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第四章ー私の還る場所ー
ハルシオンのお願いans③
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「ミューと初めて会った時、その目が印象的だった。勿論、10歳の子供だったから、恋愛的な意味は全く無かったけどね。」
くっつけていた額を離し、流れる涙をそっと払う。
「ミューは気付いてなかったと思うけど、俺、王都の街中でミシュエルリーナ嬢を見掛けた事があるんだ。その時に、その目がまた印象的に映ってね。それからずっと気になっていた。だから、あの夜会の時にミシュエルリーナ嬢に近付いたんだ。」
ミューは、その事に驚いたのか、パチパチと目を瞬かせた。その度に流れる涙は…やっぱり綺麗だなと思う。
「でも…それは…ミシュエルリーナ嬢の瞳に惹かれたのか…ミューの瞳に似ていたからなのか…今となっては、正直分からない。分からないけど…お前がどんな容姿をしていようと、俺はお前を見付けてまた好きになると思う。いや…好きになる自信がある。」
「魔導…しちょ…」
俺を呼び掛けて、少し俯きまた更に泣き出す。
「俺の名前…忘れたか?」
ミューの顎に手をあて、俯いた顔をクイッと持ち上げる。
顔を赤くして、泣いている。笑って欲しいのに…泣いているミューも、愛おしいと思う。
「ハ…ハルシオン…様です!!」
「…正解だ…」
そう言って、ミューの頬にキスを落とす。
勿論、ミューはまた固まった。
本当に可愛い。どうしたら良い?これは、もう俺の処に落ちたと思って良いのだろうか?嫌われては無いと思うが…。そう思いながら、もう一度ミューの頬にキスをすると、涙がピタリと止まった。
「なっ…なっ…で…2回もっ」
ミューが、キスをした頬に手をあて、真っ赤になって慌てだした。
「ん?何でと言われても…本当は…」
自分の頬に手を当てているミューの手の上に、俺の手を重ね、親指でそっとミュー唇をなぞる。
「本当は、ここにしたいんだけどね」
と、耳元で囁く。ミューが、俺のこの声に弱いのを知っている。どんな反応をするのかも知っている。俺しか知らないミュー。そう思うと、自然と笑みがこぼれる。
「俺に…落ちて来い。」
ミューが、ヒュッと息を飲んだ。それでも、お互い視線を反らさず合わせたまま。
「…もう…とっくの前に…落ちてますよ…」
「…え?」
今度は俺が驚く番だった。
「多分…私もあの夜会の時には…捕らわれ掛けていたんだと…思います。でも、魔導師長が好意を寄せているのは"ミシュエルリーナ"だと思っていたので…だから……っ!?」
気付いたら、ミューの唇にキスをしていた。触れるだけの…ほんの一瞬だけのキス。ぶつかった拍子にしちゃった!よりも一瞬の。それでも、ミューには大事だったようだ。
「なっ…なっ…!?」
口に手をあてながら焦りまくっている。
本当にどうしようか…今のミューの言葉で、最後の箍が外れてしまった気がする。あんなキスじゃ全然足りない。
焦ってるミューを無視して、「もう一度…」と言って、ミューの手を掴み口元から外し、軽いキスを繰り返す。
掴んでいるミューの手は、最初は強ばったように力んでいたが、フッと力が抜けた様に重みを増した。
「?」
不思議に思い、キスを止めてミューを見やると、顔を真っ赤にしてハフハフと息をしていた。
「もー…無理っ…無理で…す。許して下さい…死にます!」
ーだから、それ、逆効果だからなー
軽いキスだけで息ができないとか…死ぬとか…本当に可愛いしかないな。本当に、俺もヤバいな…。
掴んでいた手を離し、手を離されてホッとしたようなミューを、今度はギュッと抱き締めた。
「ふぇっ!?」
いつもの変な声を出す。それすらも愛おしいとか…これは、本当に俺なのか?と思ってしまう。
「俺の名前…間違える度にキスをしようか?」
「ーっ!?無理です!死にますからね!?」
必死の形相で叫んでから、その顔を隠すように俺の胸に自分の顔をギュッと押し付けて来た。
ーだから!それ!!ー
本当に、無自覚だからたちが悪い。
俺の胸に埋めているミューの頭の上に俺の頬を乗せ、長い溜め息を吐く。
「本当に、俺の忍耐力を誉めて欲しい…お前…覚悟しておけよ?」
「何の覚悟ですか!?そもそも、忍耐力って何っ!?」
顔を隠したままもがいている。
「とにかく、ミューは恋愛結婚がしたいんだろう?ならば、俺と恋愛すれば良い。もう、俺に落ちてるんだろう?それに…兄上もノリノリだしな。」
「兄…上…?」
ミューが、ピクリと肩を震わせて反応する。
「ミューがウォルテライト女神様の元に居た一週間、来なくていいと言われたにも関わらず、俺が毎日そこに足を向けていた事を知っている。兄上は…喜んでいる。意味、解る?」
ミューが、バッと顔を上げて俺を見上げる。
「なっ…ちょっ…えー!?」
そんな慌てるミューを見て、ついつい意地悪にニヤケそうになる。いや、実際ニヤケているんだろう。
「おそらく、ギリューもティアナもジルベルトも気付いてる。あぁ、ジルベルトに至っては、多分一族総出で動いているだろうな。」
