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自覚、後、失恋?後─
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ーやっぱり、リュークレインさんは、私の事は白狼としか見ていないんだろうなー
「その子を初めて見たのは、東の森だったんだ。」
ーと言う事は、アシーナさんの家に行った時にでも見たのかな?イスタンス領の人なんだろうか?ー
「遠目だったけど、目がキラキラしてて…可愛らしくて…一瞬のうちに心を奪われた感じだったんだ。あの時の胸の痛みは忘れられない位にね。」
その痛み?人?を思い出したのか、リュークレインさんは嬉しそうに微笑む。その笑顔を見ると、やっぱり胸がチクリと痛んだ。
「それから色々あったけど、魔力の相性も良くて、ずっと側に居たいと思った。あぁ、言い方が悪いな……魔力の相性が良いからじゃなくて、彼女だから側に居たいと思った。その彼女と運良く魔力の相性が良かったから、俺は、彼女を手に入れようと……手に入れたいと思ったんだ。」
ーこの拷問は、いつ迄続くんだろうか?あれ?私からの好意?に気付いて……だから、牽制されてるのかな??え?泣いていい?ー
私は、リュークレインさんの話しを聞きながら、頭の中は少しパニック状態だ。恋愛初心者なんです。この状況、どうしたら良いですか?
「その子は………その子の瞳はまるでシルバーオブシディアンみたいにキラキラしてて、いつ見ても綺麗なんだ。」
ーん?ー
「普段は、白銀色のもふもふなんだけど瞳は変わらない。」
ーもふ……もふ?ー
「“側にいる事が当たり前”になるように、膝の上に乗せてたんだ。最初は抵抗してたけど、それも段々慣れて来て俺に身を預けてくれるようになって……それがまた可愛くて仕方なかったんだ。この世界の事に疎いのを良い事に……ずっと側に置いていたんだ。」
ーこの世界の事に疎い…ー
「キョウコ、そんな俺を軽蔑するか?」
ハッとして、下がっていた視線を上げてリュークレインさんを見ると、そこにはまた、不安げに揺れている紫色の瞳があった。眉尻が少し下がっていて、私を窺うように見つめている。
「わ……私?ホントに?」
「こんな時に嘘なんて言わない。俺はキョウコが好きだ。本当に……一目惚れから始まったけど、一緒に居れば居る程より好きになった。だから…今すぐにとは言わないから、俺の事を少しだけでも良いから、考えてみてくれないだろうか?」
おかしい…。リュークレインさんは白狼でも犬でもないのに、何故かシュンと垂れ下がった耳があるように見える──って、今はそうじゃなくて!!
一度、優しく握られている手に視線を向けて何度か深呼吸をした後、ゆっくりとリュークレインさんと視線を合わせた。
「あの…私………も、リュークレインさんの事が……好き…です。」
そう言うと、私の手を握っているリュークレインさん手がピクッと反応する。
「ただ……その………ちゃんと自覚したのが今なんですけどね?それに、好きとか恋愛とか初めてなので、どうしたら良いか分からな────」
と、目の前に居るリュークレインさんの顔を見ていて…ある意味後悔をした。イケメンの本気?な笑顔が目の前にある。今迄の笑顔は何だったんだろう?と思う程の笑顔だ。ここに女性が10人居れば、その10人全員が堕ちる。そんな笑顔を向けられて、平静を保てる人が居るなら連れて来て欲しい。
「へぁっ!?」
変な声とともに、ボンッと顔が真っ赤になった事が分かる位、顔が一気に熱を帯びた。
「顔が赤くなったキョウコも、可愛いな。」
なんて、更に嬉しそうに笑いながら私の頬に触れる手は優しい。私の顔が熱いからか、その手は少し冷たく感じられた。
「──リュークレインさんの手は………(冷たくて)気持ち良いです………。」
「────ゔっ………」
リュークレインさんは、小さく呻きながら、頬にあてていた手をパッと離した。
「無自覚とは……恐ろしいな…………。」
ー無自覚?怖ろしい?ー
「えっと?すみません?」
取り敢えずは謝っておく。
リュークレインさんはと言うと、暫くの間、私の手を握っている手はそのままで、もう片方の手で顔を覆ったまま何かをぶつぶつと呟いたまま動かない。
ーど…どうしたら良いの!?ー
きっと、私が何かをやらかしてしまったんだろう。何かは分からないけど…。どうして良いか分からず「リュークレインさん」と、声を掛けようとしたところで、この部屋の扉がノックされ、気を取り戻したリュークレインさんが対応し、アシーナさんが部屋へと入って来た。
そして、入って来たアシーナさんは、私達の顔を見るなり
「あら、レイン。うまくいったのね?」
「叔母上、時間を作っていただき、本当にありがとうございました。」
「あらあら。良かったわね。それなら、あの話もサクサクと進めましょうか。」
と、アシーナさんは嬉しそうに笑った。
「その子を初めて見たのは、東の森だったんだ。」
ーと言う事は、アシーナさんの家に行った時にでも見たのかな?イスタンス領の人なんだろうか?ー
「遠目だったけど、目がキラキラしてて…可愛らしくて…一瞬のうちに心を奪われた感じだったんだ。あの時の胸の痛みは忘れられない位にね。」
その痛み?人?を思い出したのか、リュークレインさんは嬉しそうに微笑む。その笑顔を見ると、やっぱり胸がチクリと痛んだ。
「それから色々あったけど、魔力の相性も良くて、ずっと側に居たいと思った。あぁ、言い方が悪いな……魔力の相性が良いからじゃなくて、彼女だから側に居たいと思った。その彼女と運良く魔力の相性が良かったから、俺は、彼女を手に入れようと……手に入れたいと思ったんだ。」
ーこの拷問は、いつ迄続くんだろうか?あれ?私からの好意?に気付いて……だから、牽制されてるのかな??え?泣いていい?ー
私は、リュークレインさんの話しを聞きながら、頭の中は少しパニック状態だ。恋愛初心者なんです。この状況、どうしたら良いですか?
