47 / 105
第二章
実力
しおりを挟む「〖魔法:空間転移〗ッ!」
じぃちゃんが見せてくれた手品が実は魔法と言う事実を、ばぁちゃんに教えてもらった僕は、この世界でも魔法が使える事を知った。
それならば僕も魔法が使えるはずだ…と、必死に魔法を使おうとする。
だが、何度やっても魔法は発動しない…だだ、それでも諦めずに魔法を使おうとすると何度目かは分からないが、身体から何かが失われた感覚に陥る。
この感覚は魔法を使った時みたいな…だが、残念ながら魔法が発動した気配がない。
「クソッ!やっぱり失敗した!!」
そう、この世界に戻って直ぐ、今までの事は夢だったのか?と思い、魔法を使おうとした。
その結果、何度試しても魔法は使えなかったのである。
「あらあらあら、正義さんは普通に使えていたのに、何が悪いのかしら…。」
僕とじいちゃんの違い…本当に、何の違いがあるのか僕が知りたいくらいだ。
「そう言えば、結局、私は使わずじまいだったのだけど…。」
と言って、ばぁちゃんは家の中へと入っていってしまう。
それから暫くして、ばぁちゃんが戻ってきた。
その、ばぁちゃんの手には、何だか不思議な感覚のする小さな箱があった。
「ばぁちゃん、それは?」
「これはね、正義さんが私にプロポーズしてくれた時に、私にくれた物よ。」
「へ~、じぃちゃんが…。」
正直、プロポーズした時の物と言われても興味はない。
それがあれば、プリン達の所へ戻れると言うのなら話は別だが…。
「でもね?私は正義さんに幸せを、いっぱい貰ったから…これは夢幻ちゃんにあげるわ。
多分、夢幻ちゃんに必要な物だと思うの。」
そう言って渡された、小さな箱を、恐る恐る開ける。
するとそこには…見た事もない石が付いているリングである。
「これは…指輪だよね?」
何処から見ても指輪だが、何故か当たり前の事を聞いてしまう。
まぁ、プロポーズの時と言うのだから、指輪を贈るのは至極当然の事だと思う。
「そうね、確か…正義さんが言うには『願いの指輪』と言っていたかしら?
その指輪は、持ち主の本当に叶えたい願いを、一度だけ叶えてくれるそうよ。
まぁ、私は願いは正義さんが全部叶えてくれたから試した事無いのだけど…。」
そう言って、僕にウインクをする、ばぁちゃん…。
何度か若い頃の写真を見た事があるが、このタイミングでそんな事をされたら…ばぁちゃんが、もし若かったら、僕もじぃちゃんみたいに、恋に堕ちていたかも知れない。
「って、待った!!そんな大事な物、貰えないよ!」
気付くのに遅れたが、ばぁちゃんは使わなかったとは言え、プロポーズと一緒に渡されたのであれば、これは婚約指輪である。
つまり、これは…ただの指輪などではなく、じぃちゃんの形見と言う事でもある。
そんな大事な物を、『はい、そうですか』と簡単に貰う訳にはいかない品物だった。
「いいえ、それは違うわ。
今の、夢幻ちゃんだから、私は上げたいの…だって、夢幻ちゃんは男の子じゃない!
だったら、夢幻ちゃんは、惚れた女の子を幸せにしてあげる義務があるわ。
そう、正義さんが、私を幸せにしてくれた様に!」
まさかのダメだし…だが、ばぁちゃんの言う通りである。
じぃちゃんなんか、惚れた女の為に、世界まで救ったのだから…。
しかも、貴重な『願いの指輪』を使わせる事なく、幸せにしたと言われたら、じいちゃんと、ばあちゃんの孫である僕が、自分の惚れた女の一人や二人…いや、正確には四人だが…幸せに出来ないでどうするって話だ。
「あ、あ~ぁ、もう!分かったよ、ばぁちゃん!!」
僕はそう言うと、ばあちゃんから『願いの指輪』を受け取ると指に填める。
そして…あちらの世界に行く事を強く…強く強く願った。
【…ジ…ジジ…聞こ……?…てるかな?】
【お~い、聞こえますか~?】
「…その声は…もしかして先生?」
「あら?今の声、私にも聞こえたわ。」
どうやら、先生の声は、何故か僕だけではなく、ばぁちゃんにも聞こえている様だ。
【良かった、繋がった!】
【何故か、急に強い力を感じたから逆探知してみたんだけど、やっぱり貴方だったのね!】
「え、えぇ…でも、何で先生が?」
【何でって…こっちの世界に来たいって強く望む声が聞こえたから?】
「え?それって…。」
【えぇ、来れるわよ?でもね?
