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❋竜王国編❋
23 竜王国での日々
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竜王国での学園生活が始まってから3ヶ月。
慣れない1人での生活で、色々大変な事もあったけど、イロハやニノンさんにたくさん助けられながら、それはそれで楽しい日々を送れている。
イロハはすごかった。大病を患う前は、働いていた両親を助ける為に、10歳の頃からご飯を作ったりしていたそうで、竜王国にやって来てからも、時間があれば自分で料理をしていると言う。それは、寮生活が始まっても変わらず、時々私も作った料理を食べさせてもらうけど、それがまた…とっても美味しい。
そんなイロハだけど、お菓子作りは苦手なようで、作れる種類は少ないけど、お菓子だけは私の方が上手に作れる。だから、私がお菓子を作ってイロハにあげると、いつも喜んで食べてくれる。あまりにも喜んでくれるから、お菓子作りがより楽しくなって、今、少しずつ作れる種類をこっそり…増やしているところだ。
と、イロハとは仲良く楽しくやっている。
そして、竜人や獣人達とは…と言うと──
「イロハ、エヴェリーナ、おはよう!今日も可愛い!」
「イロハ、エヴェリーナ、これ美味しいから食べてみて!」
「エヴェリーナ、イロハ、今日の放課後、一緒にケーキを食べに行かない?」
「エヴェリーナ、イロハ、今日のランチに一緒にサンドイッチ食べない?」
イロハと私は、とっても……可愛がられている。
“孫を可愛がる祖父母”若しくは、“姪を可愛がるおじ、おば”の様な感じで……。
やっぱり、人間族のイロハと私は小さくて可愛く見えるそうで、庇護欲?が刺激されているのだと思う。
「エヴェリーナ、イロハ、そろそろ移動しないと、時間がギリギリになる。」
「「そうだった!」」
声を掛けてくれたのは、私達の護衛でもあるフィリベールさん。
次の授業は別館に移動しての授業で、クラスルームから少し離れた場所にある為、急いで行かないと間に合わない事がある。
学園では、いつも、イロハとフィリベールさんの3人で行動している。フィリベールさんが、人間族の留学生の私達に付いている護衛だと言う事は周知の事実らしく、3人いつも一緒に居ても、何かを言われるような事はなかった。
時々、令嬢に声を掛けられたりするフィリベールさんだけど、そのお誘いを受ける様子もなかった。婚約者もいないし、恋人がいるようにも見えない。
竜族は長生きをするから、人間のように早くから婚約者を決めたりはしないそうで、学生で婚約者が居ると言う事の方が珍しいらしい。
ー後3ヶ月程で、ハロルド様の誕生会だー
竜王国に留学中の私には、招待状なんて届かないだろうけど…。
「何か…心配事でも?」
「えっ!?」
心配そうな顔をしているフィリベールさん。
「あ、少し考え事をしてただけです。」
「そう?なら良いけど…。何かあったら、いつでも相談してくれたら良いから。」
「ありがとうございます。」
笑顔でお礼を言うと、ギュッ─と、眉間に皺を寄せられた。何故か、いつも私が笑うと眉間に皺を寄せられるのだ。私の笑顔は、とてつもなく不細工なんだろうか?と、最初の頃は地味にショックを受けていたりしたけど、それも最近では慣れた。何故そんな顔をされるのか理由は分からないし、返答が怖くて訊く事もできないけど、嫌がられたり嫌われている感じではないから、これも、緊張しているから─と、思う事にした。
ーイロハが笑った時は、そんな顔にはならないけどー
なんて事には気付いていない──事にしている。
まぁ、その事以外では、フィリベールさんはいつも優しい。
「リーナは、今日も放課後は図書館に行くの?」
「うん。イロハは、今週も王城に泊まりだよね?」
「そうなの。今週は魔法の訓練をしてくれるみたいで!とっても楽しみなの!」
イロハは、聖女としての勉強や訓練をする為、週末は泊まりがけで王城へと行っている。その為、今日の授業が終われば、王城からの迎えとしてやって来る護衛のアラスター様と一緒に登城し、そして、私は図書館へと向かう。
「あの…フィリベールさん、私は大丈夫なので、図書館に付き合ってもらわなくても……」
「毎回言うけど、俺も本を読む事は好きだから気にしないで欲しい。それに…俺が居ない時にエヴェリーナに何かあったら……」
「ふふっ。いつも…同じ事を言い合ってますね。ごめんなさい。もう、何も言いませんけど、もし他に何かあるなら言って下さいね。」
「あぁ……分かった。」
窓際にあるテーブルのある席に向かい合って座る。そこで、フィリベールさんは窓際の壁に背を向けて本を読み、私はテーブルの上に何冊かの資料を広げてから、先週の続きの本を読み始めた。
この大陸の成り立ちから始まり、アルクシェリア女神の紀伝を読み進め、今は竜族の歴史などを調べている。
この大陸が創世されてから、アルクシェリア女神の遣い龍として大陸を治めている黒龍。その黒龍の色は、やはり唯一無二の色のようだ。なら、いつもあの場に居た真っ黒な竜が、その黒龍だと言う事…なんだろうか?
