魔法使いの恋

みん

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「えっと…そんなに圧を掛けないでくれるかなぁ?」

圧を掛けて来るレオンに、リュウは苦笑しながら両手を上げる。

「話の内容によるけど……それで?彼女達の事とは何だ?ゼンも呼ぶか?」

「大したことじゃないよ。今回連れて来た騎士の中に、第一騎士団の副団長が居るんだけど、そいつが結構な魔力持ちなんだ。それに、勘?が鋭いと言うか…そんな訳で、ひょっとしたら、ハルとヴィーに対して違和感を覚えるかもしれないなと思って。だからと言って、ハルやヴィーに対して何かしたり、言いふらしたりするような奴ではないけど。」

「……私達だけでは決められないから、ハルとゼンと相談してから決める。朝食が済んだ後、また1人で…いや。その第一騎士団副団長と2人て来てくれ。」

「了解。」

片手を上げて返事をすると、リュウは執務室から出て行き、レオンも手元にあった、今回派遣されて来た騎士達に関して書かれてある資料を手にして、ゼンとハルの居る別邸へと向かった。







「“シリウス=マーレン”─隣国のマーレン伯爵の次男で、現在第一騎士団副団長として、今回の合同訓練に参加している。資料を見る限りでは、魔力もそこそこあって、魔導師としてもやっていける程だそうで、他人ひとの魔力も敏感に感じ取る事ができるそうだ。しかも、魔法使いであるリュウとも接する機会が多いそうだから、同じ魔法使いであるハルとヴィーにも…敏感に反応するかもしれない。それを踏まえて…ハルは、どうしたい?」

朝早くにお祖父様に起こされて、お祖父様の執務室にやって来ると、レオン様からそんな話をされた。

「ハルはどう思う?どうしたい?」

「そうですねぇ……魔法での契約を交してもらう事が絶対条件にはなりますけど、この人には、私とヴィーが魔法使いである事を伝えても良いかと…。今回の合同訓練に大きな危険は無いと思いますけど、私達に対する違和感を持ったまま訓練を行う事はよくありませんからね。それに、何かあった時、知っているのと知っていないのとでは…大きく違って来ますから。お父さんは…どう思う?」

「俺は、ハルの意思を尊重する。ハルがそれで良いなら、俺は反対しないが……もし、そいつが魔法使いと知ってハルやヴィーに何かをするようなら…俺は俺でもらうだけだ。」

「「「………」」」

ー“もらう”って、何ですか?ー

とは、レオン様もお母様も私も訊けなかった。否─訊かない方が良い。

「─あ…あぁ、最悪そうなった場合の対処は…ハルとゼンに……一任するよ……」

と、レオン様は顔を引き攣らせながら答えた。












そして朝食後─

リュウさんが、そのシリウス=マーレン第一騎士団副団長様を連れて、レオン様の執務室へとやって来た。今度は、お母様とお祖父様と私も同席していて、部屋の壁側にはパルヴァンの騎士団長となったティモスさんと、お母様の侍女兼護衛のルナさんとリディさんも控えている。

「初めまして。私は第一騎士団の副団長を務めているシリウス=マーレンと言います。今回は、合同訓練を受けていただき、本当にありがとうございます。」

マーレン第一騎士団副団長様は、25歳と言う若さで副団長を務めている。
アッシュブラウンの短髪で、瞳の色はミントグリーンで、とても綺麗な色をしている。そして、右目の斜め下辺りに傷痕がある。

ー怪我をしたのが、目じゃなくて良かったー

私はマーレン様を見ながら、何となくそんな事を思っていた。すると──

「私の、この顔の傷痕が気になりますか?」

「え?あっ!すみません、不躾に見てしまって。いや、その…怪我をしたのが目じゃなくて良かったなぁ…なんて…って、怪我をした事自体が大変だったのに!変な事を言ってすみません!!」

ガバッと、その場で頭を下げて謝る。

ーうわぁ…初対面でやらかしてしまった!ー

頭を下げたまま焦っていると「ははっ─」と笑い声がした後「頭を上げて下さい」と、柔らかい声を掛けられた。

「あぁ、笑ってしまってすみません。そんな事を言われたのが初めてだったもので。たいていの人は、怖がったり憐れんだり……忌避めいた視線を向けられたりするので…なんだか新鮮?と言うか…面白くて…。」

と言いながらも、未だに少し笑っているところを見ると、怒ってはいないんだろう。

「あの、本当に、すみませんでした。」

取り敢えず、もう一度謝った後、改めてお互いの自己紹介と挨拶をしていき、皆の自己紹介が終わると、リュウさんが魔法での契約が必要となる話がある─と説明し、マーレン様の了承を得てから魔法での契約書にサインをした後、リュウさんがお母様と私の事についての話をしだした。










❋本作品を読んでいただき、ありがとうございます。皆様が、良い年越しを過ごせますように❋








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