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妄想にしては心臓に悪すぎる…!
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「あ、綺麗な月!」
琥珀はそう言って空を指さす。その晩は綺麗な満月が浮かんでいた。
「月は魔力に影響するから、満月と新月は事件が起こりやすいのよ」
エマがそう説明すると琥珀は目を輝かせた。
「へぇ、そうなんだ!」
「…一応気を張っておいたほうがいいかな?」
「…頼まれていないことには関与しない方がいい」
エマと琥珀の話を耳にしたリアムとジェラルドは、小さな声でそう会話を交わす。
「そうだね…いや、この街少し瘴気が強い気がして…」
ふるり、とリアムが身を震わせた。光と風の加護を受けている分、リアム自身の影響は少ないが敏感だった。
「ジェラルドは大丈夫?平気?」
リアムの言葉にジェラルドは小さく頷く。その様子に安心したのか、リアムはほっと息を吐いた。そしてそのまま空を見上げる。月の光を浴びて輝く金色の髪はまるで宝石のようだと思った。
(綺麗だ……)
思わずそう口にしてしまいそうになり、慌てて噤む。リアムは不思議そうに首を傾げた後微笑んだ。その笑顔を見た瞬間胸が高鳴った気がしたがきっと気のせいだろうと思い直す。
前を行くエマと琥珀は月と魔力の相互作用について話しているようだった。よく言われている話なので目新しいことは特にないが、なぜかこの晩はやたらと気になる。
「月と地球と太陽の距離が海の水の高さに影響するように、人間にも勿論影響はあるわ。そうね、魔力にも影響があるし、人本来の性質にも影響がある。月の満ち欠けは人の精神に影響を及ぼすから、満月の日に犯罪が増えるなんて話もあるわね」
「へーそうなんだ!確かに、満月の日に覚醒するコ、多かったかも!」
琥珀が納得したように声を上げる。あぁ見えて才能だけは魔法学園でも指折りだった。座学は苦手でも、実技で才能を開花させるタイプだった。
「月の満ち欠けと魔力は密接に関係していて、属性によっては逆に呑み込まれてしまうリスクも高いの。琥珀は影響されなかったみたいね」
「まあねー」
「……星読みがそんな一般論程度のことを言うのか」
ジェラルドの問いにエマは肩をすくめた。
「手厳しいわね、ジェラルド」
「まあまあ。昔からの言い伝えだけど、僕は信憑性ないとは言い切れないと思うよ?力を与えることも、人を惑わすこともあり得ると思う。だってこんなに美しいんだから」
その夜は、空気が冷えて月はいつもより明るく大きく見えていた。それを背に、リアムはジェラルドに振り返って微笑んで見せる。綺麗だ、と思った。ジェラルドは息を呑んで、そう口に出しかけた。2度目はもう誤魔化せないだろう。固まったままのジェラルドを不審に思ったリアムに「大丈夫?」と問われて、慌てて頷いた。
「…いや、大丈夫だ」
(なんだ…今、俺は何を言おうとしたんだ?)
ジェラルドは自問する。だが答えは出なかった。ただ心臓がバクバクと鳴っているのだけはわかる。
(落ち着け……今はそんな場合じゃないだろ)
ジェラルドは深呼吸をして心を落ち着かせると、改めて周囲を見渡した。煌々とした月の光があちこちに暗い影を落としている。
「今夜は久々に一人部屋だからゆっくり休めるよ?ここのところずっと二人部屋だったし、疲れが溜まってるでしょ?」
リアムの言葉にジェラルドは「あぁ」とだけ答えた。だが内心は穏やかではない。
「野宿もあったからね。久々の宿うれしいな」
「琥珀、早速シャワー浴びちゃった!」
「ジェラルド、どうしたの?具合悪い?」
「……いや、なんでもない」
普段なら嫌味のひとつやふたつが飛んでくるのにと、心配そうに顔を覗き込んでくる。リアムはいつも通りだった。だがそれが逆に不安を煽った。
(……本当に大丈夫なのだろうか)
ジェラルドは心の中で呟く。月夜に煽れているのは自分だけなのだろうか。少しずつ、自分の中で理性が溶けていく。何か暗い影のようなものに自分が飲み込まれて行くような感覚。恐ろしいのになぜか心地良いもので、抗う気力すら奪われてしまいそうだった。
「ジェラルド……?」
