25 / 64
水の精霊
しおりを挟む
❋ロゼリア=アークルハイン❋
「お前は何て事をしたんだ!」
王城から一転、水の精霊に邸へと飛ばされて帰って来た。その瞬間、父に思い切り頬を叩かれた。
「婚約者の居る…しかも、王太子に手を出すなど!しかも、廃太子とは……。」
「わ…私だけが悪いわけじゃないわ!アデル様が私を求めたのよ!だから、私は───っ!」
パンッ─と、また頬を叩かれた。
「お前は、事の重大さを……何も分かっていない。」
「確かに、王太子ではなくなったけど……公爵よ?私は公爵夫人になるのよ!伯爵であるお父様より上の身分になるんだから!」
「──お前がここまで馬鹿だとはな……。国王陛下が言っていただろう?“一代限りの領地無し公爵”と。“一代限り”と言うのは、子を生むな─生まれたとて、その子が爵位を継ぐ事は無い。勿論、お前達の子を養子に迎えてくれるような貴族は居ない。と言う事は、お前達に子ができても、その子は平民となる事が決まっているんだ。」
「へい……みん?」
「“領地無し公爵”とは、そのままの通りで、領地を持たない名ばかりの公爵と言う事だ。つまり、税収が無い。治める領地が無いのだから、国からの支給金や支援金も無い。あぁ、勘違いするな。税収があっても好き勝手に使って良い訳ではない。兎に角、領地が無いと言う事は公爵であっても自ら働かなければならないと言う事だ。」
「そん…な……」
「それだけではない。お前達は、王族と、この国の筆頭公爵家であるアリスタ公爵を敵に回した。そして………水の精霊様を怒らせたのだ。我がアークルハイン伯爵も……近い内に爵位を返上する事になるかも知れんな。」
「そんな!私を選んだのはアデル様なんだから、アークルハイン伯爵を恨むなんて間違ってるわ!それに、たかが、あの小汚い犬を蹴っただけで!?それこそおかしな話だわ!あんな犬、どうなっても問題無いでしょう!」
「ロゼリ──────」
『本当に、思っていた以上のお馬鹿さんだったのね。』
父が私を窘めようと口を開いたと同時に、また、あの体を刺すような、酷く冷たい声が響いた。
*ルーナ達が去った後の王城謁見室*
「これで、王太子……アデルバート様とリナティアとの婚約は解消。カミリア王女殿下の立太子は決まりましたね。」
と、アリスタ公爵が書類の確認をした後、その書類を国王に手渡す。
「ルテウス、此度の事は本当にすまなかった。」
「いえ。私の方こそ、リナティアを助けていただき、ありがとうございます。」
「父上!宰相!本当に、リナとは……何とかなりませんか!?」
ここへきてもまだ、アデルバートはリナティアを諦め切れないようだ。
「何ともなる訳がないだろう。お前は……リナティア嬢を裏切っただけではなく、精霊の愛し子にまで手を出しておいて……これだけで済んだ事を、リナティア嬢とあの愛し子に感謝しなければいけない事だぞ!」
「これだけ?私は、王太子と言う身分どころか、王族ですらなくなるんですよ!?あの女のせいで!私は、あの犬をどうにかしろなんて言ってません。あの犬に危害を加えたのは、ロゼリアです!私は関係ない────っ」
『あら、こっちも本当にクズだったわね。』
と、王城謁見室にも、再び冷たい声が響きわたり、その場に居る全員がその声を耳にした瞬間に体が重くなった。
そう。水の精霊─ウンディーネが、ロゼリア親子を連れて再び現れたのだ。
『今回、私の可愛い子が怪我をしたのは…私のちょっとした見落としもあったし、あの子が、あれ以上の仕返しを望まなかったから、お前達の決めた処遇で私は引き下がったのよ?それなのに……全く反省していないのね?たかが犬と言うけれど、加護がある無しに関わらず、犬なら怪我を負わせて良いの?犬にも、お前と同じ様に命があり生きる権利がある。その命を“たかが”とは……お前は、どれ程偉い人間なの?』
スッと細められた目を向けられているロゼリアは、今にでも倒れそうな顔色で震えている。その横に居るアークルハイン伯爵は、運動でもしていたのか?と思う程の汗をかいている。
