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第四章ー王都ー

グレン無双

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「で?いつから王家主催の夜会に、平民が参加できるようになった?」

「…いえ…。今でも王家主催の夜会には、平民は特別な事がない限りは参加できません。」

「ほう…。では、昨日の夜会は特別だったんだなぁ。成る程…。」

「「……」」


ここは、王城の東側にある騎士団専用の離宮内にある、第一騎士団長の執務室。

グレンはハルを見舞ってから、レオンと共にここにやって来た。今の第一騎士団団長はエディオルの父であるルイス=カルザイン。グレンがパルヴァン辺境伯を引き継ぐ時に、当時第一騎士団副団長を務めていたルイスを、団長にと指名したのだ。

「それで…ギデルは何と言っている?まだ拘束は続くのか?」

ルイスは、話がギデルに移ったのを、少しホッとしながら口を開いた。

「ギデルは駒以下ですね。アレが貴方に恨みを持っていた事は有名でしたから、良いように使われただけでしょう。アレを使って、捕えられているフェンリルが手に入るかどうか…ダメ元で、使い捨てできるアレで試した…と、言ったところです。もう、アレからは何も出てこないでしょうね。」

「そうか…。じゃあ…牢から出しても…問題無いな?」

「出す…ですか?」

ルイスは驚く。クレイルからの連絡では、今回被害に遭った薬師と言うのが、パルヴァンの三強─グレン、シルヴィア、ゼン─が娘の様に可愛がっている女性だと。今回の事件を聞き、滅多な事では領地から出て来ないグレンが、1日もかからず王都迄やって来たのだ。相当キレていると言う事は、想像するのに難くなかった。

ーだのにだー

「流石にお咎め無しは─」

と言い掛けて、ルイスはグレンの顔を見てハッと息を詰める。

「アレのパルヴァン辺境領への復帰を認める。一生涯…な。領外に出る事も赦さない。」

口はニヤリと嗤っているのに、目が全く笑っていないのだ。グレンは火の使い手の筈なのに、この部屋の温度が一気に下がったかのように、ルイスは寒気を感じてブルリと震えた。

「こ…国王陛下の許可が…下りれば…」

「勿論、それは承知している。これから国王陛下に謁見する。許可は…下りるだろう。」

の間違いでは?ー

と、もう少しで口から溢れそうになる言葉を呑み込む。

「…そこまで…その薬師殿の事を可愛がって…いるんですね…。その…今回…無事で良かったです。」

ルイスが何とか言葉にした後、グレンがスッと立ち上がる。

「その薬師はな…私とゼンの命の恩人でもあるんだよ?」

ルイスは、ヒュッと息を呑む。

「でもな─。その薬師を今回助けたのが…お前の息子のエディオルだったんだ。あぁ、助けてくれたのは…今回で二度目だったな。良い息子を持ったな。気に入った。」

ーエディオル!よくやった!!ー

ただただホッとしたルイスだったが

「ただ、緩んだ意識は絞めないといけないのは…解るな?明日、朝イチに訓練場に第一の騎士達を召集しておけ。1人残らずだ─いいな?」

ーあ、コレ、終わったー

返事も出来ず固まったルイスを横目に、グレンとレオンは、第一騎士団長の執務室を後にした。












「分かった─。ギデルの…パルヴァン辺境領への復帰を認めよう…。」


ここは勿論、国王陛下の執務室。

「理解の良い主君で嬉しい限りです。」

と、グレンはニヤ…ニッコリと笑う─様は、最強のボス然りの顔である。

ー馬鹿だとは思っていたが…ギデルも、とんでもない相手を敵に回したなー

と、ほんの少しだけ哀れんだ。





「ところで…王太子殿下は大丈夫なのですか?」

グレンの問い掛けに、国王はピクリと反応する。

「もう…パルヴァン迄届いているのか?」

「我らがパルヴァンの領地は、情報一つで命取りになりますからな。」

「そうか…そうだな…。」

先程とは違って、グレンは心配そうな顔をし、国王は眉間に皺を寄せて黙り込んだ。

ふっと息を吐き

「私にも…周りの者達も、どうなっているのか…分からないのだ…。いつも通りの時もあれば、おかしい時もある。それにだ。最近では、イリスもたまにおかしくなるようだ。」

「イリス?あぁ、ハンフォルト宰相の息子ですか。アレは確か…ベラトリス王女と婚約していたのでは?」

「そうだ。あの聖女様達とハル殿が還った後、速攻で婚約の申し入れをして来た。イリスは幼い頃からベラトリス一筋だったからね。特に問題なかったし、ベラトリスもそれを望んだ故、すぐに認めた。それなのに─だ。」

「他の側近達はどうなんですか?」

「側近だけで言えば…クレイル=ダルシニアンとエディオル=カルザインは全く問題は無い。他は…何人かの騎士もと、報告を受けている。」

「…王太子殿下だけ…ではなかったんですな…。」

国王とグレンは、思案するように黙り込む。そこに困った様にレオンが声を掛けた。

「すみません。私には何の話なのか…いえ、聞かない方が良いでしょうか?」

「いや─。グレン殿が把握しているのだ。レオン殿にも…把握しておいてもらおう。」

そう言って、国王陛下はレオンに話し始めた。













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