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お茶会①
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今、レイノックス王国に留学生としてやって来ているのは、1年生から4年生まで合わせて18人で、今年、フォレクシスからやって来た9人とは、珍しく多かったようで、3年生の留学生は、私とヴァレリアだけだった。後は、1年生に10人、2年生に3人、4年生に3人だ。
今回のお茶会には、勿論全員が出席。王城にやって来ると、王太子様と第二王子が出迎えてくれていた。そして、全員揃ったところでお茶会の場となる庭園へと案内され、王太子の挨拶が終わるとお茶会が始まった。
全員同じテーブルではなく、学年ごとに4つのテーブルに別れている為、私達のテーブルには私とヴァレリアだけで、変に緊張せずに済んだ。
その4つのテーブルを、王太子と第二王子が順番に回って来て、色々な話をする─と言う流れのようだ。その順番は1年生からのようで、順番が来る迄は、ヴァレリアと2人でお喋りしながら美味しいケーキ食べた。
「クルーデン嬢、メルサンデス嬢、本当にありがとう。」
王太子と第二王子が私達のテーブルにやって来たのは、お茶会が始まってから1時間程経ってからで、私達のテーブルの椅子に座るなりお礼を言われた。
「リル嬢が、最近は学園生活が楽しいと言っているそうだ。」
「私達も、リルには色々教えてもらったりして助けてもらっていますし、リルと仲良くなれて良かったと思っています。ですが───どうやら、私達獣人国で認識していた“聖女”の扱いとは随分違うのだな…と思ったのですが…。」
「あー……それは何と言うか……」
と、王太子が困った様に笑った後、第二王子が続きを話しだした。
公爵令嬢─エリアナ=オコーエルは、生まれた直後から光の魔力持ちと判明し、幼い頃からその扱いを国内トップレベルの魔法使いに指導されていた為、聖女としては、今や国内トップの実力があるのに対し、リルは3年前に魔力無しからの光の魔力の発現。平民であるリルは、学園に通う予定はなかったが、国の援助を受け学園に通いながら、光の魔力の使い方の訓練も受ける事になった。となると、王城に行く機会が増え、しかも、第二王子とは同学年。王族と近くなってしまうのは仕方無い事──なのが、彼女には許せなかったようだ。
「言い方が、少し厳しくはないか?彼女は、まだ貴族のルールを学び始めたところだから…」
と、1年生の頃に第二王子がリルをフォローしたそうだが、それが、逆効果になってしまったそうだ。
「そう言って甘やかせば、恥をかくのはその娘ですわ!」
と言って、更に当たるようなり──
「私は大丈夫なので、もう、何もしないで下さい。」
とリルに言われてしまい、そこから第二王子も動く事ができなくなったと。
それからも、公爵令嬢からのキツイ当たりはあるが、第二王子の目のあるところでは何もしない為、どうしたものか─と、頭を悩ませていたそうだ。
「彼女は……どうしてそこまでリルを?聖女としても地位も全てが上なのだから、そこまでリルを厭う理由は……その理由が第二王子だとしても……その…第二王子には、婚約者が……いらっしゃいます…よね?」
この国の王太子には、既に王太子妃が居る。そして、この第二王子には婚約者が居る。それも、フォレクシス王国の第二王女だ。国と国との婚約だ。
「まぁ……何となく…その辺の理由も分かりますけど。」
王女と言っても──
“能無し王女”
“嫌われ王女”
“忘れられた王女”
そんな王女より────
「“私の方が相応しい”と…思ってるんでしょうね…」
「自国の王女に対して、不敬だと言われてしまうよ?」
と、王太子は更に困った顔をしているが、否定はしないようだ。
「そうですが……そうなると、フォレクシス王国の殆どの民が不敬罪で捕まりますよ。」
「─っ…ルチア様っ」
私の隣で怒っているのはヴァレリアだ。
「私の知っているジゼル王女は……優しくて、可愛らしい子だったけどね…」
ポツリと呟いたのは、第二王子ロルフ様だった。
まだ幼い頃に一度だけ、友好国としてフォレクシスの王宮に行った時に、一度だけ第二王女と会った事があると言う。ありきたりに、王宮内で迷子になってしまい、どこか分からなくて泣いていると、第二王女と偶然会って、助けてもらったそうだ。
「また改めてお礼をしたいと言ったら、“泣いている子を助けるのは当たり前だもの、気にしないで。その分、困った人が居たら、今度は貴方が誰かを助けてあげて”と言われたんだ。それが……今でも私の心に残っているんだ。」
「……そうなんですね……自国の王女に会った事の無い私より……王女の事を……思われていたんですね。」
「ロルフの初恋だったな?」
「兄上!」
ははっ─と笑う王太子と顔を真っ赤にしている第二王子は、とても仲の良い兄弟なんだろう。
一頻り王太子が笑った後、スッと真顔になり、声のトーンを落とし