『国王よ、其方は良い王だと思っていたが、息子はクズ以下ね?私は、このクズには一切の恵みは与えないわ。新たな王太子には祝福を与えたから、彼女に関しては問題を起こさない限り、この国の平穏は約束するわ。』
「ありがとう…ございます。」
重くなった体を何とか動かして、カミリア王女がウンディーネにお礼をする。
『ふふっ。礼儀正しい子は好きよ?』と、カミリアに優しい笑顔を向けた後、再び冷たい視線をアデルバートとロゼリアに向けた。
『一代限りの領地無し公爵で良かったと思う事ね。でなければ、その領地の民達が不幸になるところだったわ。お前達が居る所では………決して実るモノが何一つ無いのだから。』
“実るモノが何一つ無い”
アデルバートとロゼリアが、何をしても成功しない。うまくいかない。2人に、幸せどころか、普通の未来さえも無いと言う事である。
愛し子が絡むとどうしても過保護になり、過剰な反応をする事もあるが、精霊とは無慈悲な存在ではない。反省したならそれを受け入れ、罰を解く事もある。今回の事も、愛し子に怪我を負わせてしまったのは、自分のミスもあった為、ウンディーネは軽い罰にも目を瞑っただけだった。
それが──
この2人は全く反省せず、お互いがお互いに責任をなすりつけあっていたのだ。一度は赦したが、二度目は無い。
そんな2人から、実りある未来を摘み取る。
人間の一生には、“幸”と“苦”が半分ずつ訪れる。それが訪れた時、それをどう活かすかで、その人間の“幸”と“苦”の大きさが変わって来る。その“幸”を摘み取られた2人。残った“苦”をどう乗り切るか……2人次第だ。
『他人を傷付けて迄して手に入れた愛なんでしょう?2人で手を取り助け合って頑張ってちょうだい。』
と、ウンディーネは微笑んだ。
「お前は何て事をしたんだ!」
王城から一転、水の精霊に邸へと飛ばされて帰って来た。その瞬間、父に思い切り頬を叩かれた。
「婚約者の居る…しかも、王太子に手を出すなど!しかも、廃太子とは……。」
「わ…私だけが悪いわけじゃないわ!アデル様が私を求めたのよ!だから、私は───っ!」
パンッ─と、また頬を叩かれた。
「お前は、事の重大さを……何も分かっていない。」
「確かに、王太子ではなくなったけど……公爵よ?私は公爵夫人になるのよ!伯爵であるお父様より上の身分になるんだから!」
「──お前がここまで馬鹿だとはな……。国王陛下が言っていただろう?“一代限りの領地無し公爵”と。“一代限り”と言うのは、子を生むな─生まれたとて、その子が爵位を継ぐ事は無い。勿論、お前達の子を養子に迎えてくれるような貴族は居ない。と言う事は、お前達に子ができても、その子は平民となる事が決まっているんだ。」
「へい……みん?」
「“領地無し公爵”とは、そのままの通りで、領地を持たない名ばかりの公爵と言う事だ。つまり、税収が無い。治める領地が無いのだから、国からの支給金や支援金も無い。あぁ、勘違いするな。税収があっても好き勝手に使って良い訳ではない。兎に角、領地が無いと言う事は公爵であっても自ら働かなければならないと言う事だ。」
「そん…な……」
「それだけではない。お前達は、王族と、この国の筆頭公爵家であるアリスタ公爵を敵に回した。そして………水の精霊様を怒らせたのだ。我がアークルハイン伯爵も……近い内に爵位を返上する事になるかも知れんな。」
「そんな!私を選んだのはアデル様なんだから、アークルハイン伯爵を恨むなんて間違ってるわ!それに、たかが、あの小汚い犬を蹴っただけで!?それこそおかしな話だわ!あんな犬、どうなっても問題無いでしょう!」
「ロゼリ──────」
『本当に、思っていた以上のお馬鹿さんだったのね。』
父が私を窘めようと口を開いたと同時に、また、あの体を刺すような、酷く冷たい声が響いた。
*ルーナ達が去った後の王城謁見室*
「これで、王太子……アデルバート様とリナティアとの婚約は解消。カミリア王女殿下の立太子は決まりましたね。」
と、アリスタ公爵が書類の確認をした後、その書類を国王に手渡す。
「ルテウス、此度の事は本当にすまなかった。」
「いえ。私の方こそ、リナティアを助けていただき、ありがとうございます。」
「父上!宰相!本当に、リナとは……何とかなりませんか!?」
