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◇5◇ 祭事
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朝起きると、太鼓が鳴っていた。ぼくが放火したことはばれなかったけれど、祭りは行うことになったみたいだ。本殿が燃えても、祭りは滞りなく進められるから、だって。それなら燃やしたって、意味がなかったんだ。どうしたら祭りをやめさせられるのかな。祭りのときに獣を乱入させるとか? でもそれを防ぐために、入口はすべて狩人が守っている。たしかに簡単じゃなかった。でも今年は何としても、あの人と夏を過ごすんだから。
普段の祭りは、神社の高い垣の中で何かをおこない、それから山へ登る。山へ登るのを妨害できればいいんだけどな。一本道だし、何とかして止められるかも。
神社から、雅楽が聞こえた。早くしないと、今年も苦しみであふれてしまう。身を切るような悲壮な気配。この世の終わりのような絶望。すでにあたりには、かすかな哀愁の気配が漂っていた。
太鼓の音が大きくなる。それに合わせて、潮が満ちるようにあたりが悲しみに包まれた。それにだんだんと、苦しみが混じる。
行列は山へ行き、ぼくは何もできなかった。あたりには苦しみ、悲しみに暮れる「もの」たちが漂っていた。言葉は何も聞こえないのに、顔のない塊たちからは押しつぶされそうなほど重い感情があふれてくる。この感情はすでに、神社から雅楽が聞こえたときから、始まっていた。それに気づいた途端、行列を乱してもむだだと気づいた。もう、手遅れだ。
祭りへ行こう、と誘いにくる子は、あたりに満ちる感情を知らない。ぼくをむしばむような感情の中で祭りに行っても、何も楽しくない。この悲しみが満ちる感じは、葬式のようなのだ。そんな中で楽しめというのは、無理がある。
普段の祭りは、神社の高い垣の中で何かをおこない、それから山へ登る。山へ登るのを妨害できればいいんだけどな。一本道だし、何とかして止められるかも。
神社から、雅楽が聞こえた。早くしないと、今年も苦しみであふれてしまう。身を切るような悲壮な気配。この世の終わりのような絶望。すでにあたりには、かすかな哀愁の気配が漂っていた。
太鼓の音が大きくなる。それに合わせて、潮が満ちるようにあたりが悲しみに包まれた。それにだんだんと、苦しみが混じる。
行列は山へ行き、ぼくは何もできなかった。あたりには苦しみ、悲しみに暮れる「もの」たちが漂っていた。言葉は何も聞こえないのに、顔のない塊たちからは押しつぶされそうなほど重い感情があふれてくる。この感情はすでに、神社から雅楽が聞こえたときから、始まっていた。それに気づいた途端、行列を乱してもむだだと気づいた。もう、手遅れだ。
祭りへ行こう、と誘いにくる子は、あたりに満ちる感情を知らない。ぼくをむしばむような感情の中で祭りに行っても、何も楽しくない。この悲しみが満ちる感じは、葬式のようなのだ。そんな中で楽しめというのは、無理がある。
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