ?俺が吉岡さんと居るのは、俺が吉岡さんと一緒に居たいからだから。これ以上、吉岡さんに何かしたり言ったりするのは……止めてくれるかな?」
「──っ!?わ……分かった……わ……」
春野君は清水さんの方を向いていて顔は見えないけど、怒っている─と言う事だけは何となく分かった。そんな雰囲気の春野君に対し、清水さんは顔色を悪くした後、この場から走り去って行った。
「……えっと……助けてくれて、ありがとう。」
「腕、本当に大丈夫?」
「痛いけど大丈夫。それよりも……時間もないから、買い物に行こう!」
“大丈夫!問題無いよ!”アピールで明るく言うと、心配そうな顔から“やれやれ、仕方無い”と言うような…顔で笑われた。
「なら…行こうか……」
と、歩き出した春野君だったけど、手はしっかりと……繋がれたままだった。
*清水渚沙視点*
「何で……アイツばっかり!」
アイツ─吉岡翠。デカイだけで暗い……可愛くも無い子なのに、何故か、私が良いな─と思った男に限って『吉岡さんって、可愛いしスタイルも良いよな』なんて、アイツに好意を持っていた。
春野君は…今迄のイケメンはなんだったのか?と思う程のイケメンなのに──
「本当に……ムカつく………」
ー絶対に……私のモノにするんだからー
❋エールを頂き、ありがとうございます❋
*゚✲ฺ٩(ˊᗜˋ*)و ✲゚ฺ*
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