ここへきてもまだ、アデルバートはリナティアを諦め切れないようだ。
「何ともなる訳がないだろう。お前は……リナティア嬢を裏切っただけではなく、精霊の愛し子にまで手を出しておいて……これだけで済んだ事を、リナティア嬢とあの愛し子に感謝しなければいけない事だぞ!」
「これだけ?私は、王太子と言う身分どころか、王族ですらなくなるんですよ!?あの女のせいで!私は、あの犬をどうにかしろなんて言ってません。あの犬に危害を加えたのは、ロゼリアです!私は関係ない────っ」
『あら、こっちも本当にクズだったわね。』
と、王城謁見室にも、再び冷たい声が響きわたり、その場に居る全員がその声を耳にした瞬間に体が重くなった。
そう。水の精霊─ウンディーネが、ロゼリア親子を連れて再び現れたのだ。
『今回、私の可愛い子が怪我をしたのは…私のちょっとした見落としもあったし、あの子が、あれ以上の仕返しを望まなかったから、お前達の決めた処遇で私は引き下がったのよ?それなのに……全く反省していないのね?たかが犬と言うけれど、加護がある無しに関わらず、犬なら怪我を負わせて良いの?犬にも、お前と同じ様に命があり生きる権利がある。その命を“たかが”とは……お前は、どれ程偉い人間なの?』
スッと細められた目を向けられているロゼリアは、今にでも倒れそうな顔色で震えている。その横に居るアークルハイン伯爵は、運動でもしていたのか?と思う程の汗をかいている。
『国王よ、其方は良い王だと思っていたが、息子はクズ以下ね?私は、このクズには一切の恵みは与えないわ。新たな王太子には祝福を与えたから、彼女に関しては問題を起こさない限り、この国の平穏は約束するわ。』
「ありがとう…ございます。」
重くなった体を何とか動かして、カミリア王女がウンディーネにお礼をする。
『ふふっ。礼儀正しい子は好きよ?』と、カミリアに優しい笑顔を向けた後、再び冷たい視線をアデルバートとロゼリアに向けた。
『一代限りの領地無し公爵で良かったと思う事ね。でなければ、その領地の民達が不幸になるところだったわ。お前達が居る所では………決して実るモノが何一つ無いのだから。』
“実るモノが何一つ無い”
アデルバートとロゼリアが、何をしても成功しない。うまくいかない。2人に、幸せどころか、普通の未来さえも無いと言う事である。
愛し子が絡むとどうしても過保護になり、過剰な反応をする事もあるが、精霊とは無慈悲な存在ではない。反省したならそれを受け入れ、罰を解く事もある。今回の事も、愛し子に怪我を負わせてしまったのは、自分のミスもあった為、ウンディーネは軽い罰にも目を瞑っただけだった。
それが──
この2人は全く反省せず、お互いがお互いに責任をなすりつけあっていたのだ。一度は赦したが、二度目は無い。
そんな2人から、実りある未来を摘み取る。
人間の一生には、“幸”と“苦”が半分ずつ訪れる。それが訪れた時、それをどう活かすかで、その人間の“幸”と“苦”の大きさが変わって来る。その“幸”を摘み取られた2人。残った“苦”をどう乗り切るか……2人次第だ。
『他人を傷付けて迄して手に入れた愛なんでしょう?2人で手を取り助け合って頑張ってちょうだい。』
と、ウンディーネは微笑んだ。
98
お気に入りに追加
1,646
あなたにおすすめの小説
チョイス伯爵家のお嬢さま
cyaru
恋愛
チョイス伯爵家のご令嬢には迂闊に人に言えない加護があります。
ポンタ王国はその昔、精霊に愛されし加護の国と呼ばれておりましたがそれももう昔の話。
今では普通の王国ですが、伯爵家に生まれたご令嬢は数百年ぶりに加護持ちでした。
産まれた時は誰にも気が付かなかった【営んだ相手がタグとなって確認できる】トンデモナイ加護でした。
4歳で決まった侯爵令息との婚約は苦痛ばかり。
そんな時、令嬢の言葉が引き金になって令嬢の両親である伯爵夫妻は離婚。
婚約も解消となってしまいます。
元伯爵夫人は娘を連れて実家のある領地に引きこもりました。
5年後、王太子殿下の側近となった元婚約者の侯爵令息は視察に来た伯爵領でご令嬢とと再会します。
さて・・・どうなる?
