上 下
44 / 50

44

しおりを挟む
(頭の中…ふわふわする…眠くて暖かくて…気持ちいい…♡)
「起きろよ、司。お楽しみの時間だぜ?」
「……んぅ?」
 栄之助に声を掛けられると、夢うつつだった司は目を擦りながらぼんやりとした頭で彼を見上げた。その目はトロンと蕩け切っている。その様子に満足そうに微笑むと、栄之助は彼の頬に触れた。
「は、カワイイの。なあ?キスして欲しくない?」
(キス…?)
 司は一瞬戸惑ったが、すぐ近くにある人肌の温もりと、甘くい低い声に流されてしまう。
「するのぉ……?」
 司がへにゃっと笑う。完全に寝ぼけているようだ。栄之助は笑みを深くすると、そのまま司に口づけた。ちゅっと音を立てて唇を離すと、今度は優しく頭を掴みながら舌を絡ませる。
「んっ……ふぅ……んんっ……」
 司はぼんやりとしたまま栄之助を受け入れている。その隙に取り巻き達は準備を始めた。
「うわすご…えっろい顔してる」
「えーちゃんさすが、慣れてる」
 取り巻き達が話していると、栄之助は司の口を解放した。
「ぷぁっ……はぁ……」
「キモチイイか?司」
「ん…うん…」
 寝ぼけたままの司は膝に乗ったような体勢のまま栄之助を見上げて微笑む。
「キス好きだよな?お前」
 言質を取るように何度も司にそう問いかける。
「ん…キス、すき…」
「…っは」
 スリスリ身体を寄せて答えられ、栄之助は何かを堪え、笑って引き寄せる。
「んぅ…!?んぅう…♡♡」
 腰に手を回しながら顎を持ち上げ再びキスをする。ジメジメしたカラオケルームの部屋は、ぴちゃぴちゃと言う水音と、時折漏れる司の甘い喘ぎ声が響き渡っていた。
「はー…えーちゃんマジじゃん」
「つか司チャンめちゃ可愛いな。俺もちゅーしてぇ」
「バーカ、殺されるぞ?」
 取り巻きたちは好き勝手騒ぎながらカメラを回したりしているが、栄之助は気にすることなく司の口内を責立てる。飲みきれない唾液が口の端からこぼれて落ちるが、栄之助は益々激しく抱き寄せて角度を変えてキスをし続ける。
(はう…息が…くるし…♡)
 意識が遠のきそうになった瞬間、やっと口を開放される。
「ぷは…♡はぁ…はぁ…」
 苦しそうに呼吸する司を見下ろしながら、栄之助は再び耳元で囁く。
「なあ司、俺のしゃぶって?」
「ふぇ……?んぅ…」
司は舌っ足らずに答えると、ソファーに横たわりもぞもぞとパンツをずらすと、既に勃ち上がっている陰茎を取り出した。そしてそのまま栄之助のものを頬張る。
「すっげ……マジだ」
 取り巻き達はスマホを取り出すとその様子を撮影し始めた。その様子には気付かずに、司は栄之助に奉仕している。
「んっ……ふぅ……」
「上手いじゃん。イイコ」
「……んぅ」
 司がとろんとした目で見つめてきた。栄之助はごくりと唾を飲み込むと、再び司に問いかける。
「なあ、俺の舐めてて気持ちいいか?」
「ん……んぅう……」
 司はコクコクと頷いた後、再びフェラチオを始める。栄之助はニヤリと笑うと、取り巻き達に目配せした。取り巻き達がこっそりと動き出す。
「司、もういいぞ」
「んう…」
 頭を撫でながら、栄之助は囁く。
「…ちゃんと俺達が愛し合ってるトコ、残しておかないと、な?」
 言い逃れなんてさせないと言わんばかりに司を抱き寄せながら栄之助は笑う。薄暗い部屋の明かりでは、栄之助の目に宿った狂気までは照らせない。夢現の司には閉じかけた瞼の向こうに映る栄之助の歪んだ笑顔しか認識出来なかった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

親友だと思ってた完璧幼馴染に執着されて監禁される平凡男子俺

toki
BL
エリート執着美形×平凡リーマン(幼馴染) ※監禁、無理矢理の要素があります。また、軽度ですが性的描写があります。 pixivでも同タイトルで投稿しています。 https://www.pixiv.net/users/3179376 もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿ 感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_ Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109 素敵な表紙お借りしました! https://www.pixiv.net/artworks/98346398

童貞が建設会社に就職したらメスにされちゃった

なる
BL
主人公の高梨優(男)は18歳で高校卒業後、小さな建設会社に就職した。しかし、そこはおじさんばかりの職場だった。 ストレスや性欲が溜まったおじさん達は、優にエッチな視線を浴びせ…

バイト先のお客さんに電車で痴漢され続けてたDDの話

ルシーアンナ
BL
イケメンなのに痴漢常習な攻めと、戸惑いながらも無抵抗な受け。 大学生×大学生

くまさんのマッサージ♡

はやしかわともえ
BL
ほのぼの日常。ちょっとえっちめ。 2024.03.06 閲覧、お気に入りありがとうございます。 m(_ _)m もう一本書く予定です。時間が掛かりそうなのでお気に入りして頂けると便利かと思います。よろしくお願い致します。 2024.03.10 完結しました!読んで頂きありがとうございます。m(_ _)m 今月25日(3/25)のピクトスクエア様のwebイベントにてこの作品のスピンオフを頒布致します。詳細はまたお知らせ致します。 2024.03.19 https://pictsquare.net/skaojqhx7lcbwqxp8i5ul7eqkorx4foy イベントページになります。 25日0時より開始です! ※補足 サークルスペースが確定いたしました。 一次創作2: え5 にて出展させていただいてます! 2024.10.28 11/1から開催されるwebイベントにて、新作スピンオフを書いています。改めてお知らせいたします。 2024.11.01 https://pictsquare.net/4g1gw20b5ptpi85w5fmm3rsw729ifyn2 本日22時より、イベントが開催されます。 よろしければ遊びに来てください。

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

変態村♂〜俺、やられます!〜

ゆきみまんじゅう
BL
地図から消えた村。 そこに肝試しに行った翔馬たち男3人。 暗闇から聞こえる不気味な足音、遠くから聞こえる笑い声。 必死に逃げる翔馬たちを救った村人に案内され、ある村へたどり着く。 その村は男しかおらず、翔馬たちが異変に気づく頃には、すでに囚われの身になってしまう。 果たして翔馬たちは、抱かれてしまう前に、村から脱出できるのだろうか?

ある少年の体調不良について

雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。 BLもしくはブロマンス小説。 体調不良描写があります。

少年野球で知り合ってやけに懐いてきた後輩のあえぎ声が頭から離れない

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
少年野球で知り合い、やたら懐いてきた後輩がいた。 ある日、彼にちょっとしたイタズラをした。何気なく出したちょっかいだった。 だがそのときに発せられたあえぎ声が頭から離れなくなり、俺の行為はどんどんエスカレートしていく。

処理中です...