魔法使いの恋

みん

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余話

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*結婚式の前夜のパルヴァンの森にて*


こんばんは、ハルです。

私は今、ディとセオとゼンお父さんと4人で、パルヴァンの森に来ています。
“結婚式前夜に何をしているのか?”と言うと─

「ハルは来なくても良かったんだぞ?式の準備で色々と疲れてるだろう?」

と、私を気遣ってくれるのはお父さん。確かに、この半年はバタバタと忙しかったし、ここ3日程はゆっくり寝てもいないけど──

「ヴィーの為だから、最後迄母親としてできる事は全部したいの。」

「そうか、分かった。でも、無茶はするなよ?」
「そうですよ、母上。母上が倒れたり…万が一にも怪我なんてしたら、それこそヴィーが気に病みますからね?」
「ふふっ、怪我なんて…しないわ。」

ー護りはチート級ですからね!?ー

でも、セオが優しい子に育って嬉しい限りです。


私達が森に来た理由は、穢れが溜まっていないか、魔物や魔獣が現れていないか─の確認をする為である。
明日はヴィーの結婚式。そこに魔獣や魔物が現れたりでもしたら大変だ─と言う事で、4人で最終確認をしに来たのだ。

「まぁ、昼間にティモスとリディとロンが確認しているから、問題無いと思うけど。兎に角、サッと確認して早く帰ろう。」

ディの言葉で、4人それぞれが確認する為に森の中へと入って行った。










「特に問題無し」

2時間程歩き回り、問題無しと確認ができた。

「それじゃあ、帰────」

と、お父さんが言い掛けた時、4人一斉に上空へと意識を向ける。
そこには、の空が飛べる魔獣─ワイバーン。

「ちっ─飛べる魔獣は厄介だな」

何て言っているお父さんだけど、とっても嬉しそうな顔をしている。

「お祖父様、どうしますか?」

セオもとても楽しそうだ

「………」

ディだけは……何故か私を見て笑っている。

ーディには私の気持ちがバレバレなんですね!?ー

「戒めの拘束」
「「えっ!?」」

ポツリと呟いた言葉に、セオとお父さんがショック?を受けたような声を上げるけど──気にしない!!

ザッ─と、水色の光と共にバラの蔦のようなモノが一気に上空へと伸びて行き、ワイバーンに絡みついたかと思うと一気に引き摺り下ろし──一瞬にしてそのワイバーンは魔力を吸い取られ、地上に落ちる前に霧散した。

「「………」」

「ハル……お疲れ様……くくっ…」

何故か、ディは苦笑しているけど……これも気にしない!

「あ、ミントグリーンの魔石!これで、シリウス様にピアスが作れるわ!」

ー息子になるシリウス様にも、護りの魔力をこめたピアスを作ろうと思っていたから、丁度良かったー

なんて思ってニコニコしている横で、セオの顔が引き攣っているのは何故?と思いながらも、私達4人は邸へと帰った。









*ゼン視点*


『戒めの拘束』

ハルは、相変わらずの魔法使いだった。久し振りのワイバーン。

ー俺が……りたかったー

「………」

ハルとユイにそっくりな、可愛いヴィーは俺達の手から巣立ち、シリウスの元へと飛び立って行った。ハルにもエディオルが居る。セオも、これからもっと良い騎士になるだろう。

ー俺が護らなくても…大丈夫だろうー






そうして、ヴィオラの結婚式から1ヶ月後。

『グレン様を追い掛ける』

とだけ言い残し、ゼンもまた、物見遊山な旅に出て行った。



一つ判明した事。ゼンが旅立つ前、何となくこっそり ハルをしてみると──

 魔力 MAX
 レベル MAX
 
これは想定内だったが

 攻撃力 0 
(但し、魔物、魔獣に対して MAX)


「…………」

どうやら、ハルは、魔獣、魔物に対してだけは……最強の武人にレベルアップしたようだ。







*エディオル視点*


「その魔石で、シリウスにピアスを作るのか?」

「シリウス様も、私達の息子になるでしょう?なら、ヴィーの為にも、護りの魔力をこめたピアスでも作ろうかな─って、前から探してたの。この魔石の色、シリウス様の瞳の色によく似てるよね?」

と、ニコニコしながら、そのミントグリーンの色をした魔石を撫でているコトネ。
俺ともコトネとも違う色をしている魔石が──

ー何とも気に喰わないー

「コトネ…」
「何?ディ───えっ!?」

“ヤバい!”と言う顔をしたコトネ。逃げようとする前に、コトネの腰に手を回して引き寄せる。

「えっ!?何で!?ディ、分かってる!?明日はヴィーの結婚式だからね!」

「勿論分かってる。だから──寝ようか?」

そう言って、深いキスをしながら、コトネの手の中にあった魔石を取り上げてテーブルの上に乗せて、俺はコトネを抱き上げて寝室に入って行った。

『ディの馬鹿!』

と涙目で訴えられても……可愛いだけしかないと言う事を、そろそろ理解した方が良いのに─と思いながら、コトネをベッドの上に下ろした。







*セオ視点*


本当に、父は母が好き過ぎるし、母は鈍感で天然過ぎる。父の目の前で、ミントグリーンの魔石を嬉しそうに見つめたりして、シリウスの名を出せば──

「明日…母上は……んだろうか?」

流石の父も、明日はヴィーの結婚式だと分かっているから……手加減はする……よな?

「………」

恋愛結婚をした父と母。あまり詳しくは知らないけど、結婚する迄、本当に色々あったらしく、父の母への執着?や溺愛ぶりは本当に半端無い。ミヤ様でも『エディオルさんは…仕方無いなかもしれないわね。』と言う位だ。
政略結婚故に、両親がギスギスしているとか、愛人が居るとか聞いたりすると、俺は幸せだな─と思う。

ー見ていられない程、母が気の毒な時もあるけどー

兎に角─と、ルナを呼んで、母特製の回復ポーションを用意して、明日の朝一に母に飲ませるようにお願いすれば、ルナは苦笑しながらソレを受け取った。




翌日の朝

「えっと……セオ、ありがとう…」

と、顔を真っ赤にした母にお礼を言われた。

母は、相変わらず可愛らしい人である。














❋これにて完結となります。最後迄お付き合いいただき、ありがとうございました❋
(人˘︶˘*)*。+







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