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少年編

閑話③ 女子会

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ハラ王国、最西端の街【ヌイ】の国境警備兵舎、第2訓練室ーーーーーー

「疲れたー!」「お腹すいたぁ。」
国立剣士官学校ハイクラスの上位グループ10名の実践訓練が始まっており、先行して女子3名が現在ここに来ていた。
序列1位『リカ・バイヤー』は、ベッドで横になり休んでいた。

「リカ?ご飯食べに行こうー。」
4位『フォリア・オブキ』が声をかける。
「後で行くわ。先に行ってて・・・。」

「リカさん!食べないと身体持ちませんよぉ。一緒に行きましょ?」
5位『ピア・メイヴィス』がリカの手を引っ張った。

「・・・そうよね。わかった!起きるわ。」
リカは起き上がり、食堂へ向かった。

3人は食べながら、今日の訓練について話をしていた。
同様に食事をする周りの兵士達、特に若い兵士がチラチラと見てくる。
訓練生が来るプラスリカの美しさはすでに噂になっており、強さも比例しているため日を追うごとに注目度が増していた。

「リカさんは私が守ります!」ピアが鼻息荒く、周りを睨みつけていた。
「どこに行っても目立つからね。さ!ご飯食べたら、サッサと部屋に戻ろ。」

リカも無言で食事を掻き込んだ。
本当だったら今頃、メイ達と小鳥のさえずり亭で一緒にご飯を食べていたかもしれないのに。

実践訓練日と重なってしまったのが運の尽き・・・。
それに、このまま兵士としての道を歩んでもいいのだろうか。いつもこんな風に悪目立ちする。今居る二人は、入学当初から変わらず付き合ってくれる貴重な友人だ。

でも、女子とは昔からあまり上手く付き合えない。異性もそう。好感を持ってくれるのは嬉しいけど、普通に接していても、突然相手が態度を変えてくるのでわからなくなる。

「リカ?!おーい!食べ終わってるよ?大丈夫?」
「さー、戻りましょ!!」
フォリアとピアに引きずられるように、部屋に戻った。

「お茶、いれますねー。」
ピアが温かいお茶をいれてくれた。

「おいしい~。」
「ありがとうございます。あの・・・リカさん、大丈夫ですか?」

「うん。美味しい・・・。ピア、ありがとう。」
まだリカの表情は暗かった。

「私達、ずっと同じクラスですけどこうやってゆっくりお茶とかしたことなかったですねー。」
「そうだよね!寮は部屋が違うし、お昼ご飯とかは一緒だけど、クラスだとミトラスとかちょっかいかけてくるからね。」

「ホントに男子はリカさんに纏わり付いて!!迷惑してるのがわかってないんですよ!」
「まぁまぁ。ピアだって分かるでしょ?好きな人の気を引きたいって気持ち。」

「ですけど!相手のこともちゃんと考えてますよぉ。そりゃ全く相手にされなかったら、悲しいですけど・・・。」
「でしょ?気を引きたくて仕方ないのよー。」

ボーッとしているリカにフォリアが肩をポンポンッと叩いた。
「聞いてる?」
「あ、ごめんなさい。最近、色々考えちゃって・・・。」

「そういえば、リカと進路の事とかあんまり話したことなかったよねー。」
「ですねー。いっつも私達の話を聞いて貰ってる感じですから。」

「・・・そんな事ないわよ。私ね、これまではあんまり迷わなかった。でも、卒業した後の事とか考えたら不安になってきたのかも。」
「確かに。女兵士も増えてはきてるけど、まだまだ男のが多いしね。」

「リカさんは、希望の部署とかあるんですか?」
ピアが身を乗り出して聞いた。

「ないよ。だから困ってるのかな。フォリアやピアは?」
「私も特にはない!だって、これから実践訓練とか職場見学するじゃない?それから決めればいいと思ってるし。」
「私もですー。」

「リカは真面目すぎる!もっと力抜いて楽しい事しなきゃー。」
「そうですよぉ。私、本当はもっとリカさんと遊びたいです!きゃっ♪言ってしまいました!」

「え?本当?」
「そうですよぉ。小鳥のさえずり亭でお茶したり、寮でももっと仲良くしたかったんです~。」
「私も!でもリカ、そういうの苦手だと思ってたからさ。」

「そっか。私が壁を作ってたのね・・・。」
「そういえば!あの男の子なんなのー?ミトラスとも仲良い子いるじゃない?」
「あー!!それずっと聞きたかったんですー!何ですかあの子は?!」

「え、あ。メイの事?」
「そうそう、最近あのクラークからも聞くようになったから、どういう関係なのか気になってたのよ。」
「リカさんと親しげにしてっ。何者ですか?!あの男の子は!」

「父親の同僚の子供なのよ。話しやすいから、今度二人にも紹介するわね。」
「ぜひ!」「絶対ですよー?!」
フォリアやピアと話してるうちに、さっきまでの鬱々とした気分がなくなっていた。

「うん。なんか元気でたわ!ありがとう。」
「ふふ、やっとリカの本音が聞けた気がするわー。」
「寮に戻ったら、3人でまたお茶会しましょう♪」

三人三様思惑あれど、この女子会はそれぞれ有意義なものとなった。
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