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僕と葛藤する朝
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翌朝。
「おはよう、起きた?」
ジェラルドが瞬きを繰り返しているのを、リアムは椅子に腰掛けて微笑んだ。手にはコーヒー、片方の手で空中に現れたディスプレイをスライドさせている。
「…あ、ああ、おはよう」
「朝食準備出来てるよ、食堂でみんな待ってる」
シャツに身を包み、いつもの調子でジェラルドに話しかける。だが相手はまだ状況が掴めず戸惑っているのか歯切れが悪い。
「ああ……」
「どうしたの?」
「いや……なんでもない」
ジェラルドは頭を振ると立ち上がった。黒髪をかきあげ、部屋着に着替える。その姿を見つめながらリアムはコーヒーを口にした。その時だった。
ちゅ♡
「…行ってくる」
「!?!?!?」
おでこに軽くキスをすると、ジェラルドはそのまま部屋を後にした。
パタン
扉が閉まる音がして、予期せぬことに固まっていたリアムは我に返った。
「え?ええ!?ちょ、今何したのあの人!?」
キスされた箇所に触れながら、リアムの顔が真っ赤に染まる。
「は、初めて……おでこにキスされた……!」
両手で顔を覆いながらリアムは呟いた。ぷるぷる震えた後「すきっ…!」と言って机に突っ伏す。
「あうー…あんなのダメずるい反則…折角僕が早起きして頑張って何もなかったことにしようと色々頑張ったのに…」
そう、早朝に目を覚ましたリアムは、万が一ジェラルドが正気に戻っていたらと想定し、昨夜のありとあらゆる痕跡を消そうとした。服を着替え、ベッドを整え、換気をし、証拠隠滅に勤しんだ。爽やかな朝の光とともに、宿の主人が淹れてくれたコーヒーを飲みながら、『月狂い』について調べ、ジェラルドが起きるまでを静かに過ごした。
(やっぱり満月前後が顕著に症状が出るんだ…つまりそれが過ぎたら正気に戻る……)
だから今は、昨夜のことは無かったことにして普段通り接しようとリアムなりに決めた。そして無事何事もなく朝を迎えたはずだったのだ。それなのに……!
(あんなキスするとか!あんな!あんなこと!!!)
塩対応され続けてきたリアムからすれば、甘い恋人のようなことをされるだけで寿命が縮まる想いになる。
(いやむしろ長くなるかも…!)
「はぁ……幸せすぎる」
(でも、悪い気がする……だって僕、ジェラルドの本当の恋人じゃないもん……)
ぷしゅー…と変な音を出しながらリアムは机に突っ伏した。ドキドキするのと罪悪感とで、胸がいっぱいになる。
「ダメダメ…!ちゃんと調べないと……!」
リアムは気を取り直して魔法で立ち上げた画面に向かった。だが内容が頭に入ってこない。
「うぅ~~~……」
『リアム、大丈夫?』
「ひゃっ!?」
突然声をかけられてリアムは飛び上がる。エマからのメッセージだ。食堂でのジェラルドの様子を教えて欲しい、と事前にお願いしておいたのだが、すっかり忘れていた。
「だ、大丈夫!それで、ジェラルドの様子は…?」
『いつもの様子よ。特段おかしなところはないわ。ただちょっといつもより雰囲気が柔らかいくらいかしら?』
「そ、そっか……良かった……」
ほっと胸を撫で下ろすリアム。雰囲気が柔らかいのはわかる。行きがけにキスされたし。でもそれ、続いてるってこと?疑問に思うが、今はとりあえず情報が欲しいためそのまま話を進めることにした。
「具体的には?」
『表情が柔らかくていつもより穏やかだわ。嫌味もないし』
「ありがとう!助かるよ!」
エマに礼を言って通信を切った後、もう一度文章を読み返したリアムは頭を抱えた。
(うう……どうしよう……)
まだ続いているのだと、もしかしたら皆の前で恥ずかしいことをされるかもしれない。ただでさえ昨夜だって浴室であんなことをされてしまったのに……!
