恋愛は見ているだけで十分です

みん

文字の大きさ
上 下
30 / 61
第三章ー学園生活ー

まだ…

しおりを挟む
翌日の魔法の授業は3年生と4年生の魔法科コースだけだった為、特にルシエント様も変わった所は無く、いつも通りの和やかな授業だった。
授業は二つとも午前中のうちに終わった為、昼食をとった後は、部屋で事務作業をして、終業後に登城する予定だ。

「ルシエント様は、ランチはどうしますか?私は、購買に買いに行く予定なんですけど。」

いつもはルシエント家の料理長がお弁当を用意してくれるのだけど、今日は購買で売っているサンドイッチが食べたくて、お弁当を断ったら、「オスニエル様にも、暫くは要らないと言われたんですよ」と、料理長から聞かされていたのだ。ただ、見た感じ、何か用意をしているようには見えなかった為、どうするのか?と思って声を掛けたのだけど…。

「私は食堂で食べるから大丈夫だ。」
「……食堂?」
「あぁ。アルビーに、一緒に食べたい─と誘われてね」
「アルビー…殿下に………」

ーきっと、そこに、シェイラ=ペイトリンが居るんだろうー

「……そうですか。分かりました。」

そこで丁度、授業の終わりのチャイムが鳴り、ルシエント様は食堂へ、私は購買部へと向かう為に部屋を出た。

パッと見たところでは、ルシエント様に変わった様子は無い。昨日のように、私を見る瞳にも違和感は無かった。今日はまだ、聖女と接触していないから?

“魅了”とは、どんな風に掛けられて一体どれ程の効力があるのか。モンテルアーノ様は知っているのか…また、後で訊いてみよう。1人でウダウダ考えても仕方無いよね──と、購買部でサンドイッチを購入して、部屋へと帰る廊下を歩いていると

「ナディア先生!」
「……何…かな?ペイトリンさん」
「あの…ナディア先生も一緒にお昼を食べませんか?」

チラッと、聖女の後ろに視線を向けると、第三王子と2人の側近と…オレリア=エタシエルが居た。そのオレリアの瞳を見る限りでは、なようだ。

ーそれでも、早く何とかしないとねー

「ペイトリンさん、ごめんなさい。今日中に仕上げないといけない事務作業があって時間が無いのよ。」

「そうなんですね。ナディア先生と、ゆっくりお話してみたいなって思ったんですけど…残念ですけど、また今度時間がある時にでも…。」

少し寂しそうな顔をする彼女を、第三王子が慰めるように彼女の肩をポンポンと優しく叩いた後、2人の側近に促されるように食堂へと歩き出した。
そして、擦れ違う時、オレリアと視線が合う。

「「………」」

それは、しっかりとした瞳だった──







******


「ナディア、久し振りだね」

「ダレルさん!」

終業後、登城して図書館の地下フロアに行くと、そこにはモンテルアーノ様と、私の上司であるスフィール領市役所魔法課の所長ダレルさんが居た。

何故、王城ここに居るかと言うと、ルシエント様が1ヶ月程学園を休む事になって、その休んでいる間の代行としてダレルさんが来る事になったから。
ダレルさんも、もともとは王城付きエリート魔道士だった。

「ダレル殿は、王城付きのままであったら、今頃は副団長か団長になっていたと思う。」

「それは…買いかぶり過ぎですよ。」

困ったように笑うダレルさん。私は、スフィール領市役所魔法課の所長としてのダレルさんしか知らないけど、魔道士でもないモンテルアーノ様が言うぐらいだから、それなりの実力があるんだろう。そうでなければ、学園の講師の代行も、頼んだりしないだろう。

「兎に角、助手の私としては、講師がダレルさんなら気安くて楽ですし、安心できて良かったです。」

「ははっ、それなら良かった。少しの間だけど、宜しくね。」

挨拶が終わると、モンテルアーノ様はまた、部屋全体に結界を張った後、昨日の話の続きを始めた。








100年前──

聖女が“魅了を使っている”証拠を得られないまま、聖女が第二王子の子を身篭ってしまった。その為、公爵令嬢との婚約は解消され、第二王子はその聖女と婚約、婚姻後は“公爵”を叙爵される予定だったが──

「生まれてきた子が、第二王子の子ではなかったそうだ。」

ーなるほど…第二王子は婚姻後、ルードモント子爵に婿入りしたのかー



『まぁ……ある意味での……私達からの些細な復讐…だな。どんな子が生まれるか……楽しみだ。』



公爵様と父は、聖女のを全て把握していたが、それを報告しなかった。“ざまあみろ!”と、少しは溜飲が下がったのかもしれない。

100年前に起こった事実は、王族では教訓の一つとなり、魅了に対しての対処法など、幼い頃から精神をコントロールする魔法の訓練などをさせられるようになったそうだ。その上、精神に関わる魔法が効かないように、それらの魔法から身を守る為の魔具を身に着けるようにもなったそうだけど─

「では、その魔具を着けている筈の第三王子も、何かしらの魔法の影響を受けている─と言う事ですか?」

「そう言う事になる。」

ーそれはまた、更に厄介な話になったー

魔具の効力は、その魔具を作った者のレベルによって変わってくる。勿論、王族が身に着けるの魔具だ。おそらく、トップレベルの魔道士が作った筈。その魔具が効かないと言う事は─

