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❋新しい未来へ❋
63 決別③
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「ずっと、エヴェリーナの事を諦める事も忘れる事もできなかった。本当に苦しくて……そうしたら…ジュリーが、私を助けてくれると……」
“ジュリー”
どうやら、今世でもまた、2人は仲を深めていたようだ。
「メザリンドは、私とは違う男─しかも、使用人と関係を持ち、その者との子を身籠った為に、私との婚約は破棄した。」
ー“媚薬を盛らせて襲わせた”の間違いでしょう?ー
「そして、エヴェリーナの婚約者は、ジュリーとの仲を深めている。なら……あんな婚約者なんて捨てて、私の手を取ってくれないか?私が、エヴェリーナを幸せにするから。それに……そろそろ…私の事が……欲しくなって…来てないか?」
「“欲しく”?……まさか!何か…この紅茶に!?」
驚いたようにハロルド様を見上げれば、満面の笑みを浮かべて私を見つめていた。
今迄に向けられた事のない……熱の篭った瞳だ。
「きっと、今頃ジュリー達も楽しんでる。だから、私達も………」
私の手をギュッと握りしめたまま、嬉しそうに微笑むハロルド様は────
「気持ち悪い────」
しかない。
「え?」
キョトンとした顔になるハロルド様。
「貴方に、私を幸せにする事なんてできません。私が、貴方と一緒になって、幸せになる事なんて有り得ません。私の幸せは、フィル─フィリベールさんの処にしかありません。」
「何故そんな事が言い切れる?現に、フィリベールは、今頃ジュリーと!」
「フィルは、貴方とは違う。好きな人を手に入れる為に、他の女性と手を組んで相手を陥れるような事はしません。フィルにも色々ありましたが、私とちゃんと一対一で向き合ってくれました。貴方のように……変な薬を使ったりなんてしない。変な薬で私をモノにしようだなんて……そんな人と一緒になって、幸せになれると…本気で思っているんですか?もし、本気で思っているなら………それこそ、本当に本気で……気持ち悪いです。“そろそろ欲しくなって来た?”なんて、よく平気で言えましたね?あり得ませんから。どこのナルシストですか!?無理です。喩え、貴方が王子様であろうがお金持ちであろうが……無理です。」
「…………」
目の前のハロルド様は、ポカンと口を開けたまま固まっている─から、更に私の口が止まらなくなった。
「婚約者でもない女性の事を“ジュリー”なんて愛称で呼んでおいて、2人の間に何も無い─なんて言えますか?それに、婚約者でも何でも無いし、許可した覚えもないのに、私の事を名前呼びされても困るんです。ハッキリ言って迷惑なんです。そうそう、“ハリーと呼んで欲しい”なんて言われても無理です。周りの人達に誤解すらされたくないので。」
「…………」
ー ─────スッキリ……したー
うん。不敬罪で捕まったとしても……後悔はない。微塵も無い。寧ろ……まだまだ言いたい事はある。ただ、それは、過去のハロルド様に対してであって、目の前のハロルド様にではない。過去の事を、今のハロルド様に言ったところで意味はないから言わない。
訊きたい事もあったけど、今のハロルド様から答えはもらえないのだ。
「違う……エヴェリーナは…そんな……私を気持ち悪いとか言うような子じゃない。そんなエヴェリーナになってしまったのは…アイツのせいか?」
「はい?」
「アイツのせいで、エヴェリーナは私の事を悪く見えてしまっているだけなんだ。エヴェリーナ、だから、今すぐ私と──」
ハロルド様が怒った顔をして、私の腕を強引に引き寄せるようにして立ち上がらせた。
「ちょっ───」
バキッ────
「ゔぁ──────っ!?」
「っ!!??」
どうしよう!?と思う間も無く、今さっきまで私の腕を掴んでいたハロルド様が……私の目の前から消えた。
否。急に横へと飛んで行った。防御の魔法が発動した─のでは無く………。
「はぁ────……本当に………気持ち悪い……。いつから、こんなにも……気持ち悪い者になってしまったのか…」
そう呟きながら、私を背にして立っているのは、白のシャツに黒色のパンツスタイルと言うラフな格好をした、金色の短髪の男性だった。細身ながらも、体が引き締まっている事がよく分かる。その後ろ姿を見ていると、ふいに私の方へと振り返った。その瞳は緑色だ。
「ハウンゼント嬢、大丈夫だろうか?どこも怪我をしたり、穢れたりしていないか?あの阿呆に触れられたのはこの腕だけか?本当に申し訳ない。今すぐ浄化しよう。」
「え?阿呆?穢れ??浄化???」
目の前の男性は、サラッと……ハロルド様を阿呆呼ばわりの穢れ扱いをして、これまたサラッと…水魔法で私の腕を…本気で浄化してくれた。
ハロルド様は母親譲りの中性的な美男子だが、目の前に居る男性は、父親譲りの少し強面なイケメンだ。同じ色をしていても、見た目も雰囲気も全く違う。何より、この男性は……フィルと同じ様な他者を圧倒する様な空気を纏っている。おそらく、この男性は──
「挨拶が遅くなってしまって、申し訳ありません。俺──私は、トルトニア王国が王太子、メレディスと申します。あのア……愚弟が………失礼致しました。」