今度は私が召喚する訳じゃないから二度と帰れないし、今度こそ死んだらそれでお終い…それでも良いの?】
そう言われて、僕は思わず、ばぁちゃんの顔を見る。
もし、このまま向こうの世界に行く事になれば、もう、ばぁちゃんや家族とも会う事が出来なくなると言われたのだ。
それでも、それでも僕は…。
「もう、夢幻ちゃんったら、何を迷ってるフリをしてるの!
貴方は、世界の理さえ、その意思で覆したじゃないの!」
「え?僕が、世界の理を?」
「そうよ、プリンちゃんが死んだ時、それでも夢幻ちゃんは諦めず世界の理を捻じ曲げ、彼女を救ったのよ?
だったら、今度も、そんな『世界の理』なんて捻じ曲げちゃえば良いのよ!」
【ちょッ!?何言ってんの貴女!】
【私、あの後、綻び直すのに三日間も徹夜しまくったんだからね!】
「あ~もう、五月蝿いわね!お姫様で聖女だった私が許す!夢幻ちゃん、やっちゃえッ!!」
【だから、煽らないでってば~!】
ばぁちゃん、それは傲慢とも言える理屈ですよ?
だが、あの一件で先生から何か言われそうだと思っていたけど、何も無かったのはそう言う事があった訳か…。
「ププッ…流石、ばぁちゃん、言う事が違う!
そうだよな…好きな子を幸せにする為なんだもん、世界の一つや二つ、敵に回したって、どうって事ないよな!」
ばぁちゃんに感化されたからか、そう思ったら、何も心配する事が無くなっていた。
次の瞬間…指にはめた『願いの指輪』が激しく光り出す。
今なら、使えなかった魔法も使える様な気がする。
「ばぁちゃん、俺、行ってくるよ!」
「あら、やだ…いつの間にか、夢幻ちゃんも、男の顔出来る様になったじゃない。
だったら、これは私からのお呪まじない…もう、おばあちゃんだから効果は期待出来ないけど…。」
『チュッ』
そう言って、ばぁちゃんが、俺の額にキスをする。
「聖女様の祝福なんて、勇者セイギにしかしなかったんだから…絶対に負けんじゃないよ!」
「あぁ、任せとけ!速攻で、ぶっとばしてくる!」
そう言って、ばぁちゃんから距離を取る…そして…。
『パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!』
六芒星を描く様に腕を動かし、その頂点となる部分で指を鳴らす。
チートスキル〖森羅万象〗…その効果がヤバ過ぎて、今までは使う事自体、良くない事だと思っていた為、極力、使わない様にしていた能力を、コレでもかと言うほどフルに発揮する。
そして、僕は頭に浮かんだ呪文を唱える。
「世界と世界を繋ぐ門、我が意を受け、我の望みし世界の門を開け!