リアムが手を伸ばし頬に触れてくる。ひんやりとした掌の感触が心地よくて思わず目を細めた。するとリアムは嬉しそうに笑って言った。
「ふふ…なんかジェラルドって猫みたいだよね」
それか大きな犬みたいだとにこにこ微笑む。
「……どういう意味だ?」
訝しげな表情を浮かべると、リアムは慌てたように首を横に振った。
「違うよ!馬鹿にしたんじゃなくて、可愛いなって!」
「………」
「あっ!置いていかないでよ!待って!待ってってば!!」
ジェラルドが無言で歩き出すと、リアムは慌てたように追いかけてきた。いつもの夜だった。ジェラルドはそう思っていた。何も変わらない、いつもと同じ夜。そう思っていたのだ。
***
深夜。ドアノブに手をかけたジェラルドは、リアムの部屋には鍵がかけられていた事に気がついた。用心深いのは良いことだと分かってはいながらも、どこか寂しい気持ちに襲われる。野宿の時は交代で火の番をしていたので、自然と男二人で交代で夜を過ごすことになる。宿に泊まる時は二人一部屋にし、常にリアムの側にいるようにしてきた。
手放せるのだろうか、と思うようにもなってきた。境界線を越えたのはリアムの方だったが、のめり込んでいるのはジェラルドの方だ。それも、闇魔法で気持ちを操ってまで。
だが知ってしまった今、なかったことには出来なくなっていた。体に触れる少し温かい体温も、自分を取り巻く環境のすべてが温かく柔らかいものだと信じきっている純真無垢な心も。
ため息をついた。毎夜、身体を重ねる重ねないかかわらずリアムの温もりを感じて眠っていたジェラルドは、独り寝の寂しさにいつの間にか慣れなくなっていた。
「リアム」
そっと、名前を口にする。返事は無い。当たり前だ、寝ているのだからと自嘲的に笑うが、どうしようもなく寂しいと思った。そしてそのまま静かに扉を閉めた。
廊下には月の光が差し込んでいた。誘われるように、足を向ける。呼んでいる、と思った。心の全てを曝け出されるような冷え冷えとした白い月に誘われるように、そっと宿を後にしていた。
***
(うぅ……眠れないよお)
その頃、リアムは布団の中でごろごろと寝返りを打っていた。全く寝付けない。だがこのまま目を閉じても眠れる気はせず、リアムは諦めて起き上がることにした。
「…なんでだろう。一人で寝るのなんて慣れてるはずなのに」
そう呟いてため息をつく。商売も営んでいたお陰で巨大な館で生活していた時は実家も別荘も一人部屋だったし、世界を救おうと一人で旅をしてきたことだってある。それなのに、今は隣にジェラルドがいないだけでこんなにも心細く感じてしまう。
(変なの…)
そう思いながらリアムは窓の外を見た。月が高く昇っている。もう深夜だ。そろそろ寝なければ明日に響くだろうと思いながらも、どうしても眠ることが出来ない。そんな中、ふと窓の下に見覚えのある姿が見えて硬直する。
「あ…」
(ジェラルド…)
どこへ行くのだろうか、仲間の姿にリアムは心臓を掴まれたような気持ちになる。もしかしたら、娼館に行ったのかもしれない。確かにずっと自分と一緒だったから、女性に対する欲が溜まっていてもおかしくはない。女性のメンバーに手を出したりはしない。ジェラルドはそういう割り切りの出来る人間だった。
心が落ち込んでいくのが分かる。多くは望まないと、そう決めたはずだった。たった一度抱いてもらえて、もうそれで充分なのだと思っていたのに。
(……やっぱり、嫌だな)
ジェラルドが他の誰かを口説いてる姿なんて見たくない。自分だけのものになって欲しい。そう願わずにはいられなかった。だがそんな資格は自分には無いことも分かっている。
「……僕ってこんなに欲張りだったっけ」
自嘲気味に笑うと再びベッドに横になった。もう何も考えたくないと目を閉じるもやはり眠れないままだった。
***
「おはよー…」
朝食を食べに現れたリアムの姿を見て、一同は言葉をなくした。
「リアム、目クマやばいよ…?」
「あまり良く眠れなかったの?」
心配そうに尋ねる琥珀とエマに「大丈夫だよ」と力なく笑うと、リアムは席についた。まだ眠いのか目が半分閉じているように見える。
「なんか一人で寝るの久々で逆に冴えちゃって」
「えぇー!一人部屋最高じゃん!琥珀、久々に夜ふかししちゃったー♡あ、リアムも夜ふかしして遊んでたとか?」
