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第一章
歪みと神様
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5000年程昔。この大陸に震災が訪れた。毎日のように地震が起こり、大きな山が噴火したり津波もおきた。それでも何とか生き延びた人も居たが、食べる物もろくになく、ただただ生きているだけの状態。それでも人は諦めず、何とか使える魔法を駆使し土地を綺麗にし食べるものを作ろうと頑張った。その結果、2年程すると細々とではあるが、衣食住が落ち着き少し活気も出て来た。そんな時、今度は魔物が現れ人間達を刈り出したのだ。そこでも人は諦めず、魔法を繰り出し応戦した。それでも、もとより魔物は魔力が人とは桁違いに強いのだ。戦いに挑んだ若い青年達も次々と刈られてしまった。もう、ここまでか?と、諦め掛けた時ー。天から眩しい程の光が弾けて溢れ出したのだ。
その光の中から女性が現れた。透き通るような金色の髪が腰まであり、肌も透き通るように白かった。人だけではなく魔物もその女性に目を奪われた。
そして溢れ出た光が落ち着くと、今まで閉じられていた目がゆっくりと開いた。その目は深い色の青色。空の色を濃くしたような色で、見ていたら吸い込まれそうになる程だった。
真っ先に我に戻ったのはリーダー格の魔物だった。その魔物は、その女性に恐怖を抱いた。
ーこの女は危ないー
と。その魔物は一気にその女性と距離を詰め仕留めようとした。だが
、その女性が右手を軽く挙げフッと払うように手首を翻した瞬間そのリーダー格の魔物が一瞬にして消えたのだ。それを見た魔物達は一瞬何が起きたのか解らず呆然としていたが、再びその女性が右手を軽くて挙げた時、魔物達は本能的に恐怖を感じたのか、我先にと逃げ出したのだ。そして、その女性が手をフッと振り払うように手首を翻した瞬間、先程の光よりも更に強い光の珠が現れ空に放たれた。その光は上に行けば行く程どんどんと大きくなり、空を覆い尽くす程の大きさになった瞬間音も無く弾け、そこから光が溢れ出た。その光は先程のものよりも輝いており、魔物だけではなく、人間達も目を開けている事ができない程だった。その光が落ち着き出した頃、10分か15分位だろうか。人間が目を開けると…そこには魔物達の姿が無くなっていたのである。魔物の代わりに、先程の美しい女性が佇んでいた。
「私の名は、リーデンブルク。この大地を統べる神です。本来であれば、このように地上に降り立ち、人とは干渉してはならないのですが…。もともと、人はと魔物の世界はきっちり区切りがあり、交わる事か無いようにしていました。ですが、私にも予想外の震災が起き、その区切りが歪んでしまいました。人の世界にも魔素があり魔法が使えるので、魔物達にとっても人の世界に入る事ができてしまったのです。その歪みを直そうと思いましたが…その前に魔物がその歪みに干渉してしまい、私にもどうする事もできなくなってしまったのです。今回、私は私の持てる力の全てで、魔物をあちらに戻し結界を張りました。なので、すぐに魔物達が戻って来る事はないでしょう。」
それを聞いた人達は歓喜した。これでまた、平和な日々が送れると。しかし、その神は話を続けた。
「ですが…。この地に魔素がある限り、魔物はまたその歪みからこちらに来るかもしれません。それが、1年先なのか100年先なのかも分かりません。」
それを聞き、人達はまた黙り込み顔を青くさせた。
「ですが、その時はまた、あなた様が助けてくれるのでは?」
と、1人の老人が問い掛けた。
「それはできません。私は、今回の事で、清浄する力を全て使いきってしまったのです。それに…これ以上干渉すれば、この大地事態が滅んでしまうのです。」
誰もが声を失ってしまった。これから先、またこのような事が起こると恐怖を抱きながら過ごさなければいけないのかと。しかし
「これ以上の直接の干渉はできませんが、助言する事はできます。」