「……っ」
密着する身体、耳元で感じる息遣い。思い出すだけで顔が熱くなる。
「はぁ……っ」
思わず甘い吐息が漏れてしまう。セックスするより官能的だった。
「うう……どうしよう……」
(…ジェラルドに、抱かれたい)
そう思ってしまう自分がいる。だが不安も募る。もし、呪いが解けて正気に戻った時、彼はどう思うだろうか?甘い関係に慣れた後に冷たい目で『お前とは二度と組まない』とか言われたら立ち直れないかもしれない。事実、初めて抱いてくれた翌日はいつも以上に辛辣だった。耐えられる気がしない。
「……はぁ」
大きなため息をつくと、リアムは自分の欲望と理性を天秤にかける。だが答えはすぐに出た。
「…僕のやる事は一つだ。ジェラルドを治す」
それが叶わぬ恋心に終止符を打つことになろうとも。
「…そう決めたんだ」
自分に言い聞かせるように呟く。そしてリアムは再び作業に没頭し始めたのだった。
***
「ジェラルド、ちょっといい?」
食事の後、部屋に戻ろうとしたジェラルドをエマが呼び止めた。
「……なんだ?」
「少し話があるの、来てもらえるかしら?」
そう言って彼女はジェラルドを連れ立ってそのまま歩き出す。その勢いに押される形でジェラルドは大人しくついて行くことにした。
(一体なんなんだ?)
訝しく思いながらも黙ってついていく。宿の外の広場には影がさしていて、少し薄暗い。
「リアムのことだけど」
リアム、という単語にピクッと反応する。
「……リアムがどうかしたのか?」
「少し思い悩んでるみたいなんだけど、何か理由を知らない?」
「……知らない」
「本当に?何か心当たりはないの?」
「ないと言っているだろう」
苛立った口調で答えると彼女は溜息をついた。そして少し間を置いてから言った。
「じゃあ、どうしてそんなに不機嫌なのかしら?」
その言葉に思わず舌打ちをする。
「……お前には関係ない事だ」
それだけ言ってその場を立ち去ることにしたのだが、エマが追いかけてくる気配を感じたので足を止めるしか無かった。
「待ってちょうだい」
腕を掴まれて引き止められる。仕方なく振り返ると彼女は真剣な眼差しを向けてきた。
「貴方らしくないわね、ジェラルド」
その言葉に思わず顔を顰めてしまう。するとエマはさらに言葉を続けた。
「ねぇ、ジェラルド。貴方はリアムをどう思ってるの?」
「……俺は……」
「ただの仲間だと思っているのならいいけど、そうじゃないでしょう?」
振り返ったジェラルドの目を見て、エマは思わず言葉に詰まらせる。まるで獲物を狙う肉食獣のような目つきだったからだ。
「ジェラルド……貴方……」
エマが言葉を発しようとした時、ジェラルドは口を開くと静かに言った。
「余計な詮索をする必要はない。お前には関係ない事だ」
冷ややかな目を向けられ、思わずエマは怯んでしまった。その隙にジェラルドはその場を去った。残されたエマは小さく溜息をつくと呟くように言った。
「本当に、世話の焼ける人達なんだから……」
***
「はぁ……どうしよう……」
リアムは自室で一人頭を抱えていた。ジェラルドを治すと決めたものの、具体的に何をすればいいのか全く思い浮かばないのだ。
「完治した経緯もバラバラだし、具体的な経過を記された文献もあまり集まっていない…なぜ?」
はあ、とため息をついてマグを置く。
(そもそもジェラルドが僕を抱くのは呪いのせいであって本心じゃないんだよね)
そう考えると悲しくなってくる。好きな人に愛されるというのは幸せな事だ。
(でも、もしそれが無くなったら?)
そう思うとゾッとする。今まで通りの関係には戻れないだろう。それどころか二度と口を聞いてくれなくなるかもしれない。そう思うと、怖くて仕方がなかった。
「でも……それでも……」
最新の研究結果では、完治した場合の症例もあったが、悪化し人を襲う狼男になるケースもあるらしい。
「治さないとダメだ。そんなことになっちゃダメだ」
ぶんぶん頭を振ると、リアムは気持ちを切り替えた。まずは呪いを解くための方法を探さないといけない。
「後は本人がどこまで分かっているかだけど……」
ジェラルドは、満月前後の症状を自覚しているのだろうか?それとも全く覚えていないのか?リアムが思っていた以上に呪いの症状が酷かったということは分かる。だが肝心の本人がどこまで把握しているか、そこが重要だ。
「一応確認しておかないと……」
「何をだ?」
「ひゃああああ!?」
突然背後から声をかけられてリアムは思わず叫んだ。振り向くとそこにはジェラルドが立っていた。
「何を驚いてるんだ?」
怪訝そうな顔で見つめる彼に、慌てて誤魔化すように微笑む。
「な、なんでもないよ!おおおお帰りなさい、早かったね!」
「……ああ」
「そ、それで何か用かな?」
平静を装って問いかけるが内心は心臓がバクバクしていた。
(まさかさっきの独り言聞かれてないよね!?)