「し、してないよ!」
「ふーん」
慌てて否定すると琥珀が残念そうな顔をした。
「こーら、琥珀。リアムを困らせないの」
エマが嗜めると琥珀は「はーい!」と言って舌を出した。なんだかどっと疲れてため息をついた時だった。
「あれ?ジェラルドは?まだ来てないの?」
「さあ?先に食べてたかもだし、まだ寝てるかもだし」
「琥珀は本当に興味ないことには興味ないんだな…でもジェラルドも珍しいな」
「野宿続きから、久々の宿で、ほっとして疲れが出たのかもね」
エマがそう言うやいなや琥珀はにや~っとした笑みを浮かべる。
「なーにー?やっぱり一人寝寂しかったんだ~?」
「ち、違うってば!」
慌てて否定するも琥珀は全く信じようとしない様子だった。それどころかからかうような口調で続ける。
「えー?じゃあなんでため息ついちゃってんの?」
「それは……」
言い淀むリアムに琥珀はにやにやして言う。
「早くジェラルドのこと起こしに行ってあげれば~?」
「うぅ……わかったよ」
渋々頷くと、エマが苦笑する。
「まあ、ジェラルドのことだから普通に起きてるかもしれないし……ね?」
「……うん」
もう一度ため息をついてから席を立つと、リアムは食堂を後にした。
***
コンコン、とジェラルドの部屋の扉を叩く。返事はない。
「ジェラルド?」
もう一度ノックをしてみるがやはり反応はない。
(やっぱりまだ寝てるのかな)
リアムはドアノブに手をかける。鍵がかかっていないことを確認してからゆっくりと扉を開けた。部屋の中は暗く、人の気配もないように思えた。だがよく見るとベッドの上に膨らみがあることがわかる。どうやら本当に寝ているらしい。
「……ジェラルド」
小さく声をかけるがやはり起きる気配はないようだ。少し迷った後リアムはゆっくりとベッドに近づくと、その縁に腰掛けた。
(唸り声…?)
苦しそうな声に思わず顔を覗き込む。眉を寄せ、額には汗が浮かんでいるようだ。その様子を見てリアムは不安になる。
「だ、大丈夫…?わっ!?」
心配になり手を伸ばすとその手首を掴まれる。そのまま引っ張られるとバランスを崩してしまいジェラルドの上に倒れ込む形になった。慌てて起き上がろうとしたがきつく抱きしめられて身動きが取れなくなる。
「ちょ、ちょっと!起きてるなら返事してよ!」
抗議の声を上げるも返事はない。代わりに首筋に顔を埋められて匂いを嗅がれるような仕草をされる。
「!?」
好きな人に抱きしめられて動揺しないわけがない。だがそれ以上に、リアムの胸に嫌な予感が渦巻いた。
(まさか……)
「ジェラルド……?」
恐る恐る声をかけるもやはり反応はない。代わりに抱きしめている腕に力が入るのを感じた。まるで逃さないとでも言わんばかりに強く抱きしめられてリアムは困惑した。
「!!」
前に降ろされた黒髪の間から覗く目が、黄金色に光っていた。その真ん中にある瞳孔は縦に細長く、ヒトではないもののように見える。これはまるで。
(この唸り声、それに金色の目…まさか『月狂い』を発症してる!?)
リアムは以前読んだ本の内容を思い出していた。
『月狂い』とは、狼男になぞらえた病のひとつだ。満月の夜になると理性を失い獣のような欲望に支配されてしまう現象のことだ。症状が出るのは主に男性なのだが稀に女性にも発症することがあるという。
(どうしよう……僕一人で対処は出来ない…早く誰かを呼ばないと……!)
そうは思うものの、ジェラルドが自分を離してくれる気配はない。それどころかさらに強く抱きしめられてリアムは小さく悲鳴を上げる。
月狂いになると、狼のように群れの長は独占欲が強く、番であると認識した相手以外に心を開かなくなってしまう。
(もしかして僕のこと、番だと思ってくれてる?)
そう考えると嬉しくないわけがない。しかし今はそれどころではなかった。早くどうにかしないと。だがそんなリアムの思考とは裏腹にジェラルドは掠れた声で囁くように言った。
「…リアム」
名前を呼ばれドキッとするがすぐに我に返る。今ここで流されるわけにはいかない。
「……ジェラルド、おはよう。起きたんだね。さあ、朝ごはん食べに行こう?ね?」
優しく諭すように声をかけるも反応はなく、腕にこもる力はますます強くなる。
(こうなったら…!)