「その子は………その子の瞳はまるでシルバーオブシディアンみたいにキラキラしてて、いつ見ても綺麗なんだ。」
ーん?ー
「普段は、白銀色のもふもふなんだけど瞳は変わらない。」
ーもふ……もふ?ー
「“側にいる事が当たり前”になるように、膝の上に乗せてたんだ。最初は抵抗してたけど、それも段々慣れて来て俺に身を預けてくれるようになって……それがまた可愛くて仕方なかったんだ。この世界の事に疎いのを良い事に……ずっと側に置いていたんだ。」
ーこの世界の事に疎い…ー
「キョウコ、そんな俺を軽蔑するか?」
ハッとして、下がっていた視線を上げてリュークレインさんを見ると、そこにはまた、不安げに揺れている紫色の瞳があった。眉尻が少し下がっていて、私を窺うように見つめている。
「わ……私?ホントに?」
「こんな時に嘘なんて言わない。俺はキョウコが好きだ。本当に……一目惚れから始まったけど、一緒に居れば居る程より好きになった。だから…今すぐにとは言わないから、俺の事を少しだけでも良いから、考えてみてくれないだろうか?」
おかしい…。リュークレインさんは白狼でも犬でもないのに、何故かシュンと垂れ下がった耳があるように見える──って、今はそうじゃなくて!!
一度、優しく握られている手に視線を向けて何度か深呼吸をした後、ゆっくりとリュークレインさんと視線を合わせた。
「あの…私………も、リュークレインさんの事が……好き…です。」
そう言うと、私の手を握っているリュークレインさん手がピクッと反応する。
「ただ……その………ちゃんと自覚したのが今なんですけどね?それに、好きとか恋愛とか初めてなので、どうしたら良いか分からな────」
と、目の前に居るリュークレインさんの顔を見ていて…ある意味後悔をした。イケメンの本気?な笑顔が目の前にある。今迄の笑顔は何だったんだろう?と思う程の笑顔だ。ここに女性が10人居れば、その10人全員が堕ちる。そんな笑顔を向けられて、平静を保てる人が居るなら連れて来て欲しい。
「へぁっ!?」
変な声とともに、ボンッと顔が真っ赤になった事が分かる位、顔が一気に熱を帯びた。
「顔が赤くなったキョウコも、可愛いな。」
なんて、更に嬉しそうに笑いながら私の頬に触れる手は優しい。私の顔が熱いからか、その手は少し冷たく感じられた。
「──リュークレインさんの手は………(冷たくて)気持ち良いです………。」
「────ゔっ………」
リュークレインさんは、小さく呻きながら、頬にあてていた手をパッと離した。
「無自覚とは……恐ろしいな…………。」
ー無自覚?怖ろしい?ー
「えっと?すみません?」
取り敢えずは謝っておく。
リュークレインさんはと言うと、暫くの間、私の手を握っている手はそのままで、もう片方の手で顔を覆ったまま何かをぶつぶつと呟いたまま動かない。
ーど…どうしたら良いの!?ー
きっと、私が何かをやらかしてしまったんだろう。何かは分からないけど…。どうして良いか分からず「リュークレインさん」と、声を掛けようとしたところで、この部屋の扉がノックされ、気を取り戻したリュークレインさんが対応し、アシーナさんが部屋へと入って来た。
そして、入って来たアシーナさんは、私達の顔を見るなり
「あら、レイン。うまくいったのね?」
「叔母上、時間を作っていただき、本当にありがとうございました。」
「あらあら。良かったわね。それなら、あの話もサクサクと進めましょうか。」
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