焦るリアムにジェラルドは少し間を置いて言った。
「いや……特に用事は無いが……」
(ほっ)
とりあえず聞かれたわけでは無さそうだと安堵する。その間に距離が縮んでいて、ジェラルドはリアムのすぐ側に腕を組んで立っていた。
「悩み事でもあるのか?リアム」
「え?どうして?」
突然の質問に驚いて聞き返すと彼は少し困ったような表情を浮かべた。
「…元気がなさそうに見える」
(優しい…!優しいジェラルドかっこよすぎる…!すき…!)
キュン!と胸が締め付けられる感覚に襲われ、思わず抱き付きそうになるのをこらえる。
(普段なら「これくらいの方が静かでいいが」とかイヤミのおまけがつくのに…!)
デレ成分が強すぎるジェラルドにリアムはクラクラする頭を押さえた。
「ジェラルド……今はデレるのやめて……心臓に悪い……」
思わず本音を口にしてしまうと、彼は訝しげな表情を浮かべた。
「デレ?何を言っているんだお前は?」
「あ、いや、その……なんでもないよ」
「?」
(無自覚でこれとか……!)
リアムは心の中で悶えていたが、それを表に出さないように必死に耐えた。ジェラルドはそんな様子を黙って見ていたがやがて溜息をつくと言った。
「黙ってても騒がしいな、お前は」
「ちょっと!どういうこと!!」
失礼すぎる言葉に思わず叫ぶとジェラルドは鼻で笑った。
「そういうところだ」
「むぐっ!」
鼻を摘まれて変な声が出る。これは通常通りだ。
「もう!ジェラルドのバカ!」
リアムが抗議するように言うも彼は涼しい顔で聞き流し、少しだけ笑う。その笑顔に見惚れていると、不意に彼が顔を近づけてきて耳元で囁くように言った。
「お前はそうやって騒いでいる方が似合っている」
(ああもう!ジェラルドかっこいい!!好き!!!)
心の中で叫びながらリアムは悶え苦しむ。そうなのだ。わかりやすく優しいわけでもない。寡黙でクールで少し皮肉屋だが、ジェラルドは根が真面目で優しい。
だからこそ、そんな彼に恋をしたのだ。許されるなら顔を覆って突っ伏したくなるのを堪えていた時だった。
ちゅ♡
「!?!?」
突然のことに驚いて声が出なかった。ジェラルドにキスされていることに気づくまで数秒かかった。慌てて引き剥がそうとするも後頭部を押さえ付けられていて動けない。その間にも何度も角度を変えて口付けられる。
「ん……ふぁ……♡」
舌先で唇を突かれて口を開けば、すぐに侵入してきた舌が口内を蹂躙する。歯列をなぞり上顎を撫でられる感覚にゾクゾクとしたものが背筋を走る。飲み込みきれない唾液が流れ落ちていき、それすらも舐め取られてしまう。
ようやく解放された頃にはリアムの身体から力が抜けていた。
「どうした?随分腰が抜けているようだが」
「はぅ…ふ、不意打ちずるい…」
「何がだ?お前が何か言いたそうにしていたから聞き出してやろうとしただけだが?」
ジェラルドは意地の悪い笑みを浮かべながら言った。
「……本当に性格悪いよね……君は」
リアムが恨めしげな視線を向けるとジェラルドは鼻で笑い、そのまま顔を近づけてきた。再び唇が重なる。今度は触れるだけの軽いものだ。それでも十分すぎるほど幸せを感じてしまい胸がきゅんとする。顔が熱い。きっと真っ赤になっているだろうと思うと余計に恥ずかしくなった。まるで動物の挨拶みたいだとリアムは思った。ジェラルドの狼のような鋭い眼差しと、口付けてくる唇が優しくて胸の奥がきゅっとなる。
「…気持ちよさそうだが?」
ジェラルドが意地悪く聞いてくる。リアムは唇を尖らせて答えた。
「……いじわる」
「今更気づいたのか?」
そう言って彼はまた唇を重ねてくる。何度も啄まれ、舌でなぞられ甘噛みされる感覚に頭がくらくらしてきた。
(こんなの……おかしくなっちゃう……)
