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15 赤色
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やって来たのは、以前、カリーヌさんがお勧めだと言っていたアクセサリーショップ。高価な宝石から手軽な宝石や魔石まで取り扱っていて、良心的なアクセサリーもたくさんあった。使う使わない、買う買わないは別として、見ているだけでも楽しい。
「魔道士だと、一番無難なのはピアスですか?」
「そうだね。既婚者なんかは指輪もしているけど、私としては、ピアスが一番楽かな。指輪はどうも…気になってしまって……」
ピアスは貴族平民関係なく、小さい頃から一般的によく使われるアクセサリーだ。今迄、仕事だけで精一杯でアクセサリーの一つも持ってなかったけど、今度、お給料が出たら買ってみようかな?その前に、ピアスの穴を……開けないといけないけど………。その前に、今はレイさんへのお礼のアクセサリーを選ばないと。
「レイさんの好きな石ってあるんですか?」
「特にはないよ。私がアクセサリーを買う時は、見て良いな─と思う物を買ってる。それが、安くても高くてもね」
“高くても”──今迄平民だと思っていたけど、潜入捜査をするぐらいだから、ひょっとしたら、レイさんは平民ではなくて貴族なのかもしれない。見た目は相変わらずボザッとした髪で前髪が長目で、貴族様には見えないけど。
「んー、そうだ、ニアさんが選んでくれないかな?」
「え、私がですか?」
「そう。“お礼”だと言うなら、ニアさんが私に似合い」う物を選んでくれるかな?」
できればピアスで─とだけ言われて、レイさんも店内を見て回ると言って私から離れて行った。
ーアクセサリー初心者に、何て無理難題な事をー
後で「コレ嫌だ」とか「任せるんじゃなかった」とか……言わせないからね!?
「これなんですけど………」
「……うん、良いね」
私が選んだのは、ルビーのピアス。単純に、レイさんの瞳みたいな色だなと思ったからだ。
「単純ですみません。本当に選ぶ基準とかが分からなくて…色で選びました。お礼の品と言いながら、シンプルなデザインで……色々とすみません」
どうしても、ゴテゴテしたデザインや派手な物には手が伸びなかった。もし、レイさんが貴族様なら、ゴミ箱直行されてもおかしくない程のシンプルさと……ルビーの小ささだ。
「何で謝るの?ニアさんが私を思って選んでくれた─と言う事実があれば、何の問題もないし、このピアス、私も気に入ったから。こう言うシンプルなデザインが好きなんだ。ニアさん、ありがとう」
「それなら良かったです」
ーレイさんは褒め上手だー
これが、“大人の対応”と言うモノなんだろう。これで何故、未婚で彼女すら居ないのか……不思議だよね。絶対良いお父さんになれると思うけど。
「それで……はい、コレ、ニアさんにあげる」
「え?」
レイさんが差し出して来たのは、さっきのジュエリーショップのロゴの入った小さな箱だった。しかも、今、私がレイさんに渡した箱と同じ大きさの箱だ。
ニコッと笑うレイさんを見ると、断るのもなぁ…と思い、素直に受け取り「開けても良いか?」と訊いてから箱を開けた。
「ピアス?」
「違うよ。ニアさん、ピアスの穴、空いてないよね?だから、イヤリングにしたんだ。耳に挟むだけだから、穴がなくても着けられるから」
琥珀色の石と、赤色の石が2つ並んだイヤリング。これもまたシンプルなデザインで、私でも毎日着けられそうなモノだった。
ー私の好みのドンピシャなんだけど!?ー
あれ?自分で選んだ?と思うぐらい、私好みのデザインだ。琥珀の色も、私の髪色に近いかな?
「可愛い!けど、私が貰っても…良いんですか?貰う理由が無い…と言うか………」
「理由があれば良いなら……ニアさんが黒色のネックレスを着けているのが嫌だったから─かな?」
「え?」
黒色のネックレスって……ダミアンさんから貰ったネックレス?今現在、首に着けているネックレスに触れる。
「……なるほど…私、そんなにも……第三者から見て嫌だな─と思われるぐらい、黒色が似合ってないんですね?」
「……ん????」
私の髪も瞳も平凡な茶系で、そこに黒色が入ると暗い雰囲気になるのかもしれない。顔も平凡だし…。
「茶系の私には、黒色より明るい色を入れた方が、まだマシに見えるんですね?」
「えっと…………」
「あ、すみません。そんな事訊かれても、素直に頷けませんよね。大丈夫です。理解しました。ありがとうございます」
「あー…うん。いや…違う……んだけど…まぁ……気に入ってもらえたなら……良かったと言う事にしておくよ。取り敢えず……使ってくれると嬉しいかな」
ははっ─と、何故か空笑いするレイさん。何故空笑い?とは訊かず「使わせていただきます」と、答えるだけにした。
それから、まだ時間も早かったから、無料で開放されている町の庭園をブラブラと歩いて見て回り、夕食も一緒に食べた。私はチキンソテーを食べたけど、レイさんは「胃に優しいんだよね」と言いながら魚のフライを食べていた。
ーそう言えば、お父様もよく魚料理を食べてたなぁー
レイさんと一緒に居て安心感があるのは、やっぱり……レイさんが、父親みたいな存在だから─なんだろうか?
