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余話
子達の物語②
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お母様の魔法は、とても綺麗だ。
お母様が魔法を使う時は、淡い水色の光がキラキラと輝く。お父様がいつも身に着けているピアスと佩帯している剣に嵌め込まれている魔石の色と同じ色。お母様の色だ。私も同じ水色だけど、お母様の色より少し濃い水色。
「ユイ……ヴィーのお祖母さんの瞳の色とそっくりだよ。」
と、お祖父様が嬉しそうに教えてくれた事がある。そのお祖母様は私が生まれる前に亡くなってしまっていたけど、会ってみたかったなと思う。
「ハル、今日はここまでにしておこうか。」
「ティモスさん。はい、分かりました。」
今日は、パルヴァンの森に浄化をしに来ています。
完璧に浄化できるのは聖女様だけだけど、聖女様とはこの国には1人しかいない。なので、少しの穢れであれば魔導師達が穢れを浄化する。それでも手に負えなくなったり、酷くなったりした場合は聖女が浄化する事になる。
このパルヴァンの森は、魔法使いであるお母様が浄化を担当している。そして、私も魔法使いとして、お母様から色々と指導してもらっているところである。
「ヴィーもお疲れ様。今日は魔力が安定してて、いつもより浄化がうまくいったわね。」
「うん!今日は、何だか調子が良かったの!」
大好きなお母様に褒められると、本当に嬉しい!今日は一緒に来れなかったけど、会った時にはネロに自慢しよう!
ネロ─私と真名を交した黒のフェンリル。
その母親の白のフェンリルは、お母様と名を交わしている。
父親の天馬のノアは、お父様と名を交わしている。
『俺も名を交わせる魔獣が欲しい……』
と、何年か前にお兄様が呟いていた事もあったっけ。
「お疲れさん。今日は、ゼン殿がハルの好きなお菓子をいっぱい用意していたから、邸に戻ったら───」
と、話の途中でティモスさんが口を噤み、サッと周囲に視線を巡らせると同時に、ピリッと肌を突き刺すような空気が漂う。
そこに現れたのは─
「「ワーム?」」
直ぐに反応したのはティモスさん。お母様はサッと私を抱き寄せる。
「ティモスさんや騎士様達が居るから、大丈夫だろうけどね。」
と、優しい顔のお母様。
ティモスさんやパルヴァンの騎士を信頼しているんだろう。
ピクッ─と、私を抱き寄せているお母様の手が反応したかと思うと、ワームがもう一体現れた。
「ハル!」
「ティモスさん、こっちの事は気にしないで!大丈夫!」
ティモスさんの問い掛けに、お母様は笑顔で答える─って!?
ーえ!?リスなお母様には無理じゃないの!?ー
いくら魔法使いだと言っても─凄い魔法使いだって聞いているけど!いくらそんなお母様でも、1人でなんて!
「──っ!ヴィー!?」
ー怖い!ー
「ヴィー、落ち着いて!」
大きな大きな魔物が2体。それが恐ろしくて──
体に流れる魔力がグンッと溢れて暴れ出すのが分かった。
「母上!ヴィー!!」
遠くの方で、お兄様の声も聞こえるけど、暴れ出した魔力を抑える事ができない。
「ヴィー!」
何となく視界に入ったお母様。そのお母様が……既にワームを仕留めていた。
ーえ?ー
と、今の私の状況にはそぐわない思考に陥る。
ーあのワームを、あのお母様が一瞬で?え?ー
と、気持ちだけが落ち着いているのに、この─魔力暴走は収まる気配がなかった。
すると、何故か私の足下で魔法陣が展開された。
その魔法陣から、水色の光が一気に溢れ出し私を包み込む。
「ヴィー!」
と、焦って私に駆け寄って来るお兄様とお祖父様。とは反対に、何故かホッとしているお母様。そのお母様の顔を見て
ーあ、大丈夫かもー
と思った瞬間、私は急激な浮遊感に襲われた。
急激な浮遊感に襲われた瞬間、ギュッと目を閉じて自分で自分の体をギュッと抱き締めて蹲った。
その浮遊感が無くなり、ズンッと体に重み?を感じた後、ソロソロと目を開けると──
「───へっ??」
全く知らない場所に居た。
ついさっきまでは、パルヴァンの森に居た──よね?
なのに、ここは森ですらない。無機質な箱の様な形の建物の中の…階段の踊り場。階段の先には長い廊下が続いている。
「あれ?魔力暴走も…落ち着いてる?」
と言うか…あまり魔力の流れを感じない?