リアムは逆にぎゅっと抱き返すとジェラルドの耳元に唇を寄せた。
「ねえ、もう少し優しくして?」
甘い声で囁きながらリアムはジェラルドの耳に口づけをする。ちゅっと音を立てて何回か吸い付くと次第にジェラルドから力が抜けてくるのがわかった。
(よし!)
その隙をついて体を離そうとしたが、腕を掴まれてしまったため逃げることは出来なかった。それでも怯むわけにはいかないとキッとした表情で見上げるように見つめると、そこには熱に浮かされたような表情があった。その瞳は明らかに正気ではないように見える。
「ジェラルド、落ち着いて。僕は君の番じゃないよ?」
(君の婚約者は、別にいるもの…)
リアムはつきんと痛む胸を誤魔化すように自分に言い聞かせると、再びジェラルドの頬に触れる。
「お願いだから正気に戻って」
懇願するように言うも反応はない。代わりにリアムの首筋に顔を埋めて歯を立てられる。
「いたっ!」
思わず声を上げるがジェラルドは気にした様子もなくそのまま舐め続ける。ざらりとした舌の感触にぞくりと背筋が震えた。
(まずい……このままじゃ本当に食べられちゃうかも)
そんな不安に駆られながらも、胸は高鳴り続ける。それに気をよくしたのか、ジェラルドは今度はリアムの首筋へと顔を寄せると舌を這わせ始めた。
「や、やだ……やめてってば……」
弱々しい声で訴えて引き離そうと力を込めるが聞き入れる様子はないようだ。このままでは本当にまずいかもしれないと思った時だった。
「……何をしている?」
(良かった!正気に戻ったんだ!)
ほっと胸を撫で下ろすも束の間だった。
「嫌がるフリをする必要はない。それとも、わざと煽っているのか?悪い子だな」
そう言って妖艶に微笑むジェラルドを見てリアムは凍りついた。正気に戻ったわけではないどころか、悪化しているようだ。
「ち、違う!僕はただ……んっ!」
慌てて否定しようとするも無駄な抵抗だった。ジェラルドは笑いながら、舌を這わす。
「いい匂いだ…甘くて美味そうで…俺のことを好きで仕方ないんだな…?そうでなければこんなに俺を惑わせたりしないだろう」
「そ、んなこと……!」
否定しようとするも言葉が出てこない。実際その通りだったからだ。
(好き、好きだよ……)
ずっと好きだった。初めて会った時からずっと惹かれていた。だからこそ今こうして一緒に旅をしているし、役に立てるように頑張ってきたのだ。だがそれを本人に告げる勇気はなかった。拒絶されるのが怖いからだ。だからせめて側にいられればそれでいいと思っていたのだが、まさかこんなことになるとは思わなかったのだ。
「番じゃない?バカなことを。こんなにも俺を惑わせるくせに」
「違う!それは……あっ!」
反論しようとするリアムの言葉を遮り、ジェラルドは噛みつくようにキスをした。
「んむぅっ!?」
(舌!?)
突然のことに驚いているうちに口内を蹂躙される。歯列や上顎の裏など敏感な部分ばかりを攻め立てられ頭がボーッとしてきた頃になってようやく解放されたが、酸欠状態で身体に力が入らない状態だった。
ジェラルドは対称的に余裕のある表情だ。口の端についた唾液を舐め取りながらリアムを見下ろすと、彼は妖艶に微笑んだ。
「美味いな…これで俺のモノじゃない?あり得ないな。こんなに甘くて美味なのに」
「う、うぅ……」
リアムの目には涙が浮かんでいた。羞恥心と恐怖が入り交じった複雑な感情のせいだろう。だがジェラルドは構わず続ける。
「お前がどれだけ口で否定しても、事実は何も変わらない。本能がそう告げている。なあ?俺の『番い』よ…」
ギラついた目で見つめられ、リアムの心臓は高鳴る。
「やめ…やめて…」
(か、かっこよすぎるから~~僕のバカ!妄想ばっかしてるから!っていうかもしかしてこれも夢かも!そうだよね!?そうに違いないよね!?だってそんな現実だったら僕、僕は…)
普段無愛想で塩対応な想い人の執着心マシマシな行動に、リアムの頭は完全に置いてけぼりになっている。
「た、助けてぇ…!!」
このままだとキュン死してしまうと、リアムは目を瞑って故郷の風の女神さまの名前を唱えながら、覚めてほしいのかそうでないのかわからない状況に身悶えするのだった。