願わくば、我が望みし時へと我を誘え!」
目の前の空間がバチバチと音を立てている。
だが、まだ門は開いていない。
何か、邪魔する力が働いている様に気がする。
【あ~、もう!良いわよ良いわよ!】
【今度は何日掛かるか分かんないけど、許可すれば良いんでしょ!】
【…まぁ、貴方達の願いは既に、七夕の時に受理しちゃてるし…ね。】
すると、今まで邪魔していた力が霧散したのを、確かに俺は感じた。
次の瞬間、俺は再度、詠唱し魔法を発動させる。
「〖魔法:次元転移門《アナザーゲート》〗!」
『バキン!』
先生が許可したからか、目の前に空間が罅割れ、ついにゲートが開く。
「ばぁちゃん、俺、行ってくる!」
「えぇ、今度はお嫁さん達を連れて遊びにおいで。」
「あぁ、絶対に戻ってくるから!みんな良い子達だから楽しみに待ってってくれよ!!」
俺はそう言うと、こちらの世界とあちらの世界を繋ぐ門を潜るのだった…。
じぃちゃんが見せてくれた手品が実は魔法と言う事実を、ばぁちゃんに教えてもらった僕は、この世界でも魔法が使える事を知った。
それならば僕も魔法が使えるはずだ…と、必死に魔法を使おうとする。
だが、何度やっても魔法は発動しない…だだ、それでも諦めずに魔法を使おうとすると何度目かは分からないが、身体から何かが失われた感覚に陥る。
この感覚は魔法を使った時みたいな…だが、残念ながら魔法が発動した気配がない。
「クソッ!やっぱり失敗した!!」
そう、この世界に戻って直ぐ、今までの事は夢だったのか?と思い、魔法を使おうとした。
その結果、何度試しても魔法は使えなかったのである。
「あらあらあら、正義さんは普通に使えていたのに、何が悪いのかしら…。」
僕とじいちゃんの違い…本当に、何の違いがあるのか僕が知りたいくらいだ。
「そう言えば、結局、私は使わずじまいだったのだけど…。」
と言って、ばぁちゃんは家の中へと入っていってしまう。
それから暫くして、ばぁちゃんが戻ってきた。
その、ばぁちゃんの手には、何だか不思議な感覚のする小さな箱があった。
「ばぁちゃん、それは?」
「これはね、正義さんが私にプロポーズしてくれた時に、私にくれた物よ。」
「へ~、じぃちゃんが…。」
正直、プロポーズした時の物と言われても興味はない。
それがあれば、プリン達の所へ戻れると言うのなら話は別だが…。
「でもね?私は正義さんに幸せを、いっぱい貰ったから…これは夢幻ちゃんにあげるわ。
多分、夢幻ちゃんに必要な物だと思うの。」
そう言って渡された、小さな箱を、恐る恐る開ける。
するとそこには…見た事もない石が付いているリングである。
「これは…指輪だよね?」
何処から見ても指輪だが、何故か当たり前の事を聞いてしまう。
まぁ、プロポーズの時と言うのだから、指輪を贈るのは至極当然の事だと思う。
「そうね、確か…正義さんが言うには『願いの指輪』と言っていたかしら?
その指輪は、持ち主の本当に叶えたい願いを、一度だけ叶えてくれるそうよ。
まぁ、私は願いは正義さんが全部叶えてくれたから試した事無いのだけど…。」
そう言って、僕にウインクをする、ばぁちゃん…。
何度か若い頃の写真を見た事があるが、このタイミングでそんな事をされたら…ばぁちゃんが、もし若かったら、僕もじぃちゃんみたいに、恋に堕ちていたかも知れない。
「って、待った!!そんな大事な物、貰えないよ!」
気付くのに遅れたが、ばぁちゃんは使わなかったとは言え、プロポーズと一緒に渡されたのであれば、これは婚約指輪である。
つまり、これは…ただの指輪などではなく、じぃちゃんの形見と言う事でもある。
そんな大事な物を、『はい、そうですか』と簡単に貰う訳にはいかない品物だった。
「いいえ、それは違うわ。
今の、夢幻ちゃんだから、私は上げたいの…だって、夢幻ちゃんは男の子じゃない!
だったら、夢幻ちゃんは、惚れた女の子を幸せにしてあげる義務があるわ。
そう、正義さんが、私を幸せにしてくれた様に!」
まさかのダメだし…だが、ばぁちゃんの言う通りである。
じぃちゃんなんか、惚れた女の為に、世界まで救ったのだから…。
しかも、貴重な『願いの指輪』を使わせる事なく、幸せにしたと言われたら、じいちゃんと、ばあちゃんの孫である僕が、自分の惚れた女の一人や二人…いや、正確には四人だが…幸せに出来ないでどうするって話だ。
「あ、あ~ぁ、もう!分かったよ、ばぁちゃん!!」
僕はそう言うと、ばあちゃんから『願いの指輪』を受け取ると指に填める。
そして…あちらの世界に行く事を強く…強く強く願った。
【…ジ…ジジ…聞こ……?…てるかな?】
【お~い、聞こえますか~?】
「…その声は…もしかして先生?」
「あら?今の声、私にも聞こえたわ。」
どうやら、先生の声は、何故か僕だけではなく、ばぁちゃんにも聞こえている様だ。
【良かった、繋がった!】
【何故か、急に強い力を感じたから逆探知してみたんだけど、やっぱり貴方だったのね!】
「え、えぇ…でも、何で先生が?」
【何でって…こっちの世界に来たいって強く望む声が聞こえたから?】
「え?それって…。」
【えぇ、来れるわよ?でもね?
今度は私が召喚する訳じゃないから二度と帰れないし、今度こそ死んだらそれでお終い…それでも良いの?】
そう言われて、僕は思わず、ばぁちゃんの顔を見る。
もし、このまま向こうの世界に行く事になれば、もう、ばぁちゃんや家族とも会う事が出来なくなると言われたのだ。
それでも、それでも僕は…。
「もう、夢幻ちゃんったら、何を迷ってるフリをしてるの!
貴方は、世界の理さえ、その意思で覆したじゃないの!」
「え?僕が、世界の理を?」
「そうよ、プリンちゃんが死んだ時、それでも夢幻ちゃんは諦めず世界の理を捻じ曲げ、彼女を救ったのよ?
だったら、今度も、そんな『世界の理』なんて捻じ曲げちゃえば良いのよ!」
【ちょッ!?何言ってんの貴女!】
【私、あの後、綻び直すのに三日間も徹夜しまくったんだからね!】
「あ~もう、五月蝿いわね!お姫様で聖女だった私が許す!夢幻ちゃん、やっちゃえッ!!」
【だから、煽らないでってば~!】
ばぁちゃん、それは傲慢とも言える理屈ですよ?
だが、あの一件で先生から何か言われそうだと思っていたけど、何も無かったのはそう言う事があった訳か…。
「ププッ…流石、ばぁちゃん、言う事が違う!
そうだよな…好きな子を幸せにする為なんだもん、世界の一つや二つ、敵に回したって、どうって事ないよな!」
ばぁちゃんに感化されたからか、そう思ったら、何も心配する事が無くなっていた。
次の瞬間…指にはめた『願いの指輪』が激しく光り出す。
今なら、使えなかった魔法も使える様な気がする。
「ばぁちゃん、俺、行ってくるよ!」
「あら、やだ…いつの間にか、夢幻ちゃんも、男の顔出来る様になったじゃない。
だったら、これは私からのお呪まじない…もう、おばあちゃんだから効果は期待出来ないけど…。」
『チュッ』
そう言って、ばぁちゃんが、俺の額にキスをする。
「聖女様の祝福なんて、勇者セイギにしかしなかったんだから…絶対に負けんじゃないよ!」
「あぁ、任せとけ!速攻で、ぶっとばしてくる!」
そう言って、ばぁちゃんから距離を取る…そして…。
『パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!』
六芒星を描く様に腕を動かし、その頂点となる部分で指を鳴らす。
チートスキル〖森羅万象〗…その効果がヤバ過ぎて、今までは使う事自体、良くない事だと思っていた為、極力、使わない様にしていた能力を、コレでもかと言うほどフルに発揮する。
そして、僕は頭に浮かんだ呪文を唱える。
「世界と世界を繋ぐ門、我が意を受け、我の望みし世界の門を開け!
願わくば、我が望みし時へと我を誘え!」
目の前の空間がバチバチと音を立てている。
だが、まだ門は開いていない。
何か、邪魔する力が働いている様に気がする。
【あ~、もう!良いわよ良いわよ!】
【今度は何日掛かるか分かんないけど、許可すれば良いんでしょ!】
【…まぁ、貴方達の願いは既に、七夕の時に受理しちゃてるし…ね。】
すると、今まで邪魔していた力が霧散したのを、確かに俺は感じた。
次の瞬間、俺は再度、詠唱し魔法を発動させる。
「〖魔法:次元転移門《アナザーゲート》〗!」
『バキン!』
先生が許可したからか、目の前に空間が罅割れ、ついにゲートが開く。
「ばぁちゃん、俺、行ってくる!」
「えぇ、今度はお嫁さん達を連れて遊びにおいで。」
「あぁ、絶対に戻ってくるから!みんな良い子達だから楽しみに待ってってくれよ!!」
俺はそう言うと、こちらの世界とあちらの世界を繋ぐ門を潜るのだった…。
45
お気に入りに追加
322
あなたにおすすめの小説

彼の秘密はどうでもいい
真朱
恋愛
アンジェは、グレンフォードの過去を知っている。アンジェにとっては取るに足らないどうでもいいようなことなのだが、今や学園トップクラスのモテ男へと成長したグレンフォードにとっては、何としても隠し通したい黒歴史らしい。黒歴史もろともアンジェを始末したいほどに。…よろしい。受けてたちましょう。
◆なんちゃって異世界です。史実には一切基づいておりませんので、ご理解のほどお願いいたします。
◆あらすじはこんなカンジですが、お気楽コメディです。
◆ざまあのお話ではありません。ご理解の上での閲覧をお願いします。スカッとしなくてもクレームはご容赦ください。
【完結】鈍感令嬢は立派なお婿さまを見つけたい
楠結衣
恋愛
「エリーゼ嬢、婚約はなかったことにして欲しい」
こう告げられたのは、真実の愛を謳歌する小説のような学園の卒業パーティーでも舞踏会でもなんでもなく、学園から帰る馬車の中だったーー。
由緒あるヒビスクス伯爵家の一人娘であるエリーゼは、婚約者候補の方とお付き合いをしてもいつも断られてしまう。傷心のエリーゼが学園に到着すると幼馴染の公爵令息エドモンド様にからかわれてしまう。
そんなエリーゼがある日、運命の二人の糸を結び、真実の愛で結ばれた恋人同士でいくと幸せになれると噂のランターンフェスタで出会ったのは……。
◇イラストは一本梅のの様に描いていただきました
◇タイトルの※は、作中に挿絵イラストがあります
夫が「愛していると言ってくれ」とうるさいのですが、残念ながら結婚した記憶がございません
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
【完結しました】
王立騎士団団長を務めるランスロットと事務官であるシャーリーの結婚式。
しかしその結婚式で、ランスロットに恨みを持つ賊が襲い掛かり、彼を庇ったシャーリーは階段から落ちて気を失ってしまった。
「君は俺と結婚したんだ」
「『愛している』と、言ってくれないだろうか……」
目を覚ましたシャーリーには、目の前の男と結婚した記憶が無かった。
どうやら、今から二年前までの記憶を失ってしまったらしい――。
誰にも言えないあなたへ
天海月
恋愛
子爵令嬢のクリスティーナは心に決めた思い人がいたが、彼が平民だという理由で結ばれることを諦め、彼女の事を見初めたという騎士で伯爵のマリオンと婚姻を結ぶ。
マリオンは家格も高いうえに、優しく美しい男であったが、常に他人と一線を引き、妻であるクリスティーナにさえ、どこか壁があるようだった。
年齢が離れている彼にとって自分は子供にしか見えないのかもしれない、と落ち込む彼女だったが・・・マリオンには誰にも言えない秘密があって・・・。
踏み台令嬢はへこたれない
IchikoMiyagi
恋愛
「婚約破棄してくれ!」
公爵令嬢のメルティアーラは婚約者からの何度目かの申し出を受けていたーー。
春、学院に入学しいつしかついたあだ名は踏み台令嬢。……幸せを運んでいますのに、その名付けはあんまりでは……。
そう思いつつも学院生活を満喫していたら、噂を聞きつけた第三王子がチラチラこっちを見ている。しかもうっかり婚約者になってしまったわ……?!?
これは無自覚に他人の踏み台になって引っ張り上げる主人公が、たまにしょげては踏ん張りながらやっぱり周りを幸せにしたりやっと自分も幸せになったりするかもしれない物語。
「わたくし、甘い砂を吐くのには慣れておりますの」
ーー踏み台令嬢は今日も誰かを幸せにする。
なろうでも投稿しています。

【完結】記憶が戻ったら〜孤独な妻は英雄夫の変わらぬ溺愛に溶かされる〜
凛蓮月
恋愛
【完全完結しました。ご愛読頂きありがとうございます!】
公爵令嬢カトリーナ・オールディスは、王太子デーヴィドの婚約者であった。
だが、カトリーナを良く思っていなかったデーヴィドは真実の愛を見つけたと言って婚約破棄した上、カトリーナが最も嫌う醜悪伯爵──ディートリヒ・ランゲの元へ嫁げと命令した。
ディートリヒは『救国の英雄』として知られる王国騎士団副団長。だが、顔には数年前の戦で負った大きな傷があった為社交界では『醜悪伯爵』と侮蔑されていた。
嫌がったカトリーナは逃げる途中階段で足を踏み外し転げ落ちる。
──目覚めたカトリーナは、一切の記憶を失っていた。
王太子命令による望まぬ婚姻ではあったが仲良くするカトリーナとディートリヒ。
カトリーナに想いを寄せていた彼にとってこの婚姻は一生に一度の奇跡だったのだ。
(記憶を取り戻したい)
(どうかこのままで……)
だが、それも長くは続かず──。
【HOTランキング1位頂きました。ありがとうございます!】
※このお話は、以前投稿したものを大幅に加筆修正したものです。
※中編版、短編版はpixivに移動させています。
※小説家になろう、ベリーズカフェでも掲載しています。
※ 魔法等は出てきませんが、作者独自の異世界のお話です。現実世界とは異なります。(異世界語を翻訳しているような感覚です)

【完結済】姿を偽った黒髪令嬢は、女嫌いな公爵様のお世話係をしているうちに溺愛されていたみたいです
鳴宮野々花@書籍2冊発売中
恋愛
王国の片田舎にある小さな町から、八歳の時に母方の縁戚であるエヴェリー伯爵家に引き取られたミシェル。彼女は伯爵一家に疎まれ、美しい髪を黒く染めて使用人として生活するよう強いられた。以来エヴェリー一家に虐げられて育つ。
十年後。ミシェルは同い年でエヴェリー伯爵家の一人娘であるパドマの婚約者に嵌められ、伯爵家を身一つで追い出されることに。ボロボロの格好で人気のない場所を彷徨っていたミシェルは、空腹のあまりふらつき倒れそうになる。
そこへ馬で通りがかった男性と、危うくぶつかりそうになり──────
※いつもの独自の世界のゆる設定なお話です。何もかもファンタジーです。よろしくお願いします。
※この作品はカクヨム、小説家になろう、ベリーズカフェにも投稿しています。

侍女から第2夫人、そして……
しゃーりん
恋愛
公爵家の2歳のお嬢様の侍女をしているルイーズは、酔って夢だと思い込んでお嬢様の父親であるガレントと関係を持ってしまう。
翌朝、現実だったと知った2人は親たちの話し合いの結果、ガレントの第2夫人になることに決まった。
ガレントの正妻セルフィが病弱でもう子供を望めないからだった。
一日で侍女から第2夫人になってしまったルイーズ。
正妻セルフィからは、娘を義母として可愛がり、夫を好きになってほしいと頼まれる。
セルフィの残り時間は少なく、ルイーズがやがて正妻になるというお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる