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後日談
残念な伯父
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❋新作になります❋
「ねーしゃまばっかりずるい」
「ロイドも一緒に良い?」
「勿論だとも!!」
シェイラ=アルム─6歳
ロイド=アルム─4歳
ミューとハルシオンの子供達である。
その2人に、愛情をたっぷり注ぎまくっているのは、言わずもがな─伯父であるジルベルト=アシュトレアである。
第二騎士団長であるジルベルトは、仕事が休みになる度に姪のシェイラと甥のロイドに会いにミュー達の邸へとやって来ては、愛情をたっぷりと注いでいる。これは、ミューもハルシオンも“想定内”の事だった。
愛情を注がれまくっているシェイラとロイドもまた、伯父のジルベルトにはとっても懐いていて、取り合いになる事はなく、姉弟2人で一緒になってジルベルトにくっついている。
今もまた、ジルベルトの膝の上に座って本を読んでいたシェイラのもとに、昼寝から起きてきたロイドが、「ねーしゃまばっかりずるい」と目をうるうるさせると、姉のシェイラは譲るのではなく、2人一緒にとお願いし、ジルベルトはそれを喜んで受け入れて、2人を膝の上に乗せているのだ。
そんな3人を見つめているのは、シェイラとロイドの母─ミュー。
勿論、ジルベルトの脳内では、ミューは今でもジルベルトにとっては“可愛い可愛い妹”のままである。
(ミューからは、冷たくあしらわれているけど)
*そんな日常の、とある日の夜*
「本当に、シェイラとロイドは、アシュトレア邸にお泊りに行ったのか?」
「本当に行きましたよ。“ジル伯父様を驚かせるの!”って言って……」
今日の午前中に、“明日は休みだから、またシェイラとロイドに会いに行く”と、ジルお兄様から先触れの手紙が飛ばされて来たのだけど、それを読んだシェイラが、「私とロイドで、ジル伯父様の家に行って、驚かせたいわ!それでね、そのまま泊まって来ても良い?」と、言い出したのだ。
ジル伯父様の家─そこは、一応、私の実家であり、シェイラとロイドにとっては祖父母の居る家になる。
「あの家には、2人を溺愛する人間しか居ないから、一番安全な場所なのかもな…。」
と、シオンは苦笑している。
ハルシオン=アルム
魔導師団長であり、王位継承権を放棄しているが、王弟でもある為、私達家族には常に“影”が付いている。
「アシュトレア家は武人勢揃いだし……ただ、一つ問題があるとすれば……シェイラとロイドの存在が、ジルお兄様の婚期を逃している─って事かな?」
「あー……それは、否定……できないな……」
ジルお兄様は、伯爵家嫡男で第二騎士団長を務めている男前──の筈なのに……。実際、すごくモテているのに、彼女すら居ない。何故?と訊かなくても理由は……分かりきっている。
休みの度に姪と甥との逢瀬を楽しんでいるから
「ねぇ…ジルお兄様は、結婚する気は…あるのかなぁ?」
「今は……ないだろうな……」
「─ですよね………」
ー本当に、ジルお兄様は……いつからこれ程の……残念な人になってしまったんだろうか?ー
「うーん…」と1人考えていると
「──と言う事で、今日はシェイラとロイドは居ないんだな?」
「そうですね。お泊り、楽しんでるとい─んっ!?」
と、私の横に座っていたシオンに、顎を掴まれた─と思ったら、そのままの勢いで、噛み付くようなキスをされ、そのまま座っていたソファーに押し倒された。
「折角の、久し振りの2人だけの時間に、他の男の話をするのは…俺を煽ってるのか?」
「は?他の男─って……ジルベルト様は私のおに──っ」
ー義理とは言え、兄であって、私にとっては残念でしかない人です!ー
と言う前に、またシオンの口で口を塞がれ、離れようとすればするほど、ソレが深くなるだけだった。
酸欠直前でようやく唇が離れて、開放された─と怠い体をシオンに預けていると
「子達を気にして、いつも声を我慢しているミューも可愛いけど……今日は…久し振りに、ミューの啼き声が聞けるな?」
「なき……」
ー終わったー
私の目の前には、黒曜石の様な黒い瞳に熱を灯して、色気をたっぷり含んだ笑みを浮かべるシオンが居る。こうなってしまえば、シオンは……私が何を言っても何をしても、その分私を追い詰めていくのだ。そして、途中から、何が何だか分からなくなって……気が付けば、シオンの腕の中で気を失ってしまうのだ。
ーでも、そんなシオンの事も好きなのだから、仕方無いー
「お手柔らかに、お願いします」
『お手柔らかに、お願いします』って、言ったよね?お願いしたよね?
