巻き込まれ召喚のモブの私だけが還れなかった件について

みん

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第七章ー隣国ー

隣国の内情

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「いや─1人…居るんだ。まとも過ぎて…有能過ぎて、前国王陛下が亡くなった後、辺境地に追いやられた前国王陛下の弟が─。そうだよね?──様。」

リュウは言いながら、“ジン”と呼ばれていたその人に視線を向けた。
その“ジン”さんは、暫くの間黙っていたが、フッと溜め息を吐き

「気付いて…いたのか…」

どうやら、本当に、この人は前国王の弟─現国王の叔父で“ジークフラン”と言う人らしい。

「エディオルも気付いていたよ?あまり知られてないけど…この国の王族は、独特の瞳をしてるからね。」

チラリと、ジンさんの瞳を見る。
色はこの世界によくある緑─エメラルドグリーンかな?でも…星屑が瞬くようにキラキラしている─ように見えなくもないかな?

「ハル─あんたって、何でも顔に出るんだな。ジンの瞳、キラキラしてるだろ?」

ーえ─私、そんなに顔に出てるの!?ー

「この国の王族は、その血を引き継いでいる者は、瞳がキラキラするんだよ。何故か成人してからだけどね。瞳の色は関係無いんだけど…ジンと前国王は瞳の色は違っていて、しかも、ジンの色は両親─前々国王両陛下の色とも違っていたんだ。勿論、前々国王両陛下と前国王陛下は、ジークフランは正真正銘自分の息子、弟と認めていたけどね。」

まさか─

「それに、現国王は側妃の第一王子。正妃は子を成す前に病死したんだ。ただ、ジークフラン殿下は優秀過ぎたんだ。現国王が立太子する前には、次期国王にはジークフラン殿下の方が相応しいと言われ出し、支持派も増えてしまって。そんな中での前国王陛下のと、ジークフラン殿下の追放だ。言わずもがな─だろ?」

「まさかとは思うけど…国王が辺境地に騎士を派遣したり、穢れを放ったらかしにしてる理由が…追放した叔父が居るから─じゃないわよね?」

とミヤさんが引き攣った顔で訊くと

「いや─アイツの事だ。おそらく、そんな理由だと思う。本当に…アイツはどうしようもない…クズだからね…。」

ーマジですか!?え?そんな人が国のトップに立って良いの?駄目だよね!?ー

と、ついついゲームの製作者だと言うリュウに視線を向けると

「この国は、俺は関与してないから。」

と、小声で言われた。

「信じられないわね─。まぁ…お国事情は分かったけど…それなら援軍?は無理よね?この国の穢れは後どれ位あるのか分かっているの?」

とミヤさんが訊くと、リュウがこの国の穢れの状況を説明してくれた。

ウォーランド王国から転移して来てから、その日のうちに辺境地へ更に転移し、比較的穢れの少ない場所から完璧ではないが、リュウが穢れを祓っていたそうだ。それを、2週間程毎日続けていたと─。勿論、辺境の領民や騎士達は、喜んで リュウ達を手助けをしてくれていたそうだ。

そんなこんなで、後は穢れが酷い辺境地三ヶ所が残り、ここがそのうちの一ヶ所だったらしい。

「じゃあ、残ってるヤバい所は、後二ヶ所だけって事ね?」

「そうだ。そのうちの一つは前に見た時には、ここより穢れが酷かったと思う。」

ーここより穢れが酷いと言う事は、ここよりも危険だって事だよね?ー

チラリとミヤさんを見ると、ミヤさんと目が合い、お互いコクリと頷いた。

「それじゃあ─サクッと行きましょうか?場所が分からないから、リュウには来てもらうけど…あなた達はどうする?」

と、ミヤさんがエディオル様とジンさんに視線を向ける。

「サクッと行くって…勿論、怪我も治してもらったし、行くと言うなら私も行くが…。」

「勿論、俺も行く。」

「分かったわ。それじゃあ─ハル、6人とネージュとだけど、大丈夫そう?」

「んー多分大丈夫だと思います。」

「……」

ティモスさんが若干引いてる気がするけど─気になるけど、気にしない事にします。

エディオル様とジンさんも「?」な顔をしているけど、それも放っておく。

「リュウ、私が魔力をから、転移魔法を展開させてくれる?」

「──は?って…この6人と一頭を?」

同じ魔法使いな筈なのに、リュウがギョッとした様な顔で私を見て来る。どうやら、リュウも転移はできるけど、何度でも、何人でも─とは無理なようだ。

「─そうか…ハルは格が違い過ぎる“チート”なんだな─。」

と、リュウが悟ったように呟いた。

兎に角、危なければ、また転移して戻ってくれば良いと言う事で、この6人とネージュとで行く事にした。





そして、転移の準備ができた時、ちょっと待ってて─と、リュウがここに居る辺境地の騎士様達の元へと足を向けた。

「ここに居る騎士達、くれ。─よね?」

と、リュウが訊くと

「──ハル?そんな人居ました?」

「──はい、ハルなんて人は居ませんでした。」

と、騎士達が次々と“ハルは居なかった”と言い出した。



それから、リュウが一言二言騎士達に声を掛け、こっちに戻って来た。

「今のは─何?」

「あ─記憶を少し弄ったんだ。」

「え?」

「ハルは─自分が魔法使いだって事、あまり知られたくないんだろう?」

「……」

リュウは本当に、人が変わったようだ─。










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