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聖女
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学園生活は、特に問題なく始まった……と言いたかった。1年生からの新入生スタートではなく、3年生からの中途留学だった為、クラスメイト達は既にいくつかのグループに別れていた。貴族の繋がりを考慮して─だろうと思う。
その中で、ポツン─と、1人だけどのグループにも入っていないと分かる令嬢が居た。
「「………」」
私とヴァレリアは無言で頷いた。
その令嬢は、肩までの白い髪に、青色の瞳の可愛らしい子で、私とヴァレリアは、その令嬢の隣の席に座る事になった。
おそらく、彼女が平民の聖女だろう。
貴族に馴染めず─と言っていたけど、どうして?と思ってしまう。人間にとっての聖女とは、崇拝レベルに扱われている存在じゃなかったんだろうか?それが……まさかの仲間外れ的な扱い。若しくは、平民差別が酷過ぎるのか………。
できれは、可能な限り、聖女とは関わりたくはなかったけど、ここまであからさまだと……放ってはおけない……よね………。
と言う感じで、学園生活をスタートさせた日から、彼女と一緒に居る事になった。
彼女─リル─が、何故、誰とも一緒に居なかったのか…理由は直ぐに判明した。
「あら?今日は珍しく…お友達と一緒ですのね?見慣れない方達だけど…あぁ、そちらの方達も平民ですの?」
「「…………」」
「………違います。」
平民─と見下すような目を向けているのは─
エリアナ=オコーエル
公爵令嬢であり、彼女も光の魔力持ち─“聖女”だ。
光の魔力持ちは珍しいけど、1人だけではなく、現在レイノックス王国だけでも5人は居るそうだ。そのうちの2人が平民のリルと、この公爵令嬢だった。
そう。リルが孤立していたのは、この公爵令嬢のせいだった。この公爵令嬢が、やたらとリルに当たってくるのだ。
私とヴァレリアに挨拶も無く、平民呼ばわり。爵位は下ではあるが、私は伯爵令嬢だしヴァレリアは子爵令嬢だ。そして、今の私達はレイノックス王国王太子の管理下に置かれている、フォレクシス王国からの留学生だ。まぁ、公爵令嬢が知らない…気付いていなくても当たり前なんだけど──。
「オコーエル様、こちらのお2人は、レイノックス王国からの留学生です。平民でもありません。」
「そうですの?挨拶がなかったから、知りませんでしたわ。」
ーでしょうねー
それに、リルも私もヴァレリアもAクラスだけど、公爵令嬢はCクラスだ。公爵令嬢でありながら、少し……頭が弱い令嬢なんだろう。いや、高位貴族だから優秀なのが当たり前─ではないけど……。
兎に角、この公爵令嬢との初見は、食堂で3人でランチを取っている時で、挨拶無しの口撃だった。周りは見てみぬふり。そりゃそうだよね。どんなに常識外れな行動を取っているとしても、公爵は公爵。誰も、自ら公爵家に睨まれたいとは思わないだろう。
「挨拶は、まだ同じクラスの人達としかしていませんので……あなたは…Aクラスでは無いと言う事ですよね?失礼しました。」
「──なっ!」
「私は、レイノックス王国から留学生として来た、ルチア=クルーデンです。以後、宜しくお願い致します。」
「同じく、ヴァレリア=メルサンデスです………宜しく……お願い……します……」
ーヴァレリア、その間、嫌々なのが丸分かりだからね!?ー
「ふんっ。それなら、早く言えば良いのよ!」
ツン─としたまま、公爵令嬢は挨拶もせず食堂から出て行った。
ー次に会っても、無視して…良いよね?ー
リルは、本当に良い子だった。それに、努力家でもあった。家が王都から遠い為、リルも寮生活を送っているのだけど、いつも遅い時間まで勉強をしている。
「人一倍頑張らないと、ついて行けないから」
なんて言っているけど、リルは学園に入ってから、成績はトップ10以内をキープしているそうだ。
「リルには、婚約者とか恋人はいるの?」
「はい!?婚約者!?とんでもないです!恋人すらいませんよ!」
パタパタと両手を振って否定しているけど、その顔は真っ赤だ。
「クルーデン嬢、メルサンデス嬢、今、少し時間は良いかな?」
そう言って声を掛けて来たのは、第二王子ロルフ様だった。
「今週末、留学生を招いてのお茶会をするから、招待状を渡しに来たんだ。」
「わざわざありがとうございます。」
どうやら、留学生達の現状把握も兼ねて、月に一度、王城でお茶会が行われているそうだ。
「学園生活も一月経ったけど、少しは慣れた?」
「まだ慣れない事も多いですけど、リルのお陰で楽しく過ごす事ができています。」
「それなら良かった。リル嬢もありがとう。」
「いえ!とんでもないです!!」
優しい笑顔の第二王子と、顔を更に真っ赤にさせるリルと───そんな2人を鬼の様な形相で見ている公爵令嬢。
ー何も起こらないと良いけどー
と、私はソッと溜め息を吐いた。
❋エールを頂き、ありがとうございます!励みになります❋
❀.(*´∇`*)❀.