「ところで、ここ最近では、その第二王女の話どころか、噂も耳に入らないが…何かあったのか?」
その言葉に、2人の気配が揺らめいた。
❋エールを頂き、ありがとうございます❋
(*,,˃ ᵕ ˂ )✰*
今回のお茶会には、勿論全員が出席。王城にやって来ると、王太子様と第二王子が出迎えてくれていた。そして、全員揃ったところでお茶会の場となる庭園へと案内され、王太子の挨拶が終わるとお茶会が始まった。
全員同じテーブルではなく、学年ごとに4つのテーブルに別れている為、私達のテーブルには私とヴァレリアだけで、変に緊張せずに済んだ。
その4つのテーブルを、王太子と第二王子が順番に回って来て、色々な話をする─と言う流れのようだ。その順番は1年生からのようで、順番が来る迄は、ヴァレリアと2人でお喋りしながら美味しいケーキ食べた。
「クルーデン嬢、メルサンデス嬢、本当にありがとう。」
王太子と第二王子が私達のテーブルにやって来たのは、お茶会が始まってから1時間程経ってからで、私達のテーブルの椅子に座るなりお礼を言われた。
「リル嬢が、最近は学園生活が楽しいと言っているそうだ。」
「私達も、リルには色々教えてもらったりして助けてもらっていますし、リルと仲良くなれて良かったと思っています。ですが───どうやら、私達獣人国で認識していた“聖女”の扱いとは随分違うのだな…と思ったのですが…。」
「あー……それは何と言うか……」
と、王太子が困った様に笑った後、第二王子が続きを話しだした。
公爵令嬢─エリアナ=オコーエルは、生まれた直後から光の魔力持ちと判明し、幼い頃からその扱いを国内トップレベルの魔法使いに指導されていた為、聖女としては、今や国内トップの実力があるのに対し、リルは3年前に魔力無しからの光の魔力の発現。平民であるリルは、学園に通う予定はなかったが、国の援助を受け学園に通いながら、光の魔力の使い方の訓練も受ける事になった。となると、王城に行く機会が増え、しかも、第二王子とは同学年。王族と近くなってしまうのは仕方無い事──なのが、彼女には許せなかったようだ。
「言い方が、少し厳しくはないか?彼女は、まだ貴族のルールを学び始めたところだから…」
と、1年生の頃に第二王子がリルをフォローしたそうだが、それが、逆効果になってしまったそうだ。
「そう言って甘やかせば、恥をかくのはその娘ですわ!」
と言って、更に当たるようなり──
「私は大丈夫なので、もう、何もしないで下さい。」
とリルに言われてしまい、そこから第二王子も動く事ができなくなったと。
それからも、公爵令嬢からのキツイ当たりはあるが、第二王子の目のあるところでは何もしない為、どうしたものか─と、頭を悩ませていたそうだ。
「彼女は……どうしてそこまでリルを?聖女としても地位も全てが上なのだから、そこまでリルを厭う理由は……その理由が第二王子だとしても……その…第二王子には、婚約者が……いらっしゃいます…よね?」
この国の王太子には、既に王太子妃が居る。そして、この第二王子には婚約者が居る。それも、フォレクシス王国の第二王女だ。国と国との婚約だ。
「まぁ……何となく…その辺の理由も分かりますけど。」
王女と言っても──
“能無し王女”
“嫌われ王女”
“忘れられた王女”
そんな王女より────
「“私の方が相応しい”と…思ってるんでしょうね…」
「自国の王女に対して、不敬だと言われてしまうよ?」
と、王太子は更に困った顔をしているが、否定はしないようだ。
「そうですが……そうなると、フォレクシス王国の殆どの民が不敬罪で捕まりますよ。」
「─っ…ルチア様っ」
私の隣で怒っているのはヴァレリアだ。
「私の知っているジゼル王女は……優しくて、可愛らしい子だったけどね…」
ポツリと呟いたのは、第二王子ロルフ様だった。
まだ幼い頃に一度だけ、友好国としてフォレクシスの王宮に行った時に、一度だけ第二王女と会った事があると言う。ありきたりに、王宮内で迷子になってしまい、どこか分からなくて泣いていると、第二王女と偶然会って、助けてもらったそうだ。
「また改めてお礼をしたいと言ったら、“泣いている子を助けるのは当たり前だもの、気にしないで。その分、困った人が居たら、今度は貴方が誰かを助けてあげて”と言われたんだ。それが……今でも私の心に残っているんだ。」
「……そうなんですね……自国の王女に会った事の無い私より……王女の事を……思われていたんですね。」
「ロルフの初恋だったな?」
「兄上!」
ははっ─と笑う王太子と顔を真っ赤にしている第二王子は、とても仲の良い兄弟なんだろう。
一頻り王太子が笑った後、スッと真顔になり、声のトーンを落とし
「ところで、ここ最近では、その第二王女の話どころか、噂も耳に入らないが…何かあったのか?」
その言葉に、2人の気配が揺らめいた。
❋エールを頂き、ありがとうございます❋
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