琥珀はそう言って空を指さす。その晩は綺麗な満月が浮かんでいた。
「月は魔力に影響するから、満月と新月は事件が起こりやすいのよ」
エマがそう説明すると琥珀は目を輝かせた。
「へぇ、そうなんだ!」
「…一応気を張っておいたほうがいいかな?」
「…頼まれていないことには関与しない方がいい」
エマと琥珀の話を耳にしたリアムとジェラルドは、小さな声でそう会話を交わす。
「そうだね…いや、この街少し瘴気が強い気がして…」
ふるり、とリアムが身を震わせた。光と風の加護を受けている分、リアム自身の影響は少ないが敏感だった。
「ジェラルドは大丈夫?平気?」
リアムの言葉にジェラルドは小さく頷く。その様子に安心したのか、リアムはほっと息を吐いた。そしてそのまま空を見上げる。月の光を浴びて輝く金色の髪はまるで宝石のようだと思った。
(綺麗だ……)
思わずそう口にしてしまいそうになり、慌てて噤む。リアムは不思議そうに首を傾げた後微笑んだ。その笑顔を見た瞬間胸が高鳴った気がしたがきっと気のせいだろうと思い直す。
前を行くエマと琥珀は月と魔力の相互作用について話しているようだった。よく言われている話なので目新しいことは特にないが、なぜかこの晩はやたらと気になる。
「月と地球と太陽の距離が海の水の高さに影響するように、人間にも勿論影響はあるわ。そうね、魔力にも影響があるし、人本来の性質にも影響がある。月の満ち欠けは人の精神に影響を及ぼすから、満月の日に犯罪が増えるなんて話もあるわね」
「へーそうなんだ!確かに、満月の日に覚醒するコ、多かったかも!」
琥珀が納得したように声を上げる。あぁ見えて才能だけは魔法学園でも指折りだった。座学は苦手でも、実技で才能を開花させるタイプだった。
「月の満ち欠けと魔力は密接に関係していて、属性によっては逆に呑み込まれてしまうリスクも高いの。琥珀は影響されなかったみたいね」
「まあねー」
「……星読みがそんな一般論程度のことを言うのか」
ジェラルドの問いにエマは肩をすくめた。
「手厳しいわね、ジェラルド」
「まあまあ。昔からの言い伝えだけど、僕は信憑性ないとは言い切れないと思うよ?力を与えることも、人を惑わすこともあり得ると思う。だってこんなに美しいんだから」
その夜は、空気が冷えて月はいつもより明るく大きく見えていた。それを背に、リアムはジェラルドに振り返って微笑んで見せる。綺麗だ、と思った。ジェラルドは息を呑んで、そう口に出しかけた。2度目はもう誤魔化せないだろう。固まったままのジェラルドを不審に思ったリアムに「大丈夫?」と問われて、慌てて頷いた。
「…いや、大丈夫だ」
(なんだ…今、俺は何を言おうとしたんだ?)
ジェラルドは自問する。だが答えは出なかった。ただ心臓がバクバクと鳴っているのだけはわかる。
(落ち着け……今はそんな場合じゃないだろ)
ジェラルドは深呼吸をして心を落ち着かせると、改めて周囲を見渡した。煌々とした月の光があちこちに暗い影を落としている。
「今夜は久々に一人部屋だからゆっくり休めるよ?ここのところずっと二人部屋だったし、疲れが溜まってるでしょ?」
リアムの言葉にジェラルドは「あぁ」とだけ答えた。だが内心は穏やかではない。
「野宿もあったからね。久々の宿うれしいな」
「琥珀、早速シャワー浴びちゃった!」
「ジェラルド、どうしたの?具合悪い?」
「……いや、なんでもない」
普段なら嫌味のひとつやふたつが飛んでくるのにと、心配そうに顔を覗き込んでくる。リアムはいつも通りだった。だがそれが逆に不安を煽った。
(……本当に大丈夫なのだろうか)
ジェラルドは心の中で呟く。月夜に煽れているのは自分だけなのだろうか。少しずつ、自分の中で理性が溶けていく。何か暗い影のようなものに自分が飲み込まれて行くような感覚。恐ろしいのになぜか心地良いもので、抗う気力すら奪われてしまいそうだった。
「ジェラルド……?」
リアムが手を伸ばし頬に触れてくる。ひんやりとした掌の感触が心地よくて思わず目を細めた。するとリアムは嬉しそうに笑って言った。
「ふふ…なんかジェラルドって猫みたいだよね」