❋今日は、2話更新しようと思っています。宜しくお願いします❋
(* ᵕᴗᵕ)⁾⁾ ꕤ
その中で、ポツン─と、1人だけどのグループにも入っていないと分かる令嬢が居た。
「「………」」
私とヴァレリアは無言で頷いた。
その令嬢は、肩までの白い髪に、青色の瞳の可愛らしい子で、私とヴァレリアは、その令嬢の隣の席に座る事になった。
おそらく、彼女が平民の聖女だろう。
貴族に馴染めず─と言っていたけど、どうして?と思ってしまう。人間にとっての聖女とは、崇拝レベルに扱われている存在じゃなかったんだろうか?それが……まさかの仲間外れ的な扱い。若しくは、平民差別が酷過ぎるのか………。
できれは、可能な限り、聖女とは関わりたくはなかったけど、ここまであからさまだと……放ってはおけない……よね………。
と言う感じで、学園生活をスタートさせた日から、彼女と一緒に居る事になった。
彼女─リル─が、何故、誰とも一緒に居なかったのか…理由は直ぐに判明した。
「あら?今日は珍しく…お友達と一緒ですのね?見慣れない方達だけど…あぁ、そちらの方達も平民ですの?」
「「…………」」
「………違います。」
平民─と見下すような目を向けているのは─
エリアナ=オコーエル
公爵令嬢であり、彼女も光の魔力持ち─“聖女”だ。
光の魔力持ちは珍しいけど、1人だけではなく、現在レイノックス王国だけでも5人は居るそうだ。そのうちの2人が平民のリルと、この公爵令嬢だった。
そう。リルが孤立していたのは、この公爵令嬢のせいだった。この公爵令嬢が、やたらとリルに当たってくるのだ。
私とヴァレリアに挨拶も無く、平民呼ばわり。爵位は下ではあるが、私は伯爵令嬢だしヴァレリアは子爵令嬢だ。そして、今の私達はレイノックス王国王太子の管理下に置かれている、フォレクシス王国からの留学生だ。まぁ、公爵令嬢が知らない…気付いていなくても当たり前なんだけど──。
「オコーエル様、こちらのお2人は、レイノックス王国からの留学生です。平民でもありません。」
「そうですの?挨拶がなかったから、知りませんでしたわ。」
ーでしょうねー
それに、リルも私もヴァレリアもAクラスだけど、公爵令嬢はCクラスだ。公爵令嬢でありながら、少し……頭が弱い令嬢なんだろう。いや、高位貴族だから優秀なのが当たり前─ではないけど……。
兎に角、この公爵令嬢との初見は、食堂で3人でランチを取っている時で、挨拶無しの口撃だった。周りは見てみぬふり。そりゃそうだよね。どんなに常識外れな行動を取っているとしても、公爵は公爵。誰も、自ら公爵家に睨まれたいとは思わないだろう。
「挨拶は、まだ同じクラスの人達としかしていませんので……あなたは…Aクラスでは無いと言う事ですよね?失礼しました。」
「──なっ!」
「私は、レイノックス王国から留学生として来た、ルチア=クルーデンです。以後、宜しくお願い致します。」
「同じく、ヴァレリア=メルサンデスです………宜しく……お願い……します……」
ーヴァレリア、その間、嫌々なのが丸分かりだからね!?ー
「ふんっ。それなら、早く言えば良いのよ!」
ツン─としたまま、公爵令嬢は挨拶もせず食堂から出て行った。
ー次に会っても、無視して…良いよね?ー
リルは、本当に良い子だった。それに、努力家でもあった。家が王都から遠い為、リルも寮生活を送っているのだけど、いつも遅い時間まで勉強をしている。
「人一倍頑張らないと、ついて行けないから」
なんて言っているけど、リルは学園に入ってから、成績はトップ10以内をキープしているそうだ。
「リルには、婚約者とか恋人はいるの?」
「はい!?婚約者!?とんでもないです!恋人すらいませんよ!」
パタパタと両手を振って否定しているけど、その顔は真っ赤だ。
「クルーデン嬢、メルサンデス嬢、今、少し時間は良いかな?」
そう言って声を掛けて来たのは、第二王子ロルフ様だった。
「今週末、留学生を招いてのお茶会をするから、招待状を渡しに来たんだ。」
「わざわざありがとうございます。」
どうやら、留学生達の現状把握も兼ねて、月に一度、王城でお茶会が行われているそうだ。
「学園生活も一月経ったけど、少しは慣れた?」
「まだ慣れない事も多いですけど、リルのお陰で楽しく過ごす事ができています。」
「それなら良かった。リル嬢もありがとう。」
「いえ!とんでもないです!!」
優しい笑顔の第二王子と、顔を更に真っ赤にさせるリルと───そんな2人を鬼の様な形相で見ている公爵令嬢。
ー何も起こらないと良いけどー
と、私はソッと溜め息を吐いた。
❋エールを頂き、ありがとうございます!励みになります❋
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