抵抗する力も出せずされるがままになっていると不意に唇が離れる。
「あ…」
名残惜しいのか寂しげな声が漏れてしまい、慌てて口を塞ぐ。
「なんだ?もっとして欲しかったのか?」
ジェラルドは意地悪く笑いながら言った。その表情にすらドキドキしてしまう自分は重症かもしれないとリアムは思った。
「……違うもん」
恥ずかしさを誤魔化すように呟くと、ジェラルドはまた口付けてきた。今度は先程よりも深く、貪るようなものだった。舌を絡め取られ強く吸い上げられる度に頭が真っ白になるような感覚に襲われる。息継ぎのために僅かに唇を離すもすぐに塞がれてしまい呼吸すらままならない状態だ。
「んぅ……っ」
苦しくて思わずジェラルドの胸を押し返すとようやく解放された。
「はぁ……」
肩で息をしながら呼吸を整えるリアムの顎を掴み、ジェラルドは強引に視線を合わせた。
「それで?何を悩んでいたんだ?」
「それは……その……」
まさか本人に『月狂い』のことをどう説明していいのかわからず口篭っていると、ジェラルドは舌打ちをしてから言った。
「別に言いたくないのならいい」
そう言って離れようとする彼を慌てて引き止める。
「待って…!」
ジェラルドは怪訝そうに振り返った。
「その…正気に戻っても怒らないでね…」
勇気を振り絞った発言だが、ジェラルドは不思議そうに少し首を傾げる。その瞳には疑念の色が滲んでいる。
「何をだ?俺は正気だ」
(うぅ…正気で僕にあんなキスするわけないでしょ?ジェラルド……)
嬉しいような悲しいような複雑な気持ちになりながらもリアムは答えた。
「…うん。そうだね」
「……リアム?」
ジェラルドは心配そうな顔で覗き込んできた。その表情を見て胸が締め付けられる思いがする。
「なんでもない。その、ちょっと気になることがあるから、王都には直接行かないことにしたんだ」
本当はジェラルドの病状を診てもらうのだがそれは伏せる。案の定、眉間にシワを寄せられる。
「なぜだ?調子が悪いのか?リアム」
「具合は悪くないよ。ただ、あまり多くの人に知られたくないんだ。」
『月狂い』の症状について口にすることは躊躇われた。ジェラルドがどう思うのか、どう感じるのか不安で仕方なかったからだ。嫌われたらどうしようという恐怖の方が勝っていた。なのでやんわりと、かつて自分の受けた呪いのことのように思わせることにした。そっと人さし指を唇の前に立て、内緒話でもするように小さな声で囁く。
「誰にも知られたくないの」
君と僕だけの秘密だよ?と囁くとジェラルドはリアムの言葉を聞くと少しだけ目を見開く。少し空いた唇が震え、まるで美しい宝石を見たときのように目が輝き出す。呼吸が早くなり、頬が上気していく。
(ま、まずいかも、これ…)
リアムはそっと人さし指をジェラルドの唇に触れる。
「ね?内緒だよ?」
そう言うとジェラルドは素直に頷いた。だがその瞳には隠しきれない興奮が宿っていた。その様子を見てリアムは背筋がぞくっとするのを感じた。恐怖ではない、歓喜だ。自分をこんなにも愛してくれている男が目の前にいるという事実に胸が熱くなるのだ。
「うん、良い子だね」
そう言って微笑みかけるとジェラルドはまるで甘えるように頭を擦り寄せてきた。普段とはかけ離れた仕草に思わずきゅんとする。
(かわいい……!可愛すぎだよ!ジェラルド……!)
内心で悶えながらもなんとか平静を装う。期間限定のデレを堪能しながらも、浮かれてはならないと強く心に言い聞かせる。ジェラルドは正気ではない。満月の呪いが解けるまでの辛抱だ。
(耐えてみせる…っ!)
リアムは心の中でそう宣言すると、ジェラルドの手を取って歩き出した。まずは彼を呪いから解放する術を見つけなければならないのだ。
(頑張れ僕……っ!!)
