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一方の栄之助の方も、司とのことがあってから、まるで別人のように覇気がなくなっていた。今日も、ぼんやりと授業を聞くふりをしながら司の完璧過ぎる横顔を盗み見する。
(あー…マジでカワイイ…)
油断すると口が開いてしまいそうになる。好物を目の前にしたケモノみたいだと、頭のどこかで自嘲する。
抱いてしまえばあっさりと、熱は覚める。性欲なんてそんなものだ。どんなに魅力的な女でも抱くまでが楽しくて、その後の展開はお決まりのパターン。あとは冷めて、他の女で発散するか、別のことに熱中するだけ。
だけど司だけは違った。女の姿にさせた時から自分の様子がおかしいことはわかっていた。だってどんなに可愛くても、司は男だ。なのに気づいたら抱き潰し、翌朝も司を求めずにはいられなかった。
(本当、昔から顔だけは最高なんだよな…)
栄之助は頬杖をつき、ぼんやりと司の顔を眺める。人形みたいに整った顔立ちと大きな瞳。長い睫毛が白い肌に影を落としている。少し厚めの唇はぷっくりとしていて艶やかだ。何度もそれに食らいつくようなキスをした。それを思い出すだけで、身体が熱くなっていく。
(あー……やべえ、思い出したら勃ちそ……)
栄之助は内心焦りながらも平静を装って授業に集中するふりをする。しかし頭の中は抱いた幼馴染のことでいっぱいだった。
そして休み時間もまた、栄之助は司のことを考えている。泣きじゃくるように自分の名を繰り返す姿も、ニットワンピを捲って見せた白い尻の形も、油断すると何度も何度も思い出してしまう。
「おい、聞いてんのか?栄之助」
「……ん?」
「お前今日おかしいぞ?大丈夫かよ」
クラスメートの言葉にハッとする。どうやらずっと上の空だったようだ。
「わり。ちょっと寝不足なんだよ」
そう言って誤魔化したが、本当は別のことを考えていた。
「…なんかさ、えーちゃん、女装姿の司チャン見てからずっとこんな感じじゃね?」
「なになに?モテ男栄之助くんが珍しく恋しちゃったとか?」
「なわけねーだろ?あんだけ女食い散らかしても本命つくんねー男がさ?」
「あーあ。性格クズなのに顔とスペックだけは良いから女は寄ってくるんだよな~」
栄之助の友人達は言いたい放題だ。しかし彼らの言葉にも一切反応せず、ただじっと司を見つめていた。その視線に気づいた司が振り返って不思議そうな顔でこちらに目を向けた。だが、すぐに視線を逸らした。
(ああもう……可愛いすぎるだろ……)
抱いてからずっと落ち着かない。誰かに取られたくない。だってあんなに可愛いのだ、周りだって放って置かないだろう。
(声かけてえな…コイツら居なかったら、速攻側に行ってキスするのに…)
栄之助はため息をついた。セックスしてから様子がおかしくなったのは、司だけではなかったのだった。
(あー…マジでカワイイ…)
油断すると口が開いてしまいそうになる。好物を目の前にしたケモノみたいだと、頭のどこかで自嘲する。
抱いてしまえばあっさりと、熱は覚める。性欲なんてそんなものだ。どんなに魅力的な女でも抱くまでが楽しくて、その後の展開はお決まりのパターン。あとは冷めて、他の女で発散するか、別のことに熱中するだけ。
だけど司だけは違った。女の姿にさせた時から自分の様子がおかしいことはわかっていた。だってどんなに可愛くても、司は男だ。なのに気づいたら抱き潰し、翌朝も司を求めずにはいられなかった。
(本当、昔から顔だけは最高なんだよな…)
栄之助は頬杖をつき、ぼんやりと司の顔を眺める。人形みたいに整った顔立ちと大きな瞳。長い睫毛が白い肌に影を落としている。少し厚めの唇はぷっくりとしていて艶やかだ。何度もそれに食らいつくようなキスをした。それを思い出すだけで、身体が熱くなっていく。
(あー……やべえ、思い出したら勃ちそ……)
栄之助は内心焦りながらも平静を装って授業に集中するふりをする。しかし頭の中は抱いた幼馴染のことでいっぱいだった。
そして休み時間もまた、栄之助は司のことを考えている。泣きじゃくるように自分の名を繰り返す姿も、ニットワンピを捲って見せた白い尻の形も、油断すると何度も何度も思い出してしまう。
「おい、聞いてんのか?栄之助」
「……ん?」
「お前今日おかしいぞ?大丈夫かよ」
クラスメートの言葉にハッとする。どうやらずっと上の空だったようだ。
「わり。ちょっと寝不足なんだよ」
そう言って誤魔化したが、本当は別のことを考えていた。
「…なんかさ、えーちゃん、女装姿の司チャン見てからずっとこんな感じじゃね?」
「なになに?モテ男栄之助くんが珍しく恋しちゃったとか?」
「なわけねーだろ?あんだけ女食い散らかしても本命つくんねー男がさ?」
「あーあ。性格クズなのに顔とスペックだけは良いから女は寄ってくるんだよな~」
栄之助の友人達は言いたい放題だ。しかし彼らの言葉にも一切反応せず、ただじっと司を見つめていた。その視線に気づいた司が振り返って不思議そうな顔でこちらに目を向けた。だが、すぐに視線を逸らした。
(ああもう……可愛いすぎるだろ……)
抱いてからずっと落ち着かない。誰かに取られたくない。だってあんなに可愛いのだ、周りだって放って置かないだろう。
(声かけてえな…コイツら居なかったら、速攻側に行ってキスするのに…)
栄之助はため息をついた。セックスしてから様子がおかしくなったのは、司だけではなかったのだった。
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