「相手は、とんでもない魔力の持ち主なのかもしれない。」









❋エールを頂き、ありがとうございます❋
*゚✲ฺ٩(ˊᗜˋ*)و ✲゚ฺ*

しおりを挟む
感想 37

あなたにおすすめの小説

稀代の悪女として処刑されたはずの私は、なぜか幼女になって公爵様に溺愛されています

水谷繭
ファンタジー
グレースは皆に悪女と罵られながら処刑された。しかし、確かに死んだはずが目を覚ますと森の中だった。その上、なぜか元の姿とは似ても似つかない幼女の姿になっている。 森を彷徨っていたグレースは、公爵様に見つかりお屋敷に引き取られることに。初めは戸惑っていたグレースだが、都合がいいので、かわい子ぶって公爵家の力を利用することに決める。 公爵様にシャーリーと名付けられ、溺愛されながら過ごすグレース。そんなある日、前世で自分を陥れたシスターと出くわす。公爵様に好意を持っているそのシスターは、シャーリーを世話するという口実で公爵に近づこうとする。シスターの目的を察したグレースは、彼女に復讐することを思いつき……。 ◇画像はGirly Drop様からお借りしました ◆エール送ってくれた方ありがとうございます!

前世の記憶を取り戻したら貴男が好きじゃなくなりました

砂礫レキ
恋愛
公爵令嬢エミア・シュタイトは婚約者である第二王子アリオス・ルーンファクトを心から愛していた。 けれど幼い頃からの恋心をアリオスは手酷く否定し続ける。その度にエミアの心は傷つき自己嫌悪が深くなっていった。 そして婚約から十年経った時「お前は俺の子を産むだけの存在にしか過ぎない」とアリオスに言われエミアの自尊心は限界を迎える。 消えてしまいたいと強く願った彼女は己の人格と引き換えに前世の記憶を取り戻した。 救国の聖女「エミヤ」の記憶を。 表紙は三日月アルペジオ様からお借りしています。

【完結】婚約破棄寸前の悪役令嬢は7年前の姿をしている

五色ひわ
恋愛
 ドラード王国の第二王女、クラウディア・ドラードは正体不明の相手に襲撃されて子供の姿に変えられてしまった。何とか逃げのびたクラウディアは、年齢を偽って孤児院に隠れて暮らしている。  初めて経験する貧しい暮らしに疲れ果てた頃、目の前に現れたのは婚約破棄寸前の婚約者アルフレートだった。

冤罪で殺された聖女、生まれ変わって自由に生きる

みおな
恋愛
聖女。 女神から選ばれし、世界にたった一人の存在。 本来なら、誰からも尊ばれ大切に扱われる存在である聖女ルディアは、婚約者である王太子から冤罪をかけられ処刑されてしまう。 愛し子の死に、女神はルディアの時間を巻き戻す。 記憶を持ったまま聖女認定の前に戻ったルディアは、聖女にならず自由に生きる道を選択する。

この野菜は悪役令嬢がつくりました!

真鳥カノ
ファンタジー
幼い頃から聖女候補として育った公爵令嬢レティシアは、婚約者である王子から突然、婚約破棄を宣言される。 花や植物に『恵み』を与えるはずの聖女なのに、何故か花を枯らしてしまったレティシアは「偽聖女」とまで呼ばれ、どん底に落ちる。 だけどレティシアの力には秘密があって……? せっかくだからのんびり花や野菜でも育てようとするレティシアは、どこでもやらかす……! レティシアの力を巡って動き出す陰謀……? 色々起こっているけれど、私は今日も野菜を作ったり食べたり忙しい! 毎日2〜3回更新予定 だいたい6時30分、昼12時頃、18時頃のどこかで更新します!

廃妃の再婚

束原ミヤコ
恋愛
伯爵家の令嬢としてうまれたフィアナは、母を亡くしてからというもの 父にも第二夫人にも、そして腹違いの妹にも邪険に扱われていた。 ある日フィアナは、川で倒れている青年を助ける。 それから四年後、フィアナの元に国王から結婚の申し込みがくる。 身分差を気にしながらも断ることができず、フィアナは王妃となった。 あの時助けた青年は、国王になっていたのである。 「君を永遠に愛する」と約束をした国王カトル・エスタニアは 結婚してすぐに辺境にて部族の反乱が起こり、平定戦に向かう。 帰還したカトルは、族長の娘であり『精霊の愛し子』と呼ばれている美しい女性イルサナを連れていた。 カトルはイルサナを寵愛しはじめる。 王城にて居場所を失ったフィアナは、聖騎士ユリシアスに下賜されることになる。 ユリシアスは先の戦いで怪我を負い、顔の半分を包帯で覆っている寡黙な男だった。 引け目を感じながらフィアナはユリシアスと過ごすことになる。 ユリシアスと過ごすうち、フィアナは彼と惹かれ合っていく。 だがユリシアスは何かを隠しているようだ。 それはカトルの抱える、真実だった──。

聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったため、異世界でふわふわパンを焼こうと思います!

伊桜らな
ファンタジー
家業パン屋さんで働くメルは、パンが大好き。 いきなり聖女召喚の儀やらで異世界に呼ばれちゃったのに「いらない」と言われて追い出されてしまう。どうすればいいか分からなかったとき、公爵家当主に拾われ公爵家にお世話になる。 衣食住は確保できたって思ったのに、パンが美味しくないしめちゃくちゃ硬い!! パン好きなメルは、厨房を使いふわふわパン作りを始める。  *表紙画は月兎なつめ様に描いて頂きました。*  ー(*)のマークはRシーンがあります。ー  少しだけ展開を変えました。申し訳ありません。  ホットランキング 1位(2021.10.17)  ファンタジーランキング1位(2021.10.17)  小説ランキング 1位(2021.10.17)  ありがとうございます。読んでくださる皆様に感謝です。

だから聖女はいなくなった

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」 レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。 彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。 だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。 キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。 ※7万字程度の中編です。

処理中です...