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杏子とリュークレイン
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❋本日、2話目になります。宜しくお願いします❋
*杏子視点*
結局は、陽真達がどうなったのかは分からなかった。
魔力、魔法に関しては、もともと持っていなかった体に、一気に魔力が流れ込んだ為、魔力がまだ体に馴染まず不安定だから、魔法が上手く使えないとの事だった。
『魔法に関しては、魔力が馴染んで安定する迄は仕方無いわ。今迄通り、魔力の流れを意識しながら練習して……1、2年で落ち着くと思うわ。』
ーそう言われてしまえば、これはもう自分で頑張るしかないよねー
“白狼”に関しては、やっぱり、異世界での私を護る為の加護の一つだった。
ー抜け道があって、怪我もしたけどー
いや、加護がなかったら、小柄な私はもっと酷い怪我を負っていたか、最悪死んでいたかもしれない。あの人の蹴り、容赦なかったよね─。本当に恐ろしい人だよね。
兎に角、これからは、白狼の姿と人間の姿と、自分の意思で変える事ができるそうだ。ただ、月属性を持っている為、満月の夜だけは私の意思とは関係無く、月の光を浴びると人間の姿に戻ってしまうらしい。それも、魔力が安定して魔法が上手く使えるようになれば、魔法で変化しないようにできるようになるとの事だった。
そうして、一通り訊きたかった事を訊き終えると
『また、会いに来るわね─私の愛しい子。』
と、私とリュークレインさんに青色の光を降り注いでから、ウンディーネ様は、その姿を消した。
ウンディーネ様が居なくなった為、今は、この部屋には私とリュークレインさんだけしか居ない。
「ふぅ──────」
と、深く息を吐き、椅子の背もたれに体を預けるリュークレインさん。
「まさか、水の精霊に会えるとはね。あの存在感は、俺達にはキツいものがあるな。」
確かに、存在感は半端無かった。
「あー……“ルーナ”と呼んでも良いんだろうか?」
「え?」
「いや。白狼だからルーナと呼んでいたが…君は女の子だったから、名前呼びはどうかと思って。」
ーえっと─どこから説明すれば良いかなぁ?ー
「あの…ちょっと纏まってないかもしれませんが、私の話を聞いてもらえますか?」
と、尋ねれば、「勿論、喜んで。」と、何故かリュークレインさんは嬉しそうに笑った。
因みに、リュークレインさんが、今居る部屋に防音の魔法を掛けているらしく、外に話が漏れる事は無いと言ってくれた。どうやら、魔女のアシーナさんのように、リュークレインさんも凄い魔力持ちなのだそうだ。
それから、私は、この世界に来る切っ掛けとなった出来事や、アシーナさんと出会ってからの事を話した。
*リュークレイン視点*
テーブルを挟んだ対面の椅子に座っているルーナが、一生懸命にこの国に来る迄の事、来てからの事を話している。その話は、何とも驚きの内容だった。ルーナが、異世界の女の子だったとは……。確かに、この国─世界で、黒髪に黒色の瞳と言うのは珍しい。水の精霊の加護があった事と、叔母上に見付けてもらえた事は本当に良かったと思う。
その反対で、ロゼリア嬢への罰は軽過ぎないか?と、思ってしまうのは……俺がルーナに好意を持っているからだろうか?まぁ、今更そう思っても仕方無い事だ。
「それでですね?“ルーナ”と言うのは、アシーナさんが白狼である私に付けてくれた名前で、本当は“キョウコ”と言うんです。だから、ルーナと呼んでもらっても、全然問題無いと思います。それに…リュークレインさんは公爵家の人で、私はただの平民なので…。あ、逆に、私がリュークレインさんなんて呼ぶ方が問題ありますよね!?すみません!えっと………リュークレイン様?アリスタ様?」
どうしよう─と言う感じで焦りだしたルーナが………可愛い。
アリスタ公爵に近付こうとする令嬢は居ても、離れて行こうとする令嬢は殆ど居ない。俺に興味が無い─と言う事なんだろうけど………
「“さん”で良いよ。なんなら、“レイン”でも良いけどね。」
「──いえ、流石に“レインさん”とは呼べませんから。」
と、ブンブンと手を振って答えるルーナ。
ー行動がいちいち可愛く見えるのは気のせいか?ー
「正直に言うと、様呼びには慣れていないので、さん呼びを許してもらえるのは…助かります。リュークレインさん─と、呼ばせていただきますね。」
ふふっ─と笑うルーナ。その笑顔には、媚びるような感情は一切無い。ただただ普通に、嬉しそうに笑っているだけ。
と言うか……ルーナは……幼くないか?白狼の時のルーナは、まるで幼犬?幼狼?のように見える……。
ーえ?俺、ヤバいのか?ー
内心焦りつつも、平静を装いルーナに尋ねる。
「ルーナは見た目はまだまだ若いと言う感じだが、しっかりしているね。」
「しっかりしているかどうかは分かりませんが、一応18歳…もうすぐ19歳になります。」
まさかの18歳!もうすぐ19歳!?この世界では成人だ。婚約者が居てもおかしくはない。
「元の世界では、婚約者が居た……とか?」
「婚約者どころか………彼氏が居た事もありません。」
と、何故かムッと眉間に皺を寄せているが……兎に角、ルーナには婚約者も彼氏も居ないと言う事は分かった。成人もしている。平民だけど、月属性の水の精霊の加護持ちで、俺との魔力の相性も問題無いどころか心地良い。何より──
本当に可愛いしかない。
俺が護っていきたい。
俺の側に居て欲しい。
ー先ずは…叔母上に相談…だなー
と、叔母上達が王城から帰って来る迄、俺はルーナと2人で色んな話をした。