ーあの一族は、"娘"と"妹"を得る為に必死だろうー
「外堀は埋まってる。逃げられないし、逃がさないからな。」
くっつけていた額を離し、流れる涙をそっと払う。
「ミューは気付いてなかったと思うけど、俺、王都の街中でミシュエルリーナ嬢を見掛けた事があるんだ。その時に、その目がまた印象的に映ってね。それからずっと気になっていた。だから、あの夜会の時にミシュエルリーナ嬢に近付いたんだ。」
ミューは、その事に驚いたのか、パチパチと目を瞬かせた。その度に流れる涙は…やっぱり綺麗だなと思う。
「でも…それは…ミシュエルリーナ嬢の瞳に惹かれたのか…ミューの瞳に似ていたからなのか…今となっては、正直分からない。分からないけど…お前がどんな容姿をしていようと、俺はお前を見付けてまた好きになると思う。いや…好きになる自信がある。」
「魔導…しちょ…」
俺を呼び掛けて、少し俯きまた更に泣き出す。
「俺の名前…忘れたか?」
ミューの顎に手をあて、俯いた顔をクイッと持ち上げる。
顔を赤くして、泣いている。笑って欲しいのに…泣いているミューも、愛おしいと思う。
「ハ…ハルシオン…様です!!」
「…正解だ…」
そう言って、ミューの頬にキスを落とす。
勿論、ミューはまた固まった。
本当に可愛い。どうしたら良い?これは、もう俺の処に落ちたと思って良いのだろうか?嫌われては無いと思うが…。そう思いながら、もう一度ミューの頬にキスをすると、涙がピタリと止まった。
「なっ…なっ…で…2回もっ」
ミューが、キスをした頬に手をあて、真っ赤になって慌てだした。
「ん?何でと言われても…本当は…」
自分の頬に手を当てているミューの手の上に、俺の手を重ね、親指でそっとミュー唇をなぞる。
「本当は、ここにしたいんだけどね」
と、耳元で囁く。ミューが、俺のこの声に弱いのを知っている。どんな反応をするのかも知っている。俺しか知らないミュー。そう思うと、自然と笑みがこぼれる。
「俺に…落ちて来い。」
ミューが、ヒュッと息を飲んだ。それでも、お互い視線を反らさず合わせたまま。
「…もう…とっくの前に…落ちてますよ…」
「…え?」
今度は俺が驚く番だった。
「多分…私もあの夜会の時には…捕らわれ掛けていたんだと…思います。でも、魔導師長が好意を寄せているのは"ミシュエルリーナ"だと思っていたので…だから……っ!?」
気付いたら、ミューの唇にキスをしていた。触れるだけの…ほんの一瞬だけのキス。ぶつかった拍子にしちゃった!よりも一瞬の。それでも、ミューには大事だったようだ。
「なっ…なっ…!?」
口に手をあてながら焦りまくっている。
本当にどうしようか…今のミューの言葉で、最後の箍が外れてしまった気がする。あんなキスじゃ全然足りない。
焦ってるミューを無視して、「もう一度…」と言って、ミューの手を掴み口元から外し、軽いキスを繰り返す。
掴んでいるミューの手は、最初は強ばったように力んでいたが、フッと力が抜けた様に重みを増した。
「?」
不思議に思い、キスを止めてミューを見やると、顔を真っ赤にしてハフハフと息をしていた。
「もー…無理っ…無理で…す。許して下さい…死にます!」
ーだから、それ、逆効果だからなー
軽いキスだけで息ができないとか…死ぬとか…本当に可愛いしかないな。本当に、俺もヤバいな…。
掴んでいた手を離し、手を離されてホッとしたようなミューを、今度はギュッと抱き締めた。
「ふぇっ!?」
いつもの変な声を出す。それすらも愛おしいとか…これは、本当に俺なのか?と思ってしまう。
「俺の名前…間違える度にキスをしようか?」
「ーっ!?無理です!死にますからね!?」
必死の形相で叫んでから、その顔を隠すように俺の胸に自分の顔をギュッと押し付けて来た。
ーだから!それ!!ー
本当に、無自覚だからたちが悪い。
俺の胸に埋めているミューの頭の上に俺の頬を乗せ、長い溜め息を吐く。
「本当に、俺の忍耐力を誉めて欲しい…お前…覚悟しておけよ?」
「何の覚悟ですか!?そもそも、忍耐力って何っ!?」
顔を隠したままもがいている。
「とにかく、ミューは恋愛結婚がしたいんだろう?ならば、俺と恋愛すれば良い。もう、俺に落ちてるんだろう?それに…兄上もノリノリだしな。」
「兄…上…?」
ミューが、ピクリと肩を震わせて反応する。
「ミューがウォルテライト女神様の元に居た一週間、来なくていいと言われたにも関わらず、俺が毎日そこに足を向けていた事を知っている。兄上は…喜んでいる。意味、解る?」
ミューが、バッと顔を上げて俺を見上げる。
「なっ…ちょっ…えー!?」
そんな慌てるミューを見て、ついつい意地悪にニヤケそうになる。いや、実際ニヤケているんだろう。
「おそらく、ギリューもティアナもジルベルトも気付いてる。あぁ、ジルベルトに至っては、多分一族総出で動いているだろうな。」
ーあの一族は、"娘"と"妹"を得る為に必死だろうー
「外堀は埋まってる。逃げられないし、逃がさないからな。」
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