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(*,,˃ ᵕ ˂ )✰*。




















「あれ?クレイル様は、もう帰っちゃった?」

『魔導師なら、さっき帰ったが…何か用でもあったのか?』

今日もクレイルは蒼の邸にやって来て、ネロを思う存分ワシャワシャ撫で回していた。

「うーん、これ、多分クレイル様の物だと思うんだけど、玄関ホールに落ちてて…」

と、ハルの手には赤色の魔石のピアスがあった。

『ふむ。その魔石に込められている魔力は、魔導師の物だな。』

「やっぱり…。うーん…でも、また来るだろうから、その時迄預かってたら良いかなぁ?」

『良いのではない──』
『ネロがもっていくのー』

「『持って行く??』」

『それ、ネロがまどーしにもっていってあげるの!』

「えっと…でも、ネロはクレイル様が何処に居るか…分からないよね?」

『まどーしのまりょくはわかるから、だいじょーぶなの!』

と、ネロは耳をピンッと立てて、尻尾をフリフリさせて、ハルとネージュママを見上げる。

「えっと…それじゃあ…私と一緒に持って行こうか?」

『ネロ、ひとりでいけるの。だいじょーぶなの。』

「えっと……」

と、ハルが少し困ってネージュに視線を向けると

『ふむ。ネロも、そろそろ一人で動くのも良いかも知れぬな。行ってみるか?』

『いくの!』

「えっ!?一人で行かせるの!?だっ…大丈夫なの!?」

ハルはワチャワチャと慌てているけど、ネージュとネロにいたっては“なんてこと無い”と言う感じである。

『ただ、フェンリルこの姿のままだと危険故、人の姿の方が良いな。それと、主、すまないが…軽くで良い故、魔導師以外の人間からは認識し難いようには…できぬだろうか?』

「うーん…クレイル様以外かぁ…出来るかなぁ?じゃなくて、ネロの為ならやります!私なら…できる筈!!」

それから、何度かハルが色々と魔法を展開させ、最終的にはクレイル以外の人からは、ネロを認識し難くなる魔法を成功させた。

「チート…万歳!」

と、ハルは喜び

『流石は、我が主!』

と、ネージュは尻尾をユラユラさせながら笑った。











『ネロ、いってくるの!』

と、ハルに似た姿になったネロは、ハルが用意したポシェットにお菓子とピアスを入れて、クレイルの魔力の跡を辿るように蒼の邸から出て行った。




ー“ネロの、初めてのお使い”であるー















勿論、ハルのチートによるチートな監視─見守りを付けている。防御魔法を付与しているブレスレットを付けさせた。

そして─ハルとネージュも自身に認識阻害の魔法を掛けて、ネロと少し距離を空けて付いて行く事にしたのである。














ハルの心配を余所に、ネロは迷う様子もなくしっかりした足取りで歩みを進めて行く。クレイルが、既に王城敷地内の神殿迄帰ってしまっていたどうしようか?とハルが思っていると

『まどーしー!』

と、ネロが声を上げて走り出した。

「ん?」

と、ネロが走り出した先には、王城の門を潜り抜けようとしているクレイルが居た。

『まどーしー、ネロなのー』

「えっ!?ネロ!??」

ネロが、走ったままの勢いで、そのままクレイルに抱きついた。

「え?ネロ?どうしたの?え?まさか…一人…じゃないよね?」

『ひとりなの!おつかいなのー』

そう言いながら、ネロはクレイルから離れて、ポシェットからお菓子とピアスを取り出す。

『これ、まどーしのわすれものと、さしいれなの!』

「え?あ!ピアス!落としていたのか…全く気付いてなかった。ありがとう、ネロ。」

『ネロ、おつかい、ちゃんとできたの!』

と、“えっへん”顔をするネロ。

「く──っ…ネロ…もふもふの時もそうだけど…人の姿でもやっぱり可愛いな!!!懐かしいな!!」

と、クレイルがネロの頭をワシャワシャと撫で回す。

『ありがとうなのー』



と、2人できゃっきゃうふふとじゃれ合っている。



「えっと…孫?姪?を可愛がるお祖父ちゃん?伯父さん?みたいな?」

『そう…だな?』

と、ハルとネージュは顔を見合わせて苦笑した。


何はともあれ、こうして“ネロの初めてのお使い”は、無事に終わりを告げた。

















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