それか大きな犬みたいだとにこにこ微笑む。
「……どういう意味だ?」
訝しげな表情を浮かべると、リアムは慌てたように首を横に振った。
「違うよ!馬鹿にしたんじゃなくて、可愛いなって!」
「………」
「あっ!置いていかないでよ!待って!待ってってば!!」
ジェラルドが無言で歩き出すと、リアムは慌てたように追いかけてきた。いつもの夜だった。ジェラルドはそう思っていた。何も変わらない、いつもと同じ夜。そう思っていたのだ。
***
深夜。ドアノブに手をかけたジェラルドは、リアムの部屋には鍵がかけられていた事に気がついた。用心深いのは良いことだと分かってはいながらも、どこか寂しい気持ちに襲われる。野宿の時は交代で火の番をしていたので、自然と男二人で交代で夜を過ごすことになる。宿に泊まる時は二人一部屋にし、常にリアムの側にいるようにしてきた。
手放せるのだろうか、と思うようにもなってきた。境界線を越えたのはリアムの方だったが、のめり込んでいるのはジェラルドの方だ。それも、闇魔法で気持ちを操ってまで。
だが知ってしまった今、なかったことには出来なくなっていた。体に触れる少し温かい体温も、自分を取り巻く環境のすべてが温かく柔らかいものだと信じきっている純真無垢な心も。
ため息をついた。毎夜、身体を重ねる重ねないかかわらずリアムの温もりを感じて眠っていたジェラルドは、独り寝の寂しさにいつの間にか慣れなくなっていた。
「リアム」
そっと、名前を口にする。返事は無い。当たり前だ、寝ているのだからと自嘲的に笑うが、どうしようもなく寂しいと思った。そしてそのまま静かに扉を閉めた。
廊下には月の光が差し込んでいた。誘われるように、足を向ける。呼んでいる、と思った。心の全てを曝け出されるような冷え冷えとした白い月に誘われるように、そっと宿を後にしていた。
***
(うぅ……眠れないよお)
その頃、リアムは布団の中でごろごろと寝返りを打っていた。全く寝付けない。だがこのまま目を閉じても眠れる気はせず、リアムは諦めて起き上がることにした。
「…なんでだろう。一人で寝るのなんて慣れてるはずなのに」
そう呟いてため息をつく。商売も営んでいたお陰で巨大な館で生活していた時は実家も別荘も一人部屋だったし、世界を救おうと一人で旅をしてきたことだってある。それなのに、今は隣にジェラルドがいないだけでこんなにも心細く感じてしまう。
(変なの…)
そう思いながらリアムは窓の外を見た。月が高く昇っている。もう深夜だ。そろそろ寝なければ明日に響くだろうと思いながらも、どうしても眠ることが出来ない。そんな中、ふと窓の下に見覚えのある姿が見えて硬直する。
「あ…」
(ジェラルド…)
どこへ行くのだろうか、仲間の姿にリアムは心臓を掴まれたような気持ちになる。もしかしたら、娼館に行ったのかもしれない。確かにずっと自分と一緒だったから、女性に対する欲が溜まっていてもおかしくはない。女性のメンバーに手を出したりはしない。ジェラルドはそういう割り切りの出来る人間だった。
心が落ち込んでいくのが分かる。多くは望まないと、そう決めたはずだった。たった一度抱いてもらえて、もうそれで充分なのだと思っていたのに。
(……やっぱり、嫌だな)
ジェラルドが他の誰かを口説いてる姿なんて見たくない。自分だけのものになって欲しい。そう願わずにはいられなかった。だがそんな資格は自分には無いことも分かっている。
「……僕ってこんなに欲張りだったっけ」
自嘲気味に笑うと再びベッドに横になった。もう何も考えたくないと目を閉じるもやはり眠れないままだった。
***
「おはよー…」
朝食を食べに現れたリアムの姿を見て、一同は言葉をなくした。
「リアム、目クマやばいよ…?」
「あまり良く眠れなかったの?」
心配そうに尋ねる琥珀とエマに「大丈夫だよ」と力なく笑うと、リアムは席についた。まだ眠いのか目が半分閉じているように見える。
「なんか一人で寝るの久々で逆に冴えちゃって」
「えぇー!一人部屋最高じゃん!琥珀、久々に夜ふかししちゃったー♡あ、リアムも夜ふかしして遊んでたとか?」
「し、してないよ!」
「ふーん」
慌てて否定すると琥珀が残念そうな顔をした。
「こーら、琥珀。リアムを困らせないの」
エマが嗜めると琥珀は「はーい!」と言って舌を出した。なんだかどっと疲れてため息をついた時だった。
「あれ?ジェラルドは?まだ来てないの?」
「さあ?先に食べてたかもだし、まだ寝てるかもだし」
「琥珀は本当に興味ないことには興味ないんだな…でもジェラルドも珍しいな」
「野宿続きから、久々の宿で、ほっとして疲れが出たのかもね」
エマがそう言うやいなや琥珀はにや~っとした笑みを浮かべる。
「なーにー?やっぱり一人寝寂しかったんだ~?」
「ち、違うってば!」
慌てて否定するも琥珀は全く信じようとしない様子だった。それどころかからかうような口調で続ける。
「えー?じゃあなんでため息ついちゃってんの?」
「それは……」
言い淀むリアムに琥珀はにやにやして言う。
「早くジェラルドのこと起こしに行ってあげれば~?」
「うぅ……わかったよ」
渋々頷くと、エマが苦笑する。
「まあ、ジェラルドのことだから普通に起きてるかもしれないし……ね?」
「……うん」
もう一度ため息をついてから席を立つと、リアムは食堂を後にした。
***
コンコン、とジェラルドの部屋の扉を叩く。返事はない。
「ジェラルド?」
もう一度ノックをしてみるがやはり反応はない。
(やっぱりまだ寝てるのかな)
リアムはドアノブに手をかける。鍵がかかっていないことを確認してからゆっくりと扉を開けた。部屋の中は暗く、人の気配もないように思えた。だがよく見るとベッドの上に膨らみがあることがわかる。どうやら本当に寝ているらしい。
「……ジェラルド」
小さく声をかけるがやはり起きる気配はないようだ。少し迷った後リアムはゆっくりとベッドに近づくと、その縁に腰掛けた。
(唸り声…?)
苦しそうな声に思わず顔を覗き込む。眉を寄せ、額には汗が浮かんでいるようだ。その様子を見てリアムは不安になる。
「だ、大丈夫…?わっ!?」
心配になり手を伸ばすとその手首を掴まれる。そのまま引っ張られるとバランスを崩してしまいジェラルドの上に倒れ込む形になった。慌てて起き上がろうとしたがきつく抱きしめられて身動きが取れなくなる。
「ちょ、ちょっと!起きてるなら返事してよ!」
抗議の声を上げるも返事はない。代わりに首筋に顔を埋められて匂いを嗅がれるような仕草をされる。
「!?」
好きな人に抱きしめられて動揺しないわけがない。だがそれ以上に、リアムの胸に嫌な予感が渦巻いた。
(まさか……)
「ジェラルド……?」
恐る恐る声をかけるもやはり反応はない。代わりに抱きしめている腕に力が入るのを感じた。まるで逃さないとでも言わんばかりに強く抱きしめられてリアムは困惑した。
「!!」
前に降ろされた黒髪の間から覗く目が、黄金色に光っていた。その真ん中にある瞳孔は縦に細長く、ヒトではないもののように見える。これはまるで。
(この唸り声、それに金色の目…まさか『月狂い』を発症してる!?)
リアムは以前読んだ本の内容を思い出していた。
『月狂い』とは、狼男になぞらえた病のひとつだ。満月の夜になると理性を失い獣のような欲望に支配されてしまう現象のことだ。症状が出るのは主に男性なのだが稀に女性にも発症することがあるという。
(どうしよう……僕一人で対処は出来ない…早く誰かを呼ばないと……!)
そうは思うものの、ジェラルドが自分を離してくれる気配はない。それどころかさらに強く抱きしめられてリアムは小さく悲鳴を上げる。
月狂いになると、狼のように群れの長は独占欲が強く、番であると認識した相手以外に心を開かなくなってしまう。
(もしかして僕のこと、番だと思ってくれてる?)
そう考えると嬉しくないわけがない。しかし今はそれどころではなかった。早くどうにかしないと。だがそんなリアムの思考とは裏腹にジェラルドは掠れた声で囁くように言った。
「…リアム」
名前を呼ばれドキッとするがすぐに我に返る。今ここで流されるわけにはいかない。
「……ジェラルド、おはよう。起きたんだね。さあ、朝ごはん食べに行こう?ね?」
優しく諭すように声をかけるも反応はなく、腕にこもる力はますます強くなる。
(こうなったら…!)