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
「お前を愛するつもりはない」な仮面の騎士様と結婚しました~でも白い結婚のはずなのに溺愛してきます!~
卯月ミント
恋愛
「お前を愛するつもりはない」
絵を描くのが趣味の侯爵令嬢ソールーナは、仮面の英雄騎士リュクレスと結婚した。
だが初夜で「お前を愛するつもりはない」なんて言われてしまい……。
ソールーナだって好きでもないのにした結婚である。二人はお互いカタチだけの夫婦となろう、とその夜は取り決めたのだが。
なのに「キスしないと出られない部屋」に閉じ込められて!?
「目を閉じてくれるか?」「えっ?」「仮面とるから……」
書き溜めがある内は、1日1~話更新します
それ以降の更新は、ある程度書き溜めてからの投稿となります
*仮面の俺様ナルシスト騎士×絵描き熱中令嬢の溺愛ラブコメです。
*ゆるふわ異世界ファンタジー設定です。
*コメディ強めです。
*hotランキング14位行きました!お読みいただき&お気に入り登録していただきまして、本当にありがとうございます!
【完結】 私を忌み嫌って義妹を贔屓したいのなら、家を出て行くのでお好きにしてください
ゆうき@初書籍化作品発売中
恋愛
苦しむ民を救う使命を持つ、国のお抱えの聖女でありながら、悪魔の子と呼ばれて忌み嫌われている者が持つ、赤い目を持っているせいで、民に恐れられ、陰口を叩かれ、家族には忌み嫌われて劣悪な環境に置かれている少女、サーシャはある日、義妹が屋敷にやってきたことをきっかけに、聖女の座と婚約者を義妹に奪われてしまった。
義父は義妹を贔屓し、なにを言っても聞き入れてもらえない。これでは聖女としての使命も、幼い頃にとある男の子と交わした誓いも果たせない……そう思ったサーシャは、誰にも言わずに外の世界に飛び出した。
外の世界に出てから間もなく、サーシャも知っている、とある家からの捜索願が出されていたことを知ったサーシャは、急いでその家に向かうと、その家のご子息様に迎えられた。
彼とは何度か社交界で顔を合わせていたが、なぜかサーシャにだけは冷たかった。なのに、出会うなりサーシャのことを抱きしめて、衝撃の一言を口にする。
「おお、サーシャ! 我が愛しの人よ!」
――これは一人の少女が、溺愛されながらも、聖女の使命と大切な人との誓いを果たすために奮闘しながら、愛を育む物語。
⭐︎小説家になろう様にも投稿されています⭐︎
聖女を騙った少女は、二度目の生を自由に生きる
夕立悠理
恋愛
ある日、聖女として異世界に召喚された美香。その国は、魔物と戦っているらしく、兵士たちを励まして欲しいと頼まれた。しかし、徐々に戦況もよくなってきたところで、魔法の力をもった本物の『聖女』様が現れてしまい、美香は、聖女を騙った罪で、処刑される。
しかし、ギロチンの刃が落とされた瞬間、時間が巻き戻り、美香が召喚された時に戻り、美香は二度目の生を得る。美香は今度は魔物の元へ行き、自由に生きることにすると、かつては敵だったはずの魔王に溺愛される。
しかし、なぜか、美香を見捨てたはずの護衛も執着してきて――。
※小説家になろう様にも投稿しています
※感想をいただけると、とても嬉しいです
※著作権は放棄してません
拝啓。聖女召喚で得た加護がハズレらしくダンジョンに置いてきぼりにされた私ですが元気です。って、そんな訳ないでしょうが!責任者出て来いやオラ!
