転生社畜、転生先でも社畜ジョブ「書記」でブラック労働し、20年。前人未到のジョブレベルカンストからの大覚醒成り上がり!

nineyu

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3章 王都救出絵巻

第86話 作戦会議

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「――――と、まあ今の所はこんな感じだ。
 二人からも意見を聞きたい、どうだ?」

 最低限の手札が整った所で、二人に俺が見つけた突破口からの現状考えうる作戦を伝える。
 エレイシアもララの話になると先ほどまでのやり取りは忘れて、真剣に話を聞いてくれた。

「私の役割は本当にそれだけか? 二人に比べて楽をしているというか…… 。
 私こそがララ様の騎士として、矢面に立って血を流すべきだし、その覚悟もできている」

「別に誰の血を流すつもりもなければ、犠牲にするつもりもない。公爵家と正面から戦争なんてゴメンだしね。
 それでも、今後のために避ける戦いがある。それに一番大変で難しいのはエレイシアの役割だと思っているぞ?
 大事なのは俺達への信頼だ。俺を信用してくれないか、エレイシア」

 俺の言葉に神妙な顔をして黙り込むエレイシア。
 対して、口を開いたのはユキだった。

「ハァ、信用なんて口に出されたら仕方ないわね。
 私はそのララって人のことは知らないし、せっかく嫌な仕事を辞めれて自由になったのだから、危ないことはしたくないけど。
 タナカさんが助ける義理のない私を助けてくれたから、今の私がいるんだし。
 そのタナカさんが助けようとしてるんだから私も手伝ってあげるわ。感謝してよね、エレイシアさん。大事な人なんでしょ、そのララって人」

 ユキのその言葉にエレイシアも覚悟を決めたようだ。一度瞼を閉じた後、ゆっくりと開け、頭を下げた。

「ああ、その通りだ。スマナイ、意地を張るところではなかったな。あのとき、私はあなたに頼ると決めたのだ。ユキもこの通りだ、力を貸してくれ」

 思いの外、素直な言葉にユキも面食らっていたが悪くはない気分のようだ。
 組織のときの仕事と似ているようだが、ハッキリと違う。コキ使われるのと人助けに頼られるのとでは、天地の差があるものだ。

「フンっ。まあ、その…… 。さっきはからかってゴメンなさい。急にタナカさんが女の人を連れてくるっていうからちょっとね…… 。
 って、そんなことより作戦の話よっ。
 信用とか曖昧な話じゃなくて、本当にタナカさんの方は大丈夫なの?
 ヴァイアージ家について少し探ってみたけど、ホントにヤバいわよ。
 特に槍使いの人なんて近寄ることもできなかったわ。人間なの、アレ?」

 なんて物騒な言葉が飛び出した。その男についてはよく知らないがそれでも、

「いや、本当に怖いのは魔法使いの方だよ。これからもその二人には絶対に接触しなくていい。勘付かれたらオシマイだからな」

 あの男にはハニートラップなんて通用しない。

 冒険者時代に実力を嫉妬され、ハニートラップを仕掛けられたメイスが『自称、女性問題のプロ』こと、ブライアンを利用して逆にその女性がブライアンに追い回されたなんて話を聞いたことがあるが、ブライアンはさておき、信念のある男にハニトラは効かないのだ。


「まあタナカさんも大概デタラメだし、やれるっていうのなら任せるわ。それよりも、この前の部分はどうせなら、こうしない? 」

 ユキの提案が続く。


 こうして作戦も煮詰まり、それぞれ期日までやれることをやっておく。
 
 ―実行のときはすぐそこまで迫っていた。


 
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