リアムは逆にぎゅっと抱き返すとジェラルドの耳元に唇を寄せた。
「ねえ、もう少し優しくして?」
甘い声で囁きながらリアムはジェラルドの耳に口づけをする。ちゅっと音を立てて何回か吸い付くと次第にジェラルドから力が抜けてくるのがわかった。
(よし!)
その隙をついて体を離そうとしたが、腕を掴まれてしまったため逃げることは出来なかった。それでも怯むわけにはいかないとキッとした表情で見上げるように見つめると、そこには熱に浮かされたような表情があった。その瞳は明らかに正気ではないように見える。
「ジェラルド、落ち着いて。僕は君の番じゃないよ?」
(君の婚約者は、別にいるもの…)
リアムはつきんと痛む胸を誤魔化すように自分に言い聞かせると、再びジェラルドの頬に触れる。
「お願いだから正気に戻って」
懇願するように言うも反応はない。代わりにリアムの首筋に顔を埋めて歯を立てられる。
「いたっ!」
思わず声を上げるがジェラルドは気にした様子もなくそのまま舐め続ける。ざらりとした舌の感触にぞくりと背筋が震えた。
(まずい……このままじゃ本当に食べられちゃうかも)
そんな不安に駆られながらも、胸は高鳴り続ける。それに気をよくしたのか、ジェラルドは今度はリアムの首筋へと顔を寄せると舌を這わせ始めた。
「や、やだ……やめてってば……」
弱々しい声で訴えて引き離そうと力を込めるが聞き入れる様子はないようだ。このままでは本当にまずいかもしれないと思った時だった。
「……何をしている?」
(良かった!正気に戻ったんだ!)
ほっと胸を撫で下ろすも束の間だった。
「嫌がるフリをする必要はない。それとも、わざと煽っているのか?悪い子だな」
そう言って妖艶に微笑むジェラルドを見てリアムは凍りついた。正気に戻ったわけではないどころか、悪化しているようだ。
「ち、違う!僕はただ……んっ!」
慌てて否定しようとするも無駄な抵抗だった。ジェラルドは笑いながら、舌を這わす。
「いい匂いだ…甘くて美味そうで…俺のことを好きで仕方ないんだな…?そうでなければこんなに俺を惑わせたりしないだろう」
「そ、んなこと……!」
否定しようとするも言葉が出てこない。実際その通りだったからだ。
(好き、好きだよ……)
ずっと好きだった。初めて会った時からずっと惹かれていた。だからこそ今こうして一緒に旅をしているし、役に立てるように頑張ってきたのだ。だがそれを本人に告げる勇気はなかった。拒絶されるのが怖いからだ。だからせめて側にいられればそれでいいと思っていたのだが、まさかこんなことになるとは思わなかったのだ。
「番じゃない?バカなことを。こんなにも俺を惑わせるくせに」
「違う!それは……あっ!」
反論しようとするリアムの言葉を遮り、ジェラルドは噛みつくようにキスをした。
「んむぅっ!?」
(舌!?)
突然のことに驚いているうちに口内を蹂躙される。歯列や上顎の裏など敏感な部分ばかりを攻め立てられ頭がボーッとしてきた頃になってようやく解放されたが、酸欠状態で身体に力が入らない状態だった。
ジェラルドは対称的に余裕のある表情だ。口の端についた唾液を舐め取りながらリアムを見下ろすと、彼は妖艶に微笑んだ。
「美味いな…これで俺のモノじゃない?あり得ないな。こんなに甘くて美味なのに」
「う、うぅ……」
リアムの目には涙が浮かんでいた。羞恥心と恐怖が入り交じった複雑な感情のせいだろう。だがジェラルドは構わず続ける。
「お前がどれだけ口で否定しても、事実は何も変わらない。本能がそう告げている。なあ?俺の『番い』よ…」
ギラついた目で見つめられ、リアムの心臓は高鳴る。
「やめ…やめて…」
(か、かっこよすぎるから~~僕のバカ!妄想ばっかしてるから!っていうかもしかしてこれも夢かも!そうだよね!?そうに違いないよね!?だってそんな現実だったら僕、僕は…)
普段無愛想で塩対応な想い人の執着心マシマシな行動に、リアムの頭は完全に置いてけぼりになっている。
「た、助けてぇ…!!」
このままだとキュン死してしまうと、リアムは目を瞑って故郷の風の女神さまの名前を唱えながら、覚めてほしいのかそうでないのかわからない状況に身悶えするのだった。
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