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第二章
動き出す2人
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「18歳!?」
「はい。なので、タクマ様より七つ年下になりますね。」
「え?何?俺犯罪になる?いや…ここでは成人が16だったか?」
ボソボソと琢磨が何かを言ってるが、よく聞こえないのでスルーする。
訓練が終わり、訓練場から朱殷宮殿に戻る時に、琢磨に『女性に訊くのは失礼かもしれませんが…』と前置きされ、年齢を訊かれ『18歳です』と答えたら、目を大きく見開いて驚かれた。確かに、アルム国の人達は地球で言うと欧米人のような容姿をしている為、実際年齢より上に見えない事もない。琢磨の方こそ、25歳には見えない。もっと若く見えるのだ。
「それではタクマ様、次回の訓練は3日後となりますので、3日後の今日と同じ時間にまた宜しくお願いします。」
朱殷宮殿にたどり着き、私は瑠璃宮殿へ。琢磨は朱殷宮殿の自室へ行く為、次回の訓練の予定を伝えて琢磨と別れて瑠璃宮殿へ向かおうとした。
「あの、ミューさん!」
琢磨に背を向けた瞬間、呼び止められた。
「はい、何でしょうか?」
呼び止められたので、もう一度琢磨の方に体ごと向き直る。
「あーっと…。その、今度、時間があったら王都の街にでも一緒に行きませんか?」
ーえ?絶対に嫌だー
そんな事、ハッキリと口に出して言えないけど…。えーっと…取り敢えずは…
「すみません。おそらくですが…今回の浄化の旅が終わる迄は…難しいかもしれません…。」
これ、まるっきりの嘘ではない。私は今、本当に忙しいのだ。普段の魔導師としの仕事は勿論の事、その間に琢磨の魔法指導、帰還魔法陣の作成など、やることが山積みなのだ。
「そう…なんですか…」
琢磨があからさまにションボリ顔をする。捨てられた子犬のように…。そんなに街に行きたかったのかなぁ?
「タクマ様がどうしても行きたいようでしたら、誰か案内役を頼んでおきましょうか?」
「いや!それは大丈夫です!」
琢磨が両手を振って断って来る。
「?そうですか?なら良いですけど…。それでも困ったら言って下さい。誰か用意しますので。それでは、これで失礼します。」
と、今度こそはと、私は瑠璃宮殿へ足を向けた。
「はぁ…全然伝わってない…間接的なのは駄目なのか…」
と、琢磨が項垂れていた事は私は全く知らなかった。
「ミュー、お昼を取った後、王都の外れにあるキリアンの森に行くぞ。」
「え!?今日ですか?」
朱殷宮殿から瑠璃宮殿に戻り、今日の訓練の報告をしに魔導師長の執務室に入室してすぐに言われた。王都の外れと言っても転移魔法で移動できる為、全く問題は無いのだけど…
「あ、キリアンの森と言う事は…第二騎士団が視察の下見に行った際、魔獣が出たとか言っていた所ですか?」
「そうだ。王都近辺で、どの位悪しき魔素や淀みが出ているのか…確認して欲しいと上からのお達しだ。」
「では…その結果によって、出立の日が決まると?」
「おそらく。もともと早目に出立する予定だったが、更に早まる可能性もある。」
「分かりました。魔導師長はもうお昼は食べましたか?」
「私もまだだ。魔導師長の執務室に2人分のお昼を持って来るように頼んだから、一緒に食べるぞ。」
「うえっ!?」
ーここで、2人で一緒に食べる!?何で!?ー
ビックリして変な声を出してしまったし!!
「くくっ…何だ?その返事は?あぁ…まさかだが…嫌だと言う事ではないな?」
ー嗤ったくせに!何で威圧を掛けて来るんですか!?泣いて良いですか!?ー
「まさか!嫌なんてことはないですよ!光栄過ぎてビックリしただけですよ!!ありがとうございます!!」
何だかよくわからないけど、お礼を言っておく。
「くくっ…。」
あ…魔導師長が…笑ってる。あの日と同じ様に…笑ってる。良かった。もう…囚われていないのだろうか?前に…進めたのだろうか?良かった…と思うのに…
ーチクリー
と胸が痛むのは…何て自分勝手な感情なんだろう。
「はいはーい!お昼をお持ちしましたよー!」
と、元気良くティアナがお昼を持ってやって来た。
「ティアナ!久し振りね!」
落ち掛けた気持ちを持ち上げ、久し振りに会えたティアナに意識を向けた。
「本当に久し振りね。ミューは元気だった?朱殷宮殿では、結構派手にやったらしいわね?また、時間ができたら色々聞かせてね!」
ティアナが私をギュウギュウ抱きしめながら、更に上目遣いでお願いして来る。
「ティアナさん?ちょっと可愛い過ぎますよ?私、拐って帰っちゃいますよ?」
「うむ。ミューに拐われるのは、吝かではないわ!ただ、私、これからまた一仕事があるのよ。本当に!また時間作るから!!」
「えー!?今から一緒にここでお昼食べて行かない?」
食べる時間位あるだろうと思い誘ってみたのだけど
「…ミューさん…私、それだけはできないわ。ごめんなさい。」
ちょっとひきつった様な顔をしながら断られ、『じゃあ…またね!』と、2人分のお昼ご飯だけを置いていそいそと部屋から出て行ってしまった。
ーギリュー執務室ー
「ギリューさん。」
「何だい?ティアナさん。」
「いつからあんな楽しい状況に?」
「私だって知らないよ!先日驚いたばかりだ!」
「女の私がミューに抱きついただけでも威嚇されましたけど?」
「女で良かったな。威嚇だけで良かったと思うように…」
