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赤い瞳
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ミヤさんが浄化を行う日の前日に、私はミヤさんとネージュと一緒にパルヴァン辺境地へとやって来た。
「その後、森に異変はないの?」
「私達の感覚では問題ありません─としか言えませんね。」
ミヤさんの質問に、お父さんは少し困り顔で答える。
「それは仕方無いわね。でも、取り敢えずは、穢れはまだ出てないのね。それだけでも良かったわ。」
それから、明日の予定を確認していると、私達の居る部屋に魔法陣が現れた。パアッと黒い光が溢れる。
ー黒い光…リュウだよね?ー
その光が収まると、思っていた通り、そこにはリュウが立っていた。
「ゼン、急に来てすまな───」
「本当に、急に来るのね?」
リュウがお父さんに声を掛けるのに被せるように、ミヤさんがニッコリと微笑む。
「───ミヤ…様…いや、あの、ゼンの執務室は…急な転移も…ある程度許可を…もらってるんです。本当に!」
「そう?なら、私からは何も言わないわ。で?何しに来たの?」
ーリュウ、今回は良かったね?ー
「あー…っと、今回の森の異変の事なんだが…サリス。」
と、リュウと一緒に魔法陣から現れたもう一人の人物が、リュウの後ろからスッと出て来た。
「ハルとゼンは初めてだろう?こいつはサリス。魔導師であり、俺の部下の一人なんだけど、呪術に詳しいんだ。だから、今回の事で何か助けになるかもと思って連れて来た。」
「サリスです。何かお手伝いができれば─と思って参りました。宜しくお願いします。」
サリスさんは、長い黒髪を後ろで一つに括っていて、前髪も少し長め。瞳も黒色。黒髪黒目─日本人みたいだからか、何となく既視感?親近感?がある。
「私は、ハルです。宜しくお願いしますね。」
「ハルさん──は…魔導師なんですか?」
「魔導師…ではなくて、魔力が…ちょっと強い位な感じかなぁ?」
「そうなんですね。」
ーちょっとどころじゃないけどー
と、ミヤとゼンとリュウは心の中で突っ込んだ。
*浄化当日*
「ここが…パルヴァンの…森。」
森へと入って行くと、サリスさんが嬉しそう?な顔で呟く。
今日の浄化は非公式の為、ミヤさんの護衛にティモスさんとルナさんとリディさんの3人が付いた。
ーうん。プチ三強が居たら安心ですー
そして、同行メンバーとして、私とネージュ、リュウとサリスさん。サリスさんが居る為に、私は表立って魔法使いとして動かないようにしている。ネージュも、いつもは皆にも伝わるように言葉を発しているけど、今は私だけに聞こえるようにしている。
『主、何か感じるか?』
『ううん。何も。今日の森も、落ち着いているように感じる。』
私とネージュは、口ではなく、お互い頭の中?で会話しながら森の中を進んで行き、呪術を掛けられただろう大樹のもとへと辿り着いた。
「この大樹に呪いが?」
「呪いかどうかは分からないけど、何かが纏わりついていた─感じですね。」
サリスの問いに、ハルがふんわりとした答えを返す。
「それで、サリス。この大樹を見て…何か気になる事とかはあるか?」
「見ているだけでは…分からないので、大樹に触ってみても良いですか?」
サリスさんが、パルヴァンの騎士であるティモスさん達に視線を向けて尋ねると、「どうぞ、自由に調べて下さい。」とティモスさんからの許可を得て、サリスさんが大樹へと近付いて行った。
────だめだ─────
ーえ?ー
また、あの声が頭の中に響いた。
視線だけで辺りを見回すけど、ネージュも誰も、その声に反応している感じがない。
ー気のせい?ー
視線を前に向け直すと、丁度サリスさんが大樹の前で立ち止まり、その大樹に手を触れたところだった。
ゾクリッ──
「──っ!?」
身体全体に嫌なモノが纏わり付くような感覚に襲われる。
「なっ…に…!?」
『主?どうした?』
私の異変を感じたのか、ネージュが心配そうに私を見上げて来る。
ドクドクと、心臓が嫌な音を立て始める。
「──めて……」
声を発したいのに、思う様に声が出ない。
『主?』
サリスさんが大樹に触れている所から、また、あの赤色のモヤが広がっていくのが見えた。
「────止めて!」
「「ハル!?」」
何とか発した言葉に、リュウとティモスさんが反応する。
「──っ…リュウ…サリスさんを…止めて!」
「サリスを?」
私が言った言葉の意味が分からない─と言った様に、リュウが眉間に皺を寄せて私を見ている。そんなリュウを横目に
「リュウ殿、そこを退いてくれ!」
ミヤさんの後ろに居たティモスさんが、一気にサリスさんに詰め寄って行く。
「──ティモスさ──駄目!」
ティモスさんがサリスさんに一撃を入れようと、魔術を展開させサリスさんへと放つけど
バシンッ
と跳ね返された。
「「「っ!?」」」
ティモスさんは、パルヴァンの騎士で武に関しては勿論のこと、魔術に関してもそれなりの腕を持っているのに、それを軽々と跳ね返された。
「その程度の魔術で…私に勝てると思ってるの?」
「サリス?」
サリスさんは、大樹に手を添えたまま私達の方へと顔を向けた。