まさか、その間に、王城であんな事が起こっているとは知らずに──
❋お気に入り登録していただき、本当にありがとうございます。感想も、いつも励みになっています。ありがとうございます❋
*.+゚★☆感d(≧▽≦)b謝☆★゚+.*
*杏子視点*
結局は、陽真達がどうなったのかは分からなかった。
魔力、魔法に関しては、もともと持っていなかった体に、一気に魔力が流れ込んだ為、魔力がまだ体に馴染まず不安定だから、魔法が上手く使えないとの事だった。
『魔法に関しては、魔力が馴染んで安定する迄は仕方無いわ。今迄通り、魔力の流れを意識しながら練習して……1、2年で落ち着くと思うわ。』
ーそう言われてしまえば、これはもう自分で頑張るしかないよねー
“白狼”に関しては、やっぱり、異世界での私を護る為の加護の一つだった。
ー抜け道があって、怪我もしたけどー
いや、加護がなかったら、小柄な私はもっと酷い怪我を負っていたか、最悪死んでいたかもしれない。あの人の蹴り、容赦なかったよね─。本当に恐ろしい人だよね。
兎に角、これからは、白狼の姿と人間の姿と、自分の意思で変える事ができるそうだ。ただ、月属性を持っている為、満月の夜だけは私の意思とは関係無く、月の光を浴びると人間の姿に戻ってしまうらしい。それも、魔力が安定して魔法が上手く使えるようになれば、魔法で変化しないようにできるようになるとの事だった。
そうして、一通り訊きたかった事を訊き終えると
『また、会いに来るわね─私の愛しい子。』
と、私とリュークレインさんに青色の光を降り注いでから、ウンディーネ様は、その姿を消した。
ウンディーネ様が居なくなった為、今は、この部屋には私とリュークレインさんだけしか居ない。
「ふぅ──────」
と、深く息を吐き、椅子の背もたれに体を預けるリュークレインさん。
「まさか、水の精霊に会えるとはね。あの存在感は、俺達にはキツいものがあるな。」
確かに、存在感は半端無かった。
「あー……“ルーナ”と呼んでも良いんだろうか?」
「え?」
「いや。白狼だからルーナと呼んでいたが…君は女の子だったから、名前呼びはどうかと思って。」
ーえっと─どこから説明すれば良いかなぁ?ー
「あの…ちょっと纏まってないかもしれませんが、私の話を聞いてもらえますか?」
と、尋ねれば、「勿論、喜んで。」と、何故かリュークレインさんは嬉しそうに笑った。
因みに、リュークレインさんが、今居る部屋に防音の魔法を掛けているらしく、外に話が漏れる事は無いと言ってくれた。どうやら、魔女のアシーナさんのように、リュークレインさんも凄い魔力持ちなのだそうだ。
それから、私は、この世界に来る切っ掛けとなった出来事や、アシーナさんと出会ってからの事を話した。
*リュークレイン視点*
テーブルを挟んだ対面の椅子に座っているルーナが、一生懸命にこの国に来る迄の事、来てからの事を話している。その話は、何とも驚きの内容だった。ルーナが、異世界の女の子だったとは……。確かに、この国─世界で、黒髪に黒色の瞳と言うのは珍しい。水の精霊の加護があった事と、叔母上に見付けてもらえた事は本当に良かったと思う。
その反対で、ロゼリア嬢への罰は軽過ぎないか?と、思ってしまうのは……俺がルーナに好意を持っているからだろうか?まぁ、今更そう思っても仕方無い事だ。
「それでですね?“ルーナ”と言うのは、アシーナさんが白狼である私に付けてくれた名前で、本当は“キョウコ”と言うんです。だから、ルーナと呼んでもらっても、全然問題無いと思います。それに…リュークレインさんは公爵家の人で、私はただの平民なので…。あ、逆に、私がリュークレインさんなんて呼ぶ方が問題ありますよね!?すみません!えっと………リュークレイン様?アリスタ様?」
どうしよう─と言う感じで焦りだしたルーナが………可愛い。
アリスタ公爵に近付こうとする令嬢は居ても、離れて行こうとする令嬢は殆ど居ない。俺に興味が無い─と言う事なんだろうけど………
「“さん”で良いよ。なんなら、“レイン”でも良いけどね。」
「──いえ、流石に“レインさん”とは呼べませんから。」
と、ブンブンと手を振って答えるルーナ。
ー行動がいちいち可愛く見えるのは気のせいか?ー
「正直に言うと、様呼びには慣れていないので、さん呼びを許してもらえるのは…助かります。リュークレインさん─と、呼ばせていただきますね。」
ふふっ─と笑うルーナ。その笑顔には、媚びるような感情は一切無い。ただただ普通に、嬉しそうに笑っているだけ。
と言うか……ルーナは……幼くないか?白狼の時のルーナは、まるで幼犬?幼狼?のように見える……。
ーえ?俺、ヤバいのか?ー
内心焦りつつも、平静を装いルーナに尋ねる。
「ルーナは見た目はまだまだ若いと言う感じだが、しっかりしているね。」
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まさかの18歳!もうすぐ19歳!?この世界では成人だ。婚約者が居てもおかしくはない。
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本当に可愛いしかない。
俺が護っていきたい。
俺の側に居て欲しい。
ー先ずは…叔母上に相談…だなー
と、叔母上達が王城から帰って来る迄、俺はルーナと2人で色んな話をした。
まさか、その間に、王城であんな事が起こっているとは知らずに──
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