その神は困ったように微笑んだ。
「悪しき魔素が溢れその歪みが綻ぶ前に、私がお前達に教えましょう。そして、その悪しき魔素を凪払える聖女を遣わせましょう。」
ー神託ー。
それは、神が人にギリギリ干渉できる範囲であった。歪みを直せなかった償いでもある。
こうして、人は、何年、何百年か毎に神託を受けては召喚された聖女と共にその歪みからの魔物の侵入を塞いできたのだ。
その光の中から女性が現れた。透き通るような金色の髪が腰まであり、肌も透き通るように白かった。人だけではなく魔物もその女性に目を奪われた。
そして溢れ出た光が落ち着くと、今まで閉じられていた目がゆっくりと開いた。その目は深い色の青色。空の色を濃くしたような色で、見ていたら吸い込まれそうになる程だった。
真っ先に我に戻ったのはリーダー格の魔物だった。その魔物は、その女性に恐怖を抱いた。
ーこの女は危ないー
と。その魔物は一気にその女性と距離を詰め仕留めようとした。だが
、その女性が右手を軽く挙げフッと払うように手首を翻した瞬間そのリーダー格の魔物が一瞬にして消えたのだ。それを見た魔物達は一瞬何が起きたのか解らず呆然としていたが、再びその女性が右手を軽くて挙げた時、魔物達は本能的に恐怖を感じたのか、我先にと逃げ出したのだ。そして、その女性が手をフッと振り払うように手首を翻した瞬間、先程の光よりも更に強い光の珠が現れ空に放たれた。その光は上に行けば行く程どんどんと大きくなり、空を覆い尽くす程の大きさになった瞬間音も無く弾け、そこから光が溢れ出た。その光は先程のものよりも輝いており、魔物だけではなく、人間達も目を開けている事ができない程だった。その光が落ち着き出した頃、10分か15分位だろうか。人間が目を開けると…そこには魔物達の姿が無くなっていたのである。魔物の代わりに、先程の美しい女性が佇んでいた。
「私の名は、リーデンブルク。この大地を統べる神です。本来であれば、このように地上に降り立ち、人とは干渉してはならないのですが…。もともと、人はと魔物の世界はきっちり区切りがあり、交わる事か無いようにしていました。ですが、私にも予想外の震災が起き、その区切りが歪んでしまいました。人の世界にも魔素があり魔法が使えるので、魔物達にとっても人の世界に入る事ができてしまったのです。その歪みを直そうと思いましたが…その前に魔物がその歪みに干渉してしまい、私にもどうする事もできなくなってしまったのです。今回、私は私の持てる力の全てで、魔物をあちらに戻し結界を張りました。なので、すぐに魔物達が戻って来る事はないでしょう。」
それを聞いた人達は歓喜した。これでまた、平和な日々が送れると。しかし、その神は話を続けた。
「ですが…。この地に魔素がある限り、魔物はまたその歪みからこちらに来るかもしれません。それが、1年先なのか100年先なのかも分かりません。」
それを聞き、人達はまた黙り込み顔を青くさせた。
「ですが、その時はまた、あなた様が助けてくれるのでは?」
と、1人の老人が問い掛けた。
「それはできません。私は、今回の事で、清浄する力を全て使いきってしまったのです。それに…これ以上干渉すれば、この大地事態が滅んでしまうのです。」
誰もが声を失ってしまった。これから先、またこのような事が起こると恐怖を抱きながら過ごさなければいけないのかと。しかし
「これ以上の直接の干渉はできませんが、助言する事はできます。」
その神は困ったように微笑んだ。
「悪しき魔素が溢れその歪みが綻ぶ前に、私がお前達に教えましょう。そして、その悪しき魔素を凪払える聖女を遣わせましょう。」
ー神託ー。
それは、神が人にギリギリ干渉できる範囲であった。歪みを直せなかった償いでもある。
こうして、人は、何年、何百年か毎に神託を受けては召喚された聖女と共にその歪みからの魔物の侵入を塞いできたのだ。
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