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第七章ー隣国ー
モフモフと昼寝
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『主、我のお気に入りの場所に行かないか?』
登城した次の日、ネージュのお誘いに一も二もなく「勿論!行く!」と答えた。
「こっちに戻って来てから、2人でゆっくりできてなかったでしょう?今日は、2人だけでゆっくりして来たら?」
とミヤさんが言うと、ネージュの尻尾が千切れそうな勢いでフリフリしだした。
「「………」」
ーウチの子が、素直過ぎて可愛い!!ー
「─そう…ですね。今日は、2人でゆっくりして来ます。」
「─うん。ゆっっくりして来てね?私は…帰って来てからモフらせて──っ!」
「了解です!行って来ます!」
転移魔法は使わず─本来の大きさに戻ったネージュの背中に跨がり、認識阻害と結界を張って、空を駆けてきました!ネージュは速かった。ノアに乗った時の様に景色を楽しむ間も…無かった…。
ー帰りはゆっくり飛んでもらおうー
兎に角、あっと言う間に王都の外れにある小さな森に到着した。パルヴァンの森とは違って、本当に小さいんだけど─
「何となく…雰囲気がパルヴァンの森に似てるね?」
『主もそう思うか?』
「うん。何て言うんだろう─懐かしい?感じがする。」
『我もそう思ったのだ。前の主─パルヴァンの巫女が居た時の森が、こんな感じだったのだ。主の好きなかすみ草もある。いつも、その近くの大樹の元で昼寝をしている。』
「そうなんだ。じゃあ、そこに案内してくれる?」
『勿論!』
そう言うと、ネージュはまた犬のサイズまで小さくなり、尻尾をフリフリしながら歩きだした。
ー後ろ姿も可愛いときた!!美魔女だけどー
「うわぁ─可愛い──っ!」
ネージュお気に入りの場所は、大きな木─大樹─があり、その周りには色んな色のかすみ草がたくさん生えていた。
「ピンクに水色に…赤色もあるの!?紫に…黒も!?」
ー何でもアリ過ぎない!?ー
「持って帰って、ドライフラワーとか…栞を作るのも良いかも。」
と思い、色んな色のかすみ草を摘もうとすると
『我も手伝う』
と言って、ネージュが擬人化した。
「……」
ーネージュ…本当に女─美魔女なんだよね…ー
思わずじーっと見てしまっていると
『どうした?主。我はどこか…おかしいのか?』
「──うっ」
ー美魔女が“コテン”をしてはいけません!危険ですよ!扉、開いちゃいますよ!?ー
「ううん。ネージュはどこもおかしくないよ。寧ろ綺麗しかないから!私、ちゃんと鍵を掛けるから大丈夫だよ!」
『?主はまだ、危ない扉を開けようとしているのか?聖女が言っていただろう?しっかり鍵を掛けろと─。開けてはならないのだろう?大丈夫なのか?』
と、真剣に心配そうな顔をしたネージュに…ギュッと抱き締められる。
ーいやいや…美魔女に抱き締められるとか…逆に、扉が開いてしまいますよ?ー
でも──
「ふふっ」と、思わず笑みが溢れた。
『主?』
「本当に…ネージュとゆっくりするのは…久し振りだね?色々あったけど…またネージュと一緒に居れて…嬉しいな─って。ネージュ、繋がりを断ってしまった後も、私を待っていてくれて…ありがとう。」
そう言って、私からもギュッとネージュに抱き付く。
『我の方こそ…我の我が儘で迷惑を掛けたし、間違いもした我と、また一緒に居る事を選んでくれて…ありがとう。』
ネージュもギュッとしながら、私の頭にスリスリと自分の頬を擦り付ける。
『ふむ。やっぱり主は小さくて可愛いな。皆が主に抱き付く理由が解るな。騎士も…そうなのか?』
「はい──!?き…き騎士って…え!?」
『どうした?主。あの騎士は、主に抱き付いたりしないのか?』
「だきっ!?え!?」
エディオル様が私を抱き─しめられた事…確かに…ある…けど…
「そ…そんな事知りません!!」
恥ずかしくて、ネージュの胸にグリグリと頭を擦り付ける。
ーくそうっ。立派な胸をお持ちで!!ー
『?』
そうして、暫くの間はネージュの腕の中でジタバタしたのでした。
「モフモフ~」
前から一度してみたかった事─それは
本来の大きさに戻ったフェンリルのモフモフに包まれて眠る事。
大樹の元で昼寝をする─と言い出したネージュにお願いしてみた。すると、ネージュは『勿論』と言って身体を大きくして、大樹の元に寝転んだ。そのネージュのお腹?横腹?に、私も体を預けるように寝転ぶ。
ーあぁ…あのねこバスもこんな感じなのかなぁ?気持ち良いなぁー
ポカポカと暖かくて、風もあまりない。木々の葉の隙間から丁度良い木漏れ日が降り注いでいる。
暫くすると、パタパタと動いていたネージュの尻尾がピタリと止まる。チラリとネージュの顔を覗き見ると─どうやら、寝たようだ。
「ふふっ─可愛い。」
そう囁いた私も、そのまま寝てしまった。
ゆらゆらとした浮遊感。それがとても心地良い。
フワリと懐かしい匂いに包まれて、何となくホッとする─と同時にキュッと胸が痛くなって、自分の手に触れた物をギュッと握りしめた。
「───ん?」
寝ていた意識が少しずつ浮上する。
ーモフモフ……じゃ無い?ー
「─ん?ネージュ?───って…えっ!?」
「あぁ、起こしてしまったか?」
ピシリッ─と、体が固まる。
「─────へ?」
私がギュッと握りしめていたのは─
エディオル様の服だった──
ーネージュは…何処に行ったの?ー
登城した次の日、ネージュのお誘いに一も二もなく「勿論!行く!」と答えた。
「こっちに戻って来てから、2人でゆっくりできてなかったでしょう?今日は、2人だけでゆっくりして来たら?」
とミヤさんが言うと、ネージュの尻尾が千切れそうな勢いでフリフリしだした。
「「………」」
ーウチの子が、素直過ぎて可愛い!!ー
「─そう…ですね。今日は、2人でゆっくりして来ます。」
「─うん。ゆっっくりして来てね?私は…帰って来てからモフらせて──っ!」
「了解です!行って来ます!」
転移魔法は使わず─本来の大きさに戻ったネージュの背中に跨がり、認識阻害と結界を張って、空を駆けてきました!ネージュは速かった。ノアに乗った時の様に景色を楽しむ間も…無かった…。
ー帰りはゆっくり飛んでもらおうー
兎に角、あっと言う間に王都の外れにある小さな森に到着した。パルヴァンの森とは違って、本当に小さいんだけど─
「何となく…雰囲気がパルヴァンの森に似てるね?」
『主もそう思うか?』
「うん。何て言うんだろう─懐かしい?感じがする。」
『我もそう思ったのだ。前の主─パルヴァンの巫女が居た時の森が、こんな感じだったのだ。主の好きなかすみ草もある。いつも、その近くの大樹の元で昼寝をしている。』
「そうなんだ。じゃあ、そこに案内してくれる?」
『勿論!』
そう言うと、ネージュはまた犬のサイズまで小さくなり、尻尾をフリフリしながら歩きだした。
ー後ろ姿も可愛いときた!!美魔女だけどー
「うわぁ─可愛い──っ!」
ネージュお気に入りの場所は、大きな木─大樹─があり、その周りには色んな色のかすみ草がたくさん生えていた。
「ピンクに水色に…赤色もあるの!?紫に…黒も!?」
ー何でもアリ過ぎない!?ー
「持って帰って、ドライフラワーとか…栞を作るのも良いかも。」
と思い、色んな色のかすみ草を摘もうとすると
『我も手伝う』
と言って、ネージュが擬人化した。
「……」
ーネージュ…本当に女─美魔女なんだよね…ー
思わずじーっと見てしまっていると
『どうした?主。我はどこか…おかしいのか?』
「──うっ」
ー美魔女が“コテン”をしてはいけません!危険ですよ!扉、開いちゃいますよ!?ー
「ううん。ネージュはどこもおかしくないよ。寧ろ綺麗しかないから!私、ちゃんと鍵を掛けるから大丈夫だよ!」
『?主はまだ、危ない扉を開けようとしているのか?聖女が言っていただろう?しっかり鍵を掛けろと─。開けてはならないのだろう?大丈夫なのか?』
と、真剣に心配そうな顔をしたネージュに…ギュッと抱き締められる。
ーいやいや…美魔女に抱き締められるとか…逆に、扉が開いてしまいますよ?ー
でも──
「ふふっ」と、思わず笑みが溢れた。
『主?』
「本当に…ネージュとゆっくりするのは…久し振りだね?色々あったけど…またネージュと一緒に居れて…嬉しいな─って。ネージュ、繋がりを断ってしまった後も、私を待っていてくれて…ありがとう。」
そう言って、私からもギュッとネージュに抱き付く。
『我の方こそ…我の我が儘で迷惑を掛けたし、間違いもした我と、また一緒に居る事を選んでくれて…ありがとう。』
ネージュもギュッとしながら、私の頭にスリスリと自分の頬を擦り付ける。
『ふむ。やっぱり主は小さくて可愛いな。皆が主に抱き付く理由が解るな。騎士も…そうなのか?』
「はい──!?き…き騎士って…え!?」
『どうした?主。あの騎士は、主に抱き付いたりしないのか?』
「だきっ!?え!?」
エディオル様が私を抱き─しめられた事…確かに…ある…けど…
「そ…そんな事知りません!!」
恥ずかしくて、ネージュの胸にグリグリと頭を擦り付ける。
ーくそうっ。立派な胸をお持ちで!!ー
『?』
そうして、暫くの間はネージュの腕の中でジタバタしたのでした。
「モフモフ~」
前から一度してみたかった事─それは
本来の大きさに戻ったフェンリルのモフモフに包まれて眠る事。
大樹の元で昼寝をする─と言い出したネージュにお願いしてみた。すると、ネージュは『勿論』と言って身体を大きくして、大樹の元に寝転んだ。そのネージュのお腹?横腹?に、私も体を預けるように寝転ぶ。
ーあぁ…あのねこバスもこんな感じなのかなぁ?気持ち良いなぁー
ポカポカと暖かくて、風もあまりない。木々の葉の隙間から丁度良い木漏れ日が降り注いでいる。
暫くすると、パタパタと動いていたネージュの尻尾がピタリと止まる。チラリとネージュの顔を覗き見ると─どうやら、寝たようだ。
「ふふっ─可愛い。」
そう囁いた私も、そのまま寝てしまった。
ゆらゆらとした浮遊感。それがとても心地良い。
フワリと懐かしい匂いに包まれて、何となくホッとする─と同時にキュッと胸が痛くなって、自分の手に触れた物をギュッと握りしめた。
「───ん?」
寝ていた意識が少しずつ浮上する。
ーモフモフ……じゃ無い?ー
「─ん?ネージュ?───って…えっ!?」
「あぁ、起こしてしまったか?」
ピシリッ─と、体が固まる。
「─────へ?」
私がギュッと握りしめていたのは─
エディオル様の服だった──
ーネージュは…何処に行ったの?ー
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