巻き込まれ召喚のモブの私だけが還れなかった件について

みん

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第六章ー帰還ー

ベラトリスの怒り

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「若い魔導師2人が、“魅了”に掛かっていました。城に掛けられていた…パルヴァンとの遮断の魔術ですが、それも、その魔導師2人が掛けていたようです。ただ、その2人が、2人だけでその様な大きな魔術を城全体に掛けると言うのは…不可能です。実際、“魅了”を解いた後にさせてみましたが…“遮断”の魔術の展開さえできませんでした。」


何もかもが悪い方へと流れ、何もかもがうまくいかない日々。それが、ベラトリス王女が視察から帰って来た時から、少しずつ変化していった。









「何故、王城に魔術が掛けられているのが判ったのか?ですか?」

「うん。魔導師は勿論の事、魔導師長でさえ気付かなかったからね?どうして、ベラは気付けたのかな?って。」

ここは、ベラトリス王女専用の庭にあるガゼボ。そこで、ベラトリス王女と婚約者であるイリス=ハンフォルトが久し振りに一緒にお茶をしていた。

「この─ハル様に頂いたブレスレットなんですけど…。いつも、何か良くない物があったり起ころうとすると、少し熱をもちますの。あぁ、“熱い”感覚ではなく─“温かい”感覚ですわ。まるで、私をから守ってくれるかの様に…。」

と、ソッとそのブレスレットに手をやり、優しい顔をするベラ─。

ーあぁ…ハル殿は、ベラも守ってくれていたのかー

帰城途中で起きた土砂崩れ。その場所の少し前、ベラが『少し嫌な感じがする─』と言って馬車を止め、予定にはなかった街で少し休憩をしていたらしい。それが無ければ─ベラはその土砂に埋もれていただろう。

は、王太子だけではなく、王女にも手を出したのだ─。証拠も揃いつつある。後は、言い逃れができないように完全に仕上げるだけだ。まぁ、王族が動かなくとも…パルヴァンは必ず動くだろう。


その前に─ベラとサエラ殿には…言っておいた方が良いだろう。国王陛下とランバルトとエディオルとゼン殿の許可は…もらったから。

「ベラ…と、サエラ殿にも聞いて欲しい話があるんだ。途中、色々言いたい事が出て来ると思うけど、取り敢えずは、落ち着いて最後まで話を聞いて欲しい。それで、言いたい事は、その話が終わったら必ず聞くから─。」

「?分かり…ましたわ。イリス様のお話を、お聞かせ下さいませ?」

少し首を傾げて、目をパチクリっと見開くベラ─は、本当に可愛い─。

そう思いながら、私は話し始めた。
















「お父様!一体どう言う事ですの!?」

「…」

ベラが…また本気で怒っているが─これは、想定内だ。

「何故ですの!?何故!ハル様だけが─っ!!」

それだけ言って、ベラはポロポロと涙を流した。

今、国王の執務室に居るのは─国王、宰相、魔導師長、ベラ、イリス、サエラ殿。

「ベラトリス…」

と、父である陛下がベラに声を掛けると、ベラはまたキッと陛下を睨むように見据えて─

「ハル様は、か弱く見えますけど─芯のしっかりした方です。守られるだけで喜ぶような…方ではありませんわ。ハル様は、何よりも…自分の知らないところで、自分のせいで他人が傷付いたりする事を嫌う方ですわ。それを─恋仲だと言われていたカルザイン様に…させたんですのね?一体…この国の貴族達は、どれだけハル様を苦しめたら分かるんですの!?ハル様は、貴族でも聖女でもなく、私達の都合で巻き込まれただけの、ただの女の子なんですよ!?」

「……」

「貴族院に押しきられた?そんな事は─言い訳にしかなりませんわ。“王命”と言われれば、カルザイン様は断れなかったでしょうね?結局は…ここでようやく前に進み始めた女の子と…その女の子を幸せにしたかった騎士を犠牲にして…国の平穏を手に入れようとしているだけなんですわ。そんなもの…“クソ喰らえ!”ですわ!!」

ー可愛いベラの口から“クソ”ってー

いや、どんな言葉が出て来ても可愛い─じゃなくて…


「ベラ、落ち着いて?」

と、ソッとベラの背中を慰める様に撫でる。

「っ!イリス様!す…すみません!みっともないところを─っ!」

「ははっ、みっともないなんて思ってないから大丈夫だよ?」

ー怒ったベラも可愛いからねー

コホン─

「ところで…そのエディオルと、ゼン殿からはまだ連絡は無いのですか?」

パルヴァン邸からの手紙がようやく届くようになった─かと思えば、その内容が、ハル殿が居なくなったと言う手紙だった。そのまま、ゼン殿はエディオルを連れてパルヴァン邸へと戻って行ったのが2日前だった。そろそろ連絡があっても─と思ったところで


「陛下─入りますよ─。」   

と、前触れもなくゼン殿が部屋に入って来たが─殺気は無いものの…ゼン殿の放つ威圧感が半端なかった。勿論、普段の似非スマイルも無い。

「─クソ魔法使いを連れて来た。これで、一気に…を終わらせる。」

そう言って、ゼン殿が連れて来たのは─

今、私達が必死になって、探していた隣国の魔法使いだった。








ーあ、ゼン殿の威圧に気を失ないそうなベラも…可愛いー






コホン─









*朝のうちに、見直し途中で、間違って公開してしまいました!(´□`; 三 ;´□`)
嬉しい?事に、既に読んでいる方がいるので、このまま公開しておきます(;><)なので、夜のいつもの時間の投稿はありません。後で、ちょっと修正をい入れるかもしれません💦すみません💦*
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