***
「おはよう、起きた?」
ジェラルドが瞬きを繰り返しているのを、リアムは椅子に腰掛けて微笑んだ。手にはコーヒー、片方の手で空中に現れたディスプレイをスライドさせている。
「…あ、ああ、おはよう」
「朝食準備出来てるよ、食堂でみんな待ってる」
シャツに身を包み、いつもの調子でジェラルドに話しかける。だが相手はまだ状況が掴めず戸惑っているのか歯切れが悪い。
「ああ……」
「どうしたの?」
「いや……なんでもない」
ジェラルドは頭を振ると立ち上がった。黒髪をかきあげ、部屋着に着替える。その姿を見つめながらリアムはコーヒーを口にした。その時だった。
ちゅ♡
「…行ってくる」
「!?!?!?」
おでこに軽くキスをすると、ジェラルドはそのまま部屋を後にした。
パタン
扉が閉まる音がして、予期せぬことに固まっていたリアムは我に返った。
「え?ええ!?ちょ、今何したのあの人!?」
キスされた箇所に触れながら、リアムの顔が真っ赤に染まる。
「は、初めて……おでこにキスされた……!」
両手で顔を覆いながらリアムは呟いた。ぷるぷる震えた後「すきっ…!」と言って机に突っ伏す。
「あうー…あんなのダメずるい反則…折角僕が早起きして頑張って何もなかったことにしようと色々頑張ったのに…」
そう、早朝に目を覚ましたリアムは、万が一ジェラルドが正気に戻っていたらと想定し、昨夜のありとあらゆる痕跡を消そうとした。服を着替え、ベッドを整え、換気をし、証拠隠滅に勤しんだ。爽やかな朝の光とともに、宿の主人が淹れてくれたコーヒーを飲みながら、『月狂い』について調べ、ジェラルドが起きるまでを静かに過ごした。
(やっぱり満月前後が顕著に症状が出るんだ…つまりそれが過ぎたら正気に戻る……)
だから今は、昨夜のことは無かったことにして普段通り接しようとリアムなりに決めた。そして無事何事もなく朝を迎えたはずだったのだ。それなのに……!
(あんなキスするとか!あんな!あんなこと!!!)
塩対応され続けてきたリアムからすれば、甘い恋人のようなことをされるだけで寿命が縮まる想いになる。
(いやむしろ長くなるかも…!)
「はぁ……幸せすぎる」
(でも、悪い気がする……だって僕、ジェラルドの本当の恋人じゃないもん……)
ぷしゅー…と変な音を出しながらリアムは机に突っ伏した。ドキドキするのと罪悪感とで、胸がいっぱいになる。
「ダメダメ…!ちゃんと調べないと……!」
リアムは気を取り直して魔法で立ち上げた画面に向かった。だが内容が頭に入ってこない。
「うぅ~~~……」
『リアム、大丈夫?』
「ひゃっ!?」
突然声をかけられてリアムは飛び上がる。エマからのメッセージだ。食堂でのジェラルドの様子を教えて欲しい、と事前にお願いしておいたのだが、すっかり忘れていた。
「だ、大丈夫!それで、ジェラルドの様子は…?」
『いつもの様子よ。特段おかしなところはないわ。ただちょっといつもより雰囲気が柔らかいくらいかしら?』
「そ、そっか……良かった……」
ほっと胸を撫で下ろすリアム。雰囲気が柔らかいのはわかる。行きがけにキスされたし。でもそれ、続いてるってこと?疑問に思うが、今はとりあえず情報が欲しいためそのまま話を進めることにした。
「具体的には?」
『表情が柔らかくていつもより穏やかだわ。嫌味もないし』
「ありがとう!助かるよ!」
エマに礼を言って通信を切った後、もう一度文章を読み返したリアムは頭を抱えた。
(うう……どうしよう……)
まだ続いているのだと、もしかしたら皆の前で恥ずかしいことをされるかもしれない。ただでさえ昨夜だって浴室であんなことをされてしまったのに……!