ギリューとティアナは、遠い目をしながらミューの安全を祈った。
「はい。なので、タクマ様より七つ年下になりますね。」
「え?何?俺犯罪になる?いや…ここでは成人が16だったか?」
ボソボソと琢磨が何かを言ってるが、よく聞こえないのでスルーする。
訓練が終わり、訓練場から朱殷宮殿に戻る時に、琢磨に『女性に訊くのは失礼かもしれませんが…』と前置きされ、年齢を訊かれ『18歳です』と答えたら、目を大きく見開いて驚かれた。確かに、アルム国の人達は地球で言うと欧米人のような容姿をしている為、実際年齢より上に見えない事もない。琢磨の方こそ、25歳には見えない。もっと若く見えるのだ。
「それではタクマ様、次回の訓練は3日後となりますので、3日後の今日と同じ時間にまた宜しくお願いします。」
朱殷宮殿にたどり着き、私は瑠璃宮殿へ。琢磨は朱殷宮殿の自室へ行く為、次回の訓練の予定を伝えて琢磨と別れて瑠璃宮殿へ向かおうとした。
「あの、ミューさん!」
琢磨に背を向けた瞬間、呼び止められた。
「はい、何でしょうか?」
呼び止められたので、もう一度琢磨の方に体ごと向き直る。
「あーっと…。その、今度、時間があったら王都の街にでも一緒に行きませんか?」
ーえ?絶対に嫌だー
そんな事、ハッキリと口に出して言えないけど…。えーっと…取り敢えずは…
「すみません。おそらくですが…今回の浄化の旅が終わる迄は…難しいかもしれません…。」
これ、まるっきりの嘘ではない。私は今、本当に忙しいのだ。普段の魔導師としの仕事は勿論の事、その間に琢磨の魔法指導、帰還魔法陣の作成など、やることが山積みなのだ。
「そう…なんですか…」
琢磨があからさまにションボリ顔をする。捨てられた子犬のように…。そんなに街に行きたかったのかなぁ?
「タクマ様がどうしても行きたいようでしたら、誰か案内役を頼んでおきましょうか?」
「いや!それは大丈夫です!」
琢磨が両手を振って断って来る。
「?そうですか?なら良いですけど…。それでも困ったら言って下さい。誰か用意しますので。それでは、これで失礼します。」
と、今度こそはと、私は瑠璃宮殿へ足を向けた。
「はぁ…全然伝わってない…間接的なのは駄目なのか…」
と、琢磨が項垂れていた事は私は全く知らなかった。
「ミュー、お昼を取った後、王都の外れにあるキリアンの森に行くぞ。」
「え!?今日ですか?」
朱殷宮殿から瑠璃宮殿に戻り、今日の訓練の報告をしに魔導師長の執務室に入室してすぐに言われた。王都の外れと言っても転移魔法で移動できる為、全く問題は無いのだけど…
「あ、キリアンの森と言う事は…第二騎士団が視察の下見に行った際、魔獣が出たとか言っていた所ですか?」
「そうだ。王都近辺で、どの位悪しき魔素や淀みが出ているのか…確認して欲しいと上からのお達しだ。」
「では…その結果によって、出立の日が決まると?」
「おそらく。もともと早目に出立する予定だったが、更に早まる可能性もある。」
「分かりました。魔導師長はもうお昼は食べましたか?」
「私もまだだ。魔導師長の執務室に2人分のお昼を持って来るように頼んだから、一緒に食べるぞ。」
「うえっ!?」
ーここで、2人で一緒に食べる!?何で!?ー
ビックリして変な声を出してしまったし!!
「くくっ…何だ?その返事は?あぁ…まさかだが…嫌だと言う事ではないな?」
ー嗤ったくせに!何で威圧を掛けて来るんですか!?泣いて良いですか!?ー
「まさか!嫌なんてことはないですよ!光栄過ぎてビックリしただけですよ!!ありがとうございます!!」
何だかよくわからないけど、お礼を言っておく。
「くくっ…。」
あ…魔導師長が…笑ってる。あの日と同じ様に…笑ってる。良かった。もう…囚われていないのだろうか?前に…進めたのだろうか?良かった…と思うのに…
ーチクリー
と胸が痛むのは…何て自分勝手な感情なんだろう。
「はいはーい!お昼をお持ちしましたよー!」
と、元気良くティアナがお昼を持ってやって来た。
「ティアナ!久し振りね!」
落ち掛けた気持ちを持ち上げ、久し振りに会えたティアナに意識を向けた。
「本当に久し振りね。ミューは元気だった?朱殷宮殿では、結構派手にやったらしいわね?また、時間ができたら色々聞かせてね!」
ティアナが私をギュウギュウ抱きしめながら、更に上目遣いでお願いして来る。
「ティアナさん?ちょっと可愛い過ぎますよ?私、拐って帰っちゃいますよ?」
「うむ。ミューに拐われるのは、吝かではないわ!ただ、私、これからまた一仕事があるのよ。本当に!また時間作るから!!」
「えー!?今から一緒にここでお昼食べて行かない?」
食べる時間位あるだろうと思い誘ってみたのだけど
「…ミューさん…私、それだけはできないわ。ごめんなさい。」
ちょっとひきつった様な顔をしながら断られ、『じゃあ…またね!』と、2人分のお昼ご飯だけを置いていそいそと部屋から出て行ってしまった。
ーギリュー執務室ー
「ギリューさん。」
「何だい?ティアナさん。」
「いつからあんな楽しい状況に?」
「私だって知らないよ!先日驚いたばかりだ!」
「女の私がミューに抱きついただけでも威嚇されましたけど?」
「女で良かったな。威嚇だけで良かったと思うように…」
ギリューとティアナは、遠い目をしながらミューの安全を祈った。
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