ーあれ?そもそも、黒龍って……何歳?ー
❋エールを頂き、ありがとうございます❋
٩(*ˊᗜˋ*)و✧*。✧*。
慣れない1人での生活で、色々大変な事もあったけど、イロハやニノンさんにたくさん助けられながら、それはそれで楽しい日々を送れている。
イロハはすごかった。大病を患う前は、働いていた両親を助ける為に、10歳の頃からご飯を作ったりしていたそうで、竜王国にやって来てからも、時間があれば自分で料理をしていると言う。それは、寮生活が始まっても変わらず、時々私も作った料理を食べさせてもらうけど、それがまた…とっても美味しい。
そんなイロハだけど、お菓子作りは苦手なようで、作れる種類は少ないけど、お菓子だけは私の方が上手に作れる。だから、私がお菓子を作ってイロハにあげると、いつも喜んで食べてくれる。あまりにも喜んでくれるから、お菓子作りがより楽しくなって、今、少しずつ作れる種類をこっそり…増やしているところだ。
と、イロハとは仲良く楽しくやっている。
そして、竜人や獣人達とは…と言うと──
「イロハ、エヴェリーナ、おはよう!今日も可愛い!」
「イロハ、エヴェリーナ、これ美味しいから食べてみて!」
「エヴェリーナ、イロハ、今日の放課後、一緒にケーキを食べに行かない?」
「エヴェリーナ、イロハ、今日のランチに一緒にサンドイッチ食べない?」
イロハと私は、とっても……可愛がられている。
“孫を可愛がる祖父母”若しくは、“姪を可愛がるおじ、おば”の様な感じで……。
やっぱり、人間族のイロハと私は小さくて可愛く見えるそうで、庇護欲?が刺激されているのだと思う。
「エヴェリーナ、イロハ、そろそろ移動しないと、時間がギリギリになる。」
「「そうだった!」」
声を掛けてくれたのは、私達の護衛でもあるフィリベールさん。
次の授業は別館に移動しての授業で、クラスルームから少し離れた場所にある為、急いで行かないと間に合わない事がある。
学園では、いつも、イロハとフィリベールさんの3人で行動している。フィリベールさんが、人間族の留学生の私達に付いている護衛だと言う事は周知の事実らしく、3人いつも一緒に居ても、何かを言われるような事はなかった。
時々、令嬢に声を掛けられたりするフィリベールさんだけど、そのお誘いを受ける様子もなかった。婚約者もいないし、恋人がいるようにも見えない。
竜族は長生きをするから、人間のように早くから婚約者を決めたりはしないそうで、学生で婚約者が居ると言う事の方が珍しいらしい。
ー後3ヶ月程で、ハロルド様の誕生会だー
竜王国に留学中の私には、招待状なんて届かないだろうけど…。
「何か…心配事でも?」
「えっ!?」
心配そうな顔をしているフィリベールさん。
「あ、少し考え事をしてただけです。」
「そう?なら良いけど…。何かあったら、いつでも相談してくれたら良いから。」
「ありがとうございます。」
笑顔でお礼を言うと、ギュッ─と、眉間に皺を寄せられた。何故か、いつも私が笑うと眉間に皺を寄せられるのだ。私の笑顔は、とてつもなく不細工なんだろうか?と、最初の頃は地味にショックを受けていたりしたけど、それも最近では慣れた。何故そんな顔をされるのか理由は分からないし、返答が怖くて訊く事もできないけど、嫌がられたり嫌われている感じではないから、これも、緊張しているから─と、思う事にした。
ーイロハが笑った時は、そんな顔にはならないけどー
なんて事には気付いていない──事にしている。
まぁ、その事以外では、フィリベールさんはいつも優しい。
「リーナは、今日も放課後は図書館に行くの?」
「うん。イロハは、今週も王城に泊まりだよね?」
「そうなの。今週は魔法の訓練をしてくれるみたいで!とっても楽しみなの!」
イロハは、聖女としての勉強や訓練をする為、週末は泊まりがけで王城へと行っている。その為、今日の授業が終われば、王城からの迎えとしてやって来る護衛のアラスター様と一緒に登城し、そして、私は図書館へと向かう。
「あの…フィリベールさん、私は大丈夫なので、図書館に付き合ってもらわなくても……」
「毎回言うけど、俺も本を読む事は好きだから気にしないで欲しい。それに…俺が居ない時にエヴェリーナに何かあったら……」
「ふふっ。いつも…同じ事を言い合ってますね。ごめんなさい。もう、何も言いませんけど、もし他に何かあるなら言って下さいね。」
「あぁ……分かった。」
窓際にあるテーブルのある席に向かい合って座る。そこで、フィリベールさんは窓際の壁に背を向けて本を読み、私はテーブルの上に何冊かの資料を広げてから、先週の続きの本を読み始めた。
この大陸の成り立ちから始まり、アルクシェリア女神の紀伝を読み進め、今は竜族の歴史などを調べている。
この大陸が創世されてから、アルクシェリア女神の遣い龍として大陸を治めている黒龍。その黒龍の色は、やはり唯一無二の色のようだ。なら、いつもあの場に居た真っ黒な竜が、その黒龍だと言う事…なんだろうか?
ーあれ?そもそも、黒龍って……何歳?ー
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