また気を失って、目が覚めた時には…声が出なかった。
「いっぱい啼いたからな」
なんて言いながら、それはそれは嬉しそうに微笑むシオン。
ー結局は、この顔を見ると許せてしまうから、私も困ったものだよねー
「まだ時間も少し早いから…ゆっくり寝ると良い」
「──ん…」
ベッドの中で向かい合うように抱き寄せられて、そのまま背中を軽くトントン─と叩かれて、子供扱いされてる?と思いつつも、それが心地良くて、私はそのまま眠りに就いた。
その頃のアシュトレア邸は─
勿論、先触れなくサプライズで現れたシェイラとロイドだったが、家族総出で出迎えられ、「今日は何かのお祝いの日だったの?」と、シェイラが訊くぐらいの饗しを受け、夜はジャンケンに勝ったジルベルトが、シェイラとロイドと3人で一緒に寝たのだった。
「はぁ……2人は寝顔も可愛いな…」
と、また、ジルベルトの婚期が遠のいていくのであった。
❋お付き合い、ありがとうございました❋
「ねーしゃまばっかりずるい」
「ロイドも一緒に良い?」
「勿論だとも!!」
シェイラ=アルム─6歳
ロイド=アルム─4歳
ミューとハルシオンの子供達である。
その2人に、愛情をたっぷり注ぎまくっているのは、言わずもがな─伯父であるジルベルト=アシュトレアである。
第二騎士団長であるジルベルトは、仕事が休みになる度に姪のシェイラと甥のロイドに会いにミュー達の邸へとやって来ては、愛情をたっぷりと注いでいる。これは、ミューもハルシオンも“想定内”の事だった。
愛情を注がれまくっているシェイラとロイドもまた、伯父のジルベルトにはとっても懐いていて、取り合いになる事はなく、姉弟2人で一緒になってジルベルトにくっついている。
今もまた、ジルベルトの膝の上に座って本を読んでいたシェイラのもとに、昼寝から起きてきたロイドが、「ねーしゃまばっかりずるい」と目をうるうるさせると、姉のシェイラは譲るのではなく、2人一緒にとお願いし、ジルベルトはそれを喜んで受け入れて、2人を膝の上に乗せているのだ。
そんな3人を見つめているのは、シェイラとロイドの母─ミュー。
勿論、ジルベルトの脳内では、ミューは今でもジルベルトにとっては“可愛い可愛い妹”のままである。
(ミューからは、冷たくあしらわれているけど)
*そんな日常の、とある日の夜*
「本当に、シェイラとロイドは、アシュトレア邸にお泊りに行ったのか?」
「本当に行きましたよ。“ジル伯父様を驚かせるの!”って言って……」
今日の午前中に、“明日は休みだから、またシェイラとロイドに会いに行く”と、ジルお兄様から先触れの手紙が飛ばされて来たのだけど、それを読んだシェイラが、「私とロイドで、ジル伯父様の家に行って、驚かせたいわ!それでね、そのまま泊まって来ても良い?」と、言い出したのだ。
ジル伯父様の家─そこは、一応、私の実家であり、シェイラとロイドにとっては祖父母の居る家になる。
「あの家には、2人を溺愛する人間しか居ないから、一番安全な場所なのかもな…。」
と、シオンは苦笑している。
ハルシオン=アルム
魔導師団長であり、王位継承権を放棄しているが、王弟でもある為、私達家族には常に“影”が付いている。
「アシュトレア家は武人勢揃いだし……ただ、一つ問題があるとすれば……シェイラとロイドの存在が、ジルお兄様の婚期を逃している─って事かな?」
「あー……それは、否定……できないな……」
ジルお兄様は、伯爵家嫡男で第二騎士団長を務めている男前──の筈なのに……。実際、すごくモテているのに、彼女すら居ない。何故?と訊かなくても理由は……分かりきっている。
休みの度に姪と甥との逢瀬を楽しんでいるから
「ねぇ…ジルお兄様は、結婚する気は…あるのかなぁ?」
「今は……ないだろうな……」
「─ですよね………」
ー本当に、ジルお兄様は……いつからこれ程の……残念な人になってしまったんだろうか?ー
「うーん…」と1人考えていると
「──と言う事で、今日はシェイラとロイドは居ないんだな?」
「そうですね。お泊り、楽しんでるとい─んっ!?」
と、私の横に座っていたシオンに、顎を掴まれた─と思ったら、そのままの勢いで、噛み付くようなキスをされ、そのまま座っていたソファーに押し倒された。
「折角の、久し振りの2人だけの時間に、他の男の話をするのは…俺を煽ってるのか?」
「は?他の男─って……ジルベルト様は私のおに──っ」
ー義理とは言え、兄であって、私にとっては残念でしかない人です!ー
と言う前に、またシオンの口で口を塞がれ、離れようとすればするほど、ソレが深くなるだけだった。
酸欠直前でようやく唇が離れて、開放された─と怠い体をシオンに預けていると
「子達を気にして、いつも声を我慢しているミューも可愛いけど……今日は…久し振りに、ミューの啼き声が聞けるな?」
「なき……」
ー終わったー
私の目の前には、黒曜石の様な黒い瞳に熱を灯して、色気をたっぷり含んだ笑みを浮かべるシオンが居る。こうなってしまえば、シオンは……私が何を言っても何をしても、その分私を追い詰めていくのだ。そして、途中から、何が何だか分からなくなって……気が付けば、シオンの腕の中で気を失ってしまうのだ。
ーでも、そんなシオンの事も好きなのだから、仕方無いー
「お手柔らかに、お願いします」
『お手柔らかに、お願いします』って、言ったよね?お願いしたよね?
また気を失って、目が覚めた時には…声が出なかった。
「いっぱい啼いたからな」
なんて言いながら、それはそれは嬉しそうに微笑むシオン。
ー結局は、この顔を見ると許せてしまうから、私も困ったものだよねー
「まだ時間も少し早いから…ゆっくり寝ると良い」
「──ん…」
ベッドの中で向かい合うように抱き寄せられて、そのまま背中を軽くトントン─と叩かれて、子供扱いされてる?と思いつつも、それが心地良くて、私はそのまま眠りに就いた。
その頃のアシュトレア邸は─
勿論、先触れなくサプライズで現れたシェイラとロイドだったが、家族総出で出迎えられ、「今日は何かのお祝いの日だったの?」と、シェイラが訊くぐらいの饗しを受け、夜はジャンケンに勝ったジルベルトが、シェイラとロイドと3人で一緒に寝たのだった。
「はぁ……2人は寝顔も可愛いな…」
と、また、ジルベルトの婚期が遠のいていくのであった。
❋お付き合い、ありがとうございました❋
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ありがとうございます。
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(๑ ˊ͈ ᐞ ˋ͈ )=3ホッ
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ʷʷ((´艸`*))