バナナマヨネーズ
恋愛
私、武蔵野千夜、十八歳。どこにでもいる普通の女の子。ある日突然、クラスメイトと一緒に異世界に召喚されちゃったの。クラスのみんなは、聖女らしい加護を持っていたんだけど、どうしてか、私だけよくわからない【応援】って加護で……。使い道の分からないハズレ加護だって……。はい。厄介者確定~。
結局、私は捨てられてしまうの……って、ふっざけんな!! 勝手に呼び出して勝手言ってんな!
な~んて、荒ぶってた時期もありましたが、ダンジョンの中で拾った子狼と幸せになれる安住の地を求めて旅をすることにしたんですよ。
はぁ、こんな世界で幸せになれる場所なんてあるのかしら?
全19話
※小説家になろう様にも掲載しています。
初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―
望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」
【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。
そして、それに返したオリービアの一言は、
「あらあら、まぁ」
の六文字だった。
屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。
ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて……
※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。
【完結】たれ耳うさぎの伯爵令嬢は、王宮魔術師様のお気に入り
楠結衣
恋愛
華やかな卒業パーティーのホール、一人ため息を飲み込むソフィア。
たれ耳うさぎ獣人であり、伯爵家令嬢のソフィアは、学園の噂に悩まされていた。
婚約者のアレックスは、聖女と呼ばれる美少女と婚約をするという。そんな中、見せつけるように、揃いの色のドレスを身につけた聖女がアレックスにエスコートされてやってくる。
しかし、ソフィアがアレックスに対して不満を言うことはなかった。
なぜなら、アレックスが聖女と結婚を誓う魔術を使っているのを偶然見てしまったから。
せめて、婚約破棄される瞬間は、アレックスのお気に入りだったたれ耳が、可愛く見えるように願うソフィア。
「ソフィーの耳は、ふわふわで気持ちいいね」
「ソフィーはどれだけ僕を夢中にさせたいのかな……」
かつて掛けられた甘い言葉の数々が、ソフィアの胸を締め付ける。
執着していたアレックスの真意とは?ソフィアの初恋の行方は?!
見た目に自信のない伯爵令嬢と、伯爵令嬢のたれ耳をこよなく愛する見た目は余裕のある大人、中身はちょっぴり変態な先生兼、王宮魔術師の溺愛ハッピーエンドストーリーです。
*全16話+番外編の予定です
*あまあです(ざまあはありません)
*2023.2.9ホットランキング4位 ありがとうございます♪
【コミカライズ決定】地味令嬢は冤罪で処刑されて逆行転生したので、華麗な悪女を目指します!~目隠れ美形の天才王子に溺愛されまして~
胡蝶乃夢
恋愛
婚約者である王太子の望む通り『理想の淑女』として尽くしてきたにも関わらず、婚約破棄された挙句に冤罪で処刑されてしまった公爵令嬢ガーネット。
時間が遡り目覚めたガーネットは、二度と自分を犠牲にして尽くしたりしないと怒り、今度は自分勝手に生きる『華麗な悪女』になると決意する。
王太子の弟であるルベリウス王子にガーネットは留学をやめて傍にいて欲しいと願う。
処刑された時、留学中でいなかった彼がガーネットの傍にいることで運命は大きく変わっていく。
これは、不憫な地味令嬢が華麗な悪女へと変貌して周囲を魅了し、幼馴染の天才王子にも溺愛され、ざまぁして幸せになる物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる