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❋新しい未来へ❋
73 想い合った者同士
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『エヴェリーナ様は、ハロルド様の事が本当にお好きなのね…。私がいつもハロルド様と一緒にいるから、嫌味を言われるの。嫉妬……ですわね…』
ジュリーにそう言われて、私は………喜んだ。
私ばかりがリーナを好きで、リーナは、私が王子だから婚約者になっただけで、私の事は嫌いではないが好きでもないと思っていたから。
それが、ジュリーと一緒に居るだけで嫉妬していると聞けば、嬉しくなってしまっても仕方無い事だった。
それからの私は、リーナにもっと嫉妬して欲しくて……私を見て欲しくて、ジュリーと一緒に居る時間を増やしていった。
それが、大きな間違いだった
『今日のお茶会に、エヴェリーナ様はいらっしゃらないそうですわ』
城でのお茶に誘っても来なくなり、更にジュリーと2人だけの時間が増え、その上、リーナがトワイアル王国の王女であるジュリーに手を出し始めたのだ。
そこまでして、私の事が好きなのか─
それなのに何故、私の所に来ないのか─
どうして、私だけを見てくれないのか─
『エヴェリーナ様は嫉妬しているだけで……私が悪いんです。決して…エヴェリーナ様を責めないで下さいね』
と、切なげな顔をしているジュリーを目にすると、愛おしく見えたのも……事実だ。そこに、恋愛感情があったのかどうかは……よく分からない。ただ、ジュリーを守らなければ─と思ったのもまた…事実だ。
だから、一度目の私は、リーナに『私に何か言う事はないか?』と……訊いたんだ。
言いたい事なんて……本当はたくさんあったんだろう。
記憶が戻った今なら分かる。
一度目のリーナは、本当の笑顔を私に向けてくれていた。
二度目は、まだ私に笑顔を向けてくれていて、私と向き合おうとしてくれていた。
でも、三度目には、もう既に、私を見てはいなかった。
四度目は………色々な事に拒否され距離を置かれた。
そして五度目は……
「“気持ち悪い”か…………」
そう思われても……仕方無い。過去四度もジュリーの言葉を信じて殺してしまい、今世では媚薬を使って手に入れようとしたんだ。でも───
ジュリーが居なければ、リーナは私のモノだった。リーナが見ているのは私だけだった。ジュリーさえいなければ、リーナと結婚して、リーナの横に居るのは私だったのに。
「ジュリーさえ居なければ…………」
******
「今日から貴方はここに入ってもらうわ。想い合った者同士、一緒に居られて良かったわね?思う存分…愛を確かめ合ってね?」
ふふっ──と笑いながら、ジュリエンヌを違う牢に入れた後、ニノンは振り返る事なく地下牢から出て行った。
「本当に……嫌な女ね」
ー魔力封じの枷なんてなければ、あんな女1人ぐらい、すぐにやってやるのにー
「ところで……“想い合った者同士”って…一体…」
「……ジュリー?」
「え?あ、ハロルド様!?」
ハロルド様と会うのは、あの日以来だ。
この男があの日、エヴェリーナをモノにしていれば、今頃私は────
「ジュリーのせいだ……」
「は?」
「ジュリーが嘘なんてつかなければ……私は……エヴェリーナと結婚できていたんだ」
「何を言っているの?婚約者でもなかったのに、結婚できるわけないでしょう?貴方は、媚薬を使って無理矢理にでもしなければ、エヴェリーナを手に入れる事なんて────」
「黙れ!」
バシンッ
「ゔ───っ」
ーな…何が…起こったの?私…今…殴られ………ー
「何度も私を騙して楽しかったか?自分が黒龍の番になりたいが為に、私とエヴェリーナを陥れて……楽しかったか?ははっ……思い通りに動く私は……さぞ滑稽に見えただろうな」
「………」
私がイーリャの実を使って黒龍の番になろうとしていた─事は、ハロルドには言った事はないのに、何故知っているの?
