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第三章ー浄化巡礼の旅ー
さようなら私の初恋
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*本日、2話目の投稿です。第三章最終話になります。宜しくお願いします*
「…美幸?」
今の私は…棚橋美幸。
自分でも内心驚いているが…
顔は自分では確認はできないが、今私が着ている服(高校の制服)や髪の長さから判断すると…恐らく、2人と最期に会った時の美幸の格好をしているようだ。
琢磨も雪も瞠目したまま固まっている。
「私はあの日、あっちの世界では死んでしまったけど、気が付いたら、この世界に生まれ変わっていたの。前世の事なんて、全く覚えていなかったのに…。それなのに、あなた達2人が召還されて…再会した事によって、前世を思い出した。」
琢磨がヒュッと息を飲み、雪の表情は変わらない。
「私は…2人がした事を許す事は…できないと思う。」
琢磨は、更に顔を歪ませた。
「琢磨が私の為に変わろうとした事は、嬉しいとは思うけど…私は…どの私でも…琢磨の気持ちには、もう何も応える事は…できない。」
そう言い切った時、2人の足元でゆっくり展開されていた魔法陣が完成し、そこから金色の光りがフワリフワリと舞い上がり始めた。
そう、転移が始まったのだ。
「美幸!ごめん!本当にごめん!許してもらおうなんて…思ってない!でも…信じてもらえないかもしれないけど、俺…本当に美幸の事が大切で…好きだったんだ!本当に好きだったんだ!」
ー泣くなんて…ズルいなぁー
フワリフワリと舞う金色の光で、2人の姿が見えにくくなって来る。声も段々遠くなっていく。
これで…最後なんだ…これで、もう二度と私達の人生が交わる事は…ないだろう。
「琢磨!私も…琢磨の事…本当に好きだったよ!さようなら!」
泣くもんか…琢磨の為になんて、泣いてやんない。これでもか!って位の笑顔で叫んだ。
金色の光の向こうに居る琢磨と目が合った。琢磨は、泣いているのに、嬉しそうに笑っていた。それが、最後に目にした琢磨の顔だった。
金色の光が、一気に上空へ舞い上がりそのまま霧散した。2人が立って居た所に展開していた魔法陣もそれと同時に消えた。
残ったのは、亀裂が無くなった大きな岩と、19人の魔導師、魔法使い、護衛達だけだった。
私の足元に展開していた、ウォルテライト女神様の魔法陣も役目を終えスッと消え…私は、"ミシュエルリーナ"に戻っていた。
自分の魔力が殆ど無いから、ミューになる事もできない。私の後ろに魔導師長が居るのも…分かっている。分かっているから…私はここから動けずにいる。
勿論、ここに居る他の魔導師達も、どうすればいいのか分からず立ち尽くしている。
ー考えるのが面倒くさい…あぁ…体が怠い…もう休んでも良いかなぁ?私、結構頑張ったよね?ー
そう思った途端、体から力が抜けて体が傾く。
「ミュー!」
ーさっきも思ったけど、魔導師長は、私がこの姿でも"ミュー"と呼んでくれるんだなぁー
倒れる衝撃を覚悟していたが、地面に倒れこむ前に、魔導師長に受け止められたようだ。
「ミュー、大丈夫か?辛いとは思うが、俺の魔力を流すから、取り敢えず今すぐにミューになれ。できるか?」
声を出すのも億劫で、コクリと首を縦に振る。
すると、魔導師長が私にゆっくりと魔力を流し始めた。暫く流してもらい、体全体に流れこんだところで自身に魔力変化の魔法を掛け、ミューに戻った。
「…ミュー、お疲れ様。後は俺に任せろ。お前は暫くの間休んでいろ。」
魔導師長の優しい声と、抱き留められている温もりも安心できて、私はそこで意識を手放した。
チャプン
チャプン
水の音がする
ー気持ちいいなぁー
ひんやりと冷たい水の中に居る様な感覚。
熱を持った身体には丁度良い。
アーシムに闇の魔力を体内に流し込まれ、重く怠くなった身体ーでも、今は気持ちが良い。
ここは…私は何処に居るんだろう?