そのサリスさんの瞳は──
大樹に纏わり付く赤色のモヤと、同じ色をしていた。
「その後、森に異変はないの?」
「私達の感覚では問題ありません─としか言えませんね。」
ミヤさんの質問に、お父さんは少し困り顔で答える。
「それは仕方無いわね。でも、取り敢えずは、穢れはまだ出てないのね。それだけでも良かったわ。」
それから、明日の予定を確認していると、私達の居る部屋に魔法陣が現れた。パアッと黒い光が溢れる。
ー黒い光…リュウだよね?ー
その光が収まると、思っていた通り、そこにはリュウが立っていた。
「ゼン、急に来てすまな───」
「本当に、急に来るのね?」
リュウがお父さんに声を掛けるのに被せるように、ミヤさんがニッコリと微笑む。
「───ミヤ…様…いや、あの、ゼンの執務室は…急な転移も…ある程度許可を…もらってるんです。本当に!」
「そう?なら、私からは何も言わないわ。で?何しに来たの?」
ーリュウ、今回は良かったね?ー
「あー…っと、今回の森の異変の事なんだが…サリス。」
と、リュウと一緒に魔法陣から現れたもう一人の人物が、リュウの後ろからスッと出て来た。
「ハルとゼンは初めてだろう?こいつはサリス。魔導師であり、俺の部下の一人なんだけど、呪術に詳しいんだ。だから、今回の事で何か助けになるかもと思って連れて来た。」
「サリスです。何かお手伝いができれば─と思って参りました。宜しくお願いします。」
サリスさんは、長い黒髪を後ろで一つに括っていて、前髪も少し長め。瞳も黒色。黒髪黒目─日本人みたいだからか、何となく既視感?親近感?がある。
「私は、ハルです。宜しくお願いしますね。」
「ハルさん──は…魔導師なんですか?」
「魔導師…ではなくて、魔力が…ちょっと強い位な感じかなぁ?」
「そうなんですね。」
ーちょっとどころじゃないけどー
と、ミヤとゼンとリュウは心の中で突っ込んだ。
*浄化当日*
「ここが…パルヴァンの…森。」
森へと入って行くと、サリスさんが嬉しそう?な顔で呟く。
今日の浄化は非公式の為、ミヤさんの護衛にティモスさんとルナさんとリディさんの3人が付いた。
ーうん。プチ三強が居たら安心ですー
そして、同行メンバーとして、私とネージュ、リュウとサリスさん。サリスさんが居る為に、私は表立って魔法使いとして動かないようにしている。ネージュも、いつもは皆にも伝わるように言葉を発しているけど、今は私だけに聞こえるようにしている。
『主、何か感じるか?』
『ううん。何も。今日の森も、落ち着いているように感じる。』
私とネージュは、口ではなく、お互い頭の中?で会話しながら森の中を進んで行き、呪術を掛けられただろう大樹のもとへと辿り着いた。
「この大樹に呪いが?」
「呪いかどうかは分からないけど、何かが纏わりついていた─感じですね。」
サリスの問いに、ハルがふんわりとした答えを返す。
「それで、サリス。この大樹を見て…何か気になる事とかはあるか?」
「見ているだけでは…分からないので、大樹に触ってみても良いですか?」
サリスさんが、パルヴァンの騎士であるティモスさん達に視線を向けて尋ねると、「どうぞ、自由に調べて下さい。」とティモスさんからの許可を得て、サリスさんが大樹へと近付いて行った。
────だめだ─────
ーえ?ー
また、あの声が頭の中に響いた。
視線だけで辺りを見回すけど、ネージュも誰も、その声に反応している感じがない。
ー気のせい?ー
視線を前に向け直すと、丁度サリスさんが大樹の前で立ち止まり、その大樹に手を触れたところだった。
ゾクリッ──
「──っ!?」
身体全体に嫌なモノが纏わり付くような感覚に襲われる。
「なっ…に…!?」
『主?どうした?』
私の異変を感じたのか、ネージュが心配そうに私を見上げて来る。
ドクドクと、心臓が嫌な音を立て始める。
「──めて……」
声を発したいのに、思う様に声が出ない。
『主?』
サリスさんが大樹に触れている所から、また、あの赤色のモヤが広がっていくのが見えた。
「────止めて!」
「「ハル!?」」
何とか発した言葉に、リュウとティモスさんが反応する。
「──っ…リュウ…サリスさんを…止めて!」
「サリスを?」
私が言った言葉の意味が分からない─と言った様に、リュウが眉間に皺を寄せて私を見ている。そんなリュウを横目に
「リュウ殿、そこを退いてくれ!」
ミヤさんの後ろに居たティモスさんが、一気にサリスさんに詰め寄って行く。
「──ティモスさ──駄目!」
ティモスさんがサリスさんに一撃を入れようと、魔術を展開させサリスさんへと放つけど
バシンッ
と跳ね返された。
「「「っ!?」」」
ティモスさんは、パルヴァンの騎士で武に関しては勿論のこと、魔術に関してもそれなりの腕を持っているのに、それを軽々と跳ね返された。
「その程度の魔術で…私に勝てると思ってるの?」
「サリス?」
サリスさんは、大樹に手を添えたまま私達の方へと顔を向けた。
そのサリスさんの瞳は──
大樹に纏わり付く赤色のモヤと、同じ色をしていた。
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