「魔道士だと、一番無難なのはピアスですか?」
「そうだね。既婚者なんかは指輪もしているけど、私としては、ピアスが一番楽かな。指輪はどうも…気になってしまって……」
ピアスは貴族平民関係なく、小さい頃から一般的によく使われるアクセサリーだ。今迄、仕事だけで精一杯でアクセサリーの一つも持ってなかったけど、今度、お給料が出たら買ってみようかな?その前に、ピアスの穴を……開けないといけないけど………。その前に、今はレイさんへのお礼のアクセサリーを選ばないと。
「レイさんの好きな石ってあるんですか?」
「特にはないよ。私がアクセサリーを買う時は、見て良いな─と思う物を買ってる。それが、安くても高くてもね」
“高くても”──今迄平民だと思っていたけど、潜入捜査をするぐらいだから、ひょっとしたら、レイさんは平民ではなくて貴族なのかもしれない。見た目は相変わらずボザッとした髪で前髪が長目で、貴族様には見えないけど。
「んー、そうだ、ニアさんが選んでくれないかな?」
「え、私がですか?」
「そう。“お礼”だと言うなら、ニアさんが私に似合い」う物を選んでくれるかな?」
できればピアスで─とだけ言われて、レイさんも店内を見て回ると言って私から離れて行った。
ーアクセサリー初心者に、何て無理難題な事をー
後で「コレ嫌だ」とか「任せるんじゃなかった」とか……言わせないからね!?
「これなんですけど………」
「……うん、良いね」
私が選んだのは、ルビーのピアス。単純に、レイさんの瞳みたいな色だなと思ったからだ。
「単純ですみません。本当に選ぶ基準とかが分からなくて…色で選びました。お礼の品と言いながら、シンプルなデザインで……色々とすみません」
どうしても、ゴテゴテしたデザインや派手な物には手が伸びなかった。もし、レイさんが貴族様なら、ゴミ箱直行されてもおかしくない程のシンプルさと……ルビーの小ささだ。
「何で謝るの?ニアさんが私を思って選んでくれた─と言う事実があれば、何の問題もないし、このピアス、私も気に入ったから。こう言うシンプルなデザインが好きなんだ。ニアさん、ありがとう」
「それなら良かったです」
ーレイさんは褒め上手だー
これが、“大人の対応”と言うモノなんだろう。これで何故、未婚で彼女すら居ないのか……不思議だよね。絶対良いお父さんになれると思うけど。
「それで……はい、コレ、ニアさんにあげる」
「え?」
レイさんが差し出して来たのは、さっきのジュエリーショップのロゴの入った小さな箱だった。しかも、今、私がレイさんに渡した箱と同じ大きさの箱だ。
ニコッと笑うレイさんを見ると、断るのもなぁ…と思い、素直に受け取り「開けても良いか?」と訊いてから箱を開けた。
「ピアス?」
「違うよ。ニアさん、ピアスの穴、空いてないよね?だから、イヤリングにしたんだ。耳に挟むだけだから、穴がなくても着けられるから」
琥珀色の石と、赤色の石が2つ並んだイヤリング。これもまたシンプルなデザインで、私でも毎日着けられそうなモノだった。
ー私の好みのドンピシャなんだけど!?ー
あれ?自分で選んだ?と思うぐらい、私好みのデザインだ。琥珀の色も、私の髪色に近いかな?
「可愛い!けど、私が貰っても…良いんですか?貰う理由が無い…と言うか………」
「理由があれば良いなら……ニアさんが黒色のネックレスを着けているのが嫌だったから─かな?」
「え?」
黒色のネックレスって……ダミアンさんから貰ったネックレス?今現在、首に着けているネックレスに触れる。
「……なるほど…私、そんなにも……第三者から見て嫌だな─と思われるぐらい、黒色が似合ってないんですね?」
「……ん????」
私の髪も瞳も平凡な茶系で、そこに黒色が入ると暗い雰囲気になるのかもしれない。顔も平凡だし…。
「茶系の私には、黒色より明るい色を入れた方が、まだマシに見えるんですね?」
「えっと…………」
「あ、すみません。そんな事訊かれても、素直に頷けませんよね。大丈夫です。理解しました。ありがとうございます」
「あー…うん。いや…違う……んだけど…まぁ……気に入ってもらえたなら……良かったと言う事にしておくよ。取り敢えず……使ってくれると嬉しいかな」
ははっ─と、何故か空笑いするレイさん。何故空笑い?とは訊かず「使わせていただきます」と、答えるだけにした。
それから、まだ時間も早かったから、無料で開放されている町の庭園をブラブラと歩いて見て回り、夕食も一緒に食べた。私はチキンソテーを食べたけど、レイさんは「胃に優しいんだよね」と言いながら魚のフライを食べていた。
ーそう言えば、お父様もよく魚料理を食べてたなぁー
レイさんと一緒に居て安心感があるのは、やっぱり……レイさんが、父親みたいな存在だから─なんだろうか?
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