いまいち思考が纏まらない。
『美幸!ごめん!本当にごめん!許してもらおうなんて…思ってない!でも…信じてもらえないかもしれないけど、俺…本当に美幸の事が大切で…好きだったんだ!本当に好きだったんだ!』
あぁ…そうだ…琢磨と雪が…あっちに還ったんだっけ…。
最後に好きだったんだって…言ってくれたんだっけ…。
最後に…笑顔の琢磨が…見られて…良かった。
笑顔で…さよならができて…良かった。
辛い事もあったけど…幸せな時もあった。
手を繋いで一緒に歩いて…琢磨が私の側に居てくれて優しく微笑んでくれて…琢磨から、色んな幸せを貰った。
私も…琢磨に幸せを返せていたんだろうか?返せてたら良いけど…
もう、私の事は忘れて…前に進んで欲しい。
『彼女を忘れる事なんてできないし、忘れたくない。』
琢磨は、そんな事を言っていたっけ…
馬鹿だなぁ…忘れて良いのに…
2人を許せないと言ったのは…本心だ。でも…2人にはこれから先、幸せになってもらいたいのも…本心だ。
好きだった…本当に好きだったから…
私も、好きだった気持ちは忘れられないだろう。
もう、二度と会う事、交わる事は無い人生…
自分の手で…選んだ路…
私の初恋だった…
ーさようなら、私の…初恋ー
「…美幸?」
今の私は…棚橋美幸。
自分でも内心驚いているが…
顔は自分では確認はできないが、今私が着ている服(高校の制服)や髪の長さから判断すると…恐らく、2人と最期に会った時の美幸の格好をしているようだ。
琢磨も雪も瞠目したまま固まっている。
「私はあの日、あっちの世界では死んでしまったけど、気が付いたら、この世界に生まれ変わっていたの。前世の事なんて、全く覚えていなかったのに…。それなのに、あなた達2人が召還されて…再会した事によって、前世を思い出した。」
琢磨がヒュッと息を飲み、雪の表情は変わらない。
「私は…2人がした事を許す事は…できないと思う。」
琢磨は、更に顔を歪ませた。
「琢磨が私の為に変わろうとした事は、嬉しいとは思うけど…私は…どの私でも…琢磨の気持ちには、もう何も応える事は…できない。」
そう言い切った時、2人の足元でゆっくり展開されていた魔法陣が完成し、そこから金色の光りがフワリフワリと舞い上がり始めた。
そう、転移が始まったのだ。
「美幸!ごめん!本当にごめん!許してもらおうなんて…思ってない!でも…信じてもらえないかもしれないけど、俺…本当に美幸の事が大切で…好きだったんだ!本当に好きだったんだ!」
ー泣くなんて…ズルいなぁー
フワリフワリと舞う金色の光で、2人の姿が見えにくくなって来る。声も段々遠くなっていく。
これで…最後なんだ…これで、もう二度と私達の人生が交わる事は…ないだろう。
「琢磨!私も…琢磨の事…本当に好きだったよ!さようなら!」
泣くもんか…琢磨の為になんて、泣いてやんない。これでもか!って位の笑顔で叫んだ。
金色の光の向こうに居る琢磨と目が合った。琢磨は、泣いているのに、嬉しそうに笑っていた。それが、最後に目にした琢磨の顔だった。
金色の光が、一気に上空へ舞い上がりそのまま霧散した。2人が立って居た所に展開していた魔法陣もそれと同時に消えた。
残ったのは、亀裂が無くなった大きな岩と、19人の魔導師、魔法使い、護衛達だけだった。
私の足元に展開していた、ウォルテライト女神様の魔法陣も役目を終えスッと消え…私は、"ミシュエルリーナ"に戻っていた。
自分の魔力が殆ど無いから、ミューになる事もできない。私の後ろに魔導師長が居るのも…分かっている。分かっているから…私はここから動けずにいる。
勿論、ここに居る他の魔導師達も、どうすればいいのか分からず立ち尽くしている。
ー考えるのが面倒くさい…あぁ…体が怠い…もう休んでも良いかなぁ?私、結構頑張ったよね?ー
そう思った途端、体から力が抜けて体が傾く。
「ミュー!」
ーさっきも思ったけど、魔導師長は、私がこの姿でも"ミュー"と呼んでくれるんだなぁー
倒れる衝撃を覚悟していたが、地面に倒れこむ前に、魔導師長に受け止められたようだ。
「ミュー、大丈夫か?辛いとは思うが、俺の魔力を流すから、取り敢えず今すぐにミューになれ。できるか?」
声を出すのも億劫で、コクリと首を縦に振る。
すると、魔導師長が私にゆっくりと魔力を流し始めた。暫く流してもらい、体全体に流れこんだところで自身に魔力変化の魔法を掛け、ミューに戻った。
「…ミュー、お疲れ様。後は俺に任せろ。お前は暫くの間休んでいろ。」
魔導師長の優しい声と、抱き留められている温もりも安心できて、私はそこで意識を手放した。
チャプン
チャプン
水の音がする
ー気持ちいいなぁー
ひんやりと冷たい水の中に居る様な感覚。
熱を持った身体には丁度良い。
アーシムに闇の魔力を体内に流し込まれ、重く怠くなった身体ーでも、今は気持ちが良い。
ここは…私は何処に居るんだろう?
いまいち思考が纏まらない。
『美幸!ごめん!本当にごめん!許してもらおうなんて…思ってない!でも…信じてもらえないかもしれないけど、俺…本当に美幸の事が大切で…好きだったんだ!本当に好きだったんだ!』
あぁ…そうだ…琢磨と雪が…あっちに還ったんだっけ…。
最後に好きだったんだって…言ってくれたんだっけ…。
最後に…笑顔の琢磨が…見られて…良かった。
笑顔で…さよならができて…良かった。
辛い事もあったけど…幸せな時もあった。
手を繋いで一緒に歩いて…琢磨が私の側に居てくれて優しく微笑んでくれて…琢磨から、色んな幸せを貰った。
私も…琢磨に幸せを返せていたんだろうか?返せてたら良いけど…
もう、私の事は忘れて…前に進んで欲しい。
『彼女を忘れる事なんてできないし、忘れたくない。』
琢磨は、そんな事を言っていたっけ…
馬鹿だなぁ…忘れて良いのに…
2人を許せないと言ったのは…本心だ。でも…2人にはこれから先、幸せになってもらいたいのも…本心だ。
好きだった…本当に好きだったから…
私も、好きだった気持ちは忘れられないだろう。
もう、二度と会う事、交わる事は無い人生…
自分の手で…選んだ路…
私の初恋だった…
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