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壱拾陸
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「まさか、サクラの方が先に結婚するとは思わなかった。」
「私も思わなかったわ。」
ここは隣国の王城敷地内にある、王太子宮の一室。そこで、一週間後に結婚式を控えてやって来たウォーランド王国の王女サクラ。
実は─
隣国で2年前に行われた、ジークフラン様の息子─レグラス様の立太子の式に参列したサクラ。その時、レグラス様の息子であるライリー様とサクラが仲良くなり、3ヶ月後そのまま婚約が結ばれ、それから2年後、今日から一週間後に結婚式を挙げることになった。
2年前、シリウス様のとの初デートからの両思いで、ルンルン気分で部屋迄戻って来ると、これまたルンルン気分のサクラが居て、お互いが「「どうしたの?」」と訊けば─
「ライリー様が可愛らしいの!」
ライリー様は25歳で、婚約者はまだ決まっていなかった。
「私、何とかライリー様との縁を掴むわ!」
と、サクラが言った通り、サクラは隣国に滞在中はなにかとライリー様と一緒に過ごしていた。そんなサクラの様子を、ミヤ様とリュウさんはニヤニヤと笑って見ていたけど、ランバルトが知ったら…泣くかもしれないよね…。
「会いに行くのは難しいかもしれないが、手紙は書くから。」
「はい。私も書きますね。」
隣国での立太子の式が無事に終わり、ウォーランド王国に帰る日の前日。お互い少しだけ時間ができて、城内にある庭園でシリウス様と話をする事ができた。その時初めて、“ヴィオラ”“シリウス様”と呼び合って、飛び上がる程嬉しかった。
次はいつ会えるのかな?─と寂しく思いながら帰国すると
「ん?いつでも会えるわよ?リュウの部屋とパルヴァンと蒼の邸が繋がっているから。」
と、サラッとお母様に言われて、それからも1週間に1回はシリウス様と会う事ができた。
ーチートな魔法使いのお母様に万歳!ー
『カルザイン殿とゼン殿が、どう出てくるか…』
と、シリウス様は心配?していたけど、私とシリウス様の婚約は、意外とすんなりと調った。きっと、お母様とミヤ様が最初から受け入れてくれていたからだろうと思う。お祖父様は分からないけど、お父様にしたら、お母様が居れば、お母様がシリウス様を認めているなら、反対する事はないと思っていた。
その代わり、婚約が調った次の日は、シリウス様は朝早くから、お父様とお祖父様の手合わせに付き合わされていたけど、昼食の時には3人笑いながら食べていたから、お父様もお祖父様も、シリウス様をちゃんと認めてくれたんだと思う。
何と言っても、サクラが隣国に嫁ぐ事になって、私もサクラの侍女兼護衛として付いて行ける事になったのは嬉しい事だった。ミヤ様には「これで安心してサクラを隣国へ送り出せるわ。」と喜ばれ、国王陛下には「嫌な事があったら、すぐに転移して帰って来て良いからな?」と、半泣き状態で、「何馬鹿な事を─」と、ミヤ様にガッツリとお説教を喰らっていた。
「サクラもだけど…ヴィー…ヴィオラも隣国で、シリウス殿と幸せにな。」
と、リオンから半泣き状態で送り出され、流石のミヤ様も、優しい顔でリオンの背中を撫でていた。
そうして、学園の卒業と共にサクラと私は隣国の王城へと住まいを移した。この移住の少し前に、ジークフラン様が退位し、レグラス様が王位を継いでいた為、結婚式迄の1年、サクラは王太子妃教育を受けながら過ごす事になった。そして、この1年で、サクラとライリー様は更に仲を深め、良い関係を築き上げている。
「ヴィー、明日、どこか行きたい所はある?」
「シリウス様!」
明日はお互いの休みが重なり、久し振りにデートをする事になった。
『これから結婚式があるし、その前も後も暫くはバタバタするから、その前に、シリウス様とデートでもして来なさい!』
と、サクラが気を使ってくれたのだ。シリウス様も、ライリー様から同じような事を言われたそうだ。
「シリウス様と一緒ならどこでも良いんですけど、マリーから聞いたお店のケーキが食べたいなと思って…。良いですか?」
「勿論。それじゃあ、その店に行く迄は……ネロを連れて、王都の外れにある庭園に行くか?」
『ネロも行って良いの?』
「勿論だ。あの庭園は、ネロのお気に入りだろう?」
『シリウス、ありがとうなの!』
と、ネロの尻尾がユラユラと揺れて、そんなネロをシリウス様が「よしよし」と、ネロの頭を優しく撫でている。そう。合同訓練の時は、ネロの声が聞こえなかったシリウス様だったけど、私との婚約が調ってから暫くすると、ネロやネージュの声が聞こえるようになったのだ。
そのネロは、サクラと私が隣国に来る時に、私と一緒に来てくれた。「ネージュやノアと離れてしまって寂しくないか?」と訊けば
『我なら隣国位なら散歩がてらにすぐ飛んで行けるし、そうでなくとも、主の転移魔法陣もある故、大丈夫だろう。』
と、サラッとネージュに言われた。
ネージュもチート─規格外の魔獣だった事を忘れてました。
少し、申し訳ない気持ちはあるけど、私はネロが一緒に来てくれた事は、素直に嬉しかった。