やっぱり、トルトニア王国の王太子殿下だった。
❋トルトニア王太子視点の話を、“置き場”に投稿しました。お時間ある時にでも覗いてみて下さい❋
(* ´▿`*)*_ _)⁾⁾ペコッ
❋エールを頂き、ありがとうございます❋
ε٩(๑ᵒ ᗜ ᵒ)۶з
“ジュリー”
どうやら、今世でもまた、2人は仲を深めていたようだ。
「メザリンドは、私とは違う男─しかも、使用人と関係を持ち、その者との子を身籠った為に、私との婚約は破棄した。」
ー“媚薬を盛らせて襲わせた”の間違いでしょう?ー
「そして、エヴェリーナの婚約者は、ジュリーとの仲を深めている。なら……あんな婚約者なんて捨てて、私の手を取ってくれないか?私が、エヴェリーナを幸せにするから。それに……そろそろ…私の事が……欲しくなって…来てないか?」
「“欲しく”?……まさか!何か…この紅茶に!?」
驚いたようにハロルド様を見上げれば、満面の笑みを浮かべて私を見つめていた。
今迄に向けられた事のない……熱の篭った瞳だ。
「きっと、今頃ジュリー達も楽しんでる。だから、私達も………」
私の手をギュッと握りしめたまま、嬉しそうに微笑むハロルド様は────
「気持ち悪い────」
しかない。
「え?」
キョトンとした顔になるハロルド様。
「貴方に、私を幸せにする事なんてできません。私が、貴方と一緒になって、幸せになる事なんて有り得ません。私の幸せは、フィル─フィリベールさんの処にしかありません。」
「何故そんな事が言い切れる?現に、フィリベールは、今頃ジュリーと!」
「フィルは、貴方とは違う。好きな人を手に入れる為に、他の女性と手を組んで相手を陥れるような事はしません。フィルにも色々ありましたが、私とちゃんと一対一で向き合ってくれました。貴方のように……変な薬を使ったりなんてしない。変な薬で私をモノにしようだなんて……そんな人と一緒になって、幸せになれると…本気で思っているんですか?もし、本気で思っているなら………それこそ、本当に本気で……気持ち悪いです。“そろそろ欲しくなって来た?”なんて、よく平気で言えましたね?あり得ませんから。どこのナルシストですか!?無理です。喩え、貴方が王子様であろうがお金持ちであろうが……無理です。」
「…………」
目の前のハロルド様は、ポカンと口を開けたまま固まっている─から、更に私の口が止まらなくなった。
「婚約者でもない女性の事を“ジュリー”なんて愛称で呼んでおいて、2人の間に何も無い─なんて言えますか?それに、婚約者でも何でも無いし、許可した覚えもないのに、私の事を名前呼びされても困るんです。ハッキリ言って迷惑なんです。そうそう、“ハリーと呼んで欲しい”なんて言われても無理です。周りの人達に誤解すらされたくないので。」
「…………」
ー ─────スッキリ……したー
うん。不敬罪で捕まったとしても……後悔はない。微塵も無い。寧ろ……まだまだ言いたい事はある。ただ、それは、過去のハロルド様に対してであって、目の前のハロルド様にではない。過去の事を、今のハロルド様に言ったところで意味はないから言わない。
訊きたい事もあったけど、今のハロルド様から答えはもらえないのだ。
「違う……エヴェリーナは…そんな……私を気持ち悪いとか言うような子じゃない。そんなエヴェリーナになってしまったのは…アイツのせいか?」
「はい?」
「アイツのせいで、エヴェリーナは私の事を悪く見えてしまっているだけなんだ。エヴェリーナ、だから、今すぐ私と──」
ハロルド様が怒った顔をして、私の腕を強引に引き寄せるようにして立ち上がらせた。
「ちょっ───」
バキッ────
「ゔぁ──────っ!?」
「っ!!??」
どうしよう!?と思う間も無く、今さっきまで私の腕を掴んでいたハロルド様が……私の目の前から消えた。
否。急に横へと飛んで行った。防御の魔法が発動した─のでは無く………。
「はぁ────……本当に………気持ち悪い……。いつから、こんなにも……気持ち悪い者になってしまったのか…」
そう呟きながら、私を背にして立っているのは、白のシャツに黒色のパンツスタイルと言うラフな格好をした、金色の短髪の男性だった。細身ながらも、体が引き締まっている事がよく分かる。その後ろ姿を見ていると、ふいに私の方へと振り返った。その瞳は緑色だ。
「ハウンゼント嬢、大丈夫だろうか?どこも怪我をしたり、穢れたりしていないか?あの阿呆に触れられたのはこの腕だけか?本当に申し訳ない。今すぐ浄化しよう。」
「え?阿呆?穢れ??浄化???」
目の前の男性は、サラッと……ハロルド様を阿呆呼ばわりの穢れ扱いをして、これまたサラッと…水魔法で私の腕を…本気で浄化してくれた。
ハロルド様は母親譲りの中性的な美男子だが、目の前に居る男性は、父親譲りの少し強面なイケメンだ。同じ色をしていても、見た目も雰囲気も全く違う。何より、この男性は……フィルと同じ様な他者を圧倒する様な空気を纏っている。おそらく、この男性は──
「挨拶が遅くなってしまって、申し訳ありません。俺──私は、トルトニア王国が王太子、メレディスと申します。あのア……愚弟が………失礼致しました。」
やっぱり、トルトニア王国の王太子殿下だった。
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