「……っ」
密着する身体、耳元で感じる息遣い。思い出すだけで顔が熱くなる。
「はぁ……っ」
思わず甘い吐息が漏れてしまう。セックスするより官能的だった。
「うう……どうしよう……」
(…ジェラルドに、抱かれたい)
そう思ってしまう自分がいる。だが不安も募る。もし、呪いが解けて正気に戻った時、彼はどう思うだろうか?甘い関係に慣れた後に冷たい目で『お前とは二度と組まない』とか言われたら立ち直れないかもしれない。事実、初めて抱いてくれた翌日はいつも以上に辛辣だった。耐えられる気がしない。
「……はぁ」
大きなため息をつくと、リアムは自分の欲望と理性を天秤にかける。だが答えはすぐに出た。
「…僕のやる事は一つだ。ジェラルドを治す」
それが叶わぬ恋心に終止符を打つことになろうとも。
「…そう決めたんだ」
自分に言い聞かせるように呟く。そしてリアムは再び作業に没頭し始めたのだった。
***
「ジェラルド、ちょっといい?」
食事の後、部屋に戻ろうとしたジェラルドをエマが呼び止めた。
「……なんだ?」
「少し話があるの、来てもらえるかしら?」
そう言って彼女はジェラルドを連れ立ってそのまま歩き出す。その勢いに押される形でジェラルドは大人しくついて行くことにした。
(一体なんなんだ?)
訝しく思いながらも黙ってついていく。宿の外の広場には影がさしていて、少し薄暗い。
「リアムのことだけど」
リアム、という単語にピクッと反応する。
「……リアムがどうかしたのか?」
「少し思い悩んでるみたいなんだけど、何か理由を知らない?」
「……知らない」
「本当に?何か心当たりはないの?」
「ないと言っているだろう」
苛立った口調で答えると彼女は溜息をついた。そして少し間を置いてから言った。
「じゃあ、どうしてそんなに不機嫌なのかしら?」
その言葉に思わず舌打ちをする。
「……お前には関係ない事だ」
それだけ言ってその場を立ち去ることにしたのだが、エマが追いかけてくる気配を感じたので足を止めるしか無かった。
「待ってちょうだい」
腕を掴まれて引き止められる。仕方なく振り返ると彼女は真剣な眼差しを向けてきた。
「貴方らしくないわね、ジェラルド」
その言葉に思わず顔を顰めてしまう。するとエマはさらに言葉を続けた。
「ねぇ、ジェラルド。貴方はリアムをどう思ってるの?」
「……俺は……」
「ただの仲間だと思っているのならいいけど、そうじゃないでしょう?」
振り返ったジェラルドの目を見て、エマは思わず言葉に詰まらせる。まるで獲物を狙う肉食獣のような目つきだったからだ。
「ジェラルド……貴方……」
エマが言葉を発しようとした時、ジェラルドは口を開くと静かに言った。
「余計な詮索をする必要はない。お前には関係ない事だ」
冷ややかな目を向けられ、思わずエマは怯んでしまった。その隙にジェラルドはその場を去った。残されたエマは小さく溜息をつくと呟くように言った。
「本当に、世話の焼ける人達なんだから……」
***
「はぁ……どうしよう……」
リアムは自室で一人頭を抱えていた。ジェラルドを治すと決めたものの、具体的に何をすればいいのか全く思い浮かばないのだ。
「完治した経緯もバラバラだし、具体的な経過を記された文献もあまり集まっていない…なぜ?」
はあ、とため息をついてマグを置く。
(そもそもジェラルドが僕を抱くのは呪いのせいであって本心じゃないんだよね)
そう考えると悲しくなってくる。好きな人に愛されるというのは幸せな事だ。
(でも、もしそれが無くなったら?)
そう思うとゾッとする。今まで通りの関係には戻れないだろう。それどころか二度と口を聞いてくれなくなるかもしれない。そう思うと、怖くて仕方がなかった。
「でも……それでも……」
最新の研究結果では、完治した場合の症例もあったが、悪化し人を襲う狼男になるケースもあるらしい。
「治さないとダメだ。そんなことになっちゃダメだ」
ぶんぶん頭を振ると、リアムは気持ちを切り替えた。まずは呪いを解くための方法を探さないといけない。
「後は本人がどこまで分かっているかだけど……」
ジェラルドは、満月前後の症状を自覚しているのだろうか?それとも全く覚えていないのか?リアムが思っていた以上に呪いの症状が酷かったということは分かる。だが肝心の本人がどこまで把握しているか、そこが重要だ。
「一応確認しておかないと……」
「何をだ?」
「ひゃああああ!?」
突然背後から声をかけられてリアムは思わず叫んだ。振り向くとそこにはジェラルドが立っていた。
「何を驚いてるんだ?」
怪訝そうな顔で見つめる彼に、慌てて誤魔化すように微笑む。
「な、なんでもないよ!おおおお帰りなさい、早かったね!」
「……ああ」
「そ、それで何か用かな?」
平静を装って問いかけるが内心は心臓がバクバクしていた。
(まさかさっきの独り言聞かれてないよね!?)