大好きなシリウス様とネロと3人で明日の話をする。
そんな時間が、穏やかで……幸せだ。
「私も思わなかったわ。」
ここは隣国の王城敷地内にある、王太子宮の一室。そこで、一週間後に結婚式を控えてやって来たウォーランド王国の王女サクラ。
実は─
隣国で2年前に行われた、ジークフラン様の息子─レグラス様の立太子の式に参列したサクラ。その時、レグラス様の息子であるライリー様とサクラが仲良くなり、3ヶ月後そのまま婚約が結ばれ、それから2年後、今日から一週間後に結婚式を挙げることになった。
2年前、シリウス様のとの初デートからの両思いで、ルンルン気分で部屋迄戻って来ると、これまたルンルン気分のサクラが居て、お互いが「「どうしたの?」」と訊けば─
「ライリー様が可愛らしいの!」
ライリー様は25歳で、婚約者はまだ決まっていなかった。
「私、何とかライリー様との縁を掴むわ!」
と、サクラが言った通り、サクラは隣国に滞在中はなにかとライリー様と一緒に過ごしていた。そんなサクラの様子を、ミヤ様とリュウさんはニヤニヤと笑って見ていたけど、ランバルトが知ったら…泣くかもしれないよね…。
「会いに行くのは難しいかもしれないが、手紙は書くから。」
「はい。私も書きますね。」
隣国での立太子の式が無事に終わり、ウォーランド王国に帰る日の前日。お互い少しだけ時間ができて、城内にある庭園でシリウス様と話をする事ができた。その時初めて、“ヴィオラ”“シリウス様”と呼び合って、飛び上がる程嬉しかった。
次はいつ会えるのかな?─と寂しく思いながら帰国すると
「ん?いつでも会えるわよ?リュウの部屋とパルヴァンと蒼の邸が繋がっているから。」
と、サラッとお母様に言われて、それからも1週間に1回はシリウス様と会う事ができた。
ーチートな魔法使いのお母様に万歳!ー
『カルザイン殿とゼン殿が、どう出てくるか…』
と、シリウス様は心配?していたけど、私とシリウス様の婚約は、意外とすんなりと調った。きっと、お母様とミヤ様が最初から受け入れてくれていたからだろうと思う。お祖父様は分からないけど、お父様にしたら、お母様が居れば、お母様がシリウス様を認めているなら、反対する事はないと思っていた。
その代わり、婚約が調った次の日は、シリウス様は朝早くから、お父様とお祖父様の手合わせに付き合わされていたけど、昼食の時には3人笑いながら食べていたから、お父様もお祖父様も、シリウス様をちゃんと認めてくれたんだと思う。
何と言っても、サクラが隣国に嫁ぐ事になって、私もサクラの侍女兼護衛として付いて行ける事になったのは嬉しい事だった。ミヤ様には「これで安心してサクラを隣国へ送り出せるわ。」と喜ばれ、国王陛下には「嫌な事があったら、すぐに転移して帰って来て良いからな?」と、半泣き状態で、「何馬鹿な事を─」と、ミヤ様にガッツリとお説教を喰らっていた。
「サクラもだけど…ヴィー…ヴィオラも隣国で、シリウス殿と幸せにな。」
と、リオンから半泣き状態で送り出され、流石のミヤ様も、優しい顔でリオンの背中を撫でていた。
そうして、学園の卒業と共にサクラと私は隣国の王城へと住まいを移した。この移住の少し前に、ジークフラン様が退位し、レグラス様が王位を継いでいた為、結婚式迄の1年、サクラは王太子妃教育を受けながら過ごす事になった。そして、この1年で、サクラとライリー様は更に仲を深め、良い関係を築き上げている。
「ヴィー、明日、どこか行きたい所はある?」
「シリウス様!」
明日はお互いの休みが重なり、久し振りにデートをする事になった。
『これから結婚式があるし、その前も後も暫くはバタバタするから、その前に、シリウス様とデートでもして来なさい!』
と、サクラが気を使ってくれたのだ。シリウス様も、ライリー様から同じような事を言われたそうだ。
「シリウス様と一緒ならどこでも良いんですけど、マリーから聞いたお店のケーキが食べたいなと思って…。良いですか?」
「勿論。それじゃあ、その店に行く迄は……ネロを連れて、王都の外れにある庭園に行くか?」
『ネロも行って良いの?』
「勿論だ。あの庭園は、ネロのお気に入りだろう?」
『シリウス、ありがとうなの!』
と、ネロの尻尾がユラユラと揺れて、そんなネロをシリウス様が「よしよし」と、ネロの頭を優しく撫でている。そう。合同訓練の時は、ネロの声が聞こえなかったシリウス様だったけど、私との婚約が調ってから暫くすると、ネロやネージュの声が聞こえるようになったのだ。
そのネロは、サクラと私が隣国に来る時に、私と一緒に来てくれた。「ネージュやノアと離れてしまって寂しくないか?」と訊けば
『我なら隣国位なら散歩がてらにすぐ飛んで行けるし、そうでなくとも、主の転移魔法陣もある故、大丈夫だろう。』
と、サラッとネージュに言われた。
ネージュもチート─規格外の魔獣だった事を忘れてました。
少し、申し訳ない気持ちはあるけど、私はネロが一緒に来てくれた事は、素直に嬉しかった。
大好きなシリウス様とネロと3人で明日の話をする。
そんな時間が、穏やかで……幸せだ。
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