「でも…残念だったな……黒龍には既に…番が居る。お陰で私も……もう………お前のせいで!」
「なっ…に───っ!」
殴られて床に倒れていた私の上にのしかかって来たハロルドが、私の首に手を伸ばした。
ー殺される!?ー
「ははっ…一思いに殺されるよりも……私やジュリーがしようとした事をされる方が……お前にとっては屈辱となるのかな?」
「なっ………なにを……言って………」
「お互い、心はもう汚れてるから………はぁ……何で…こんな事………」
首に置かれていた手が離れていき、ヨロヨロと手で顔を覆って荒い息を繰り返すハロルドの様子は…まるで………
ーまさか!?ー
「ちょっ……だれっ…か!誰か居ないの!?わたしっ……このままだと、この男に……!!」
「“既成事実を作られてしまう”─かしら?」
「ニノン!あなた!み…見てないで…助けなさい!このままだと……わたしっ……!!」
ー地下牢で、ハロルドに!ー
「メザリンド嬢も……きっと助けを求めたでしょうね」
「──っ!?」
ー全て…知られて…いるの!?ー
❋エールを頂き、ありがとうございます❋
(`・ω・´)ゞ
ジュリーにそう言われて、私は………喜んだ。
私ばかりがリーナを好きで、リーナは、私が王子だから婚約者になっただけで、私の事は嫌いではないが好きでもないと思っていたから。
それが、ジュリーと一緒に居るだけで嫉妬していると聞けば、嬉しくなってしまっても仕方無い事だった。
それからの私は、リーナにもっと嫉妬して欲しくて……私を見て欲しくて、ジュリーと一緒に居る時間を増やしていった。
それが、大きな間違いだった
『今日のお茶会に、エヴェリーナ様はいらっしゃらないそうですわ』
城でのお茶に誘っても来なくなり、更にジュリーと2人だけの時間が増え、その上、リーナがトワイアル王国の王女であるジュリーに手を出し始めたのだ。
そこまでして、私の事が好きなのか─
それなのに何故、私の所に来ないのか─
どうして、私だけを見てくれないのか─
『エヴェリーナ様は嫉妬しているだけで……私が悪いんです。決して…エヴェリーナ様を責めないで下さいね』
と、切なげな顔をしているジュリーを目にすると、愛おしく見えたのも……事実だ。そこに、恋愛感情があったのかどうかは……よく分からない。ただ、ジュリーを守らなければ─と思ったのもまた…事実だ。
だから、一度目の私は、リーナに『私に何か言う事はないか?』と……訊いたんだ。
言いたい事なんて……本当はたくさんあったんだろう。
記憶が戻った今なら分かる。
一度目のリーナは、本当の笑顔を私に向けてくれていた。
二度目は、まだ私に笑顔を向けてくれていて、私と向き合おうとしてくれていた。
でも、三度目には、もう既に、私を見てはいなかった。
四度目は………色々な事に拒否され距離を置かれた。
そして五度目は……
「“気持ち悪い”か…………」
そう思われても……仕方無い。過去四度もジュリーの言葉を信じて殺してしまい、今世では媚薬を使って手に入れようとしたんだ。でも───
ジュリーが居なければ、リーナは私のモノだった。リーナが見ているのは私だけだった。ジュリーさえいなければ、リーナと結婚して、リーナの横に居るのは私だったのに。
「ジュリーさえ居なければ…………」
******
「今日から貴方はここに入ってもらうわ。想い合った者同士、一緒に居られて良かったわね?思う存分…愛を確かめ合ってね?」
ふふっ──と笑いながら、ジュリエンヌを違う牢に入れた後、ニノンは振り返る事なく地下牢から出て行った。
「本当に……嫌な女ね」
ー魔力封じの枷なんてなければ、あんな女1人ぐらい、すぐにやってやるのにー
「ところで……“想い合った者同士”って…一体…」
「……ジュリー?」
「え?あ、ハロルド様!?」
ハロルド様と会うのは、あの日以来だ。
この男があの日、エヴェリーナをモノにしていれば、今頃私は────
「ジュリーのせいだ……」
「は?」
「ジュリーが嘘なんてつかなければ……私は……エヴェリーナと結婚できていたんだ」
「何を言っているの?婚約者でもなかったのに、結婚できるわけないでしょう?貴方は、媚薬を使って無理矢理にでもしなければ、エヴェリーナを手に入れる事なんて────」
「黙れ!」
バシンッ
「ゔ───っ」
ーな…何が…起こったの?私…今…殴られ………ー
「何度も私を騙して楽しかったか?自分が黒龍の番になりたいが為に、私とエヴェリーナを陥れて……楽しかったか?ははっ……思い通りに動く私は……さぞ滑稽に見えただろうな」
「………」
私がイーリャの実を使って黒龍の番になろうとしていた─事は、ハロルドには言った事はないのに、何故知っているの?
「でも…残念だったな……黒龍には既に…番が居る。お陰で私も……もう………お前のせいで!」
「なっ…に───っ!」
殴られて床に倒れていた私の上にのしかかって来たハロルドが、私の首に手を伸ばした。
ー殺される!?ー
「ははっ…一思いに殺されるよりも……私やジュリーがしようとした事をされる方が……お前にとっては屈辱となるのかな?」
「なっ………なにを……言って………」
「お互い、心はもう汚れてるから………はぁ……何で…こんな事………」
首に置かれていた手が離れていき、ヨロヨロと手で顔を覆って荒い息を繰り返すハロルドの様子は…まるで………
ーまさか!?ー
「ちょっ……だれっ…か!誰か居ないの!?わたしっ……このままだと、この男に……!!」
「“既成事実を作られてしまう”─かしら?」
「ニノン!あなた!み…見てないで…助けなさい!このままだと……わたしっ……!!」
ー地下牢で、ハロルドに!ー
「メザリンド嬢も……きっと助けを求めたでしょうね」
「──っ!?」
ー全て…知られて…いるの!?ー
❋エールを頂き、ありがとうございます❋
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