焦るリアムにジェラルドは少し間を置いて言った。
「いや……特に用事は無いが……」
(ほっ)
とりあえず聞かれたわけでは無さそうだと安堵する。その間に距離が縮んでいて、ジェラルドはリアムのすぐ側に腕を組んで立っていた。
「悩み事でもあるのか?リアム」
「え?どうして?」
突然の質問に驚いて聞き返すと彼は少し困ったような表情を浮かべた。
「…元気がなさそうに見える」
(優しい…!優しいジェラルドかっこよすぎる…!すき…!)
キュン!と胸が締め付けられる感覚に襲われ、思わず抱き付きそうになるのをこらえる。
(普段なら「これくらいの方が静かでいいが」とかイヤミのおまけがつくのに…!)
デレ成分が強すぎるジェラルドにリアムはクラクラする頭を押さえた。
「ジェラルド……今はデレるのやめて……心臓に悪い……」
思わず本音を口にしてしまうと、彼は訝しげな表情を浮かべた。
「デレ?何を言っているんだお前は?」
「あ、いや、その……なんでもないよ」
「?」
(無自覚でこれとか……!)
リアムは心の中で悶えていたが、それを表に出さないように必死に耐えた。ジェラルドはそんな様子を黙って見ていたがやがて溜息をつくと言った。
「黙ってても騒がしいな、お前は」
「ちょっと!どういうこと!!」
失礼すぎる言葉に思わず叫ぶとジェラルドは鼻で笑った。
「そういうところだ」
「むぐっ!」
鼻を摘まれて変な声が出る。これは通常通りだ。
「もう!ジェラルドのバカ!」
リアムが抗議するように言うも彼は涼しい顔で聞き流し、少しだけ笑う。その笑顔に見惚れていると、不意に彼が顔を近づけてきて耳元で囁くように言った。
「お前はそうやって騒いでいる方が似合っている」
(ああもう!ジェラルドかっこいい!!好き!!!)
心の中で叫びながらリアムは悶え苦しむ。そうなのだ。わかりやすく優しいわけでもない。寡黙でクールで少し皮肉屋だが、ジェラルドは根が真面目で優しい。
だからこそ、そんな彼に恋をしたのだ。許されるなら顔を覆って突っ伏したくなるのを堪えていた時だった。
ちゅ♡
「!?!?」
突然のことに驚いて声が出なかった。ジェラルドにキスされていることに気づくまで数秒かかった。慌てて引き剥がそうとするも後頭部を押さえ付けられていて動けない。その間にも何度も角度を変えて口付けられる。
「ん……ふぁ……♡」
舌先で唇を突かれて口を開けば、すぐに侵入してきた舌が口内を蹂躙する。歯列をなぞり上顎を撫でられる感覚にゾクゾクとしたものが背筋を走る。飲み込みきれない唾液が流れ落ちていき、それすらも舐め取られてしまう。
ようやく解放された頃にはリアムの身体から力が抜けていた。
「どうした?随分腰が抜けているようだが」
「はぅ…ふ、不意打ちずるい…」
「何がだ?お前が何か言いたそうにしていたから聞き出してやろうとしただけだが?」
ジェラルドは意地の悪い笑みを浮かべながら言った。
「……本当に性格悪いよね……君は」
リアムが恨めしげな視線を向けるとジェラルドは鼻で笑い、そのまま顔を近づけてきた。再び唇が重なる。今度は触れるだけの軽いものだ。それでも十分すぎるほど幸せを感じてしまい胸がきゅんとする。顔が熱い。きっと真っ赤になっているだろうと思うと余計に恥ずかしくなった。まるで動物の挨拶みたいだとリアムは思った。ジェラルドの狼のような鋭い眼差しと、口付けてくる唇が優しくて胸の奥がきゅっとなる。
「…気持ちよさそうだが?」
ジェラルドが意地悪く聞いてくる。リアムは唇を尖らせて答えた。
「……いじわる」
「今更気づいたのか?」
そう言って彼はまた唇を重ねてくる。何度も啄まれ、舌でなぞられ甘噛みされる感覚に頭がくらくらしてきた。
(こんなの……おかしくなっちゃう……)
抵抗する力も出せずされるがままになっていると不意に唇が離れる。