何が何やら分からず戸惑っていると
「───え?ハル…ちゃん????」
ーハルの名前!?ー
と、声がした方を振り返ると、そこには私の知らない、見た事が無いような服を来た女の人が2人立っていた。
「本当にビックリどころか!こんな事って有り得るの!?」
と、私の目の前で嬉しそうにしている2人の女性。
なんと────ミヤ様と一緒に召喚されて、ウォーランド王国を浄化した聖女様達だった。
フジ様とショウ様
この3人の聖女様の名前は、ウォーランド王国で知らない人は居ない。歴代最高で最強の聖女様達だ。
確かに、以前ミヤ様に見せてもらった“写真”と言うモノに写っていた2人に似ている。
どうやら、私は……お母様の住んでいた世界に転移してしまったようです。
お母様が魔法を使う時は、淡い水色の光がキラキラと輝く。お父様がいつも身に着けているピアスと佩帯している剣に嵌め込まれている魔石の色と同じ色。お母様の色だ。私も同じ水色だけど、お母様の色より少し濃い水色。
「ユイ……ヴィーのお祖母さんの瞳の色とそっくりだよ。」
と、お祖父様が嬉しそうに教えてくれた事がある。そのお祖母様は私が生まれる前に亡くなってしまっていたけど、会ってみたかったなと思う。
「ハル、今日はここまでにしておこうか。」
「ティモスさん。はい、分かりました。」
今日は、パルヴァンの森に浄化をしに来ています。
完璧に浄化できるのは聖女様だけだけど、聖女様とはこの国には1人しかいない。なので、少しの穢れであれば魔導師達が穢れを浄化する。それでも手に負えなくなったり、酷くなったりした場合は聖女が浄化する事になる。
このパルヴァンの森は、魔法使いであるお母様が浄化を担当している。そして、私も魔法使いとして、お母様から色々と指導してもらっているところである。
「ヴィーもお疲れ様。今日は魔力が安定してて、いつもより浄化がうまくいったわね。」
「うん!今日は、何だか調子が良かったの!」
大好きなお母様に褒められると、本当に嬉しい!今日は一緒に来れなかったけど、会った時にはネロに自慢しよう!
ネロ─私と真名を交した黒のフェンリル。
その母親の白のフェンリルは、お母様と名を交わしている。
父親の天馬のノアは、お父様と名を交わしている。
『俺も名を交わせる魔獣が欲しい……』
と、何年か前にお兄様が呟いていた事もあったっけ。
「お疲れさん。今日は、ゼン殿がハルの好きなお菓子をいっぱい用意していたから、邸に戻ったら───」
と、話の途中でティモスさんが口を噤み、サッと周囲に視線を巡らせると同時に、ピリッと肌を突き刺すような空気が漂う。
そこに現れたのは─
「「ワーム?」」
直ぐに反応したのはティモスさん。お母様はサッと私を抱き寄せる。
「ティモスさんや騎士様達が居るから、大丈夫だろうけどね。」
と、優しい顔のお母様。
ティモスさんやパルヴァンの騎士を信頼しているんだろう。
ピクッ─と、私を抱き寄せているお母様の手が反応したかと思うと、ワームがもう一体現れた。
「ハル!」
「ティモスさん、こっちの事は気にしないで!大丈夫!」
ティモスさんの問い掛けに、お母様は笑顔で答える─って!?
ーえ!?リスなお母様には無理じゃないの!?ー
いくら魔法使いだと言っても─凄い魔法使いだって聞いているけど!いくらそんなお母様でも、1人でなんて!
「──っ!ヴィー!?」
ー怖い!ー
「ヴィー、落ち着いて!」
大きな大きな魔物が2体。それが恐ろしくて──
体に流れる魔力がグンッと溢れて暴れ出すのが分かった。
「母上!ヴィー!!」
遠くの方で、お兄様の声も聞こえるけど、暴れ出した魔力を抑える事ができない。
「ヴィー!」
何となく視界に入ったお母様。そのお母様が……既にワームを仕留めていた。
ーえ?ー
と、今の私の状況にはそぐわない思考に陥る。
ーあのワームを、あのお母様が一瞬で?え?ー
と、気持ちだけが落ち着いているのに、この─魔力暴走は収まる気配がなかった。
すると、何故か私の足下で魔法陣が展開された。
その魔法陣から、水色の光が一気に溢れ出し私を包み込む。
「ヴィー!」
と、焦って私に駆け寄って来るお兄様とお祖父様。とは反対に、何故かホッとしているお母様。そのお母様の顔を見て
ーあ、大丈夫かもー
と思った瞬間、私は急激な浮遊感に襲われた。
急激な浮遊感に襲われた瞬間、ギュッと目を閉じて自分で自分の体をギュッと抱き締めて蹲った。
その浮遊感が無くなり、ズンッと体に重み?を感じた後、ソロソロと目を開けると──
「───へっ??」
全く知らない場所に居た。
ついさっきまでは、パルヴァンの森に居た──よね?
なのに、ここは森ですらない。無機質な箱の様な形の建物の中の…階段の踊り場。階段の先には長い廊下が続いている。
「あれ?魔力暴走も…落ち着いてる?」
と言うか…あまり魔力の流れを感じない?
何が何やら分からず戸惑っていると
「───え?ハル…ちゃん????」
ーハルの名前!?ー
と、声がした方を振り返ると、そこには私の知らない、見た事が無いような服を来た女の人が2人立っていた。
「本当にビックリどころか!こんな事って有り得るの!?」
と、私の目の前で嬉しそうにしている2人の女性。
なんと────ミヤ様と一緒に召喚されて、ウォーランド王国を浄化した聖女様達だった。
フジ様とショウ様
この3人の聖女様の名前は、ウォーランド王国で知らない人は居ない。歴代最高で最強の聖女様達だ。
確かに、以前ミヤ様に見せてもらった“写真”と言うモノに写っていた2人に似ている。
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