「あ…」
名残惜しいのか寂しげな声が漏れてしまい、慌てて口を塞ぐ。
「なんだ?もっとして欲しかったのか?」
ジェラルドは意地悪く笑いながら言った。その表情にすらドキドキしてしまう自分は重症かもしれないとリアムは思った。
「……違うもん」
恥ずかしさを誤魔化すように呟くと、ジェラルドはまた口付けてきた。今度は先程よりも深く、貪るようなものだった。舌を絡め取られ強く吸い上げられる度に頭が真っ白になるような感覚に襲われる。息継ぎのために僅かに唇を離すもすぐに塞がれてしまい呼吸すらままならない状態だ。
「んぅ……っ」
苦しくて思わずジェラルドの胸を押し返すとようやく解放された。
「はぁ……」
肩で息をしながら呼吸を整えるリアムの顎を掴み、ジェラルドは強引に視線を合わせた。
「それで?何を悩んでいたんだ?」
「それは……その……」
まさか本人に『月狂い』のことをどう説明していいのかわからず口篭っていると、ジェラルドは舌打ちをしてから言った。
「別に言いたくないのならいい」
そう言って離れようとする彼を慌てて引き止める。
「待って…!」
ジェラルドは怪訝そうに振り返った。
「その…正気に戻っても怒らないでね…」
勇気を振り絞った発言だが、ジェラルドは不思議そうに少し首を傾げる。その瞳には疑念の色が滲んでいる。
「何をだ?俺は正気だ」
(うぅ…正気で僕にあんなキスするわけないでしょ?ジェラルド……)
嬉しいような悲しいような複雑な気持ちになりながらもリアムは答えた。
「…うん。そうだね」
「……リアム?」
ジェラルドは心配そうな顔で覗き込んできた。その表情を見て胸が締め付けられる思いがする。
「なんでもない。その、ちょっと気になることがあるから、王都には直接行かないことにしたんだ」
本当はジェラルドの病状を診てもらうのだがそれは伏せる。案の定、眉間にシワを寄せられる。
「なぜだ?調子が悪いのか?リアム」
「具合は悪くないよ。ただ、あまり多くの人に知られたくないんだ。」
『月狂い』の症状について口にすることは躊躇われた。ジェラルドがどう思うのか、どう感じるのか不安で仕方なかったからだ。嫌われたらどうしようという恐怖の方が勝っていた。なのでやんわりと、かつて自分の受けた呪いのことのように思わせることにした。そっと人さし指を唇の前に立て、内緒話でもするように小さな声で囁く。
「誰にも知られたくないの」
君と僕だけの秘密だよ?と囁くとジェラルドはリアムの言葉を聞くと少しだけ目を見開く。少し空いた唇が震え、まるで美しい宝石を見たときのように目が輝き出す。呼吸が早くなり、頬が上気していく。
(ま、まずいかも、これ…)
リアムはそっと人さし指をジェラルドの唇に触れる。
「ね?内緒だよ?」
そう言うとジェラルドは素直に頷いた。だがその瞳には隠しきれない興奮が宿っていた。その様子を見てリアムは背筋がぞくっとするのを感じた。恐怖ではない、歓喜だ。自分をこんなにも愛してくれている男が目の前にいるという事実に胸が熱くなるのだ。
「うん、良い子だね」
そう言って微笑みかけるとジェラルドはまるで甘えるように頭を擦り寄せてきた。普段とはかけ離れた仕草に思わずきゅんとする。
(かわいい……!可愛すぎだよ!ジェラルド……!)
内心で悶えながらもなんとか平静を装う。期間限定のデレを堪能しながらも、浮かれてはならないと強く心に言い聞かせる。ジェラルドは正気ではない。満月の呪いが解けるまでの辛抱だ。
(耐えてみせる…っ!)
リアムは心の中でそう宣言すると、ジェラルドの手を取って歩き出した。まずは彼を呪いから解放する術を見つけなければならないのだ。
(頑張れ僕……っ!!)
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